節税(せつぜい、Tax Saving、Steuerersparung)または租税節約とは、租税法の想定する範囲で租税負担を軽減・排除する行為である。

節税の根拠となるものには、法令や国税庁の解釈通達のほか、税務慣行と呼ばれるものがある。例えば、重要性が低いために細かい手続きを踏まなくてよいとされるような慣行である。これらの中に節税の糸口がある事が多い。ただし、明文化されていないものの中には、脱税とも考えられるようなあいまいなものもあるため、法令や解釈通達を確認したり専門家に相談したりして備える事が重要となる。

課税の基本と、節税の考え方

法人税法や所得税法など直接税の場合、まず決算等により利益額を確定して、利益額が確定した後に『加算』『減算(所得税法だと所得控除)』と呼ばれる税法に則った計算処理を行って、課税所得を算出する。その課税所得に特殊な加算等(重加算等)を再度行い、税率を掛けて税額を計算した後に、税額控除を行って納税額を確定する。つまりこれらポイントにおいて、合法かつ納税上有利な処理を施す事が直接税の節税といえる。大別して、利益の繰延行為等(一時節税行為)と根本的節税行為(永久節税行為)に分けられる。利益の繰延行為等とは、決算書の利益を一時的に低減させる行為であり、課税所得は中長期において合計額が一致するために、長期的な節税に結びつきにくい。決算書を歪めやすく、信用を重視する企業は注意が必要である。根本的節税行為は課税所得を低減させたり増加させなかったり税額控除を用いるものであり、課税所得等が中長期において低減するものが多い。

消費税法で、一般方式においては、法律上の課税とされる売上取引の国税分(6.3%)から、貸倒にかかる消費税額と、課税とされる仕入取引の国税分(6.3%)を差し引き、国税の消費税を計算して、地方税はその17/63(1.7%部分)を計算して、総額を算出する。また簡易課税方式(基準期間の課税売上高で制限あり)においては、課税とされる仕入取引の国税分を概算で計算するが、課税売上の事業区分によってその算定方法は異なる。一般方式や簡易課税方式により税額は異なるし、課税仕入とされる仕入取引を有利な判定にしたり、簡易課税の事業区分を有利に判定する事で、消費税額を減らす事が可能である。

類似の概念との違い

租税回避
節税が租税法の予定している方法により租税負担を軽減・排除する行為であるのに対し、租税回避は、租税法や社会通念が想定していない形式を選択することによって租税負担を軽減・排除する行為である[1]。ただし、節税と租税回避は、租税負担を軽減・排除する行為であるところに共通性があることから、その境界は必ずしも明確ではなく、その区別は社会通念によって決めることとなり[1]、また、租税回避は法令においてそれを禁止する規定がない限りは承認されていることとなる[2]。そのため、租税回避については、租税回避があった場合にその納税者の選択した形式を無視して通常の形式に対応する課税を行う規定(租税回避行為の否認)が、一部の租税法に定められている[3]。
脱税
節税が租税法の予定している方法により租税負担を軽減・排除する行為であるのに対し、脱税は「偽りその他不正の行為(国税通則法第38条第6号)」により租税負担を免れる行為である[2]。節税と租税回避の区別とは異なり、節税と脱税は合法か違法かという点で明確に区別される[4]。

節税例

法人の節税例

法人の節税の例を次に挙げる(注意点として以下を留意。まず経営において必ずしもプラスであるとはいえない。例えば企業会計基準等の適正性を欠いたり、信用毀損を生じさせたり、キャッシュフローの観点等により、利益の繰延行為は経営に不利になる可能性がある。取引先を巻き込む場合に相手方に不快な思いを抱かせるものもある。また、納税の減額という性質上、直接税においては所得が小さい(赤字など)の場合には意味がないものも多い。明文化されていない金額基準を挙げるなどの税務慣行も紹介されているが、厳密にはグレーゾーンのきわどいものもある。実際に処理する場合には、法令や解釈通達を確認したり、専門家等の指示を仰ぐのが適当といえる。特に、カッコ書き内に※印があるものは、明文上の規定等が無いものや、租税回避行為に近いもの等であり、特に注意を要する場合に付している)。

法人および個人共通の節税例

個人の節税例

日本では国民の多数を占める給与所得者の所得税(及び地方税)が雇用者の年末調整で計算・精算されるため、国民の納税意識が低く、一部高額所得者を除いて節税への関心は必ずしも高いとは言えなかったが、消費税導入後は目に見える形での納税を実感する傾向にある。またフリーランスの増加により確定申告時の節税を指南する書籍やウェブサイトも登場している。

節税商品

税金を下げるための商品開発が行われる事例も存在する。

脚注

[脚注の使い方]

出典

  1. 1 2 金子 2019, p. 135.
  2. 1 2 清永 2013, p. 44.
  3. ↑ 金子 2019, pp. 137–138.
  4. ↑ 鈴木 2018, p. 6.

参考文献

関連項目

外部リンク

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