感電危険注意を促す意匠。高圧又は特別高圧の電気施設などに表示される。

感電(かんでん)とは、電撃(でんげき)、電気ショックとも呼ばれ、電気設備や電気製品の不適切な使用、電気工事中の作業工程ミスや何らかの原因で人体または作業機械などが架線に引っかかる等の人的要因[1]、或いは機器の故障などによる漏電や自然災害である落雷などの要因によって人体に電流が流れ、傷害を受けることである。人体は電気抵抗が低く、特に水に濡れている場合は電流が流れやすいため危険性が高い。軽度の場合は一時的な痛みやしびれなどの症状で済むこともあるが、重度の場合は死亡(感電死)に至ることも多い。高圧又は特別高圧の電気施設などには電気設備に関する技術基準を定める省令第23条に危険表示等の安全対策をすべきことなどが定められており、罰則はないが通常JIS規格[2]に基づく標識が使用される。

危険性による分類

感電の危険性は電圧、電流、周波数、通電経路によって異なる。

また、危険性は通電時間によっても異なる。低電流でも長時間の通電により感電することがある一方、高電圧の場合、無条件反射によって筋肉が瞬間的に収縮し、そのまま手などの感電部分が離れなくなることがある。一方、感電の衝撃で人体が跳ね飛ばされることによって、稀に大事故を免れる事例がある。

人体・動物に与える影響

高圧線事故での重傷度Ⅱ度熱傷
国際電気標準会議(IEC)『IEC 60479-1人間及び家畜に対する電流の影響』から、左手から足に電流が流れている時間Tと交流電流Iの影響を示したグラフ。
* AC-1:ほぼ知覚できない
* AC-2:知覚できるが筋反応なし
* AC-3:不随意の筋収縮
* AC-4以降、心室細動を起こす可能性が上昇していく。

感電が身体に与える影響として次が挙げられる。なお、落雷による外傷に関しては、落雷および雷撃傷を参照。

内臓
メンタル

高周波電流は人体に与える危険が少ないため、電気メスや、人体に微弱な高周波電流を意図的に流し刺激を与えて疲労回復などを図るマッサージ機器や電気風呂などに応用されている。また、スタンガンなど人為的に電気ショックを与える装置にも用いられる。ただし、電磁波による障害と同様に、長期間の暴露に対する危険性は解明されていない点が多い。

当然、ヒト以外の生物でも感電することは起き、上で述べた様な鳥類の他にも、たとえばクマやサルなどの野生動物が町や村に迷い込んで電柱に登り、通電中の電線に接触して感電し負傷・死亡してしまう事態は散発的に起きている。また、1990年代の競走馬のシーキングザパールは、競走馬引退後に繁殖牝馬として繋養されていた牧場で、落雷により感電死した。家庭で飼っているペット(特にネコやイヌ)がコードを噛んで感電する事故もあるので注意しなければならない。

なお水中や雨等で体が濡れていると、人体の表面抵抗が低下する。したがって、スマートフォンや携帯電話のバッテリーのほか、アルカリ電池などの様な比較的低電圧でも感電死する。仮に水中で感電した場合、筋肉の弛緩で泳げなくなるほか、身動きが取れずに溺死することもある。

植物・キノコに与える影響

シイタケやナメコなどの一部のキノコに雷のような刺激を加えると収量が増えることが確認されている[9](原木栽培で叩く刺激でキノコの出来を促進する方法をしけ打ち、打木刺激という[10])。ダイコンでも電撃を加えると芽が早く出る事が確認された[9]。

落雷が木に落ちると発火して山火事が起きる[11]。

対策

予防対策

感電事故発生時の対策

低電圧時の対応、絶縁対策を施したうえで速やかに安全な場所に移動させる。高電圧の場合は、緊急電源停止スイッチやブレーカー操作後に救助を行う。心肺が停止していれば、心肺蘇生法を行う。

感電している者を救護する際には、救護者が二次被害に巻き込まれないよう、絶縁を確保することが重要である。安全を確保しないまま、手で掴んで動かそうとすると、自分も感電して筋肉が硬直し外せなくなることがある。

電源が切れないとき、ゴム製の用品を身につけていないとき、木の棒やビニールひもなど、身近にある電気を通さないものを使って救護する。救急隊員や医師の指示に従いながら、いつ、どこで、どれぐらいの電気に、どれだけの時間、どの部位が感電したのかをわかる範囲で伝える。

なお、感電時はドロップキックや裏拳で弾き飛ばすのが良いという俗説がある。しかしながら、これは自身や周囲の人間も感電する可能性が高いうえ、ドロップキックの衝撃で二次災害(骨折・打撲等)へとつながりやすいので、行うべきではない。また、高圧での感電では、安全靴やスニーカー、通常の長靴の底ゴムではほとんどといっていいほど無力なので、決して行ってはいけない。

静電気による感電

特に空気が乾燥している条件では、電源からの電荷の供給が無くても、摩擦電気の蓄電による静電気が人体に対して放電し、電気ショックを感じることがある。感じ方は人によって差があるが、これも非常に弱い感電の一種である。静電気は電気量が少ないため、大容量のライデン瓶、ヴァンデグラフ起電機など特別な場合を除いては人体への危険はほとんど無い。

自動車のボディーへの接触、衣類を脱ぐ時などが、静電気による感電の代表的な例で、放電音や閃光を発することが多い。電気ショックを防ぐには、下記の方法が知られている。

感電事例

感電の研究、法整備

利用事例

電気ショックガム

脚注

  1. 1 2 電線の近くのクレーン作業では特にこの点に気をつけましょう - 日本クレーン協会
  2. ↑ JIS Z 9104:2005 安全標識−一般的事項 並びに 附属書 1 (参考)JIS Z 8210 案内用図記号抜粋集、附属書 2 (参考)ISO 7010 図記号集
  3. ↑ “電撃傷”. 日本救急医学会. 2012年9月10日閲覧。
  4. ↑ “雷撃(熱)傷 lightning burn(injury)”. 帝京大学救命救急センター 鈴木 宏昌. 2012年9月10日閲覧。
  5. 1 2 大橋, 正次郎「電撃傷」、安全工学会、1977年2月15日、doi:10.18943/safety.16.1_36。
  6. 1 2 “電撃傷のとき|家庭の医学|時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト”. medical.jiji.com. 2022年9月27日閲覧。
  7. ↑ Wesner, Marni L.; Hickie, John (2013-9). “Long-term sequelae of electrical injury”. Canadian Family Physician 59 (9): 935–939. ISSN 0008-350X. PMC 3771718. PMID 24029506.
  8. ↑ Pliskin, N. H.; Meyer, G. J.; Dolske, M. C.; Heilbronner, R. L.; Kelley, K. M.; Lee, R. C. (1994-05). “Neuropsychiatric Aspects of Electrical Injury: A Review of Neuropsychological Research” (英語). Annals of the New York Academy of Sciences 720 (1): 219–223. doi:10.1111/j.1749-6632.1994.tb30450.x.
  9. 1 2 落雷でキノコの収穫量が増加 ナショナルジオグラフィック 更新日:2010.04.12 参照日:2021年10月7日
  10. ↑ 菌床シイタケ栽培におけるコストダウンに関する研究 サイト:群馬県 著:川島祐介 群馬林試研報14(2009)
  11. ↑ 北極圏での落雷のリスク、森林火災多発と永久凍土溶解の懸念 研究 AFP通信
  12. ↑ “冬の静電気を簡単に逃がす3つの方法”. ウェザーニュース. 2018年5月20日閲覧。

関連資料

関連項目

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