Maurice Leloirによるダルタニャンと三銃士を描いた挿絵。 | |
| 著者 | アレクサンドル・デュマ・ペール |
|---|---|
| 国 | |
| 言語 | フランス語 |
| ジャンル | 小説 |
| 出版日 | 1844年 |
| 次作 | 二十年後 |
『三銃士』(さんじゅうし、仏: Les Trois Mousquetaires)は、アレクサンドル・デュマ・ペールによる冒険活劇小説。1844年にフランスの日刊紙『シエークル』(Le Siècle)で連載され、同年、単行本が出版。1846年から挿絵が追加された。
フランスの片田舎ガスコーニュから銃士を夢見てパリへのぼった若者ダルタニャンが、銃士隊で名を馳せる三銃士アトス・ポルトス・アラミスと友情を結び、次々と迫りくる危機や英仏間の陰謀に立ち向かい、やがて銃士となり活躍する物語。実在の人物や史実を多く織り交ぜた歴史冒険小説。
表題の「銃士」とは、最新式のマスケット銃を装備した近衛軽騎兵のこと。ルイ13世により1622年近衛軽騎兵から中隊が切り離され創設。銃士隊は、他の近衛隊を経験した貴族の次男三男や下級貴族が所属していた。
『三銃士』は『ダルタニャン物語』の第一部に当たり、全体の分量の五分の一程度になる。『三銃士』(1844) 『二十年後』(1845)『ブラジロンヌ子爵』(1847)の三部作で『ダルタニャン物語』を構成している。
作中の言葉「一人は皆の為に、皆は一人の為に」("un pour tous, tous pour un")は、本作が出典だという説もあるが、ウィリアム・シェイクスピアの『ルークリース凌辱』(1594) に"one for all, or all for one"の一文があり、第二次プラハ窓外投擲事件(1618年)の際のラテン語の成句、”Unus pro omnibus, omnes pro uno”が、『三銃士』より早く出ている。

当時のフランスには支配者が二人いた。ルイ13世と宰相リシュリュー枢機卿である。
ガスコーニュ出身の田舎貴族ダルタニャンは、銃士になることを夢見て故郷からパリへ出発。ところがパリへの道中マンの街で、喧嘩っ早さが災いし謎の騎士ロシュフォール伯爵に決闘をふっかけ、殴り倒されてトレヴィル近衛銃士隊長への紹介状を盗まれる。パリへたどり着き何とか銃士隊長トレヴィル伯爵への謁見を成功させたものの、窓の外に紹介状を盗んだロシュフォール伯爵を発見し謁見もそこそこに、後先考えず追いかける。途中、はからずも三銃士として名を馳せるアトスに突進してぶつかり、ポルトスとアラミスに公衆の面前で恥をかかせ、なり行きで三人と決闘する羽目になる。
ダルタニャンは意を決して三銃士との決闘に赴くが、アトスとの決闘を始めた途端に枢機卿リシュリューの護衛隊が現れ、決闘禁止令を盾に三銃士を逮捕しようとする。ダルタニャンと三銃士の決闘は中断となり、三銃士と護衛士の戦いとなる。ダルタニャンは三銃士の仲間として護衛士と戦う事を選び、枢機卿派きっての剣客ジュサックを倒して三銃士側を勝利させる。この事件でダルタニャンは三銃士の仲間入りを果たした上に、トレヴィルや国王からも一目置かれる存在となる。
トレヴィルの義弟デ・ゼッサール護衛隊に入隊したダルタニャン。ある日、家主ボナシューの依頼で、宮廷の陰謀に巻き込まれ消息不明になったボナシューの妻でアンヌ王妃の下着係コンスタンスを探す事になる。ダルタニャンはリシュリュー枢機卿の手下からコンスタンスを救出すると、一目でコンスタンスに恋をしてしまう。更には枢機卿の陰謀に陥れられる寸前の王妃アンヌ・ドートリッシュの危機を知る事となる。王妃はお忍びでパリに来ていたイギリス宰相バッキンガム公爵と密会し、ルイ13世から贈られたダイヤモンドの飾り紐を思い出の品としてバッキンガム公爵に渡していた。それを知ったルイ13世は猜疑心に駆られバッキンガム公と王妃の不義を疑い、王妃に「パリ市庁舎の舞踏会にダイヤの飾り紐を着けて出席せよ」と命じた。この一連の陰謀を企てたのはリシュリュー枢機卿だった。
半ば強引にコンスタンスの依頼を受けたダルタニャンは、バッキンガム公爵からダイヤの飾り紐を返してもらうため、三銃士とともに一路イギリスを目指す。道中には幾重にも枢機卿の罠が張り巡らされおり、シャンティでポルトスが、クレーヴクールでアラミスが、アミアンでアトスが、敵の襲撃から身を挺してダルタニャンを逃し、ダルタニャンは単身イギリスのロンドンへと辿り着く。バッキンガム公から飾り紐を受け取ったダルタニャンは急ぎパリへ戻り、王妃にダイヤの飾り紐を届けて王妃の危機を救う事に成功。王妃から褒美のダイヤの指輪を与えられ、コンスタンスとも相思相愛となる。
得意の絶頂だったダルタニャンだが、逢引きを目前にして、コンスタンスが誘拐され消息を絶ってしまう。ダルタニャンはコンスタンスの身を案じながらも、イギリスへ向かう道中で罠に掛かった三銃士を探す旅に出た。ポルトスは戦闘で怪我を負ったが旅籠で養生したおかげで陽気だった。アラミスは、ダルタニャンからシュヴルーズ公爵夫人の恋文を受け取った事で僧籍に戻るという厭世的な気持ちが吹っ飛んだ。アトスは旅籠の地下の酒蔵に籠城して旅籠が破産するほど酒や食料を食い尽くしていたがダルタニャンが来た事で再会を喜び、その夜「ある領主の恋の話」として自分の過去の不幸な結婚について語った。領主(アトス)は数年前にベリーの領地で天使のように美しい村娘と身分違いの結婚をしたが、妻は百合の烙印を肩に押された脱獄囚で、妻の過去を知ったアトスは妻を絞首刑に処し、爵位を捨てて旅に出たという衝撃の内容だった。
パリに戻ったダルタニャンと三銃士を待っていたのは、新教徒の都市ラ・ロシェル包囲戦への出陣命令だった。そんな時、ダルタニャンは以前にマンの街でロシュフォール伯爵と密談していた絶世の美女ミレディーを見かける。ミレディーはイギリス貴族ウィンター男爵の義妹(ミレディの亡夫がウィンター卿の弟)だった。ダルタニャンは甘い蜜に吸い寄せられるようにミレディーに惹かれていく。しかしこのミレディーはリシュリュー枢機卿の腹心として悪魔のような奸計で暗躍する密偵・刺客だった。ダルタニャンはミレディーを疑いながらも妖艶な魅力に逆らえず、遂には暗闇に乗じてミレディの恋人ワルド伯爵になりすまし、身体を重ねてしまう。ミレディーにのぼせ上がったダルタニャンは、卑怯な手段で一夜を共にした事をミレディに詫び真実を打ち明けるが、激怒したミレディーの襲撃を受け、揉み合う内にミレディーの肩の百合の烙印を見てしまう。ダルタニャンは驚き、アトスの家へまっしぐらに飛び込んで、アトスの妻が生きていた事を告げるのだった。以降、ダルタニャンは口封じのためにミレディーから命を狙われるようになる。
やがてラ・ロシェル包囲戦が始まり、ダルタニャンや三銃士も戦地に赴くことになったが、その最中でさえミレディーの放つ刺客や毒ワインの罠によってダルタニャンは何度も命を脅かされる。
ある夜、国王軍の陣地で三銃士はリシュリューの護衛をして旅籠に赴き、リシュリューとミレディーの密談を聞いてしまう。それはラ・ロシェルの新教徒に味方するバッキンガム公爵を、ミレディーが渡英して暗殺する計画だった。ダルタニャンと三銃士は一計を案じてイギリスへ危急を知らせる使いを出し、イギリスへ上陸したミレディーをウィンター卿の城に軟禁する事に成功する。一転して窮地に陥ったミレディーだが、持ち前の美貌と悪魔的知恵を駆使して牢番ジョン・フェルトンを籠絡すると、脱獄を果たしたばかりか、フェルトンを利用してバッキンガム公の暗殺さえも成し遂げてしまう。一方では、ラ・ロシェルの包囲戦でダルタニャンは勲功を上げ、晴れて銃士になる事ができた。
フランスに帰国したミレディーはベチューヌの修道院に身を隠すが、そこで偶然コンスタンスと出会う。コンスタンスは王妃の手で誘拐から救われ、修道院に匿われていた。更にはダルタニャンと三銃士がこの修道院に来ることを知ったミレディーは、復讐としてコンスタンスに毒を飲ませて逃亡。コンスタンスは入れ違いにやってきたダルタニャンとようやく再会を果たすが、喜ぶ間もなくダルタニャンの腕の中で息を引き取ってしまう。
三銃士とダルタニャンは悲嘆と義憤に駆られ、バッキンガム公の仇討ちに来たウィンター卿とともに国境近くに逃亡したミレディーを捕える。アトスはミレディーに裁きを下すため首切り役人を連れて来るが、その首切り役人はミレディーと深い因縁を持っていた。
かつて修道院にいたミレディーは首切り役人の弟である修道士を誘惑し聖器を盗んで駆け落ち。追手に捕まり投獄されると牢番の息子を誘惑して脱獄。修道士と共に逃げた先の領地で領主ラ・フェール伯爵に見そめられると修道士を捨てラ・フェール伯爵と結婚した。裏切られた修道士は牢獄に自首し牢内で首を吊り自殺した。ダルタニャンと三銃士、ウィンター卿、首切り役人はミレディーの裁判を行う。そしてミレディーの悪行を一つ一つ列挙し、首切り役人が彼女の首をはねて、裁判を終える。
ラ・ロシェルへ戻る道中で、ダルタニャンはリシュリューの腹心ロシュフォール伯爵に逮捕される。リシュリューの部屋へ連行されたダルタニャンは死罪を覚悟でミレディーの陰惨な死の顛末をリシュリューに打ち明けるが、意外にもリシュリューはダルタニャンを咎めず、むしろ銃士隊の副隊長として厚遇する事を提案した。人材登用に才のあるリシュリューはすっかりダルタニャンの活躍に舌を巻き、味方にしようと画策していたのである。ダルタニャンは驚いて辞そうとするが、三銃士に説得されその銃士隊副隊長の任を引き受ける事を決意する。その後、ロシュフォール伯爵とは三度決闘して和解した。
三銃士の行末は、ポルトスは代訴人コクナールの夫人と結婚して億万長者になり大領主に。アラミスは僧籍に戻りナンシーの修道院へ。アトスは親類から領地を相続してラ・フェール伯爵に戻った。
第1部『三銃士』の日本語訳は多数あるが、第2部『二十年後』と第3部『ブラジュロンヌ子爵』の日本語訳は数少ないので、3部作を通して読みたい場合は注意が必要。詳しくは「ダルタニャン物語#日本語版について」を参照。
また児童書としても数多くの訳が出版されているが、こちらは抄訳(残酷な描写や間接的ではあるがベッドシーンがあるため)である。
以下は絶版疑い。
『三銃士』は数多くの映画化、アニメ化などされている。ダルタニャン物語#関連作品、及びTemplate:ダルタニャン物語も参照。
1980年には宝塚歌劇団出演による関西テレビ放送製作のテレビオリジナル公演『宝塚テレビロマン』の第3シリーズとして半年間放送された。
また、「切っても切れない友情」を表現する意味で、三銃士という設定だけ流用されることもあるが、この場合には主人公が三銃士の一人となっていることが多い。これら「名前の流用」については、三銃士 (曖昧さ回避)を参照。
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