メアリー・オリヴァー
メアリー・オリヴァー | |
|---|---|
| Mary Oliver | |
| 生誕 |
1935年9月10日 |
| 死没 |
2019年1月17日(83歳没) |
| 国籍 |
|
| 職業 | 詩人、エッセイスト |
| 活動期間 | 1963年 - 2019年 |
| 雇用者 | ベニントン・カレッジ |
| 代表作 | 『American Primitive』『Dream Work』『House of Light』『New and Selected Poems』 |
| 影響を受けたもの | ウォルト・ホイットマン、エドナ・セント・ヴィンセント・ミレイ |
| 活動拠点 | プロビンスタウン |
| 受賞 | ピューリッツァー賞 詩部門(1984年)、全米図書賞詩部門(1992年)、ソロー賞 |
メアリー・オリヴァー(Mary Oliver、1935年9月10日 - 2019年1月17日)は、アメリカ合衆国の詩人。自然界への鋭い観察と平明な言葉で知られ、詩集『American Primitive』で1984年のピューリッツァー賞 詩部門を、『New and Selected Poems』で全米図書賞を受賞した。[1][2]
2007年にはニューヨーク・タイムズから「国内で圧倒的に売れている詩人」と評され、純文学界からの評価と広範な読者層の双方を得た、現代アメリカでは稀有な詩人とされる。[3]
生涯・経歴
生い立ち
1935年9月10日、オハイオ州メイプルハイツに生まれた。[4] 生家はクリーブランドの郊外にあり、家庭環境は不安定で、幼少期には性的虐待も受けたとされる。彼女は自宅近くの森で一人の時間を過ごすようになり、自ら作った小屋で詩を書いた。[5][6] 森を歩きながら、ウォルト・ホイットマンの詩を読みふけったという。[7]
ミレイ邸とモリー・マローン・クックとの出会い
高校在学中、詩人エドナ・セント・ヴィンセント・ミレイの妹ノーマに手紙を書き、ニューヨーク州オースターリッツにあるミレイの邸宅(en:Steepletop)を訪問した。ノーマの了承を得て、そこに数年間滞在し、ミレイの遺稿の整理に携わった。この間にオハイオ州立大学とヴァッサー大学で学んだが、いずれも学位は取得していない。[8]
ミレイ邸を通じて、1958年に写真家のモリー・マローン・クック(en:Molly Malone Cook)と出会い、生涯の伴侶となった。二人の関係は2005年のクックの死まで続いた。[6] クックは後にオリヴァーの文芸エージェントも務めた。[2]
プロビンスタウンでの活動
1963年に最初の詩集『No Voyage and Other Poems』を刊行した後まもなく、二人はマサチューセッツ州ケープコッドのプロビンスタウンに移り住んだ。この地は漁師、夏季滞在の演劇人、LGBTの人々が集う共同体であり、クックは書店「イースト・エンド・ブックショップ」を営んだ。[6] 以後、プロビンスタウンの海岸、池、森が彼女の作品の主要な舞台となった。[1]
オリヴァーは、ケース・ウェスタン大学やベニントン・カレッジなどで教えた。[8] ベニントン・カレッジでは、2001年まで「キャサリン・オズグッド・フォスター優秀教育講座」の教授職にあった。[1] 1980年代から1990年代にかけて、ほぼ1、2年ごとに新しい著作を発表した。[1]
晩年
2005年にクックが亡くなった後、フロリダ州ホーブサウンドに転居した。[3] 2019年1月17日、同地の自宅でリンパ腫のため死去した。83歳であった。[6] 生前は朗読会を数多く行った一方、インタビューにはほとんど応じなかった。[2]
作品の特徴と評価
オリヴァーの詩は、ロマン主義的な自然詩の伝統に根ざし、明快で印象的な自然観察を特徴とする。[1] 彼女自身は、ホイットマンを自らに最も近い先達として挙げていた。[6]
批評家のアリシア・オストライカー(en:Alicia Ostriker)は、『Dream Work』(1986年)の書評で、オリヴァーをエマーソンに比肩しうる幻視的な詩人と位置づけた[1]。
また、リチャード・ティリングハストは『White Pine』(1994年)の書評で、彼女の詩は現代アメリカ詩のさまざまな流派や論争の外側にあると評した[1]。
詩人スタンリー・クニッツ(Stanley Kunitz)は、彼女の詩を祝福のようだと評している[9]。
一方で、批評家からは常に高い評価ではなく、素朴で理解しやすい作風が批判となることもあった[10] 。 『ハーヴァード・レヴュー』に寄せられた書評は、彼女の詩を、慌ただしさや注意散漫に満ちた現代社会の過剰さに対する解毒剤にたとえている。[4]
主な著作
詩集
- No Voyage and Other Poems(1963年、英国のデント社から刊行。米国では1965年にホートン・ミフリン社が再刊)[2]
- American Primitive(1983年)
- Dream Work(1986年)
- House of Light(1990年)
- New and Selected Poems(1992年)
- White Pine(1994年)
- Blue Pastures(1995年)
- Rules for the Dance(1998年)
- Winter Hours: Prose, Prose Poems, and Poems(1999年)
- The Leaf and the Cloud(2000年)
- Why I Wake Early(2004年)
- New and Selected Poems, Volume Two(2004年)
- Thirst(2006年)
- Red Bird(2008年)
- Evidence(2009年)
- A Thousand Mornings(2012年)
- Dog Songs(2013年)
- Blue Horses(2014年)
- Felicity(2015年)
- Devotions: The Selected Poems of Mary Oliver(2017年)
散文・評論・詩論
- A Poetry Handbook(1994年、詩作の手引き)
- Long Life(2004年)
- Our World(2007年、モリー・マローン・クックの写真との共著)[2]
- Upstream: Selected Essays(2016年)
編著
- Best American Essays 2009(編者)[2]
『The Leaf and the Cloud』の第1部は『Best American Poetry 1999』に、第2部「Work」は『Best American Poetry 2000』にそれぞれ選ばれた。[4]
受賞・栄誉
思想・考え方
- 自然と詩作
- オリヴァーにとって自然界は、詩作の源泉であると同時に、逆境からの避難所でもある。幼少期の困難な家庭環境の中で、彼女は森を歩くことに安らぎを見いだし、のちに詩人として、その散歩の中で得た観察をノートに書きとめる習慣を保ち続けた。[7][5] ピューリッツァー賞委員会は、彼女の詩学を「ホイットマンやソローに連なる北東部の牧歌的な伝統に戦後の不確実さを重ねたもの」と説明する。[6]
- 明晰さと平明な言葉
- オリヴァーは、詩は読者が理解しやすく、飾り立てない言葉を選んだ。[10][6] 。『ニューヨーカー』誌に寄稿した評論家のルース・フランクリンは、オリヴァーの詩は難解ではなく、理解するのにセミナーを受ける必要などないと述べる。[10]
発言
オリヴァーの思想の理解を助けるため、キーワードごとに分類した自身の説明等の発言を以下に引用する。
- 自然と詩作
- 「自然世界がなければ、わたしは詩人ではいられなかったでしょう。」
- (原文:"I could not be a poet without the natural world.")[7]
- 詩の言葉
- 「詩は、きちんと理解されるためにこそ、明快でなければならないと思います。」
- (原文:"Poetry, to be understood, must be clear.")[10]
- 学校教育
- 「わたしにとって、それは出来合いの確信の寄せ集めにすぎませんでした。」
- (原文:"a pre-established collection of certainties")[8]
参考文献
- 河野千絵「「自然との一体化」ということ : メアリー・オリバーの詩が伝えるもの」『文学と環境』第14号、ASLE-Japan/文学・環境学会、2011年8月、17-25頁、2026年10月3日閲覧。
脚注
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 “Mary Oliver” (英語). Poetry Foundation. 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 “Our World” (英語). MIT Press Bookstore. 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 3 “Obituary: Mary Oliver” (英語). Publishers Weekly. 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “Mary Oliver” (英語). Academy of American Poets. 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 “Mary Oliver” (英語). Brinkerhoff Poetry Prize. 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 “In memoriam: Mary Oliver (1933-2019)” (英語). The Pulitzer Prizes (2019年1月17日). 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 3 “Mary Oliver, nature poet” (英語). New Jersey Conservation Foundation. 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 3 4 “Pulitzer Prize-winning poet Mary Oliver dies at 83” (英語). CBS News. 2026年10月3日閲覧。
- ↑ “Mary Oliver” (英語). Lannan Foundation. 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “Beloved Poet Mary Oliver, Who Believed Poetry 'Mustn't Be Fancy,' Dies At 83” (英語). NPR. 2026年10月3日閲覧。
外部リンク
- Mary Oliver - Poetry Foundation
- Mary Oliver - Academy of American Poets
- Mary Oliver - The Pulitzer Prizes