

鬼剣舞(おにけんばい)は、岩手県北上市周辺に伝わる伝統芸能である。地元では、剣舞を「けんべぇ」とも言う[1]。
北上・みちのく芸能まつりを初め、この地方の夏祭りなどで盛んに披露されるほか、小・中学校の運動会のアトラクションとしても演じられ、地元に根付いている。複数の踊り組団体がある(後述、鬼剣舞伝承系統、鬼剣舞伝承系図、参照)。1993年(平成5年)12月13日に代表的な北上市の岩崎鬼剣舞と滑田鬼剣舞の2団体・奥州市の朴ノ木沢念仏剣舞と川西大念佛剣舞の2団体が一括し、国の重要無形民俗文化財「鬼剣舞」として指定された。
念仏踊りに分類される。正式には念仏剣舞の一つであるが、威嚇的な鬼のような面(仏の化身)をつけ勇壮に踊るところから、明治後期以降(1897年(明治30年)頃)に「鬼剣舞」と呼称されるようになったとみられる。(→ 下記、鬼剣舞伝承系統 - 岩崎系譜 - 御免町鬼剣舞の項参照)かつては男性が演じることがほとんどであったが、最近では女性の演じ手も増えている。
この踊りの独特の歩行に、修験道の鎮魂の呪術のひとつ「反閇(へんばい)」がある。陰陽道で用いられる呪術的歩行のひとつで、「大地を踏み悪魔を踏み鎮め、場の気を整えて清浄にする目的で行われる舞い」の要素と、念仏によって御霊や怨霊を往生させて、災厄を防ぐ浄土教由来の信仰的要素が見られる。

鬼剣舞の現在の装束は昭和の初期に確立された。それ以前は、胆沢地方に伝わる念仏剣舞の装束と同様の出で立ち(いでたち)だった。
格子模様の「身ごろ」に赤の「平口袖(ひらくちそで)」(袖は大きめ)[6]をつけ、紺地に白の竜胆(りんどう)模様(丸に笹竜胆紋 - 和賀氏(源氏)の家紋)の「胸当(むねあて)」[7]、「広口袴(ひろぐちばかま)」[8]をはき、「白の帯」をしめ赤の「たすき」をかける。後腰に「大口ゴザ」を結い、「脱垂(ぬぎだれ」を重ねて結い「大刀」[9]を上反りに差す。すねに「脚絆(きゃはん)」をはき、「白足袋」に「わらじ」を履く。顔に白布の「オトゲ回し」をし、頭に「毛采(けざい)」をのせ、白布の「鉢巻」をし、「面」(前述の鬼の面)をつける。腕に「鎖帷子(くさりかたびら)」(昔は手に不動の荒縄を意味する縄を三巻巻いていた。)[10]、手に「手甲」をつけ、左中指に「赤い金剛杵(こんごうしょ)」[11]をはさみ、右手に「扇子」を持つ。
演目の種類は踊り組によって若干異なる。(南下幅等の念仏剣舞[12]は演目の種類、呼称、所作等異なるものがある。)南下幅念仏剣舞から指導を受けた当初の演目数は現在より少なかった。
現在、鬼剣舞の系譜で活動している踊り組は岩手県北上市内に13団体、県内は北上市外に4団体、県外に6団体ある。なお、南下幅念仏剣舞は鬼剣舞ではなく、念仏剣舞である。
南下幅念仏剣舞(みなみしたはばねんぶつけんばい) - (奥州市胆沢南都田 - 旧地名:南下葉場村)奥州市指定無形民俗文化財
岩崎鬼剣舞(いわさきおにけんばい) - (北上市和賀町岩崎)国の重要無形民俗文化財(1993年(平成5年)12月13日指定)
川岸剣舞(かしけんばい)(現在踊られていない)
南下幅念仏剣舞(みなみしたはばねんぶつけんばい) - 奥州市指定無形民俗文化財
岩崎鬼剣舞(いわさきおにけんばい) - 国の重要無形民俗文化財(1993年12月13日指定)
相去鬼剣舞(あいさりおにけんばい)(三十人町)(さんじゅうにんまち)
御免町鬼剣舞(ごめんまちおにけんばい)
滑田鬼剣舞(なめしだおにけんばい)(滑田系宗家)- 国の重要無形民俗文化財(1993年(平成5年)12月13日指定)
北鬼柳鬼剣舞(きたおにやなぎおにけんばい)(現在踊られていない)
飯豊鬼剣舞(いいとよおにけんばい)
鬼柳鬼剣舞(おにやなぎおにけんばい)
谷地鬼剣舞(やちおにけんばい)
村崎野鬼剣舞(むらさきのおにけんばい)(現在踊られていない)
南笹間鬼剣舞(みなみささまおにけんばい)(花巻市)
北藤根鬼剣舞(きたふじねおにけんばい)
長沼鬼剣舞(ながぬまおにけんばい)(現在踊られていない)
二子鬼剣舞(ふたごおにけんばい)
口内鬼剣舞(くちないおにけんばい)
黒澤尻鬼剣舞(くろさわじりおにけんばい)旧"黒沢尻北鬼剣舞"
2018年(平成30年)12月15日に創設15年の節目を迎え、団体名称を黒沢尻北鬼剣舞から黒沢尻鬼剣舞と改めた。 2019年(平成31年)1月27日に、鬼柳鬼剣舞から'印可之証'を授与された。
椚の目鬼剣舞(くぬぎのめおにけんばい) (花巻市)
煤孫鬼剣舞(すすまごおにけんばい)(現在踊られていない)
中笹間鬼剣舞(なかささまおにけんばい)(現在踊られていない)
二の町鬼剣舞(にのまちおにけんばい)(六原鬼剣舞)(ろくはらおにけんばい)(胆沢郡金ケ崎町)
船場鬼剣舞(現在踊られていない)
上記以外にも、岩崎鬼剣舞の系統で岩崎新田鬼剣舞(いわさきしんでんおにけんばい)(1984年(昭和59年)に岩崎鬼剣舞に指導を請い、現在4種目の習得に至っている。)、滑田鬼剣舞の系統では黒岩鬼剣舞(旧三舘鬼剣舞)(2002年(平成14年)に黒岩の三坊木、舘地区で二子鬼剣舞の指導を受けて発足。)がある。函館、東京、京都、札幌、佐渡、名古屋にも団体がある。他にも、県内外、海外(パラグアイ等)の鬼剣舞の踊り組が存在する。また、全国高等学校総合文化祭郷土芸能部門で何度も優秀な成績を収め、2012年(平成24年)富山県で行われた第36回大会では文部科学大臣賞・最優秀賞を受賞した北上翔南高校鬼剣舞部のような、鬼剣舞をクラブ活動として行っている学校もある。
※ 相伝(秘伝書伝授)、指導、関連の出自、及び、現在活動休止中の踊り組も含む。
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南下幅念仏剣舞
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岩崎 ?━南笹間━北藤根 相去
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御免町 滑田━函館 鬼柳━黒澤尻 湯本 口内 岩崎伝佐渡 京都 岩崎伝札幌 岩崎伝名古屋 岩崎新田
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北鬼柳 長沼 飯豊 谷地 村崎野 二子
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二子流東京 黒岩
椚の目 煤孫 中笹間 二の町 船場
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