佐藤修悦
| さとう しゅうえつ 佐藤 修悦 | |
「修悦体」で「修悦体」のレタリングをする佐藤修悦 | |
| 生年月日 | 1954年 |
|---|---|
| 出身地 | 岩手県花巻市 |
| 国籍 | 日本 |
| 職業 | 警備員 |
| 主な作品 | |
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| 受賞歴 | |
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佐藤 修悦(さとう しゅうえつ、1954年 - )は、三和警備保障株式会社に勤務する警備員[1]。岩手県花巻市出身。同社が得意とする鉄道警備業務のため考案したガムテープによるレタリング「修悦体(しゅうえつたい)」で知られる。
経歴
銀行員を3年間勤めたのち、喫茶室ルノアールでアルバイトを始め、22年間でブロック部長にまで昇進するも退職。いくつかの職を経て、1999年より三和警備保障にて警備員のアルバイトを始める[2]。
2004年、JR東日本新宿駅東口で行われていた部分改築工事の際、鉄板の壁がいたるところに立っていたため迷路のような状況となっていた駅に誘導係として配置された佐藤が「声を使っての実際の誘導だけでは対応できない」として、ガムテープを使った案内表示を作り始めたのが「修悦体」の始まりである[3][4]。
JRでは用途ごとにサイン類のフォントを含む意匠を設定しており、通常はそれが用いられる。そのため、当初は鉄道会社からの指示や許可はなかったが、無断で駅の番線表示のみを始めたところ駅員に褒められ、許可が出たことから正式に制作を始めたという[5]。当初、工事現場にあったガムテープは白・黒・黄の3色しかなかった[4]が、佐藤による赤・青・緑の3色の使用申請が認められ、電車の色に合わせた案内板の作成が可能となった[5]。
この案内表示は当時、既にわずかながら個人サイトやブログで話題となっていた。そこで、イベント企画グループ「トリオフォー」の山下陽光(やました ひかる)が佐藤に取材し、YouTubeにインタビューの様子などをアップロードしたところ、駅利用者をはじめとして大きな話題となったほか、日本国外のブログなどでも紹介されるようになった。
2007年、JR日暮里駅に再び駅工事の誘導係として配置された佐藤は、2回目の大規模制作を始めた。そこで「トリオフォー」が、東京都杉並区高円寺にて佐藤の個展「現在地」をプロデュースしたところ、これを機にネットメディアやマスメディアなどで紹介され、一躍「時の人」となった。日暮里駅では通常の工事看板のみならず、さまざまな広報掲示物も手がけ、同年、日暮里駅の駅長から「駅長特別賞」として賞状と靴下2足が贈呈された[1]。日暮里駅長とは工事終了後も交友が続いている[2]。
2020年の新宿駅東西自由通路の開通後は、駅構内の案内板を制作する機会が少なくなり、企業の看板や商品に用いる文字の依頼が増えたという[4]。
2022年、自身の子息とともにYouTubeチャンネルを開設[6]。
2026年10月時点でも警備員として勤務している[4]。
修悦体
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彼によって考案された「直線とアール(曲線)によって描かれた文字」を指す俗称。一定の傾向はあるものの即興性が強いため、特定の字がいつも必ず同じ形になるとは限らない。このためフォントとして一般向けに制作・販売はされていない。レタリング作業は主にガムテープとカッターナイフを用いて行われる[4]。ガムテープは黒が基本だが、必要に応じて赤・青など原色も用いる。
修悦体は仮設の案内表示に用いられるが、佐藤は利用者に優しい印象を与えるために文字の外側を切り落とし、内側にテープを貼って角を丸くしていると説明している[4]。この曲線はいったんテープを貼った後にカッターで切り取って作られている[4][7]。描線の外角部分を丸く切るだけでなく、内角部分もテープをわざわざ継ぎ足したうえで曲線に処理されており、きれいに一定の幅を保って曲がっているように見せている。
佐藤は、案内表示を大きく見やすくし、複数の文字を通る横線の位置も含めて字形を調整しているという[4]。

その他に挙げられる特徴としては、文字列全体で見た時の横線の通しやすさ(複数の文字の横線を一回のガムテープ貼りで一気に作るなど)を考慮したり[4]、「文」「刈」などの「×」形の端部をカッターの刃のように鋭角的に表現したりするケースが多い。一部の文字は「地名を知っているからそう読める」ほどにデザイン的に崩されている場合もある。
デザインの原点となっているのは、佐藤が数十年報告書や年賀状などのために書いていた、「ゴシック体」を模倣した手書き文字である[3][4]。拙筆に悩んでいた時にゴシック体の活字に感銘を受けてから、自分用のメモ以外の書面で模倣して書くようになったのだという[3]。
修悦体が注目された背景には、どんな書体も瞬時に印刷できる時代に「手作り文字」の面白みを見せたこと、そして工事の進捗に伴い、日々新しい案内表示が出ては消える「ライブ感」を醸し出したことも挙げられる。
マスメディアの報道によって注目されたこともあり、駅の仮設案内表示のほか、2008年の映画『まぼろしの邪馬台国』の題字や、音楽CDのジャケット、ナイキ新店舗のストアロゴなど、多方面で使われるようになっている[8]。2020年4月頃からは、名古屋市営地下鉄上前津駅の駅構内に、駅員の手による修悦体を意識した案内表示が掲示され始めた[9]。
2018年6月30日 - 9月2日、鞆の津ミュージアム開催の企画展『文体の練習』に出展[10]。
2019年3月9日 - 5月19日、富山県美術館開催の企画展『わたしはどこにいる? 道標(サイン)をめぐるアートとデザイン』に出展[11]。同企画展では佐藤による公開制作[12]やワークショップ[13]も行われた。
2025年、日本サインデザイン協会の主催する第59回日本サインデザイン賞において、「佐藤修悦氏が生み出す道しるべ『修悦体』」として「日本サインデザイン特別賞・プラチナ」を受賞した[14]。
主な作品
仮設案内表示
- JR東日本 日暮里駅
題字など

- 映画『まぼろしの邪馬台国』
- 『SPA!』連載「心のコスプレ」
- ニンテンドーDS用ソフト『考える力をぐんぐん伸ばす! DS幼児の脳トレ』(小学館集英社プロダクション、2008年7月)
- 中央特快シングル『Stand Up!』ジャケット
- little by little『Pray』ジャケット - PVには佐藤本人も出演している。
- 村越周司 ライブDVD「もうギャグしかしない」題字
- エイベックス20周年コンピレーションアルバム『H2O』
- 「ベルク通信」題字(2008年9月 - )
- 静岡県浜松市「安田クリニック」シンボルマーク、ロゴ、各種案内表示(2008年)[15][16]
- アスキー・メディアワークス運営のブログ「ワクテカ @works&technica / (0゜・∀・)<wktk2」(2009年10月、更新休止)
- 東京消防庁荒川消防署音無川出張所に掲示された、住宅用火災警報器設置を促す標語(2012年頃撤去)- 日暮里駅東口に隣接している。
- タワーレコード新宿店リニューアル記念ポスター[17]
- つなぐネットコミュニケーションズWEB事業部ロゴ[18]
- サントリー「-196℃ ストロングゼロ」キャンペーン「#おストゼロさま選手権」JR新宿駅限定広告[19]
- 扶桑社「文房具屋さん大賞」ロゴタイプ[20]
- Qualia「修悦体 ラバーマスコット」全10種デザイン[21]
- シェアハウス「ニューヤンキーノタムロバ」(神奈川県横浜市)室内文字制作(2022年)[6]
- ナイキ「NIKE SHINJUKU」ストアロゴ(2026年)[8][22]
- 相鉄ムービル閉館企画『週刊ムービル ~ムビィの大活劇』題字(2026年)[23]
メディア
書籍
- 佐藤修悦監修『話題の新書体「修悦体」をマスターしてガムテープで文字を書こう』世界文化社、2009年4月。ISBN 978-4-418-09205-5
- 漫画『ちづかマップ』衿沢世衣子、講談社、2010年。ISBN 978-4063758634 - 佐藤本人が登場する。
- 『美しい日本のくせ字』井原奈津子、パイインターナショナル、2017年。ISBN 978-4-7562-4826-8
テレビ
- デザインあ #08(NHK教育テレビジョン、2011年7月2日)[24]
脚注
- 1 2 “佐藤修悦隊長がNHKの番組でJR日暮里駅のガムテープ標識案内を紹介されました”. 三和警備保障株式会社 (2007年8月5日). 2013年2月11日閲覧。
- 1 2 “三和警備保障 警備員 アルバイト求人サイト”. 三和警備保障. 2019年7月18日閲覧。
- 1 2 3 井原奈津子『美しい日本のくせ字』パイ インターナショナル、2017年5月26日、24-27頁。ISBN 978-4-7562-4826-8。国立国会図書館書誌ID:028156270。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 佐藤「ガムテープ文字「修悦体」、目を引く字体の駅案内 警備員が勝手に作成」『日本経済新聞』2026年10月19日、朝刊、28頁。
- 1 2 萩原雄太、西田陽介 (2009年7月8日). “日暮里育ちの新フォント「修悦体」の魅力に迫る(前編)”. 上野経済新聞. 2013年2月11日閲覧。
- 1 2 “ガムテープ文字「修悦体」の考案者が、70歳の今も現役の警備員を続ける理由”. ジモコロ. アイデム (2023年3月6日). 2023年9月12日閲覧。
- ↑ “「新宿駅ガムテープ道案内」の作者実演をみた!”. デイリーポータルZ (2007年8月29日). 2014年1月9日閲覧。
- 1 2 松川希実 (2026年4月24日). “「ガムテープでいいんですか?」警備員にナイキのロゴが任された理由”. 朝日新聞withnews. 朝日新聞. 2026年4月25日閲覧。
- ↑ 笹木萌「上前津駅の「ガムテープ案内表示」がかっこいい 制作者は1人の駅員...誕生の経緯を駅長に聞いた」『Jタウンネット』J-CAST、2020年8月21日。2025年4月18日閲覧。
- ↑ “文体の練習”. 鞆の津ミュージアム. 2019年3月24日閲覧。
- ↑ “わたしはどこにいる? 道標(サイン)をめぐるアートとデザイン”. 富山県美術館. 2019年3月24日閲覧。
- ↑ 富山県美術館 [@toyamakenbii] (2019年3月24日). “佐藤修悦さんの公開制作、始まっております!早速1つ目「TAD」(富山県美術館の略称)が完成しました!”. X(旧Twitter)より2025年4月18日閲覧.
- ↑ 富山県美術館 [@toyamakenbii] (2019年3月24日). “午後は佐藤修悦さんのワークショップ「ガムテープ文字をつくろう!」を実施中。佐藤さんの指導のもと、いろいろな色の「夢」が出来上がってきました。”. X(旧Twitter)より2025年4月18日閲覧.
- ↑ “第59回日本サインデザイン賞審査結果発表” (pdf). 日本サインデザイン賞. 日本サインデザイン協会. p. 9 (2025年9月). 2025年12月14日閲覧。
- ↑ “修悦体の「安田クリニック」”. 安田クリニック Dr.安田の独り言 (2008年11月6日). 2023年9月12日閲覧。
- ↑ “安田クリニック 修悦体”. 安田クリニック. 2023年9月12日閲覧。
- ↑ “タワー新宿店リニューアル記念ポスター完成! 新宿の有名人5組が出演”. TOWER RECORDS ONLINE (2012年4月19日). 2017年2月5日閲覧。
- ↑ “WEB事業部 ロゴ制作の話”. つなぐネットコミュニケーションズ WEB事業部. 2019年7月18日閲覧。
- ↑ 古川敦 (2019年6月13日). “新宿駅にガムテ文字「修悦体」の新作登場! 「#おストゼロさま選手権」スタートでお疲れの人が集まるあの場所で募集告知を展開”. ネタとぴ. 2019年6月19日閲覧。
- ↑ @bungu_award「公式本『文房具屋さん大賞2020』も本日発売。」2020年2月5日。X(旧Twitter)より2025年12月14日閲覧。
{{cite web ja}}: CS1メンテナンス: url-status (カテゴリ) - ↑ 宮原れい (2021年4月3日). “駅で見かけるガムテープ看板のカプセルトイが登場 知る人ぞ知る書体「修悦体」を完全再現”. ねとらぼ. ITmedia. 2021年4月4日閲覧。
- ↑ Nike Japan [@nikejapan] (2026年4月8日). “4.10 NIKE SHINJUKU OPEN”. X(旧Twitter)より2026年4月9日閲覧.
- ↑ 『壁面マンガ連載『週刊ムービル ~ムビィの大活劇』』(YouTube)相鉄グループ、相鉄ムービル、2026年9月24日。2026年10月21日閲覧。
- ↑ “#08 - デザインあ”. NHK. 2020年3月19日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 修悦体【ガムテ文字】 - YouTubeチャンネル
- 修悦体[shuetsu-tai.jp] - 公式サイト(2009年1月末閉鎖、2008年12月20日時点のアーカイブ)
- ガムテープで案内文字を作る佐藤修悦さんと修悦体・修悦文字について - トリオフォー
- 佐藤修悦さんがワクテカしてくれた ワクテカ @works&technica、アスキー・メディアワークス、2009年4月3日(文字作成までの手順写真)
- "ガンバレ ! 日本" by 佐藤修悦さん 『ガムテープで文字を書こう』 - YouTube - 世界文化社公式チャンネル
- 日暮里育ちの新フォント「修悦体」の魅力に迫る - 上野経済新聞(インタビュー)[リンク切れ]