名郷直樹

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名郷 直樹(なごう なおき、1961年 - 2026年10月14日)は、日本の医師。自治医科大学を卒業後、へき地医療に従事し、日本における根拠に基づく医療(EBM)の教育・普及に携わった。武蔵国分寺公園クリニック院長、同名誉院長を務めた。

経歴

1961年、名古屋市に生まれる[1]。1986年に自治医科大学を卒業し(9期生[2])、名古屋第二赤十字病院で研修医として勤務した。1988年に愛知県作手村(現・新城市)の作手村国民健康保険診療所所長に就任し、へき地医療に従事した[1]。

作手村での勤務のなかでデイビッド・サケットの『クリニカル・エピデミオロジー』と出会ったことが転機となり、EBMを学んだ[3]。1992年に自治医科大学地域医療学講座に移り、1994年に同助手となった。1995年に再び作手村国民健康保険診療所所長に就任した[1]。

2003年に社団法人地域医療振興協会公益事業部・地域医療研究所の地域医療研修センター長に就任し(2011年まで)、へき地医療を担う医師の育成に携わった。この間、市立伊東市民病院臨床研修センター長(2004年 - 2006年)、東京北社会保険病院臨床研修センター長(2005年 - 2011年5月)を兼任した[1][3]。

2011年、武蔵国分寺公園クリニック(東京都国分寺市)の院長に就任し、2021年に同名誉院長となった[1]。

このほか、臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)理事(2010年 - )、CMECジャーナルクラブ編集長、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)臨床教授(2020年 - )、医師国家試験作成委員(2006年 - 2011年)などを務めた[1]。

2026年10月14日に死去した[4]。

EBMの普及活動

日経メディカルは、名郷について「エビデンスに基づく医療(EBM)の考え方を日本でいち早く取り入れ、普及に努めてきた」と紹介している[5]。1999年に『EBM実践ワークブック』を刊行して以降、『ステップアップEBM実践ワークブック』『その場の1分、その日の5分』など、日常診療のなかでEBMを実践し、教育するための著書を多数著した。また、CMECジャーナルクラブの編集長として文献情報の発信に携わり、武蔵国分寺公園クリニックではEBMを診療の柱に掲げた[1]。

著書

クリニック公式サイトに掲載された著書一覧による[1]。

医学書

  • 『EBM実践ワークブック』(南江堂、1999年)
  • 『続EBM実践ワークブック』(南江堂、2002年)
  • 『行動目標達成のための「問題対応能力」ポイント60』(日本医療企画、2004年)
  • 『EBMキーワード』(中山書店、2005年)
  • 『臨床研究のABC』(メディカルサイエンス社、2009年)
  • 『ステップアップEBM実践ワークブック』(南江堂、2009年)
  • 『風邪クルズス』(メディカルサイエンス社、2014年)
  • 『その場の1分、その日の5分』(日本医事新報社、2015年)
  • 『高齢者のための高血圧診療』(丸善、2020年)
  • 『名郷先生、臨床に役立つ論文の読み方を教えてください!』(日本医事新報社、2025年)

一般書

  • 『人は死ぬ:それでも医師にできること』(医学書院、2008年)
  • 『治療をためらうあなたは案外正しい』(日経BP、2008年)
  • 『後悔したくなければ「医者のいいなり」はやめなさい』(日本文芸社、2013年)
  • 『「健康第一」は間違っている』(筑摩書房、2014年)
  • 『薬で治るというウソ』(ビジネス社、2015年)
  • 『65歳を過ぎたら検診・薬はやめるに限る』(さくら舎、2017年)
  • 『病気と薬:ウソ・ホントの見分け方』(さくら舎、2017年)
  • 『医学の真実、教えますから広めてください』(ライフサイエンス出版、2018年)
  • 『逆説の長寿力21か条』(さくら舎、2019年)
  • 『いずれくる死にそなえない』(生活の医療、2021年)

自治医科大学修学資金訴訟への見解

2025年3月、自治医科大学の卒業生が同大学と愛知県を被告として、修学資金貸与制度の違憲性・違法性を主張する訴訟を提起した。同大学の卒業生である名郷は、日経メディカルのインタビューで「見直すべきとは思えない」と述べ、提訴に反論した[6]。また、日本医事新報の連載「識者の眼」でも、制度は入学する者が承知のうえで成り立ってきたものであるとして、変えるべきは自治医科大学の仕組みではないとの見解を示した[2]。

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 “名誉院長よりご挨拶”. 武蔵国分寺公園クリニック. 2026年11月3日閲覧。
  2. 1 2 “「自治医大のへき地での勤務を義務とする制度が訴えられた件」名郷直樹”. 日本医事新報社. 2026年11月3日閲覧。
  3. 1 2 “地域医療も、EBMも、自分自身で面白くできる―名郷直樹氏(武蔵国分寺公園クリニック)”. キャリアデザインラボ. 2026年11月3日閲覧。
  4. ↑ “名誉院長 逝去のお知らせ”. 武蔵国分寺公園クリニック (2026年10月19日). 2026年11月3日閲覧。
  5. ↑ “緩和ケアを早く始めると寿命が延びるか?”. 日経メディカル. 2026年11月3日閲覧。
  6. ↑ “自治医大の修学資金貸与制度「見直すべきとはどうしても思えない」”. 日経メディカル (2025年6月30日). 2026年11月3日閲覧。

関連項目

外部リンク