自動給炭機

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自動給炭機(じどうきゅうたんき)とは、蒸気機関車や蒸気船などの蒸気機関のボイラーに燃料である石炭を供給する装置である。[1]。英語では、ストウカー(stoker)である。ストーカー(stalker)と区別。

概要

炭水車からスクリューで石炭を運転室まで搬送し、蒸気で火室(英語版)内に飛ばした。

1899年、アメリカのチェサピーク&オハイオ鉄道の機関士J.W.キンケイドが開発、テストし、1901年に商品化した。このキンケイド式は、アメリカの鉄道業界誌「Railway Gazette」5月24日刊の記事から、キャブに取り付けるもので、火室への投炭を機械化。バスタブのようなペイルに、人間が石炭を入れるものだったことから、人間のstokerストウカー(くべる人)と区別するために、メカニカル・ストウカーと呼んだ。後に、テンダーから直接、スクリューのコンベアーで火室へ石炭を運ぶタイプが開発されて、自動化。オートマティック・ストウカー、自動給炭機になる。[2]>

いいお かずおによると、「1890年代にSLの巨大化が始まったアメリカでは、投炭が一人の機関士助手では追いつかなくなり、ボイラー管理がおろそかになったことから、ボイラー爆発事故が増えていた。自動給炭機は、ボイラー爆発事故を減らすために必要だったとする。そのため、自動給炭機は、1938年には、法律で、大型のSL全てに搭載が義務付けられた。これにより、1939年4月15日以降に製造される貨物用は、動輪上重量78.8トン以上、旅客用は、動輪上重量72トン以上の蒸気機関車すべてが対象となる。既存の該当蒸気機関車は、最初のオーバーホール時に搭載をしなければならなくなった。[3]>

日本では、当時最大、最強のD52で、初めて搭載されるが、ゲージが狭いため、アメリカのフル・サイズではなく、小型化されていた。D52の動輪上重量は65トン程度。狭いゲージのため、搭載の必要がないことがわかる。また、日本のSLには、自動給炭機とともに使われたテンダー内の石炭を前に押し出す装置、コール・プッシャー搭載の形跡がない」としている。[3]>

日本では蒸気機関車用の自動給炭機は、1948年製のC62形、C61形を嚆矢として、戦時型のD52形についても、標準型への装備改造時およびD62形への改造時に装備された。熱量の低い石炭を使用する常磐線用のD51形の一部にも搭載された。

C61 20の復元時には、現在使用されている石炭の品質が良く熱量が高く、現役時代に比べて余裕のある運転のため自動給炭機が必須となる程の投炭量ではないこと、重油併燃を行うこと、積車ブレーキ率による制動距離を確保するための軽量化、D51 498と同等の運行技術を継承する目的、およびストーカー機器類による投炭作業性悪化の懸念、そして自動給炭機そのものの腐食が激しかったため復元が極めて困難だったことにより[要出典]取り外された[4]。

利点

機関助士は投炭の重労働から解放されることになった。各国で火格子面積の大きい蒸気機関車には必須とされた。

日本での自動給炭機の使用は、アメリカから40年遅れ、かつ、搭載された車両数が少なかったため、その利点が広く理解されていないが、数多くの利点があった[2]。

アメリカの鉄道業界紙「レイルロード・ギャザット」の1901年5月24日刊には、

・ファイア・ボックス(火室)内のブリック・アーチ不要、ファイア・ドア(火室扉)を開けずに済むため、空気が入って、一時的に火力が強くなることがない。

同紙の同年7月26日刊には、ファイアマン(機関士助手)からの手紙として、

・燃料節約、やっかいな煙を解消するための、唯一の方法といえる。実用的なストウカーを使うことで、どんなに大型の蒸気機関車であっても、手ではできないほどに、石炭を均一、かつ、うすくまくことができる。石炭は、より細かく、ほとんどすべてが、下に落ちる前に着火する。手でくべるとかなりの量が、燃えることなく、グレイトに落ちる。

1905年3月に、「アメリカン・エンジニア・アンド・レイルロード・ジャーナル」に、

・煙を減らす、ファイア・ドアを閉めていられるためにファイア・ボックスの寿命を延ばす、より安定した蒸気圧がえられる、より低品質の石炭を使うことができる可能性がある。

「レイルロード・ギャザット」の1905年6月9日刊には、

・ メインテナンスが楽で、5ケ月間、メインテナンス費用、実質上ゼロ。

同紙の1905年6月23日刊には、

・ビッグ・フォー(鉄道会社名)で、最初にメカニカル・ストウカーをテストしてから、4年になる。半年ほど前に、わが社の大型旅客用蒸気機関車7機に搭載したところ、現場から、あがってきたアドバイスによると、かなりの石炭節約が確認された。また、弱い火で、よりクリーンな、より安定した火力、ボイラーの圧力が可能になった。メインテナンスの主なコストは、潤滑油の不適切によるものだった。

 メカニカル・ストウカーには、三つの利点がある。

 1 実用的で、効率がいい

 2 シャベル投炭では使えない、品質の低い石炭を使えるので、大幅な燃料費削減ができる

 3 ファイアマンを投炭から解放することで、信号に注意することなどができ、機関士昇進に役立つ勉強になる。[2]>

欠点

給炭機に個体差があり、それを把握して使用する必要があった。構造が複雑で保守が必要。

また、炭水車から運ばれる間に石炭が砕かれて粒径が小さくなり、石炭の粒子(シンダ)が煙突から噴出する。エネルギー損失が増えるだけでなく、運転士や乗客にシンダが降り注いで乗務・利用環境の悪化にもつながったほか、燃えかけのシンダによって沿線火災が発生することもあった。

操作方法

ストリート社のHT、HT1、HT2の操作 

ストウカーの始動

ストウカー・エンジン・リバース・バルブ確認

ストウカー・エンジン・リバース・バルブは、機関士助手席、あるいは、テンダーの左前に位置する。

前進、後進の位置は、レバーのそばにあるプレートに書かれている。

タイプHTとHT-1は、レバーをおろした位置が前進。上げた位置が後進。中央位置は、ニュートラル。

タイプHT-2は、レバーを上げた位置が前進。おろした位置が後進。

タレット・バルブを開け、ストウカー・エンジンとジェット・マニフォルド・ラインに蒸気を送る。

インターミディエット・ジェット・バルブを開け、ジェット・マニフォルドに蒸気を送る。

ゆっくりとストウカー・エンジン・スロットル・バルブを開け、露をオートマチック・ドレイン・バルブから逃がす。

スロットル・バルブは、ストウカーの速度をコントロールする。

設定は、石炭の大きさ、品質、状態、さらに、牽引重量、速度による。

エレベーター・パイプにあるピープホールから中を覗いて、石炭量を見て、ストウカーの速度を調節する。

確認が終わったら、ピープホール・カバーは閉める。

ボイラーの圧力を維持するに足りる深さに石炭をくべる速度に調節する。くべすぎないこと。火は軽くする。

ジェット・バルブを調整する。

ストウカー・エンジン・ゲージで、圧力を見る。このゲージは、ストウカーのスピードを知るのに役立ち、火室に均等な石炭量を送ることを維持できる。

ボイラーの圧力が落ちると、ストウカーのスピードも変化する。

ストウカー・エンジン・ゲージの針は少し揺れるが、ボイラーの圧力と同じ所まで上がり、とどまるようなら、ストウカー・エンジンがストールしている。これは、テンダー内のクラッシャーの所で、詰まった時によく起きる。

詰まった時は、ストウカー・エンジンのレバーを後進に入れ、スクリューを、五、六回、回転させる。

レバーを前進に入れる。まだ、動かない時は、リバース操作を何度か繰り返す。

スクアート・ホースで、コンベアー部に水をかけることで直ることもある。

直らない場合は、レバーを後進に入れ、スクリューを、四、五回、回転させてから、手で取り除く。

この際、スロットル・バルブとブースター・バルブを閉め、リバース・レバーをニュートラルに入れる。

ストウカー・ジェットの調節

調節前に火加減を確認。ディストリビューティング・テーブルとスモーク・コンシューマー・ホールから、火の上部の距離を割り出し、深さを把握する。

スモーク・コンシューマー・ホールは、グレイトから約20インチある。火の深さは、10インチ以下であるべき。

ジェットの圧力は、石炭の質と状態で決まるので、石炭をチェックする。

ストウカー・エンジン・スロットル・バルブを開け、ストウカー・エンジンに蒸気を送る。適切なボイラー圧力の得られるだけの速度に設定する。

インターミディエット・ジェット・バルブをゆっくりと開ける。

インターミディエット・ジェット・バルブと五つのジェット・バルブは、いきなり全開にすると、ジェット・プレートの損傷を招くので、注意。

機関車が出発する前に、五つのジェット・バルブを一つづつ開けて、正常動作を確認する。

ジェットの穴が詰まっていることもある。この場合、詰まっている穴のジェット・バルブ以外はすべて閉め、詰まっている穴のジェット・バルブを全開にして、詰まりを解放する。解放できない時は、ジェット・フックを使う。

左後ろと記された左上のバルブを調節する。

右後ろと記された右上のバルブを調節する。

後部の角は、石炭が不足しやすい。

左前と記された左下のバルブを調節する。

右前と記された右下のバルブを調節する。

デュプレックス・ゲージの赤い針は、左前、黒い針は、右前のジェット圧力を示す。

左後ろと右後ろ用のゲージはない。

中央のバルブを調節。このバルブはファイン・コール・ジェット・ラインと呼ばれ、火室の前と中央部分へ細かい石炭を吹き飛ばす。スティーム・ゲージをみて、最低の圧力、15から25ポンドで行う。

頻繁に火を見ること。特に、ジェット・バルブを調整した後は、石炭が均等にまかれていて、深さが同じであることを確認する。

ボイラーの圧力計を常時、チェックする。ボイラーの圧力変化に応じて、インターミディエット・ジェット・バルブを調整する。

ターミナルに着いたら、ストウカー・エンジン・レバーをニュートラルに入れ、ストウカー・エンジン・スロットル・バルブとジェット・バルブを全て閉める。[2]>


資料

脚注

  1. ↑ Stoker - Weblio(更新日不明)2019年1月12日閲覧
  2. 1 2 3 4 いいお かずお『安全装置だった自動給炭機』edu comics press、2024年。
  3. 1 2 いいお かずお『官営鉄道疑惑 太平洋戦争の根源』Driving Wheel Books、2025年、P345-353頁。
  4. ↑ “38年ぶりに復活、C61形蒸気機関車”. 朝日新聞デジタル. 2024年2月21日閲覧。