近鉄16400系電車

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近鉄16600系電車
16400系(前2両 旧塗装)
(2014年4月2日)
基本情報
製造年 1996年
製造数 4両
運用開始 2010年6月1日[1]
投入先 南大阪線・吉野線
主要諸元
編成 2両(1M1T)
軌間 1,067 mm(狭軌)
電気方式 直流1,500 V(架空電車線方式)
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
編成定員 99人
自重 Mc:43.0 t
Tc:38.0 t
車両定員 Mc:47名
Tc:52名
全幅 2,800 mm
車体 普通鋼
台車 積層ゴムブッシュ軸箱支持方式ボルスタレス台車
Mc:KD-310[2]
Tc:KD-310A[2]
主電動機 かご形三相交流誘導電動機
三菱電機製 MB-5071-A
主電動機出力 160 kW
駆動方式 WN平行カルダン方式
歯車比 6.31
編成出力 640 kW
制御方式 IGBT型VVVFインバータ制御
制御装置 日立製作所製 VFI-HD2420A
制動装置 電気指令式電磁直通空気ブレーキKEBS-2
備考 電算記号:YS
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近鉄16400系電車(きんてつ16400けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道が1996年(平成8年)に導入した南大阪線・吉野線向け特急車の形式である。

解説の便宜上、本項では大阪阿部野橋方先頭車の車両番号(車号)+F(Formation=編成の略)を編成名として記述する(例:ク16501以下2両編成=16501F)。

概要

22000系「ACE」の狭軌仕様車で、南大阪線・吉野線の大阪阿部野橋駅 - 吉野駅間で運行される吉野特急用に投入された。

16000系初期車4両の廃車代替として、2両編成×2本が製造された[3][4]。

車両概説

車体

車体は標準軌線の22000系に準じている。前面形状は卵型として正面窓に曲面ガラスを使用し、正面の貫通路にはスイング式の貫通扉が設けられた[3]。側面の客用扉も22000系と同様のスライド式プラグドアで、客室の側窓は連続窓である[3]。電動車のモ16400形は連結面側に客用扉が設置されていない[5]。

塗装も22000系と同様にオレンジとブルーのツートンで、オレンジをベースに客室の連続窓部分をブルーで塗り分けている[3]。ク16500形の連結面寄り車端部には窓のない部分に8本のストライプを配し、車両愛称の「ACE」の頭文字「A」をアレンジしたアクセントが入れられた[3]。

車内設備

基本的には22000系と共通であるが、本系列は中間車を組入れることを前提としないため、車椅子対応設備は制御車両に設けられた。車椅子用座席は22000系と異なって1脚のみである[3]。このため片側は通常の2人掛け席となったが、その分ドア側に飛び出し、出入を妨げるためにドア位置が1人掛け席側にオフセットされた。また、22000系には車内販売準備室を設置しているが、吉野特急では本系列の竣工時点で車内販売は廃止されていたことから省略されている。

トイレは男性用と車椅子対応の多目的型をク16500形に設置した。汚物処理装置は23000系に引き続いて真空式となった[3]。

主要機器

モ16400形に主制御器、制動装置、東洋電機製造PT-48下枠交差式パンタグラフを2基設置し、ク16500形に補助電源装置、空気圧縮機、汚物処理装置(真空式に変更)を設置している。

制御装置は近鉄では初めてIGBT素子によるVVVFインバータ制御を採用している[5]。IGBT素子は従来のGTOサイリスタ素子と比較して素子の高速スイッチングが可能であり、この特性を生かして中低速で走行時のインバータ制御特有の電動機のうなり音の低減を実現し、主回路全体の小型軽量化を図っている[3]。

南大阪線・吉野線では2両編成での単独運用が多いため、インバータ装置1基で主電動機2基ずつを制御する1C2M制御回路の2群構成とし、一方の回路が故障した場合でも自力走行を継続可能として保安度の向上を図っている[3]。

主電動機は1時間定格出力160 kWのかご形三相誘導電動機である三菱電機MB-5071Aを搭載する[3]。歯車比も狭軌線用VVVFインバータ制御車と同一の16:101(6.31)に設定され、16000系において南大阪線系統向け一般車である6000系と共通の電動機・歯数比とした設計コンセプトが踏襲されている。

台車は、22000系用KD-304を基本に狭軌用に設計変更したボルスタレス形積層ゴム支持台車である近畿車輛製KD-310を装着する[3]。竣工当初はヨーダンパが装備されていたが[2]、後に撤去されている。基礎ブレーキ装置は踏面片押ブレーキのみとなっており、当初はク16500形のみ制輪子は鋳鉄制輪子となっていたが[2]、後に合成樹脂制輪子に交換されている。

ブレーキは22000系と同様に回生ブレーキ併用のKEBS-2電気指令電気演算式電磁直通ブレーキを採用した。電気指令式ブレーキを基本とするが、HSC-D型電磁直通ブレーキを搭載する16000系・16010系と併結運用を実施するため、空気圧指令と電気信号指令を相互変換するブレーキ読替装置を搭載する。22000系と異なり電動車にディスクブレーキは装備されていない。

勾配の多い吉野線で運用されることから、22000系と同様に抑速回生ブレーキの失効対策として電動車の床下に抵抗器を搭載、回生ブレーキの失効時には即座に架線から抵抗器へ回生電力の送り込み先を変更し、発電ブレーキとして機能するように設計されている。

形式・編成

編成はモ16400形(Mc)- ク16500形(Tc)の2両固定編成となっている。電算記号(編成記号)は「Yoshino」「Short」に由来する YS である[6]。16000系・16010系とは編成の構成が逆になっており、Mc車が吉野方を向いている(後継の16600系も同様)。

必要に応じて南大阪線では2両・4両・6両・8両編成で、吉野線では各特急停車駅のプラットホーム有効長の制約から2両・4両編成でそれぞれ運用される。なお、編成に当たっては26000系「さくらライナー」・16200系「青の交響曲」以外の南大阪線・吉野線用特急車各系列も混用される。このため、例えば大阪阿部野橋駅を6両編成で出発した吉野行き特急は、橿原神宮前駅で2両を切り離し4両編成として吉野へ向かい、4両で吉野駅から橿原神宮前駅へ到着した大阪阿部野橋行き特急は、必要に応じ同駅で2両ないしは4両を増結し大阪阿部野橋駅へ向かうこととなる。

凡例
  • CONT:制御装置(VVVFインバータ制御)
  • SIV:補助電源装置(静止型インバータ)
  • CP:空気圧縮機
  • BT:蓄電池
  • ◇:集電装置(下枠交差式)
16400系編成表[7][8][9]
← 大阪阿部野橋
吉野 →
形式  
ク16500
(Tc)
 ◇
◇ 

モ16400
(Mc)
定員 47[注 1]52
車内設備 多目的トイレ
洗面所
車椅子対応席
喫煙室
搭載機器 SIV
CP
BT
VVVF
自重
(t)
38.043.0

改造工事

車体連結部の転落防止幌設置

2012年(平成24年)末に全編成に車体連結部の転落防止幌設置が行われた。

車体更新

車体更新が施工された編成
(2016年11月30日)

2015年(平成27年)3月に16401F[10][11]、9月に16402Fが高安検修センターにて以下の改造内容で車体更新を完了した[12]。

車内設備ではモ16400形の喫煙室設置[10][12]、26000系更新車に準じた内装材の交換[11]、トイレの改修[11]が中心となっている。車体外観では前照灯のLED化[11]、先頭連結部の注意喚起装置の設置[11]、乗務員支援用モニタの配置の変更、電気連結器の変更およびそれに伴う排障器形状の変更[11]が行われた。

塗装変更

新塗装化された編成
(2019年10月14日 高鷲駅 - 藤井寺駅間)

2015年(平成28年)に近鉄から一部の汎用特急車両に対する車体塗装変更が発表され[13]、本系列では2018年(平成30年)に実施された[14]。

運用

2025年(令和7年)4月1日現在、2両編成×2本の合計4両が古市検車区に配置されている[7][8][9]。

1996年(平成8年)3月に2編成が竣工、同年4月16日より試運転を開始し[15]、同年6月1日より営業運転を開始した[3]。

編成表

2025年(令和7年)4月1日現在[7][8][9]

← 大阪阿部野橋
吉野 →
電算記号 ク
16500

(Tc)
モ
16400

(Mc)
竣工車体更新備考
YS01 1650116401 1996/032015/03/23[12]
YS02 1650216402 2015/09/09[10][11]

脚注

注釈

  1. ↑ うち、車椅子対応席が1席。

出典

  1. ↑ 「南大阪、吉野線に新型特急「ACE」近鉄、来月1日デビュー」-『交通新聞』、P.1、交通新聞社(1996年5月20日)
  2. 1 2 3 4 「KD310 KD310A/近畿日本鉄道16400系ACE」-『鉄道ホビダス(資料館 台車近影)』、ネコ・パブリッシング(2005年11月15日)
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 『鉄道ファン』1996年8月号、PP.49-52
  4. ↑ 林基一「近畿日本鉄道 現有車両プロフィール2018」-『鉄道ピクトリアル』2018年12月臨時増刊号、P.264
  5. 1 2 林基一「近畿日本鉄道 現有車両プロフィール2018」-『鉄道ピクトリアル』2018年12月臨時増刊号、P.265
  6. ↑ 『鉄道ファン』2000年9月号、P.55
  7. 1 2 3 「別冊付録 大手私鉄車両ファイル」-『鉄道ファン』2025年8月号
  8. 1 2 3 『私鉄車両編成表2025』、P.138
  9. 1 2 3 『私鉄車両年鑑2025』、PP.254-258
  10. 1 2 3 「別冊付録 大手私鉄車両ファイル2015」-『鉄道ファン』2015年8月号
  11. 1 2 3 4 5 6 7 「近鉄16400系が車体更新を終えて運用復帰」-『railf.jp』、交友社(2015年4月13日)
  12. 1 2 3 「別冊付録 大手私鉄車両ファイル2016」-『鉄道ファン』2016年8月号
  13. ↑ 近鉄特急のイメージが大きく変わります! (PDF) - 近畿日本鉄道(2015年11月12日)
  14. ↑ 「【近鉄】16400系 新塗装化」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2018年9月14日)
  15. ↑ 『鉄道ファン』1996年7月号、P.165

参考文献

  • 『鉄道ファン』、交友社
  • 『鉄道ピクトリアル』2018年12月臨時増刊号(No.954)、電気車研究会
  • ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表2025』、交通新聞社(2025年7月22日、ISBN 978-4-330-03925-1)
  • 『私鉄車両年鑑2025』、イカロス出版(2025年5月26日、ISBN 978-4-802-21593-0)

関連項目

外部リンク