全米オーデュボン協会

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全米オーデュボン協会
National Audubon Society
全米オーデュボン協会本部(Ny)
設立 1905年1月5日
種類 非営利団体(501(c)(3))
目的 鳥類・野生生物およびその生息環境の保全と回復
本部 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューヨーク市マンハッタン
会員数
約190万人
公用語 英語
事務局長 エリザベス・グレイ(Elizabeth Gray)
職員数
約800人
ウェブサイト https://www.audubon.org
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全米オーデュボン協会(ぜんべいオーデュボンきょうかい、英語: National Audubon Society: NAS)は、アメリカ合衆国にある、鳥類保護から始めて広く非営利の環境保護団体である。

1905年1月5日にニューヨーク州で法人登録され、鳥類および野生生物とその生息環境の保全・回復を主要な使命とする[1]。 世界最古かつ最大規模の野生生物保護団体のひとつである[2]。

科学調査・政策提言・環境教育・現地保全活動を通じて南北アメリカ大陸全域で活動し、約800人のスタッフと約190万人の会員を擁する[3]。

概要

全米オーデュボン協会の使命は、「鳥類・その他の野生生物およびその生息地を重点に自然生態系を保全・回復し、人類と地球の生物多様性に貢献すること」とされている[4]。当初は羽飾り目的の鳥類乱獲への反対運動として出発したが、現在では気候変動対策・生息地保全・市民科学・政策立法など幅広い分野に活動を拡大している[5]。

本部はニューヨーク市マンハッタンに置かれ、全米に約500の独立した地域支部(チャプター)を持つ[6]。また、100か所以上の野生生物サンクチュアリおよびネイチャーセンターを運営し、会報誌『オーデュボン(Audubon)』を季刊で発行している[7]。

全米オーデュボン協会は、ニューヨーク市に本部を置き、全米各地に支部を持つ自然環境保護を目的とする団体である。19世紀前半に博物画の本『アメリカの鳥類』を作ったジョン・ジェームズ・オーデュボン[8]を記念する名称になっている。

1896年にマサチューセッツ州で水禽を保護する運動が始まり、翌々年にはメイン州からカリフォルニア州まで17州にまで広がった。 1905年にはオーデュボン協会全米団体(英語: National Association of Audubon Societies)がニューヨーク州で設立され、1940年全米オーデュボン協会(英語: National Audubon Society)が今の形で組織された。 [9]

鳥類保護の知見を得る目的で、市民科学を取り入れている[10]。 鳥類の保護から始まって、一般的な自然保護へ目的を広げた団体としては、日本野鳥の会の活動と似ている。

背景・設立経緯

前史(1886年〜1904年)

全米オーデュボン協会の萌芽は1886年にさかのぼる。アメリカ有数の狩猟・釣り専門誌『フォレスト・アンド・ストリーム(Forest and Stream)』の編集者ジョージ・バード・グリネル(George Bird Grinnell)が同誌上で野鳥・野生動物の乱殺を批判する論説を掲載し、読者に保護運動への参加を呼びかけた。この最初の運動には1年足らずで約3万9000人が参加したが、編集部の対応能力を超えたため、3年以内に自然消滅した[11]。

1896年、ボストンのハリエット・ヘメンウェイ(Harriet Hemenway)とミナ・B・ホール(Minna B. Hall)は、婦人帽の装飾用に水鳥が大量に殺戮されている実態を知り、ボストン社交界の女性たちに羽飾り付きの帽子の着用をやめるよう促すアフタヌーンティーを主催した。この取り組みが「マサチューセッツ・オーデュボン協会」の創設へとつながり、その後全米各州に同様の協会が次々と設立された[12]。

全国組織の結成(1905年)

1905年1月5日、各州の協会が統合され、「全米オーデュボン協会連合(National Association of Audubon Societies)」としてニューヨーク州で法人登録された。

これに先立ち、協会の推進を受けた連邦議員ジョン・F・レイシーが1900年に「レイシー法(Lacey Act)」を成立させ、鳥類の違法な捕殺および外来種の輸入を禁止する初の連邦法を実現していた[13]。

1940年、組織名は現在の「全米オーデュボン協会(National Audubon Society)」に改称された[14]。

主な活動・特徴

クリスマス・バード・カウント

1900年、鳥類学者フランク・チャップマン(w:Frank Chapman)が、クリスマスに鳥を「撃つ」代わりに「数える」という新しい伝統を提唱し、26名の保護活動家とともに第1回クリスマス・バード・カウント(w:Christmas Bird Count、CBC)を実施した[15]。

現在、CBCは西半球20か国以上で毎年12月14日から1月5日の間に実施される世界最長の市民科学調査となっており、DDT禁止後の鳥類個体数回復など多くの保全上の成果を記録してきた[16]。

野生生物サンクチュアリとネイチャーセンター

協会は1923〜24年にかけて、ルイジアナ州のレイニー・サンクチュアリとロングアイランドのセオドア・ルーズベルト・サンクチュアリという最初の2か所の保護区を開設した。1943年にはコネチカット州グリニッジに初のネイチャーセンターを開所した[17]。

現在、100か所以上のサンクチュアリとネイチャーセンターを全国に運営し、ハクトウワシ・シロチドリ・カリフォルニア・コンドルなど多くの絶滅危惧種の個体数回復に貢献してきた[18]。

DDT禁止運動

1945年、協会の機関誌『オーデュボン』はDDTの危険性をいち早く報じた。その後、環境保護基金(Environmental Defense Fund)と協力してDDT禁止運動を展開し、1972年に米国環境保護庁(EPA)によるDDT使用禁止を勝ち取った[19]。

気候変動への対応

2019年、協会は報告書『Survival By Degrees: 389 Bird Species on the Brink』を発表し、北米の研究対象鳥類の3分の2が気温上昇により絶滅リスクの増大に直面していることを示した。同報告書は、温暖化を産業革命以前比1.5℃以内に抑制することで、脆弱種の76パーセントが好ましい状況になり、約150種が絶滅危機から脱することができると結論づけた[20]。

コンサベーション・ランチング・プログラム

牧草地鳥類の生息環境回復を目的として、協会は牛・バイソン牧場主と連携するコンサベーション・ランチング・プログラムを展開している。再生型放牧の実践を通じて土壌の炭素貯留能力を高め、水の流出を抑制し、草地生態系を回復する取り組みである。2025年時点で全米100か所以上の牧場・約300万エーカーがオーデュボン認定「鳥にやさしい土地」の認証を取得している[21]。

機関誌『オーデュボン』

1899年にフランク・チャップマンが創刊した『バード・ロア(Bird Lore)』を前身とし、現在は季刊誌『オーデュボン(Audubon)』として発行されている。自然・鳥類・保全科学をテーマとした記事と写真で構成され、2011年にはアトニー・リーダー誌の「最優秀環境報道賞」を受賞した[22]。

脚注

  1. ↑ “About Us” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  2. ↑ “National Audubon Society and wildlife preservation” (英語). EBSCO Research Starters. 2026年5月22日閲覧。
  3. ↑ “New Study Reveals Where Conservation Can Deliver for Birds, Communities, and Climate” (英語). National Audubon Society (2025年9月16日). 2026年5月22日閲覧。
  4. ↑ “About Us” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  5. ↑ “National Audubon Society and wildlife preservation” (英語). EBSCO Research Starters. 2026年5月22日閲覧。
  6. ↑ “Audubon Chapters” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  7. ↑ “National Audubon Society” (英語). Encyclopædia bBritannica. 2026年5月22日閲覧。
  8. ↑ John James Audubon, 1785–1851
  9. ↑ “The History of Audubon and Bird Conservation” (英語). 全米オーデュボン協会. 2026年4月12日閲覧。
  10. ↑ 「北米の野鳥、気候変動で半数が絶滅危機」『ナショナル ジオグラフィック (雑誌)』2014年9月16日。
  11. ↑ “National Audubon Society History” (英語). FundingUniverse. 2026年5月22日閲覧。
  12. ↑ “The History of Audubon and Bird Conservation” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  13. ↑ “The History of Audubon and Bird Conservation” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  14. ↑ “National Audubon Society — History Highlights” (英語). Minnesota Council of Nonprofits. 2026年5月22日閲覧。
  15. ↑ “Answers to your top questions about the Christmas Bird Count” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  16. ↑ “The 125th Christmas Bird Count Summary” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  17. ↑ “National Audubon Society — History Highlights” (英語). Minnesota Council of Nonprofits. 2026年5月22日閲覧。
  18. ↑ “The History of Audubon and Bird Conservation” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  19. ↑ “National Audubon Society — History Highlights” (英語). Minnesota Council of Nonprofits. 2026年5月22日閲覧。
  20. ↑ “Climate Initiative” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。
  21. ↑ “Inside Audubon's Fight to Reverse a 3-Billion-Bird Decline” (英語). A-Z Animals. 2026年5月22日閲覧。
  22. ↑ “National Audubon Society” (英語). National Audubon Society. 2026年5月22日閲覧。

関連項目

外部リンク