伝統工芸士
伝統工芸士(でんとうこうげいし)は、日本の伝統工芸品の作り手に関する称号。
公的なものでは、大きく分けて以下の2種類がある。
- 伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下、伝産法)に基づく伝統工芸士
- 各都道府県が独自に認定している伝統工芸士(およびそれに類する称号)
伝産法に基づく伝統工芸士
伝統的工芸品産業の振興を図ることを目的に1975年(昭和50年)より認定が行われている制度で、経済産業大臣(制定当時は通商産業大臣)より指定を受けた伝統的工芸品・伝統的工芸用具・伝統的工芸材料の製造に関する伝統的技術・技法に熟練した従事者が認定される。
伝産法は、伝統工芸産業の振興にかかわる機関として一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会を設立すること(第23条)、および協会の業務として「伝統的な技術又は技法に熟練した従事者の認定を行うこと」(第24条第8項)を定めている。伝統工芸士はこれに基づいて、協会の代表理事が認定するもので、国が直接認定する資格ではない。
伝統工芸士は優れた技術を持つ従事者というだけでなく、産地のリーダーとして産地振興に貢献することが期待されており、5年に1度、実技と面接からなる更新試験を受験して現役であることの確認が必要となる。
2026年(令和8年)現在、伝統工芸士の数は約3,200名とされる[1]。
試験
受験資格は、経済産業大臣の指定を受けた伝統的工芸品・用具・材料の産地で製造に従事して12年以上(受験年の4月1日現在)の実務経験年数を有する現役の作り手であること。
試験は実技・知識・面接の3項目で、産地に設置される委員会により9月~11月に試験が行われる。実技は完成作品と製造工程について審査があり、知識は伝産法による産地振興制度ほかについて全国共通問題のペーパーテストとなる。さらに産地振興に対する意識について面接での確認を経て、伝統的工芸品産業振興協会に設置される伝統工芸士審査委員会で合否が決定される。
合否は12月に通知され、登録手続き後、翌年2月25日に伝統工芸士として認定される。
都道府県の伝統工芸士
一部の都道府県には、都道府県が独自に認定する伝統工芸士(およびそれに類する称号)の制度がある。
- 青森県:青森県伝統工芸士[2]
- 秋田県:秋田県伝統工芸士[3]
- 茨城県:茨城県伝統工芸士
- 栃木県:栃木県伝統工芸士[4]
- 群馬県:群馬県ふるさと伝統工芸士[5]
- 埼玉県:埼玉県伝統工芸士[6]
- 千葉県:千葉県指定伝統的工芸品製作者[7]
- 東京都:東京都伝統工芸士[8]
- 富山県:伝統工芸の匠[9]
- 石川県:石川県伝統工芸士[10]
- 三重県:三重県伝統工芸士[11]
- 京都府:京の名工、京もの認定工芸士(若手職人)[12][13]
- 大阪府:大阪府伝統工芸士[14]
- 奈良県:奈良県伝統工芸士[15]
- 鳥取県:鳥取県伝統工芸士[16]
- 香川県:香川県伝統工芸士[17]
- 愛媛県:えひめ伝統工芸士[18]
- 宮崎県:宮崎県伝統工芸士[19]
- 沖縄県:沖縄県工芸士[20]
このほかに、和歌山県の「和歌山名匠」[21]のように表彰としての制度のみを持つ自治体や、伝統工芸に限らず他分野も含めて技能者・技術者を認定・表彰する制度を持つ自治体もある。
脚注
- ↑ “伝統工芸士について”. 一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会. 2026年10月16日閲覧。
- ↑ “青森県の伝統工芸品及び伝統工芸士(一覧) - 青森県庁ホームページ”. 青森県庁 (2026年7月1日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “秋田県伝統工芸士認定制度について”. 秋田県庁 (2025年1月28日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “栃木県/栃木県指定の伝統工芸品及び認定の伝統工芸士”. 栃木県庁 (2025年12月26日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “群馬県ふるさと伝統工芸士会について - 伝統工芸産業振興 - 群馬県ホームページ(地域企業支援課)”. 群馬県庁 (2025年10月1日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “埼玉県伝統工芸士認定証交付式を行います -新たに3名の技術者を認定- - 埼玉県”. 埼玉県庁 (2025年10月14日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “千葉県指定伝統的工芸品製作者一覧/千葉県”. 千葉県庁 (2026年3月25日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “当会について”. 東京都伝統工芸士. 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “富山県/令和8年度「伝統工芸の匠」の認定について”. 富山県庁 (2026年7月13日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “石川県伝統工芸士認定証交付式について”. 石川県庁 (2020年10月1日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “三重県|伝統産業・地場産業:三重県伝統工芸士”. 三重県庁 (2025年3月19日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “京都府匠会/京都府ホームページ”. 京都府庁 (2026年8月6日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “若手職人「京もの認定工芸士」/京都府ホームページ”. 京都府庁 (2026年5月12日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “大阪の伝統工芸品(一覧)/大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osaka Prefectural Government]”. 大阪府庁 (2026年5月25日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “伝統的工芸品指定・伝統工芸士の認定について / 奈良県”. 奈良県庁 (2026年2月27日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “伝統工芸品と伝統工芸士/とっとりの工芸品/とりネット/鳥取県公式サイト”. 鳥取県庁. 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “香川県伝統工芸士認定制度|香川県”. 香川県庁 (2026年3月25日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “えひめの伝統的特産品について - 愛媛県庁公式ホームページ(産業創出課)”. 愛媛県庁 (2026年3月31日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “宮崎県:宮崎県の伝統的工芸品<伝統的工芸品とは>”. 宮崎県庁 (2026年2月5日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “沖縄県工芸士|沖縄県公式ホームページ”. 沖縄県庁 (2024年1月11日). 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “和歌山県名匠表彰”. 和歌山県庁. 2026年10月14日閲覧。