スズキ・GSX-8

スズキ・GSX-8(ジーエスエックス エイト)は、スズキが製造販売するオートバイのシリーズ車種である。
このページでは以下の車種について解説する。
- ネイキッドモデルのGSX-8S
- フルカウル(スポーツツアラー)モデルのGSX-8R
- ネオクラシック(ネオレトロ)モデルのGSX-8T、ならびにそれをベースとしたGSX-8TT
概要
2022年までのスズキのミドルクラス(排気量500cc〜900cc程度のオートバイの俗称)に搭載されるエンジンは、SV650やVストローム650に搭載される645ccの90度V型2気筒エンジンが主力を担っていた。しかしこのエンジンは約30年にわたり搭載され続けていることから、Euro5をはじめとした厳格化する近年の環境規制への対応をさせ続けることへのコストや重量増が問題視されるようになり、燃焼効率の向上や綿密な電子制御に対応させたエンジンの用意が望まれていた。[1][2]またV型エンジンは前後にシリンダーが配置されることからフレーム設計にも制約が多く、排気管や吸気系の取り回しも複雑となり車体設計上のネックとなっていた。[3][4]
GSX-8はスズキのグローバルモデル新シリーズとして、2023年より生産を開始したオートバイのシリーズであり、新世代プラットフォーム、エンジンの世代交代といった、スズキの次世代へ向けた転換点を担う車種として展開される。[3]
初登場は2022年11月8日。イタリア・ミラノで開催されたバイク見本市「EICMA 2022」にてストリートファイターモデルのGSX-8S、アドベンチャーモデルのVストローム800DEがそれぞれ発表された。[5]
搭載されるエンジンは新設計の776cc水冷直列2気筒(4ストローク DOHC 4バルブ)で、最高出力80 PS(59 kW)/ 8,500 rpm、最大トルク76 N・m(7.7 kgf・m)/ 6,800 rpmを発揮する。[6][7]燃料は無鉛プレミアムガソリン(ハイオクガソリン)を使用する。[6]
エンジンは270度クランク。またクランク軸に対して90°に2つのバランサーを配置する特許機構、「スズキクロスバランサー」を量産車で初めて採用したことで、振動を抑えつつエンジン前後の小型化に貢献している。[6][7]
電子制御「S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)」を搭載。3つの走行モードを選択できるほか、トラクションコントロールは3段階(+オフ)から選択できる。また双方向クイックシフトシステムを搭載し、クラッチレバーを操作せずにシフトアップ・ダウンが可能となっている[6][7]。
メーターには5インチのカラーTFTマルチインフォメーションディスプレイを採用。カラー表示はデイモード(白)とナイトモード(黒)の二種類が選択でき、走行時の環境(明るさ)による自動切り替えのほか、選択により固定も可能となっている[6][8]。
GSX-8S
GSX-8S 2023年モデル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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GSX-8S(オプションのシートバッグ装着車両) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 基本情報 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 排気量クラス | 大型自動二輪車 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| メーカー |
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| 車体型式 | 8BL-EM1AA | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| エンジン |
FRA1型 775 cm3 4サイクル 水冷DOHC直列2気筒4バルブ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 内径×行程 / 圧縮比 | 84.0 mm × 70.0 mm / 12.8:1 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 最高出力 | 59 kW (80 PS)/8,500rpm | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 最大トルク | 76 N⋅m (7.7 kgf⋅m)/6,800rpm | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 車両重量 | 202 kg | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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シリーズ第一弾。ネイキッド(ストリートファイター)モデルとして登場。以下「8S」と呼称する。
前述のとおり2022年11月の「EICMA 2022」にて発表され、翌年、2023年3月から欧州・北米にて順次発売を開始された。日本では3月24日より国内仕様の発売が開始。国内仕様のメーカー希望小売価格は1,067,000円(消費税込み[5])。
デザインは2021年にフルモデルチェンジされたGSX-S1000をモチーフとしながら、新採用の二気筒エンジンによるスリムなボディ形状に合わせて変更している[6][9]。
特徴的な縦二連型のLEDヘッドライトはGSX-S1000から受け継ぐ。またこのヘッドライトはスズキの新たなアイコンとして、同時発表のVストローム800DEをはじめ、のちのGSX-8RやVストローム250(2026年マイナーチェンジ以後)にも採用されていくこととなる[9]。
フロントサスペンションにはKYB製の倒立フォーク、リアには同社製のプレロード調整可能なリンク式サスペンションを搭載し、シャシーにはスチールフレームとアルミ製スイングアームを採用し剛性を確保。[7]
2026年4月のマイナーチェンジでは、欧州の排ガス規制が新たに「Euro5+」となったことから、この基準をクリアするために車載診断システムの要件強化などのアップデートを実施。また環境配慮の一環としてE10燃料(バイオエタノール混合燃料)への対応も合わせて実施。さらに当時メーカーオプションとなっていた前後ウィンカーのLEDが標準装備となった。[10]これら変更によりメーカー希望小売価格は従来比44,000円増の1,166,000円(消費税込み)となった。
GSX-8R

シリーズ第三弾として登場したフルカウルモデル。以下「8R」と呼称する。
8S及びVストローム800DEの発表から一年後の2023年11月7日に開催された「EICMA 2023」にて世界初公開。翌年、2024年1月より欧州・北米にて発売が開始された。[11]
日本では1月18日に公式のプレスリリースにより国内仕様が発表。同月25日より発売された。国内仕様のメーカー希望小売価格は1,144,000円(消費税込み)。[11]
8Sをベースにフルカウル化されたスポーツモデルであり、エンジンやシャシーをベース車と共有する一方で、以下の点でベース車と異なる[12][13]。
- 車体全体へのカウルの取り付け、及びフロントスクリーンの増設
- ハンドルをアルミ鍛造のセパレートハンドルへ変更(ベース車はバーハンドル)
- フロントサスペンションをSHOWA(Astemo)製SFF-BP倒立フォークへ変更。リアサスペンションもSHOWA製へ変更。
- カウル装備による重量増加(202kg → 205kg)
また8Sではオプション設定となっている前後LEDウィンカーについても、8Rでは標準装備となっている[10]。
シート高については810mmと8S/8Rともに変更はないが、8Rではセパレートハンドルとなっている分乗車姿勢はやや前傾となっている[13]。
登場から1年後の2025年モデルでは価格が改定され1,199,000円(消費税込み)となった。[14]2026年4月のマイナーチェンジではカラーバリエーションが変更され、新たにオレンジ系のマットタキシードブロンズメタリックが追加された。また環境配慮の一環として「E10燃料」への対応が行われた。また再度価格が改定され、1,243,000円(消費税込み)となった。[15]
GSX-8T / TT


シリーズ第四弾として登場したネイキッドモデル。以下「8T」及び「8TT」と呼称する。
2025年7月4日、オンラインによるプレスリリース及びグローバル向けのオンライン発表にて世界初公開。その後欧州・北米にて順次発売を開始。[16]
日本では発表翌月の8月1日に鈴鹿サーキットにて開催された「2025 FIM世界耐久選手権 “コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会(鈴鹿8耐)」にて、イベント会場内に設営されたファンブース内で実車展示の初公開が行われた。この際国内導入予定は未定とし、参考出品としての展示となっていた。[17]
その後10月29日~11月9日まで東京ビッグサイトにて開催された「Japan Mobility Show 2025」にて展示出品される際、日本での市販予定車として出品することをメーカー公式HPにて発表。[18]その後数か月間は日本仕様に関する情報が無い状態が続くも、翌年の2026年の1月22日にプレスリリースが公表され、日本国内仕様の発売が発表された。同月30日より国内仕様発売開始。[19]
往年のレトロな外観にインジェクションや電子制御などの最新装備を備える、所謂ネオクラシックのジャンル(同系統のバイクとしてヤマハのXSRシリーズ、カワサキのZ900RSなどが挙げられる)に位置し[20][21][19]、同社には同様のコンセプトを持つ車種として「カタナ」が挙げられる。
ベースとなった8Sとは以下の点で異なる。
- ヘッドランプを丸型一灯式LEDへ変更。
- バーエンドミラーの採用(スズキの市販車として初採用)。
- クラッチカバーを8Sのガンメタからブラック塗装へ変更、マフラーのバッフルエンドを樹脂製から金属製に変更するなどディテールの質感向上。
- タンク形状変更によるタンク容量の変更(14L → 16L)。
- バッテリーを隼などに採用されているELIIY Power製のリチウムイオンバッテリーへ変更し、バッテリー単体で約2.1kgの軽量化。
またラジエーターシュラウドには、ビリヤードにおける勝負球である「8ボール」をあしらった立体エンブレムを配置しており、このエンブレム自体が8T / 8TTのアイコンとして用いられている[22]。
重量は装備重量で8Tが201kg、8TTが203kg。リチウムイオンバッテリーの採用などにより8Tはベースとなった8Sと比較して1kg程度軽量化されている[23]。
GSX-8Tのデザインは、1968年に量産車として世界初の500cc2ストローク2気筒エンジンを搭載したスズキのオートバイ、「T500」からインスピレーションを得ており、車名である8Tの「T」はT500の愛称である「Titan(タイタン)」に由来する。[21][16][24]発売時のメーカー希望小売価格は1,298,000円(消費税込み)。
GSX-8TTは8Tをベースに、特徴的なビキニカウル形状のヘッドライトカウル(ハーフカウル)とアンダーカウルを装備し、カフェレーサースタイルとなった。ヘッドライトカウルの形状は、スズキの量産車として初のリッターバイクとなった1978年発売の「GS1000」に設定された特別仕様車「GS1000S(通称クーリーレプリカ)」の形状を模したものとなっている。[20][16][24]ただし発売時点でのカラーバリエーションにはGS1000Sの特徴的な白基調のツートンカラーの設定は無く、ブラック、またはグリーンの二色展開となっている。発売時のメーカー希望小売価格は1,386,000円(消費税込み)。
また8Tではメーター下部に設置されていた充電用USB-Cソケットが8TTではヘッドライトカウル裏側へ移動されている[21][20][25]。
ポジションランプは8Tではヘッドライト中央のLEDランプが担当し、8TTではウィンカーランプが役割を担当する[21][20][26]。
関連項目
脚注
- ↑ “【目指すは80年代並】スズキの技術戦略に世界が震える理由。肝が据わっているのは日本メーカーだ(carview!) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview!”. 日本最大級のクルマ総合情報サイト、カービュー! (2024年8月14日). 2026年10月25日閲覧。
- ↑ Knox (2022-11-15), Suzuki GSX 8S | First look review from KNOX at EICMA 2022 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 直樹, 平塚 (2023年3月14日). “V型じゃなくなぜ並列? スズキが新型「GSX-8S」と「Vストローム800DE」に搭載する小型低振動の800cc新ツインエンジンとは?”. clicccar.com. 2026年10月25日閲覧。
- ↑ s.ueno (2024年4月23日). “最近、スズキのデザインが尖ってきた理由「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」”. モーサイ(Motorcyclist Web). 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 YES.2022 (2022年11月7日). “Suzuki GSX-8S” (英語). EICMA. 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “製品概要 | GSX-8S”. 二輪車 | スズキ. 2026年10月28日閲覧。
- 1 2 3 4 “バイク用品&インプレッション ウェビック”. rfo.webike.net. 2026年10月25日閲覧。
- ↑ “2025モデル GSX-8R、GSX-8S情報! [最新情報 | U-MEDIA (ユーメディア) | - 中古バイク・新車バイク探しの決定版!神奈川・東京でバイク探すならユーメディア!]”. www.u-media.ne.jp. 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 “魅惑デザイン全開!! スズキの新作 GSX-8S詳報〈スタイリング/デザイン編〉│WEBヤングマシン|新車バイクニュース” (2023年1月31日). 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 “Suzuki GSX-8S 2026: LED Turn Signals, New Colors, Price” (英語). www.motorcycles.news (2026年2月26日). 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 “スズキ、大型二輪車新型「GSX-S1000GX」、新型「GSX-8R」を発表|スズキ”. スズキ、大型二輪車新型「GSX-S1000GX」、新型「GSX-8R」を発表|スズキ. 2026年10月25日閲覧。
- ↑ “製品概要 | GSX-8R”. 二輪車 | スズキ. 2026年10月28日閲覧。
- 1 2 “バイク用品&インプレッション ウェビック”. rfo.webike.net. 2026年10月25日閲覧。
- ↑ “【価格改定】大型バイク『GSX-8R』と『GSX-8S』が2025モデル登場! カラーチェンジもあります!【スズキのバイク! の新車ニュース】 - スズキのバイク!- 新車情報や最新ニュースをお届けします” (英語). 2026年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年10月30日閲覧.
- ↑ “スズキ、ストリートモデルの「GSX-8S」、スポーツモデルの「GSX-8R」を一部仕様変更して4月15日発売! 価格は8S=116万6000円、8R=124万3000円(モーサイ) | 自動車情報・ニュース - carview!”. 日本最大級のクルマ総合情報サイト、カービュー! (2026年4月11日). 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 3 “スズキ、新型「GSX-8T」、新型「GSX-8TT」を発表|スズキ”. スズキ、新型「GSX-8T」、新型「GSX-8TT」を発表|スズキ. 2026年10月25日閲覧。
- ↑ “スズキが鈴鹿8耐会場で「GSX-8T」「GSX-8TT」を初公開! 1968年登場の市販車最速マシン「Titan(T500)」から着想を得た最新モデルとは?(バイクのニュース) | 自動車情報・ニュース - carview!”. 日本最大級のクルマ総合情報サイト、カービュー! (2025年8月1日). 2026年10月25日閲覧。
- ↑ “GSX-8T / GSX-8TT”. JAPAN MOBILITY SHOW 2025 | スズキ. 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 “スズキ、新型「GSX-8T」、新型「GSX-8TT」を日本で発売|スズキ”. スズキ、新型「GSX-8T」、新型「GSX-8TT」を日本で発売|スズキ. 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 3 4 “製品概要 | GSX-8TT”. 二輪車 | スズキ. 2026年10月28日閲覧。
- 1 2 3 4 “製品概要 | GSX-8T”. 二輪車 | スズキ. 2026年10月28日閲覧。
- ↑ “スズキらしくない? 話題の新型ネオレトロバイク『GSX-8T』、大阪モーターサイクルショー2026でも注目の的に”. レスポンス(Response.jp) (2026年3月22日). 2026年10月25日閲覧。
- ↑ “HY battEliiy Pシリーズ”. エリーパワー株式会社. 2026年10月25日閲覧。
- 1 2 “「GSX-8T/8TT」、1000台以上の先行受注でロケットスタート!|BDS Report”. www.bds.co.jp. 2026年10月25日閲覧。
- ↑ “オーナーになったつもりで「GSX-8T/8TT」をまじまじと眺めてみた感想。肩肘張らずに付き合えそう。”. Motor Fan|自動車情報のモーターファン. 2026年10月25日閲覧。
- ↑ “新型『GSX-8T』が細部までわかるディテール写真も公開!全方位写真で隅々までチェックしてみよう!【スズキのバイク! の新車ニュース】 - スズキのバイク!- 新車情報や最新ニュースをお届けします” (英語). 2026年2月14日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年10月25日閲覧.