兄弟姉妹関係

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1964年の50歳の誕生日パーティー ビルギット・リダーステット(英語版)の5人のきょうだい全員

兄弟姉妹関係(きょうだいしまいかんけい)とは、対人関係における兄弟姉妹の関係を指す概念。特にアメリカ合衆国で注目される概念であり、日本ではきょうだい関係(きょうだいかんけい)と翻訳される場合もある[1]。

兄弟姉妹は互いの生活において、親子のような仲間意識と、友人のような力関係や助け合いを疑似体験する特徴的な役割を果たす[2]。兄弟姉妹は同じ家庭で育つことが多いことから、直系親族に当たる他の家族のように、互いに会う機会が多い。だが、兄弟姉妹関係には階層的要素と相互的要素の両方がある[3]ものの、この関係は、世代の異なる家族よりもより平等で対称的な傾向がある。更に、兄弟姉妹関係は家族の全般的な結束の状態を反映したものである傾向がある[4]。

一般的に兄弟姉妹は、幼少期には親や他の誰よりもお互い一緒に多くの時間を過ごすものであり、しばしば兄弟姉妹関係は個人の人生において最も長く続く関係である[3][5]。

文化的な違い

兄弟姉妹関係の性質と文脈は文化によって異なる[6]。家族とは核家族だということを前提にした西洋文化の家族像は世界全体における文化の比率では実は少数派なのにもかかわらず、兄弟姉妹についての研究は西洋文化を背景にしたものに偏っていて、研究者によるバイアスがかかっている可能性が否めない部分がある[7]。先進国の文化においては、兄弟姉妹が関係を深めるのは個人の意思によるものとされている。兄弟姉妹は互いに交流を深め協力し合うことが奨励されているが、これは義務ではない。時には年上の兄や姉は年下の弟や妹を見守る場合もあるが、その責任は限定的で、主な監督責任者はあくまで親である。それに対し、開発途上国の文化において兄弟姉妹関係が密接になるのはそれがしばしば義務だからであって、兄弟姉妹間の協力と接近を促すために強力な文化的規範が設けられている。インドでは、兄弟姉妹関係が大切にされており、ラーキーと呼ばれる祭りが開催されている。この祝祭で、姉妹は兄弟に織ったブレスレットをプレゼントし、彼らが独立して自分の家庭を持った後も続く永続的な兄弟姉妹の絆の証とする[8]。また、これらの文化は年上の兄や姉が年下の弟や妹を見守る役割を担うことが常に期待されている。

一生を通して

幼児期と子供時代

兄弟姉妹関係は、兄弟姉妹となる2人が互いを紹介し合うことから始まる。年上の兄弟姉妹は、母親が妊娠している時点で弟や妹の存在に気づくが、これは年上の子供の心理的調整を容易にし、新生児とよりよい関係を築くのに役立つ[9]。発達初期における2人の対話は、年上の兄や姉の社会的適性に寄与し、年下の弟や妹を認知的に刺激する[10]。年上である兄や姉は、親が幼児語で話しかけるように、年下の弟や妹の低い言語理解に対応するために話し方を適応させる[11]。

当初は幼児と母親との関係を説明するために生まれた愛着理論は、相手が父親や兄弟姉妹の場合であっても適用できることが分かってきた[12]。幼児が兄弟姉妹の反応性が高いと判断し、相手が自分を慰めてくれると感じる場合は、支持的な絆が形成される[13]。反対に、兄弟姉妹が攻撃的、無視的、またはその他の否定的な方法で行動する場合、負の関係が形成されることがある。兄弟姉妹関係は、主監督者が不在で、保護とサポートのために年上の兄や姉に頼らざるを得ない場合、更に強調される[14]。

兄弟姉妹が成長して発達していっても、幼児期から小児期まではその関係性はかなり安定したものであって、その間、正と負の相互作用は頻度において一定のままで維持される[15]。それでも、この時期には両方の兄弟姉妹に大きな変化がある。年齢差が数歳程度に過ぎない場合、これは両方の兄弟姉妹が学校に入学し、同級生と出会い、友人を作っている時期と重なる。このような環境の変化は、お互いの交流の機会を減らし、同時に年下の弟や妹は援助者を兄弟姉妹関係の外で見つけられるようになるため、社会的支援のために年長の兄や姉に頼るとは限らなくなる。年下の弟や妹が学校に入ると、年上の兄や姉は彼らが学校に馴染めるように援助し、学生間で発生する新しい闘争についても助言を与える。同時に、年下の弟や妹が親に相談しにくい話題についても、年長の兄や姉は質問に応じ話し合うことも出来る[16]。

青年期

兄弟姉妹関係の性質は、小児期から青年期にかけて変化する。青年初期の場合にはしばしば一緒にいる時の心理的な暖かさと相互的支援を提供する[17]が、この発展期には葛藤[18]や感情的な距離の増大もある[19]。しかし、この現象は兄弟姉妹の性別の組み合わせによって違いがみられる。異性の兄弟姉妹の場合は、青年期に親密さの劇的な減少がみられる場合が多いが、同性の兄弟姉妹の場合は、青年期の初期には親密さが少し上昇し、その後わずかな低下が見られる[20]。どちらの場合であっても、親密度は若年成人期に再び増加する。この傾向は、青年期特有の同年齢関係の重視の結果である可能性がある。同じ家族に属する青少年は、しばしば異なる生活習慣を採用し、互いの間の感情的な距離を増大させる[21]。

特に青年期の間は、兄弟姉妹は同輩と同じような相互的影響がある。兄弟姉妹の関係は、友人がいない場合にはその負の心理的影響を補うことがあり[22]、個人に自己価値の感覚を提供する可能性がある[23]。年上の兄・姉の行動は、年下の弟・妹にとって効果的で良い行動の模範となることが出来る。例えば、兄弟姉妹との安全なセックスについてのコミュニケーションは、親と同じくらい効果的であるという証拠がある[24]。逆に、年上の兄弟姉妹に性的に進んだ生活態度を見せつけられることで年下の兄弟姉妹が影響を受け、結果的に危険な性行動を促されてしまう場合もあって、10代で親になった兄・姉の弟・妹は、10代の親になる傾向がある[22]。

青少年の研究は、兄弟姉妹の肯定的な影響が健康で適応能力のある機能を促進[25][26][27]し、逆に否定的な相互作用が脆弱性や問題行動を増やす可能性があることを示唆している[28][29]。親密で肯定的な兄弟姉妹の相互作用は、青少年のための重要な支援の源であり、社会的行動の発達を促進する[30]。しかし、兄弟姉妹関係がいざこざや攻撃によって特徴付けられるものだった場合は、彼らは非行と同輩間の反社会的行動を促進させる[31]。

成人期と高齢期

兄弟姉妹が成人に達した場合、同じ家に住まなくなる場合が多い。個人的に、仕事や趣味、そしてロマンチックな関心事に専念するようになるが、彼らはそれらを兄弟姉妹と共有せず、互いにそれに関係することは出来ない。この段階においては、学校と親の厳しい管轄下で起こっていた共通の闘いの意義が解消される。このような背景があるにもかかわらず、兄弟姉妹は成人期から老後まで関係を維持することがよくある[32]。物理的に近接していることは、兄弟姉妹間の接触を維持する大きな要因である。近くに住んでいる場合はお互い頻繁に顔を合わせる可能性が高い。しかし、物理的な距離があったとしても、子供時代に関係が良好だった兄弟姉妹は、成人期にその関係が維持もしくは発展していく傾向が強い[33]。また、性別も重要な役割を果たしている[34]。姉妹は互いに交流している可能性が最も高く、その次に高いのは異性の兄妹・姉弟の場合である。兄弟は互いに交流を持つ可能性が最も低い。

連絡を取ることは、兄弟姉妹同士が近くに住んでいない場合には特に重要である。兄弟姉妹相互の連絡は、電子メールやソーシャルネットワーキングのようなオンラインコミュニケーションの他、電話や郵便でも個人間で頻繁に行われる。また、兄弟姉妹は、親や親戚の友人を通じて間接的にコミュニケーションを取ることも多い[35]。成人期から高齢期にかけての兄弟姉妹の間では、会話は家族の出来事や過去の回想に集中する傾向がある[36]。

成人期の時点では、兄弟姉妹はまだ友人と同様の役割を果たす[6]。友人と兄弟姉妹は年齢が似ていることが多く、少しばかりの年齢差は成人期にはそれほど重要ではない。更に、兄弟姉妹関係とは異なり、友情は任意であるが、両方の関係は本質的に平等主義的であることが多い。それぞれの関係の具体的な役割は、特に人生の後半でも異なる。高齢の兄弟姉妹にとって、兄弟姉妹は親友の役割を果たす一方、友人は仲間として行動する傾向がある[37]。

成人の兄弟姉妹関係については、個人的あるいは共有の生活イベントに応じて状況が急速に変化する可能性があるため、長期的な前提を立てることは困難である[38][39]。兄弟姉妹のうちの一人が結婚することは、兄弟姉妹間の絆を強めるかもしれないし、弱めるかもしれない。住所の変更、子供の誕生、その他数多くの生活イベントについても同じことが言える。しかし、兄弟姉妹の離婚、やもめ暮らし、親戚の死亡は、兄弟姉妹間の親密さと肯定感を高めることが最も多い。

兄弟姉妹間の競争

兄弟姉妹間の競争とは、兄弟姉妹間の対立関係や敵意を表す概念であり、それに含まれる兄弟姉妹とは血縁関係の有無に関係なく全ての兄弟姉妹が含まれる。それらの競争は、しばしば親からより大きな関心を得たいという欲求の結果発生する。しかし、どんなに模範的な両親であっても、ある程度は兄弟姉妹間の競争が見られる可能性がある。子供たちは、親から注目されたいからだけでなく、社会に認めてもらいたいという気持ちから、自然に競争する傾向がある。一般的に児童期の兄弟姉妹は、親と比べて一緒に過ごす時間が多い。兄弟姉妹の絆はしばしば複雑であり、親からの扱い、出生順序、人格、家族以外の人や経験などの要因によって影響を受ける[40]。発達心理学者シルヴィア・リム(英語版)によると、兄弟姉妹間の競争は、子供たちが年齢が非常に近く、性別が同じといった場合、または1人の子供がギフテッドである場合に特に激しい[41]。兄弟姉妹間の競争は、特に年齢の近い兄弟姉妹の間で、攻撃と侮辱を発生させる。ハーバード大学によると、兄弟間のいじめは決して良いことではなく、大人になってからの自傷行為やうつ病のリスクを倍増させるらしい[42]。

原因

兄弟姉妹間の競争には、影響を与えたり形成に関わったりする多くの要素がある。ミシガン大学のカイラ・ボーイズによれば、家族の子供達は、各々自分が何者であるかを定義するため、そして兄弟姉妹とは別個の存在であることを示したいという思いから競争する。このような子供たちは、両親の子供に対する注意力、懲戒や反応性といった行動において、兄弟姉妹を平等に扱っていないではないかと感じている可能性がある。子供たちは、戦いはいざこざの解決のためであっても許容されないと理解せず、そのようないざこざを他の手段では解決できない場合、家族とより多く戦う。両親と子供の生活上のストレスは、より多くのいざこざを引き起こし、兄弟姉妹間の競争を増やす可能性がある[43]。

精神分析的視点

ジークムント・フロイトは、エディプスコンプレックスの延長として兄弟姉妹関係を見た。フロイトの見方では兄弟は母親の注目を得るために姉妹や父親と競争していた[44]。例えば、少年ハンス(英語版)の場合、フロイトは、幼い少年の馬への恐怖は、父親に取って代わって母親と結ばれたいという少年の願いと同様に、彼の妹への嫉妬に関連していると主張した。この見解は、現代の研究ではあまり信用されていない。

親子の対立理論

ロバート・トリヴァースによって策定された親子の対立理論は、兄弟姉妹の力学と親の意思決定を理解する上で重要である。両親とは子孫の生存を確保するために必要なものを投資することが期待される存在であるため、一般的には恐らく自分自身をも犠牲にし、利用可能な最大量の資源を他の潜在的な子孫に配分するものだと考えられている[45]。親はできるだけ子孫に投資しているのに対し、子孫は同時に親が親自身の生殖の成功を最大にするために与えることができるよりも多くの資源を獲得しようとする。したがって、個々の子孫が望むものと、親が与えることができるものとの間に矛盾がある[45]。トリヴァースの理論を拡張すると、兄弟姉妹に与えられる分の資源を得ようとするため、お互いに強く競争すると考えられる。それは、自分の両親だけでなく、兄弟姉妹にも損害を与えても、自己の恩恵が総費用を上回る限り、利己的に支払わせることになる[46]。

その他の心理的アプローチ

アルフレッド・アドラーは、兄弟姉妹は家族内で「意欲的に努力する」と見なし、出生順序が人格発達の重要な側面であると考えた。他の子供に置き換えられたり取って代わられたりする感覚は、しばしば年上の兄や姉の嫉妬の原因となる[47]。実際、心理学者や研究者は、出生順序、年齢や性別といった要素が兄弟姉妹関係に影響を与えることを支持している。兄弟姉妹の間で争いが起こった場合には出生順位が中間にいる兄弟姉妹のメンバーが争いを治める役割を担わされやすいが、このような状況との関連性が指摘されるのが中間子症候群と呼ばれる現象である[48]。個々の子供の人格には違いがあるという事情も、家庭内における兄弟姉妹間の競争の発生の程度に影響を及ぼす。弟や妹が生まれたことによる変化を自然に受け入れる子供もいるが、一方で自然に競争意識を持ち、弟や妹が生まれる前にすらこのような性質を示す子供もいる[47]。しかし、両親の存在は子供が競争意識を持つに至るかどうかに大きな影響を与える要因であると見なされている[49]。

デイビッド・レヴィー(英語版)は、1941年に「兄弟姉妹競争」という言葉を導入した。年上の兄弟姉妹において「新生児への攻撃的な反応は典型的なので、家族生活の共通の特徴であると言うのが妥当である」と指摘している[50]。今日の研究者は一般的にこの見解を支持し、親が偏見を排し、適切な予防措置を講じることによってこの反応を改善できることを指摘している[51]。実際、研究者らは、兄弟姉妹間の肯定的関係の生涯の基礎を築く理想的な時期は、新生児が生まれる数ヶ月前のことだと述べている[52]。

人生を通して

ジュディー・ダンによる観察研究によれば、早いうちから子供たちは自己認識を示し、自分自身と兄弟姉妹の間の親の扱いの違いを知覚し、初期の印象で年下の兄弟姉妹との生涯の関係を形作ることが出来るという[40]。18ヶ月から兄弟姉妹は家族のルールを理解し、互いに慰め、親切にする方法を知る。3歳までに、子供たちは社会ルールの洗練された理解力を持ち、兄弟姉妹との関係で自分自身を評価し、家族内の状況にどのように適応するかを知る[40]。彼らが適応するための動機を持つと、目標と興味が自分と異なる可能性のある兄弟姉妹と仲良くなるために、協力関係とライバル関係との違いを生み出すことが出来る[40]。

研究は更に、兄弟姉妹間の競争が最も激しくなるのは兄と弟の場合であって、姉と妹の間においては最も少なくなる傾向があることを示している。もちろん、この法則には例外がある。何が兄弟の絆を競争相手に変えるのかという問いについて、デボラ・ゴールドは新しい研究を開始したが、その研究はまだ完成を見ていない。だが、彼女は今まで行ってきたインタビューを通じて、一貫したテーマを見付けた。それは「他の兄弟姉妹のペアと比較し、兄弟が競争を行う傾向があるという概念は、親と社会の環境が影響している。どういうわけか、兄弟以外の兄弟姉妹のペアと、兄弟を比較することは自然なことのように思える。特に兄妹・姉弟のペアよりもそうである。ほぼ最初の日から、歯を最初に取得し、這う、歩く、話す、基本的な発達の比較が、より大きい寿命のスケールで保持される。そして、この比較は、学校から大学、職場まで続くようである。誰が最大の家を持っているか、誰が最もお金を稼ぐか、最高の車を運転するかが議論の変わらないトピックである。私たちの社会では、男性は成果重視で、積極的であり彼らは成功するはずだと考えられている」[40]というものである。

兄弟姉妹の競争は、小児期にはしばしば続くものであることから、両親にとっては非常に気を使い、ストレスを感じる場合がある[43]。青年期には、若い子供たちと戦うのと同じ理由で戦うが、お互いに傷つき、傷つけることは物理的にも知的にも優れた状況下で行われる。親や友人との関係が変わるのと同様に、身体的および感情的な変化は10代という年齢期において心理的なプレッシャーとなる。親の注意を喚起する方法として兄弟姉妹と戦うことは、青年期に増加する可能性がある[53]。ある研究は、10〜15歳の年齢層が兄弟姉妹間の競争が最高レベルに達することを報告している[54]。

だが、小児期や青年期における兄弟姉妹の競争といざこざの程度は一定ではない。西洋社会における幼年期の兄弟姉妹の争いの程度を見ている縦断的研究は、時間が経つにつれて、兄弟姉妹関係はより平等になり、いざこざが少なくなることを示唆している[55]。しかし、この効果は出生順序によって違いが見られる。幼い頃から、多かれ少なかれ兄弟姉妹にはいざこざと競争が見受けられるが、若い方の兄弟姉妹では青年期前半でいざこざと競争のピークとなり、青年期後半に低下することが報告されている。青年期後半の減少は、進化論的観点から意味を見出せる。リソースがなくなり、個人が生殖キャリアを開始すると、繁殖の成功に影響を与えないリソースを投資してまで兄弟姉妹が激しい競争を続けることはほとんどない[56]。

兄弟姉妹の競争は成人期も続くが、長期的な視点で見ると兄弟姉妹関係はその途中で劇的に変化する可能性がある。親の病気のような出来事が、兄弟姉妹を緊密に結びつけることがある一方で、兄弟姉妹のうちの一人の結婚は、特に義理の親族になった相手との関係が良好ではない場合は、その兄弟姉妹を離れ離れにする可能性がある。大人の約3分の1は、兄弟姉妹との関係を敵対的または遠隔的と表現している。しかし、兄弟姉妹間の競争は時間の経過と共に和らいでいくことが多い。60歳以上の兄弟姉妹の少なくとも80%は、緊密な関係を享受している[40]。

防止

親は、子供たちの比較や形式的な役割の要求を行わないことによって、競争の機会を減らすことができる[57][58]。子どもたちにお互いや親からの注意を喚起する肯定的な方法を教え、楽しい家族活動を一緒に計画し、それぞれの子供が自分の時間と空間を十分に確保できるようにする[43][57]。また、各子供に個別の注意を払い、チームワークを奨励し、他の子供の役割モデルを子供に抱くことを拒否し、偏愛を避けることもできる[57][59]。両親が子供たちと一緒に過ごす時間に家族全体として投資することも重要である。家族の一員であるという意識を強く持っている子供達は、兄弟姉妹を自分自身の延長線として見る傾向がある。しかし、シルヴィア・リムによれば、兄弟姉妹の競争は減ることはあるが完全に排除されることはない。適度なものであれば、競争は、各子供が他の兄弟姉妹との違いを表現するために十分に積極的だということを示す健康的な指標となり得る[41][57]。

ウェイヘ [60]は、疑わしい行動が競争か兄弟姉妹間の虐待であるかどうかを区別するために、4つの基準を用いるべきではないかと提案している。第1に、疑わしい行動が年齢に適しているかどうかを判断しなければならない。例えば、子供は様々な発達段階において異なる競争解決戦術を使用するはずだということを考慮に入れる。第2に、その行動が孤立した事件であるか、永続的なパターンの一部であるかを判断しなければならない。虐待は定義上、一時的な不和ではなく長期的に続くはずである。第3に、行動に「犠牲になる側面」があるかどうかを判断する必要がある。競争は、出来事特有のものであり、相互的であり、他者の視点から明白なものである。一方、虐待は秘密と権力の不均衡によって特徴付けられる。第4に、疑わしい行動の目標を決める必要がある。虐待の目的は、被害者の屈辱や支配になる傾向がある。

親の下で起こっている兄弟姉妹競争は、将来両親が亡くなった際に、お互いの交流が断絶する原因となりうる。少なくとも兄弟姉妹間で暴力が発生した場合、親など養育者も参加する形でトレーニングを受けることが勧められるところではあるが[61]、そのような状態でなくとも、家族の共存を奨励し続け、過度の兄弟姉妹の競争を抑制するためには、対立する兄弟姉妹が一緒にセラピーを受けることで、将来大人になった子供達に結果的に良い結果がもたらされるのかもしれない。ただ実際問題としては、兄弟姉妹間の対立を解消するためには、感情調整の能力の向上が重要とみられてはいるものの、兄弟姉妹間の暴力ではなく対立を扱ったプログラムはほぼ皆無という状況がある[62]。

兄弟姉妹間の結婚と近親相姦

いとこ婚はほとんどの国で合法で、叔姪婚が合法な国も多いが、親子間や兄弟姉妹間の性的関係はほぼ普遍的に近親相姦だと考えられている。幼い頃の密接な関係のために、兄弟姉妹間で積極的な性的嫌悪感が形成されることはウェスターマーク効果として知られている。施設で共同で養育される子供たちは、たとえ血縁関係がなくとも、通常は性的魅力を発達させず、逆に幼い頃に離別した兄弟姉妹は性的魅力を発達させる場合がある。したがって、偶発的近親相姦のような兄弟姉妹で相互的な性的魅力を発達させた近親相姦の事例の多くは、出産時または非常に若い時期に分離された兄弟姉妹に関係する[63]。ニューイングランドのある研究では、男性のおよそ10%と女性の15%が兄弟または姉妹と何らかの形で性的接触を経験しており、最も一般的な形態は互いの性器を愛撫または触知していることが示されている[64]。

成人間

複数の国で兄弟姉妹間の性的関係は犯罪として規定されている。だが、兄弟姉妹間の性行為を禁じる法律は被害者なき犯罪であり、同意する大人として性的関係を望む兄弟姉妹の人権を侵害するものだとして批判が起こったこともある。

2008年には、ドイツのザクセン州の31歳の男性が、妹との間に4人の子供を持った父親として拘束され3年間拘禁され、欧州人権裁判所に提訴したことで話題を呼んだ。ヨーロッパ諸国でいうと、ベルギー、フランス、ルクセンブルク、オランダ、スペインなどでは、兄弟姉妹の結婚は禁止されているが、兄弟姉妹の間の近親相姦は違法ではない[65]。

中世ヨーロッパにおける全血の兄弟姉妹の結婚の歴史上の例としては、1450年頃のアルマニャック伯ジャン5世と、イザベル・ダルマニャックの兄妹の間で成立した結婚がある。この結婚のために与えられたという教皇の赦免は、実際は偽造されたものだったと1457年に宣言された[66]。古代では、セレウコス朝の王子アンティオコスは、彼の実妹、ラオディケ4世と結婚した。兄弟姉妹の結婚はローマ期エジプトで特に頻繁に行われていた[67][68][69][70][71][72][73][74]。ほとんどの場合、ローマ期エジプトでの兄弟姉妹の結婚は、神性と純粋さを維持する宗教的信念の結果だった。オシリスとイシスの神話のモデルに基づいて、神は女神と、女神は神と結婚する必要があると考えられていた。オシリスとイシスは、神と女神とで結婚する選択肢が限られているため、兄と妹で結婚せざるを得なかったのだとみられる。また、王家の兄弟姉妹に関しては、支配者層の神性を保つために、お互いに結婚したのだと考えられている[75]。兄弟姉妹の結婚は中央アフリカのアザンデ族にも共通している[76]。ジョン・M・ゴギンとウィリアム・C・スターテバント(1964年)は、一般的に兄弟姉妹間の結婚を許していた8つの社会、上層階級(崇高者)の間だけで兄弟姉妹婚が許されていた35の社会を列挙した。

子供間

多くの文化においてタブーの話ではあるが、兄弟姉妹間の性的接触は、通常の子供の好奇心と発達の一部として扱われ得る話題である。キャバナ、ジョンソン&フレンド(1995年)によると、子供の40%〜75%は13歳に達する前に何らかの性的行動に従事する。このような状況では、子供たちはお互いの身体を探索しながらジェンダーの役割や行動を模索しており、このような性的体験を行うからと言って子どもが性的犯罪者ではないことを示している。兄弟姉妹の年齢や場所の近接性は一般的に近いため、兄弟姉妹間の性的調査の機会はかなり高く、適切であれば相互の好奇心に基づいているため、これらの活動は有害でも悲惨でもないと考えられる。ボージス(2002年)、ライニッシュ(1990年)によると、初期の性行為を全般的に研究してみると、6歳と7歳の男の子の半分以上が他の男の子と性的遊びをしており、6歳と7歳の女の子のうち、3分の1が他の女の子や男の子との遊びに従事している。この行為には、お医者さんごっこ、相互に触れる、模擬された非挿入の性交の試みが含まれる。ライニッシュは、そのような遊びを、両親との固着における官能的な要素から、自慰、そして他者とのセックスまでの正常な進行の一部として見ている。ライニッシュによると、8歳から9歳の子供は性的覚醒がエロチックな感覚の特定の形式であることを認識し、様々な視野、自己啓発、ファンタジーを通してこれらの快い体験を求め、より早期の一般的な性的行動から移行し慎重かつ意図的な性的覚醒の状態へと至る。

だが、兄弟姉妹間の根本的な関係を乱用し性的行為を行うと、関係者に悪影響を及ぼすことがある。そのような虐待は、被害者が発達過程において人間関係に必要なものなどに障害を残す可能性があり、被害者の大人の生活におけるうつ病、不安、薬物乱用の原因となり得る[77]。兄弟姉妹間の性的虐待は、これを性犯罪の一種とみるかそれとも有害行為とみるかで使用される定義は大きく異なっている。アメリカ合衆国では子供の兄弟姉妹間の性的虐待は、少年性犯罪に関する全国タスクフォースによって定義されているが、その定義は「ある兄弟姉妹が他の兄弟姉妹に、同意を得ずに、暴力や強制あるいは力関係に明確な差のある状況で性的行為を行うこと」とされている[78]。一方、Caffaro & Conn-Caffaro は、『きょうだい間虐待によるトラウマ』の初版(1998年)の中で、兄弟姉妹間における性的虐待を「発達段階に則さず、一時的ではなく、年齢的に適切な相互の好奇心によって動機付けられない兄弟姉妹間の性行動」であると定義し、これは研究者間では広く受け入れられた[79]。子供の性的実験が兄弟姉妹と一緒に行われるとき、いくらかの研究者、例えば、バンクとカーン(1982年)は、それが近親相姦の範疇に入ることを考慮するとしているが、その用語を使用する研究者は、虐待の近親相姦と非虐待の近親相姦とを区別する。バンクとカーンは、虐待的な近親相姦は、力を重視した、サディスティックな、搾取的な、強制的なもので、意図的な身体的または精神的虐待を含むことが多いと言う。ただし、ジョン・V・カファロの『きょうだい間虐待によるトラウマ』(第2版、2014年)においては、男女の性役割はもともと異なるという事情が兄弟姉妹間で起こる児童期の近親姦における強制性を曖昧にしている可能性も示唆されている[80]。

若年層の兄弟姉妹間の性的接触に関する意見は、より一般的な未成年者のセクシュアリティ全般に関する見解の違いに左右されるかもしれない。

  • フィンケラーとホッタリング(1984年)[81]は、性的接触がこれらの状況下でのみ虐待的であると考える。
    1. 13歳未満の子供に対して行われ、行為者が被行為者よりも年齢が上に5歳以上離れている場合、または行為を受けた子供が13歳から16歳の間であり、行為者が被行為者より少なくとも10歳年上の場合
    2. 強要、威嚇、脅迫が使用されている場合。
  • デヨング(1989年)は、14歳未満の人に対する性行為が虐待であるかどうかを判断するための4つの基準を提示している。
    1. 5歳以上の年齢差
    2. 力、脅迫、権限の使用
    3. ペニスの挿入を試みること
    4. 被害者の身体的傷害
    デヨングによれば、これらのうちの1つまたは複数が存在する場合、その行動は虐待的であり、存在しない場合、その行動は正常な性的実験とみなされなければならない[82]。
  • ラヴィオラ(1992年)は、一般的に言えば、子どもへの性的虐待とは、権力、権限、賄賂の使用、または子供の信頼や愛情の利用に依存するものだと述べている[83]。なお、この実証研究で特徴的なのは、性的行為に関する両者の年齢差が小さかったとしても、兄と性的行為を行った妹の場合はそれは強要されたものだったと例外なく必ず訴えるとされた点である[83]。

出典

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参考文献

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関連項目