八代市厚生会館
| 八代市厚生会館 | |
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| 情報 | |
| 用途 | 多目的ホール |
| 設計者 | 芦原義信建築設計事務所[1] |
| 設備設計者 | 建築設備設計研究所[1] |
| 施工 | 鹿島建設九州支店[1] |
| 管理運営 | 八代市[1] |
| 構造形式 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 (一部鉄筋コンクリート造・鉄骨造) |
| 階数 | 地下1階・地上3階建て |
| 竣工 | 1962年 |
| 所在地 |
〒866-0863 熊本県八代市西松江城町1-47 |
八代市厚生会館(やつしろし こうせいかいかん、旧八代市厚生会館)は、熊本県八代市西松江城町にある建築物(多目的ホール)。
1962年(昭和37年)に芦原義信の設計で開館し、2023年(令和5年)7月26日に閉館(廃止)した。日本のモダニズム建築を代表する作品の一つとされ、「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されている。
歴史
開館までの経緯
八代市厚生会館は、地元政治家や市民の「文化格差の解消」を目指す声を背景に、県内初の本格的な市民ホールとして企画された。若手建築家の芦原義信が設計を担当し、1962年(昭和37年)に開館した。
利用状況と改修
開館当初から市民の演劇、音楽、講演、会議など多様な用途で利用され、最盛期には年間40万人以上の来館者を記録した。1990年には大規模改修が実施され、2009年には耐震補強工事も行われた。
休館と制度上の廃止
2019年(令和元年)、八代市は近接地に新設される八代市民俗伝統芸能伝承館(お祭りでんでん館)の整備に伴い、八代市厚生会館を休館とすることを決定し、別館を解体した。
2023年(令和5年)7月の八代市議会において、八代市厚生会館本館の廃止条例が可決され、7月26日をもって閉館した。ただし建物は現存しており、今後の利活用を巡って市民団体などによる保存運動が続けられている。
建築

建築概要
設計は芦原義信建築設計事務所であり、芦原義信、守屋秀夫、吉沢栄一、沢田隆夫、保坂陽一郎、伊原新吉が携わった[1]。構造は織本匠構造設計研究所、設備は建築設備設計研究所[1]。施工は鹿島建設九州支店[1]。建物は鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄筋コンクリート造・鉄骨造)、地下1階・地上3階建てである。
新建築社の『新建築』1962年9月号、彰国社の『建築文化』1962年9月号などで紹介された[2]。その建築的価値から、「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されている。
音響
「外部空間論」に基づく建築思想が実践された、芦原の初期の代表作とされる。水平ラインを強調したモダンな外観を持つ。周辺の八代城跡や松濱軒といった歴史的景観との調和を意識して設計された点が特徴的である。音響設計は、日本を代表する音響設計者の一人である石井聖光が手がけた。石井は大阪の朝日放送ホールや東京のよみうりホールなどを担当した名匠として知られ、当時の欧州音楽界でも高く評価された。厚生会館では、音響精度を優先するため、本館とホール内部を入れ子構造にし、二重天井により残響時間1.8秒を実現、多目的ホールとしては極めて高い音響性能を持っていた。
施設
舞台付きの大ホールのほか、小ホール、会議室、展示スペースを備えていた。大ホールは観客数964席(立見含め最大1200名)でありながら2階席を設けず、八代という地方都市にふさわしい「一体感のあるアットホームなホール」となるよう配慮されていた。さらに、細川家・松井家ゆかりの能舞台文化を継承する意図から花道が設けられ、金春宗家による『羽衣』や『道成寺』などの能が演じられるなど、地域の伝統芸能にも深く貢献してきた。
市民活動と保存の意義
市民活動の起こり
2021年12月、八代市厚生会館の保存と再活用を目指す市民団体「八代市厚生会館のホール再開を求める会」が発足した。同団体は、建物の歴史的・文化的価値を訴え、署名活動や勉強会、シンポジウムの開催、要望書の提出など、多岐にわたる活動を展開している。
2022年5月には、10,374筆の署名を添えて「八代市厚生会館ホール(劇場)再開の要望書」を八代市長に提出した。2023年6月11日には緊急シンポジウムを開催し、参加者160人のうち99人からアンケート回答を得た。シンポジウムでは、専門家から「取り壊す必要はない」との意見が示され、市民からも保存を求める声が多数寄せられた。
同年6月28日には「八代市厚生会館の今後について、市民とともに考えるよう求める要望書」を市長に提出。2024年12月には、住民投票条例の制定を求める署名活動を実施し、必要数を超える署名を市選挙管理委員会に提出した。
これを受けて2025年1月、住民投票条例案が市議会で審議されたが、経済企業委員会で否決され、本会議でも否決された。
市は厚生会館の老朽化や耐震不足、改修に約20億円を要する見込みなどを理由に、解体の方針を示している。これに対して、保存を求める市民団体は公共建築としての文化的意義や地域資産としての価値を訴え続けている。
市民活動の継続と市の対応
2025年に入っても、八代市厚生会館の保存と再活用を求める市民団体の活動は継続している。「八代市厚生会館のホール再開を求める会」は、定期的な会合や情報発信を通じて、市民への啓発活動を行っている。また、同会は、全国各地の公共ホールや文化施設の再生・活用事例を紹介することで、厚生会館の保存活用の可能性を示している。
八代市は、厚生会館の解体方針を示しつつ、跡地の利活用に向けた基本構想の策定を進めている。2024年3月には、市民3,000人を対象にアンケートを実施し、その結果を基に跡地の活用方針を検討している。市は、跡地を市民の賑わいと憩いの場とすることを目指し、文化・芸術イベントの開催などを官民連携で実施する方向性を示している。