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(ハル)

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(ハル)
Haru
監督 森田芳光
脚本 森田芳光
製作 鈴木光
出演者 深津絵里
内野聖陽
戸田菜穂
宮沢和史
音楽 野力奏一(作曲)
佐橋俊彦(作・編曲)
撮影 高瀬比呂志
編集 田中慎二
製作会社 光和インターナショナル[1]
配給 東宝[2]
公開 1996年3月9日
上映時間 118分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 4000万円[3][4]
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『(ハル)』は、1996年に東宝系で公開された日本映画[1][5][6]。監督・脚本は森田芳光[7][8]。主演は深津絵里と内野聖陽。

1996年、インターネット時代の到来に先駆け[8][9][10]、パソコン通信や電子メールがつなぐ男女の恋を描いた、ラブストーリーの佳作[11]。使用パソコンのOSはMS-DOS(もしくはWindows3.1)[12]。

スクリーンの約3分の1から半分は2人が交わす文字[9]。これを観客に読ませることを主眼におく映画で[7]、残りは登場人物の日常というアバンギャルドな作り[7]。

パソコン通信を題材にした本作は、同様の韓国映画『接続 ザ・コンタクト』(1997年)より1年以上、ハリウッド映画『ユー・ガット・メール』(1998年)より3年近く早く公開されている。メールを世界で初めて取り上げた映画とされる[6]。

深津と内野は当時はまだ主演級俳優でなかったが[7]、本作で映画での初の大役に抜擢され、内野は第20回日本アカデミー賞新人俳優賞を獲得した。

ストーリー

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速見昇は、学生時代にはアメリカンフットボールの選手として活躍していたが腰の持病が悪化して選手生活を断念してからは夢を見失い東京で平凡なサラリーマン生活を送っている。ある日、パソコン通信の映画フォーラムにアクセスする。「ハヤミノボル」から(ハル)のハンドルネームで参加した速見は、(ほし)というハンドルネームのユーザと意気投合し、パソコン通信で電子メールのやりとりを始めた。互いに素顔を明かさない関係でのやりとりであったが、誠実に対応する(ほし)に好感を抱いた(ハル)は、悩み事も相談するようになる。

しかし、(ほし)の正体は、(ほし)が自称した東京在住の男性ではなく、盛岡に住む藤間美津江という女性だった。その(ほし)もまた、恋人をなくして心に傷を抱え、転職を繰り返す日々を送っていた。男性と偽っていたことを(ほし)から伝えられたが、(ハル)との間の信頼関係が崩れることはなかった。(ほし)は、亡き恋人の親友をなのる戸部につきまとわれる。また、(ほし)は会社社長の山上から求婚されて心が傾く。

そんなある日、(ハル)は東北出張に出ることになる。それを聞いた(ほし)は、沿線のある地点で(ハル)が乗車する新幹線を見送ると約束する。互いにビデオカメラを片手に持ち目印のハンカチを振り、線路沿いに立つ(ほし)と車中の(ハル)を撮影することで、遠くからの、ほんの一瞬だけの、対面を果たした。それは、相手が「実在する人間である」ということを確認する、鮮やかな一瞬だった。

(ハル)は、それ以前に映画フォーラムで(ローズ)というハンドルネームの女性と知り合っており、その関係を(ほし)に誤解される。(ハル)は誤解を解こうと対話を試みるが、(ローズ)の正体は(ほし)の妹で、その事実を知った(ほし)はショックを受け(ハル)とのやりとりをやめてしまう。しかし、今までの(ハル)とのメールでの会話が心の支えであった事実に気付いた(ほし)は(ハル)と会う決意をし、東京駅のホームで待ち合わせる。

東北新幹線ホームの南側の端で、遂にふたりは対面する。ふたり、藤間美津江と速見昇は、互いに見つめ合い、互いに「はじめまして」という言葉をかわす。

キャスト

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藤間美津江(ほし)
演 - 深津絵里
速見昇(ハル)
演 - 内野聖陽
藤間由花(ローズ)
演 - 戸田菜穂
山上博幸
演 - 宮沢和史
戸部正午
演 - 竹下宏太郎
(ハル)の元恋人
演 - 山崎直子
(ローズ)の婚約者
演 - 鶴久政治
スーパーの店長
演 - 潮哲也
(ほし)の父
演 - 平泉成

スタッフ

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製作

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企画・脚本

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それまでのハイペースな映画作りから一転、製作が途絶え、森田芳光にとっては4年ぶりの映画であった[7][8]。作家性と興行の狭間で苦しんでいた時期で、オファーがあっても企画にノレなかったりした[8]。映画館で働いた経験がある森田は、客席がガラガラの様子が目に浮かび、どれだけ高い評価を受けても、興行がダメなら価値はないという考えを持っていた[8]。すごく悩んだあげくやっと見つけたのが字を読ませるという企画であった[7][8]。森田が競馬で大勝して、当時70万円したパソコンを買って、そこでパソコン通信の存在を知り、そこから発想を得て脚本を書いた[8]。しかし当時はまだパソコンを持っている人は少なく[8]、企画を持ち込んだ先で「パソコン通信って何ですか?」「メールって何ですか?」と言われることが多く、そこから説明しなければならなかった[7][8]。誰にも理解されず、文字ばかりの映画に出資してくれる企業もなく製作に難航[7][8]。商業映画デビューのときにも「お金が集まっても配給が決まらないとやらない」と言ったくらい慎重派の森田が、配給も決まらず作り始めた[8]。森田にとっても全てを賭けたような映画であった[8]。妻でプロデューサーの三沢和子は「『(ハル)』のおかげでもう一回スタートが切れたと思います」と述べている[8]。

撮影

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脚本を書いて公開まで2年かかった[8]。撮影は約1カ月[13]。スタッフは全パートの若返りをはかり、撮影の高瀬比呂志を始め、森田組の数人がメインに昇格[8]。

ほしとハルらのメールのやりとり「映画フォーラム」で登場する映画や役者は、実在するマルクス兄弟や、『タッチダウン』『裏窓』などと、架空の『浜辺のシンフォニー』などが混在している。ハルはVANのアメフト部(VAN GUARDS)出身の設定。ハルは東南アジアからの輸入食品などをスーパーなどに売り込む営業マンで、劇中、上司から「トムヤンクンのネーミングをトムヤンチャンに出来ないか?」と言われる。中盤にほしが友人とカラオケで盛り上がる曲は、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」、スーパーの店長・潮哲也がスナックのカラオケで歌うのは石原裕次郎の「恋の町札幌」で、いずれもノンクレジット。ハルとローズがピクニックに行き、ローズが「青姦」ではなく、「アウトドアセックスしたことある?」という。ほしとローズは岩手県盛岡市出身設定。中盤に盛岡冷麺がフューチャーされる。ほしのする女性がするボクシング、先のトムヤンクンともども、この時代としては取り上げ方が早い。ほしの父・平泉成がほしに後妻を紹介するが、この人が「初めまして。まりはなゆうこです」とあり得ない名前を真面目に名乗り吹く。ラストがモノクロ映像になる演出についてライムスター宇多丸は「この瞬間にさえ過去になるという視点が入っている」などと考察している[7]。

宣伝

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キャッチコピー

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  • まだ見ぬあなたに、恋してる[6][14]。
  • 「はじめまして (^_^)」 で終わるラブストーリー[15]。

作品の評価

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興行成績

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東京有楽町スバル座、大阪南街シネマ他で公開[3][4]。配収4000万円[3][4]。東宝邦画本番線は『ドラえもん のび太と銀河超特急』で配収15億円[3][4]。

批評

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森田の演出と脚本、深津絵里と内野聖陽の演技は多方面で高い評価を得た。

白井佳夫は「僕の1996年のベストワン。何かそれまでの仕事から一つ吹っ切れて、大きく飛躍したというか、現代的でシャープで、パソコンネットワーク通信時代のロミオとジュリエットみたいな秀作」などと評価している[13]。

ライムスター宇多丸は「90年代のトップの方に位置付けられる映画」と評価している[7]。

国立映画アーカイブは「パソコン通信の会話を忠実に字幕で表現する実験的な手法は賛否両論だったが、人物の心理的変化を巧みに表現した字幕の演出やエドワード・ホッパーの絵画を参考にした高瀬比呂志の撮影など、森田の的確かつ繊細な演出によって普遍的なコミュニケーションのドラマに仕上がっている」と評価している[1]。

受賞歴

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ノベライズ

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  • 『(ハル)』、原作/森田芳光、ノベライズ/丹後達臣、扶桑社〈扶桑社文庫〉、1996年、ISBN 4594019153

脚注

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  1. 1 2 3 (ハル) - 国立映画アーカイブ“(ハル)”. 国立映画アーカイブ. 2026年2月15日閲覧。
  2. 1 2 “(ハル)”. 日本映画製作者連盟. 2026年9月2日閲覧。
  3. 1 2 3 4 「1996年度邦画3社番組/配収《東宝》」『AVジャーナル』1996年7月号、文化通信社、54頁。
  4. 1 2 3 4 「邦画配給界 記録編 東宝」『映画年鑑 1997年版(映画産業団体連合会協賛)』時事映画通信社、1996年、111–112頁。
  5. ↑ “(ハル)”. 日本映画データベース. 公益財団法人ユニジャパン/国際交流基金. 2026年9月2日閲覧。
  6. 1 2 3 『ぴあシネマクラブ 日本映画編 2004-2005』ぴあ、1998年、563頁。ISBN 978-4835606170。(ハル)、深津絵里主演の名作ラブストーリーにも注目 「第43回ぴあフィルムフェスティバル in 京都」内で「森田芳光70祭」開催
  7. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 月曜OP:森田芳光監督作品「(ハル)」について宇多丸が熱弁! – 公式 TBS Podcast
  8. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 高鳥都「森田芳光 全監督作品コンプリート(の・ようなもの) Blu-ray BOX」発売記念 特別対談 プロデューサー 三沢和子 編集 川島章正」『映画秘宝』2021年11月号、洋泉社、56–60頁。
  9. 1 2 産経新聞社シネマ&カルチャー 映画紹介
  10. ↑ 【終了しました】5/9(土) 森田芳光 70祭 2026 in 佐賀:『(ハル)』上映&ライムスター宇多丸・三沢和子プロデューサートークショー – シアター・シエマ
  11. ↑ “(ハル)”. WOWOW. 2026年2月15日閲覧。
  12. ↑ “(ハル)の時代”. 2026年2月15日閲覧。
  13. 1 2 「ー映画『失楽園』を巡ってー ー森田映画の新境地ー 新しい性表現の試み 対談 森田芳光+白井佳夫」『シナリオ』1997年6月号、日本シナリオ作家協会、11–20頁。
  14. ↑ “(ハル)”. 日本映画劇場. 2026年2月15日閲覧。
  15. ↑ “Movie (ハル)”. 株式会社 光和インターナショナル 公式サイト. 2026年2月15日閲覧。
  16. ↑ “日本アカデミー賞公式サイト”. 日本アカデミー賞. 2023年5月11日閲覧。
  17. ↑ “日本アカデミー賞公式サイト”. 日本アカデミー賞. 2023年5月11日閲覧。
  18. ↑ “日本アカデミー賞公式サイト”. 日本アカデミー賞. 2023年5月11日閲覧。
  19. ↑ “キネマ旬報 ベスト・テン|KINENOTE”. キネマ旬報社. 2023年5月11日閲覧。
  20. ↑ 『キネマ旬報ベスト・テン95回全史1924→2021』キネマ旬報社、2022年5月26日、556頁。ISBN 978-4-87376-873-1。
  21. ↑ “過去の受賞一覧 | 表彰-報知映画賞 | 報知新聞社”. 報知新聞社. 2023年5月11日閲覧。
  22. 1 2 “年表「ヨコハマ映画祭」”. ヨコハマ映画祭実行委員会. 2023年5月11日閲覧。

外部リンク

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