五つ星運動

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イタリアの旗 イタリアの政党
五つ星運動
Movimento 5 Stelle(M5S)
党のロゴ
党首 ジュゼッペ・コンテ
成立年月日 2018年3月4日
代議院議席数
52 / 400 (13%)
(2022年9月25日)
元老院議席数
28 / 206 (14%)
(2022年9月25日)
欧州議会
(イタリア選挙区)
8 / 76 (11%)
(2024年6月9日)
党員・党友数
87,656人[1]
政治的思想 左派ポピュリズム[2][3][4]
ポピュリズム[5][6]
直接民主主義[7]
デジタルデモクラシー[8][9]
ダウンシフト(スローライフ)[10][11][12][13]
環境主義[5][14][15]
反欧州統合[5][16][17]
政治的立場 左派[18][19][20]
機関紙 beppegrillo.it
(ベッペ・グリッロのブログ)
シンボル 五つの星
国際組織

欧州統一左派・北方緑の左派同盟(2024-)

自由と直接民主主義のヨーロッパ(2014–2019)
公式サイト MoVimento 5 Stelle
^ A: M5Sは伝統的な左右の政治的スペクトラムを拒絶しているにもかかわらず極左[21]や極右[22]の両方で表現されてきた。しかし党首のコンテの指導の下、M5Sは左派の立場に傾いている。[23][24][25]
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五つ星運動(いつつぼしうんどう、伊: Movimento 5 Stelle[5]、略称:M5S[5])は、イタリアの政党[6]。2009年10月4日にコメディアンのジュゼッペ・ピエーロ・グリッロと、企業家・政治運動家のジャンロベルト・カザレッジョ(イタリア語版)によって結党された[26][27][28]。

党名の五つ星は「水・エネルギー・開発・環境・交通」を意味し[6]、同党の主要目標である公共水道、持続可能な交通、持続可能な発展、インターネットへのアクセス権、環境主義を表している[5]。

概要

大衆の不満に率直な賛同を示す人民主義(ポピュリズム)政党として行動し[29][30][31]、雇用制度の安定化、公的債務のデフォルトなど改革への反動を主張する他[32][33]、その遠因である欧州連合からの離脱や欧州統合への反対[16][34][32][33]、政治腐敗への不信と派閥・政党主義の政界構造への反対なども掲げられている。また環境主義[35]、及び環境主義と反資本主義的な傾向を関連させる形でダウンシフト(スローライフ)的な反物質主義・非競争社会の形成なども主張している。更に新しい社会の中心としてインターネットを高く評価しており、デジタルデモクラシーに基いて立候補者をネットを通じて選ぶなどの選挙戦術を展開している[36]。

党史

2010年代初頭の欧州経済危機とそれに伴うマリオ・モンティ政権の経済改革により、雇用不安や増税を背負わされた国民の中流層・下流層から急速に支持を集めた。

2012年4月21日に行われたイタリア統一地方選挙後半戦でパルマ、ミーラ、コマッキオなどの自治体で首長ポストを獲得した事で注目を集め[33]、10月末の南部シチリア州の州知事・議会選で比較第一党となるなど地方政界で次第に存在感を増していった。2013年イタリア総選挙では、予告通りインターネット投票で選抜を行った候補で出馬し、中道右派・中道左派の二大政党連合を押しのける格好で大躍進を果たした[37]。単独政党別では中道右派連合の盟主である「自由の人民」(PDL)を上回り、中道左派連合の中心であるイタリア民主党に次ぐ第2党となった。

上下両院で第一党となった民主党は政権の発足に向け、五つ星運動との連携を模索しているが、グリッロを中心とする指導部は反派閥政治・反政党政治の観点からいかなる政党による連立政権にも加わらない意向を宣言した。一方、支持者内でも政治の空白化は無責任であるとする意見も現れており、先行きは不透明となっている[38]。

2014年5月25日、地方議会・国政議会に続いて欧州議会への進出を目指し、2014年欧州議会議員選挙のイタリア選挙区に出馬、有効票の21.15%を獲得した。国政選挙と同じく全政党中2番目の得票率となり、17名の欧州議会議員を当選させた[39]。欧州議会内の政党・会派については参加の意向を示し、地方分権や環境主義勢力の連合である欧州緑グループ・欧州自由連盟と交渉を行うが[40][41]、合意には至らなかった[42]。次に自由主義派の欧州自由民主同盟と交渉するものの、人民主義と欧州懐疑主義の主張が受け入れられず物別れに終わった[43]。

相次いで加盟交渉が頓挫した事を受けて支持基盤であるインターネット上で今後の方針が問われる事になり、小さな政府の普及を目指す欧州保守改革グループとの交渉、欧州懐疑主義を掲げる自由と民主主義のヨーロッパとの交渉、無所属活動(イタリア語版)の選択肢から投票が実施された[44]。有効票の78.1%は自由と民主主義のヨーロッパへの加盟交渉に投じられ、結果を受けて同組織との交渉が開始された[45]。2014年6月24日、共同会派の設立による協力体制構築を条件に自由と民主主義のヨーロッパとの合意が結ばれ、欧州会派「自由と直接民主主義のヨーロッパ」が設立された[46][47]。

2016年、ローマ市長にヴィルジニア・ラッジが当選、トリノ市長にキアラ・アッペンディーノ(イタリア語版)が当選した[48]。政治方針についての曖昧さや、上院・下院議員の離党者を出しつつも政治運動としての勢いが落ちていない事が示された。2017年、翌年の総選挙を前に既存の比例代表制から、小選挙区制も併せて実施する小選挙区比例代表並立制へ変更する選挙法改正案が議会で検討され、五つ星運動を除く諸政党の賛成によって可決された[49]。改正案では「政党の破片化」を防ぐ為、比例代表制と同時に導入された第1党へ追加議席を与える制度が撤廃される為、単独過半数を目指していた五つ星運動を実質的に狙い撃ちにした改革となる。

2018年3月の総選挙で上下両院の第一党となり[50]、同年6月に成立したジュセッペ・コンテ政権は、左派ポピュリズムの五つ星運動と右派ポピュリズムの同盟(lega)による連立政権となった。2019年4月からは、五つ星運動の公約の目玉であった年金受給年齢の引き下げ制度が開始。受給年齢を62歳に引き下げたことで多くの労働者が駆け込み退職を行った。この「クオータ100」と呼ばれる制度を申し込んだ国民は11万人以上に上る[51]。

左右が同居する連立政権は多くの政策で折り合わず、2019年8月にマッテオ・サルヴィーニ副首相(同盟の党首でもある)が対立激化を理由に早期の解散総選挙を要求[52]したことに対しコンテが要求を拒否すると、サルヴィーニは連立離脱を表明し[53]、内閣不信任決議案を提出した。五つ星運動はこうした動きを非難し、コンテ首相支持を表明した[54]。連立政権は事実上崩壊し、8月20日にコンテは首相を辞任すると表明した[55]。

8月7日に行われた党員によるオンライン投票の結果、前首相のジュゼッペ・コンテを党首に選出した[56]。

脚注

  1. ↑ “Risultati della votazione sul gruppo politico europeo”. beppegrillo.it (2014年6月12日). 2015年8月24日閲覧。
  2. ↑ Giovanni Legorano「伊与党「五つ星運動」の党首辞任、支持率低下で」『ウォール・ストリート・ジャーナル』ウォール・ストリート・ジャーナル、2020年1月23日。2020年6月9日閲覧。
  3. ↑ 熊谷徹『日経ビジネス』日経BP、2018年3月8日。2020年6月9日閲覧。
  4. ↑ 與那覇潤「イタリア化できない日本?〜参院選の自民党現状維持は、希望か絶望か」『現代ビジネス』講談社、2019年7月25日。2020年6月9日閲覧。
  5. 1 2 3 4 5 6 伊藤武. 日本大百科全書(ニッポニカ) コトバンク. 2018年9月10日閲覧。
  6. 1 2 3 デジタル大辞泉 コトバンク. 2018年9月10日閲覧。
  7. ↑ A top leader of Italy’s Five Star Movement Why we won - The Washington Post ワシントン・ポスト. (英語版) 2018年8月29日閲覧。
  8. ↑ “Italy's populist movement holds online vote to pick candidates”. ロイター. 2012年12月6日.
  9. ↑ Regolamento del Movimento 5 Stelle (PDF)
  10. ↑ Il Movimento per la Decrescita Felice prende le distanze dal Movimento 5 Stelle|pubblicazione
  11. ↑ Ma la decrescita può davvero essere felice?
  12. ↑ Nel senso della decrescita
  13. ↑ A Salerno una sede del Movimento Decrescita Felice
  14. ↑ Programma del Movimento 5 Stelle (PDF) , pp. 4, 5, 6 e 14.
  15. ↑ ITALY|opera=Parties and Elections in Europe
  16. 1 2 “Grillo a Parma: «La rivoluzione è cominciata Sull'euro vogliamo un referendum popolare»”. Corriere della Sera. 2012年9月12日.
  17. ↑ Beppe Grillo: “L'Italia deve uscire dall'euro” Archived 2012年5月16日, at the Wayback Machine.
  18. ↑ “Verso un M5S a trazione socialdemocratica?” (イタリア語). www.rivistailmulino.it (2022年9月22日). 2025年5月9日閲覧。
  19. ↑ “The Guardian view on Italy’s divided opposition: a Five Star revolution can help unite the left” (英語). The Guardian (2024年12月1日). 2025年5月9日閲覧。
  20. ↑ “The Five Star Movement Turns to the Left, Belatedly” (英語). Jacobin (2025年2月9日). 2025年5月9日閲覧。
  21. ↑
  22. ↑ “意大利大选前夕:极右翼“五星运动”党面临执政不利” (英語). m.sohu.com. 2025年1月22日閲覧。
  23. ↑ “Il M5S si sta buttando a sinistra?”. Il Post. 2 September 2022.
  24. ↑ “Verso un M5S a trazione socialdemocratica?” (イタリア語). www.rivistailmulino.it (2022年9月22日). 2022年9月25日閲覧。
  25. ↑ “The Guardian view on Italy’s divided opposition: a Five Star revolution can help unite the left” (英語). The Guardian (2024年12月1日). 2025年3月13日閲覧。
  26. ↑ “NOTIZIE IN DUE MINUTI”. Corriere della Sera. p. 64 (2009年10月5日). 2012年5月27日閲覧。
  27. ↑ “Nasce il Movimento (a 5 stelle) di Liberazione Nazionale di Beppe Grillo” (Italian). polisblog. Blogo.it (2009年10月5日). 2012年5月27日閲覧。
  28. ↑ “Italian politics: A waning star? | The Economist”. 2012年11月4日閲覧。
  29. ↑ “Italian upstart party does well in local polls”. AFP. 2012年5月30日閲覧。
  30. ↑ “Populist former comic frightens Italy's parties”. Chicago Tribune. 2012年5月30日閲覧。
  31. ↑ “Berlusconi keeps Italy guessing over 2013 plans”. ロイター. 2012年7月13日.
  32. 1 2 “イタリアでも「反緊縮」台頭 人気芸人が率い支持拡大”. 朝日新聞 (2012年6月14日). 2012年6月14日閲覧。[リンク切れ]
  33. 1 2 3 “イタリア:統一地方選でミニ政党「五つ星運動」躍進”. 毎日新聞 (2012年5月23日). 2012年6月14日閲覧。
  34. ↑ Andrea Mollica (2012年10月5日). “Beppe Grillo: "L’Italia deve uscire dall’euro"” (Italian). Giornalettisimo. Giornalettisimo. 2012年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年5月27日閲覧。
  35. ↑ “Beppe Grillo: The new live wire of Italian politics”. Times of Malta. 2012年5月30日閲覧。
  36. ↑ “波立つイタリア:13年総選挙 投開票迫る コメディアン新団体「五つ星運動」旋風 ネット主体の政治「金権体質を打破」”. 2012年1月31日. 2013年2月26日閲覧.
  37. ↑ “イタリア総選挙:「五つ星運動」躍進 政治不信の受け皿に”. 毎日新聞. 2013年2月26日. 2013年2月28日閲覧.
  38. ↑ “イタリア:「五つ星運動」が連携拒否 中道左派打診に”. 毎日新聞. 2013年2月28日. 2013年2月28日閲覧.
  39. ↑ “[Scrutini] Europee - Elezioni del 25 maggio 2014 - Ministero dell'Interno”. Elezioni.interno.it (2014年5月26日). 2014年6月25日閲覧。
  40. ↑ “UKIP's Farage meets Italy's five-Star leader Grillo in Brussels | Reuters”. Uk.reuters.com. 2014年6月25日閲覧。
  41. ↑ Post EU Elections. “EUobserver / Five Star movement leader seeks to join EP Green group”. Euobserver.com. 2014年6月25日閲覧。
  42. ↑ Nielsen, Nikolaj. “EUobserver / Greens reject Beppe Grillo's offer to team up”. Euobserver.com. 2014年6月25日閲覧。
  43. ↑ “Press Release”. Alde.eu. 2016年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月25日閲覧。
  44. ↑ Altri articoli dalla categoria ». “Alleanze in Europa, il M5S sceglie l'Ukip di Farage. Ma la base accusa: votazione pilotata”. Repubblica.it. 2014年6月25日閲覧。
  45. ↑ europe online publishing house gmbh - europeonline-magazine.eu (2014年5月17日). “1ST LEAD Italy protest party to form EU alliance with British eurosceptics UKIP By Alvise Armellini, dpa | EUROPE ONLINE”. En.europeonline-magazine.eu. 2014年6月25日閲覧。
  46. ↑ “Bruxelles, prima riunione gruppo Ukip-M5S. Farage e Borrelli presidenti – Video Il Fatto Quotidiano TV”. Tv.ilfattoquotidiano.it (2014年6月25日). 2015年5月14日閲覧。
  47. ↑ “Internazionale » M5S » All’Europarlamento nasce gruppo Efd, "coppia aperta" per M5s-Ukip”. Internazionale.it (2014年6月24日). 2015年5月14日閲覧。
  48. ↑ “ローマに初の女性市長誕生へ、新興政党のラッジ氏勝利”. 2016年6月20日. 2016年6月25日閲覧.
  49. ↑ “イタリア、新選挙法案を可決 ポピュリズム政党台頭にクギ”. 2017年10月27日. 2017年12月27日閲覧.
  50. ↑ “イタリア「五つ星運動」31歳首相誕生までのシナリオ 最大の障害は民主党のレンツィ元首相だ”. ニューズウィーク. 2018年3月31日. 2019年8月26日閲覧.
  51. ↑ “"年金開始62歳"で大混乱のイタリア経済”. プレジデントオンライン (2019年6月13日). 2019年6月18日閲覧。
  52. ↑ “イタリア副首相、早期の解散総選挙を要求”. 日本経済新聞. 2019年8月9日. 2019年8月20日閲覧.
  53. ↑ “イタリア、コンテ首相はサルビーニ氏と対決の構え-10月にも選挙か”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. 2019年8月9日. 2019年8月20日閲覧.
  54. ↑ “サルビーニ氏は「もはや信頼に足る対話の相手でない」-五つ星が表明”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. 2019年8月19日. 2019年8月20日閲覧.
  55. ↑ “イタリア首相、辞意を表明”. AFPBB News. フランス通信社. 2019年8月20日. 2019年8月20日閲覧.
  56. ↑ “コンテ前首相、五つ星運動の党首に選出”. ヨーロッパ経済ニュース. 2021年8月10日閲覧。

関連文献

外部リンク