時間は存在しない

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時間は存在しない
L'ordine del tempo
著者 カルロ・ロヴェッリ
訳者 冨永星
発行日 2019年08月29日 (日本語版)
発行元 NHK出版 (日本語版)
ジャンル ノンフィクション
国 イタリア
言語 Italian
形態 文学作品
ページ数 240ページ(日本語版)
コード 978-4-14-081790-2
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『時間は存在しない』(じかんはそんざいしない、伊:L'ordine del tempo、英:The order of time)[注釈 1]はイタリアの量子重力理論が専門の物理学者カルロ・ロヴェッリによる物理学における時間に関する書籍である[1][2][3][4][5]。Benedict Cumberbatchによるオーディオブック版(4時間19分)も存在する[6]。

構成

本書は相対性理論、時空、ループ重力理論、熱力学に関する三部で構成されている。第一部「時間の崩壊」では4次元空間である時空について説明される。そこではルートヴィヒ・ボルツマンのエントロピー増大則やその熱力学的な役割、ベイズの確率理論について議論される。著者はそれらを「未来と過去を分ける唯一の基本的物理法則」として、時間の矢や絶対時間は失われたと結論付けている[4]。

第二部「時間のない世界」では、著者は宇宙を形成するものは粒子ではなく出来事であるとし、ループ量子重力理論における時間の概念を説明する。第三部の「時間の源へ」では、時間の概念は世界の微視的な詳細部分を観測することが不可能であり、世界を粗視化して見ていることから生じているという仮説が提示される。

評価

ガーディアン紙の書評で、イアン・トムソンは本書を明晰な執筆や翻訳であるとして評価しており、ロヴェッリが2014年に執筆した「世の中ががらりと変わって見える物理の本(英語版)」と比較して、より深く難解な知識を専門用語なしに解説していると評価している[2]。天文学者のアンソニー・アギーレ(英語版)は全体的に評価するレビューを寄せているが、本書の一部は専門的過ぎるところと厳密性にかけるところの差が激しいと批評している[7] 。リテラリー・レヴューではロヴェッリの複雑で解きに説明が困難な概念をわかりやすく提示する能力が適示され、「簡潔でありながら奥深さを確信させる」と評価されている[8]。

養老孟司は本書を渡辺慧が過去に生物の合目的性と熱力学第二法則について行った議論と関連付け、生物が生きるためには時間はエントロピーが増大する方向でなければならないということを納得させるものであったと考察している[9]。

映画

2023年に自由着想された映画が公開された[10]。リリアーナ・カヴァーニが監督をつとめ、脚本はカヴァーニとパオロ・コステラ、ロヴェッリ自身との共同で制作された。映画では海岸のヴィラで旧友が再会し、世界は数時間で終焉するとわかる、と言うストーリーが語られる[11]。

脚注

注釈

  1. ↑ 原題を直訳すると「時の順序」が近く、「時間は存在しない」はかなり意訳されている。また後述する映画のタイトルは「時の順序」とされている。

出典

  1. ↑ Peschel, Joseph (June 22, 2018). “Review | A physicist explains the 'greatest remaining mystery': The nature of time”. The Washington Post (英語). 2018年8月28日閲覧.
  2. 1 2 “The Order of Time by Carlo Rovelli review – a worthy heir to Stephen Hawking” (英語). The Guardian (2018年4月24日). 2018年8月28日閲覧。
  3. ↑ Banville, John (May 12, 2018). “The Order of Time review: Where physics and philosophy meet”. The Irish Times. 2018年8月28日閲覧.
  4. 1 2 Jaffe, Andrew (April 2018). “The illusion of time” (英語). Nature 556 (7701): 304–305. Bibcode:2018Natur.556..304J. doi:10.1038/d41586-018-04558-7.
  5. ↑ “'The Order of Time' Review: Stop All the Clocks”. Wall Street Journal (2018年6月1日). 2018年8月28日閲覧。
  6. ↑ “Benedict Cumberbatch Meets Albert Einstein in Carlo Rovelli's New Audiobook” (英語). The New York Times (2018年5月14日). 2018年8月28日閲覧。
  7. ↑ Aguirre, Anthony (February 2019). “Is the future as real as the present?” (英語). Physics Today 72 (2): 60–61. Bibcode:2019PhT....72b..60A. doi:10.1063/PT.3.4146. ISSN 0031-9228.
  8. ↑ Crumey, Andrew (2018年3月28日). “More Naples Than Singapore”. Literary Review. 2026年10月28日閲覧。
  9. ↑ 養老孟司「『時間は存在しない』(NHK出版)」『ALL REVIEWS』2020年3月19日。2026年10月9日閲覧。
  10. ↑ “L'ordine del tempo: il trailer del film di Liliana Cavani presentato a Venezia 80” (イタリア語). The Hollywood Reporter Roma. (1 August 2023) 2023年8月14日閲覧。.
  11. ↑ De Marco, Camillo (2022年10月3日). “Liliana Cavani is back on set shooting L'ordine del tempo”. Cineuropa. 2023年8月13日閲覧。

参考文献

書誌情報

  • イタリア語版(原著) - Carlo Rovelli (2017). L'ordine del tempo. collana Piccola biblioteca Adelphi. Adelphi. p. 207. ISBN 978-88-459-3192-5 
  • 英語版 - Carlo Rovelli Erica Segre, Simon Carnell訳 (2018). The Order of Time. Penguin Books. p. 224. ISBN 978-0-241-29252-5 
  • 日本語版 - カルロ・ロヴェッリ(著)『時間は存在しない』冨永星(訳)、NHK出版、2019年。ISBN 978-4-14-081790-2。

外部リンク