恐るべき子供たち
『恐るべき子供たち』(おそるべきこどもたち、Les Enfants Terribles)は、フランスの詩人ジャン・コクトーが書いた中編小説。コクトーの代表作の一つ。
1950年にジャン=ピエール・メルヴィルによって映画化、1979年に萩尾望都によって『恐るべき子どもたち』というタイトルで漫画化されている。
概要
1929年、コクトーが40歳の時に書き上げた小説であり、代表作の一つに数えられる作品。コクトーはこの作品をアヘン中毒の治療のために入院している時に、わずか3週間足らずで書き上げたとされる。エリザベートとポールの姉弟2人だけで暮らす世界が、ダルジュロスという美しい少年との出会いで崩壊して行く物語で、コクトーは己の運命の受諾というテーマを訴えている。コクトーは小説だけではなく、詩や映画・批評などあらゆるジャンルの文学に精通しているが、その中でも『恐るべき子供たち』は古典文学の悲劇を思わせる、最もコクトーらしさが出ている作品といえる。
あらすじ
「子供部屋」という閉鎖空間で狂信的な遊びに耽る姉弟、エリザベートとポールのもとに、ポールの憧れの対象であるダルジュロスに瓜二つの少女アガートが現れたことで、平穏だった共同生活に愛欲という名の毒が混じり始める。
弟を支配し続けたいエリザベートは、ポールとアガートが相思相愛であることを知りながら卑劣な策略を弄して彼女を別の男と結婚させ二人を永遠に引き離そうとする。
そして、ついに嘘が露見した瞬間に絶望したポールが猛毒を飲み、弟の死を悟った姉もまた部屋という名の舞台を完結させるかのように自らの命を絶つことで、誰にも邪魔されない残酷で美しい死の結合を完成させた。
日本語訳
- ※は電子書籍版も刊
- 東郷青児訳、角川文庫 1953年3月 ISBN 978-4041092460。度々改版※
- 鈴木力衛訳、岩波文庫 1957年1月 ISBN 978-4003256619。改版2011年12月
- 佐藤朔訳、「ジャン・コクトー全集3 小説」東京創元社 1980年。他に旺文社文庫、グーテンベルク21※(電子出版)
- 高橋洋一訳、求龍堂 1995年7月 ISBN 978-4763095244
- 中条省平・中条志穂訳、光文社古典新訳文庫 2007年2月 ISBN 978-4334751227
- 村松潔訳『恐るべきこどもたち』新潮文庫 2025年10月 ISBN 978-4102178027
映像化
- 1950年、ジャン=ピエール・メルヴィルによって『恐るべき子供たち』のタイトルで映画化された[1]。コクトー自身がナレーションを務めている[1]。
漫画化
萩尾望都による漫画化作品が『月刊セブンティーン』(集英社)1979年5月号から8月号に連載された。
- 『恐るべき子どもたち』(セブンティーンコミックス) 1980年5月 集英社 ISBN 978-4088541297
- 萩尾望都作品集(第2期)第7巻『恐るべき子どもたち』 1985年2月 小学館 ISBN 978-4091780270
- 『恐るべき子どもたち』 1997年5月 小学館文庫 ISBN 978-4091910196
脚注
- 1 2 “恐るべき子供たち(1950)”. allcinema. スティングレイ. 2025年5月18日閲覧。