2023年のワールドシリーズ

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2023年のワールドシリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2023年のワールドシリーズ

第4戦試合前のチェイス・フィールドの様子。開閉式の屋根が開かれ、アメリカ空軍A-10CサンダーボルトII 4機がフライオーバーのため上空を飛行中
チーム 勝数
テキサス・レンジャーズ(AL) 4
アリゾナ・ダイヤモンドバックス(NL) 1
シリーズ情報
試合日程 10月27日–11月1日
観客動員 5試合合計:23万0388人
1試合平均:04万6078人
MVP コーリー・シーガー(TEX)
責任審判 ビル・ミラー(第6戦を除く)、
アルフォンソ・マルケス(第6戦のみ)[1]
ALCS TEX 4–3 HOU
NLCS ARI 4–3 PHI
チーム情報
テキサス・レンジャーズ(TEX)
シリーズ出場 12年ぶり3回目
GM クリス・ヤング
監督 ブルース・ボウチー
シーズン成績 90勝72敗・勝率.556
AL西地区2位=第2ワイルドカード
分配金 選手1人あたり50万6263ドル[2]

アリゾナ・ダイヤモンドバックス(ARI)
シリーズ出場 22年ぶり2回目
GM マイク・ヘイゼン
監督 トーリ・ロブロ
シーズン成績 84勝78敗・勝率.519
NL西地区2位=第3ワイルドカード
分配金 選手1人あたり31万3634ドル[2]
全米テレビ中継
放送局 FOX
実況 ジョー・デービス
解説 ジョン・スモルツ
平均視聴率 4.7%(前年比1.4ポイント下降)
ワールドシリーズ
 < 2022 2024 > 

2023年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第119回ワールドシリーズ(英語: 119th World Series)は、10月27日から11月1日にかけて計5試合が開催された。その結果、テキサス・レンジャーズ(アメリカンリーグ)がアリゾナ・ダイヤモンドバックス(ナショナルリーグ)を4勝1敗で下し、球団創設63年目で初の優勝を果たした。

地区優勝を逃した中で高勝率の球団にポストシーズン出場枠を与えるワイルドカード制度が1994年に導入されて以来、該当球団どうしがワールドシリーズで対戦するのは2014年以来9年ぶり3度目[3]。ブルース・ボウチーは、2014年シリーズではナショナルリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツで、今シリーズではアメリカンリーグのレンジャーズで、それぞれ監督を務めてチームを優勝へ導いた。ジャイアンツ監督時代のボウチーは2010年――ジャイアンツの対戦相手はレンジャーズだった[4]――と2012年にも優勝しており、今シリーズ制覇によりボウチーは、シリーズ優勝回数が4回に達した史上6人目の監督および両リーグの球団をシリーズで優勝させた史上3人目の監督となった[注 1][5]。レンジャーズの初優勝により、シリーズ優勝経験がない球団は全30球団中残り5球団となった[6]。シリーズMVPには、第1戦の9回裏に同点の2点本塁打を放つなど、5試合で打率.286・3本塁打・6打点・OPS 1.137という成績を残したレンジャーズのコーリー・シーガーが選出された。

2022年、MLB機構が金融持株会社のキャピタル・ワンと契約を締結し、同社はその年から5年間ワールドシリーズの冠スポンサーとなった[7]。よって大会名はワールドシリーズ presented by キャピタル・ワン(英語: World Series presented by Capital One)となる。

ワールドシリーズまでの道のり

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両チームの2023年

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レンジャーズの外野手アドリス・ガルシア(左。写真は2024年4月1日撮影)と、ダイヤモンドバックスの先発投手メリル・ケリー(写真は2019年5月1日撮影)

10月23日にまずアメリカンリーグでレンジャーズ(西地区)が、そして24日にはナショナルリーグでダイヤモンドバックス(西地区)が、それぞれリーグ優勝を決めてワールドシリーズへ駒を進めた。

レンジャーズは2017年から6年連続で負け越し、2022年は地区首位ヒューストン・アストロズに38.0ゲーム差をつけられた。シーズン終了後、新監督にブルース・ボウチーが招聘され[8]、選手補強では防御率リーグ13位と低迷した先発ローテーションへ、新たにジェイコブ・デグロムやネイサン・イオバルディらが加わった[9]。2023年は4月上旬から地区首位を守り、前半戦終了時には52勝39敗で2位アストロズを2.0ゲーム差上回る。デグロムは6登板のみで肘を痛めてシーズンを棒に振ったが、イオバルディがエースとなり、野手陣は打撃のみならず守備でも投手陣を援護した[10]。投手補強はシーズン中も続き、8月1日のトレード期限までに先発のマックス・シャーザーやジョーダン・モンゴメリーを獲得した。後半戦は他球団の追い上げを受け、8月30日にはアストロズやシアトル・マリナーズに抜かれて3位へ落ちる[11]。その後はマリナーズを抜き返してアストロズと優勝を争い、全162試合を同じ90勝72敗で終えたが、直接対決でアストロズに負け越していたために地区優勝を逃してワイルドカードにまわった[12]。平均得点5.44はリーグ最高・MLB3位、防御率4.28はリーグ10位・MLB18位。コーリー・シーガーやイオバルディらここ数年の大型補強が実を結び、新人のジョシュ・ヤンをはじめとする若手・中堅選手の躍動も目立った[13]。ワイルドカードシリーズではタンパベイ・レイズを2勝0敗で[14]、地区シリーズではボルチモア・オリオールズを3勝0敗で[15]、リーグ優勝決定戦ではアストロズを4勝3敗で[16]、それぞれ下した。

ダイヤモンドバックスは2022年、74勝88敗と負け越し地区4位に沈んだ。ただ終盤の2か月で若手選手が台頭するなどチームの骨格が定まりつつあり、オフにはその中心となる新人外野手コービン・キャロルと8年の延長契約を結んだ[17]。2023年は開幕からロサンゼルス・ドジャースとの地区首位争いを展開する。MLBが導入した投球間の時間制限 "ピッチクロック" や牽制球の回数制限等の新規則と、チームが標榜する走塁重視の野球がはまって躍進の原動力となった[18]。前半戦終了時には52勝39敗でドジャースとゲーム差なしの2位につけ、8月1日のトレード期限までには、不安定な救援投手陣に抑えとしてポール・シーウォルドを加えた[19]。しかしこの時期チームは勢いを失い、8月11日には9連敗で57勝59敗まで成績を落とした[20]。ドジャースには12.5ゲーム差をつけられて地区優勝が難しくなったが、復調してからは東地区のマイアミ・マーリンズ、中地区のシカゴ・カブスやシンシナティ・レッズとワイルドカードを争う。その結果9月30日、マーリンズとともに残り2枠へ滑り込んだ[21]。平均得点4.60はリーグ7位・MLB14位、防御率4.47はリーグ10位・MLB20位。キャロルは新人初の25本塁打・50盗塁を記録する活躍ぶりで[22]、先発投手のザック・ガレンやメリル・ケリーとともにチーム躍進の立役者となった[23]。ワイルドカードシリーズではミルウォーキー・ブルワーズを2勝0敗で[24]、地区シリーズではドジャースを3勝0敗で[25]、リーグ優勝決定戦ではフィラデルフィア・フィリーズを4勝3敗で[26]、それぞれ下した。

この2球団は、ここ数シーズンの結果が以下の点で共通している[27]。

両球団とも低迷から急速な躍進を遂げており、100敗シーズンの翌々年にシリーズ進出は歴代最速タイ[注 2]、シリーズ進出前年の両球団合算勝率.438は歴代2位の低さ[注 3]、シリーズ進出直前3シーズンの通算勝率はレンジャーズが.391で歴代4位、ダイヤモンドバックスが.393で同5位の低さである[注 4][28]。ただ、チーム構築の手法は両チームで異なっている。今ポストシーズンでロースター入りした選手の入団経緯をみると、プロ入りからその球団一筋という生え抜き選手の数はレンジャーズが5人に対しダイヤモンドバックスが12人、FAで移籍してきた選手の数はレンジャーズが9人に対しダイヤモンドバックスが5人である。ポストシーズン進出12球団中では、レンジャーズは生え抜き選手数が2番目に少なくFA移籍選手数が最多タイであり、ダイヤモンドバックスは生え抜き選手数が2番目に多くFA移籍選手数が2番目に少ない[29]。また、選手に費やす金額にも差がある。年俸総額はレンジャースが2億5100万ドルで30球団中4位の高額であるのに対し、ダイヤモンドバックスはその半分以下の1億1900万ドルで21位にとどまっている[30]。

レンジャーズGMのクリス・ヤングと助監督のウィル・ベナブル、ダイヤモンドバックスGMのマイク・ヘイゼンはいずれもプリンストン大学出身であり、在学中に野球部監督スコット・ブラッドリー(英語版)の下でプレイした経験を持つ。特に両GMはブラッドリー監督就任1年目の1998年、最上級生で主将を務めるヘイゼンが高校生のヤングを勧誘するために大学で出迎えたときからの顔見知りで、今シリーズで両者の対戦が決まった際には、ブラッドリーの携帯電話にグループメッセージでふたりから「監督、ぜひ観にいらしてください。席はご用意できます」と送信されてきたという[31]。

ホームフィールド・アドバンテージ

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ワールドシリーズの第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、レギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に与えられる。ポストシーズン進出12球団のアドバンテージ優先順位は以下の通り。

優先順位球団レギュラーシーズン成績ポストシーズン結果
WCSDSLCS
1アトランタ・ブレーブス104勝58敗・勝率.642NL東地区優勝地区シリーズ(DS)敗退免除1勝3敗-
2ボルチモア・オリオールズ101勝61敗・勝率.623AL東地区優勝地区シリーズ(DS)敗退免除0勝3敗-
3ロサンゼルス・ドジャース100勝62敗・勝率.617NL西地区優勝地区シリーズ(DS)敗退免除0勝3敗-
4[※1]タンパベイ・レイズ99勝63敗・勝率.611AL東地区2位=第1ワイルドカードワイルドカードシリーズ(WCS)敗退0勝2敗--
5[※1]ミルウォーキー・ブルワーズ92勝70敗・勝率.568NL中地区優勝ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退0勝2敗--
6[※1][※2]テキサス・レンジャーズ90勝72敗・勝率.556AL西地区2位=第2ワイルドカードワールドシリーズ進出2勝0敗3勝0敗4勝3敗
7[※1][※2]フィラデルフィア・フィリーズ90勝72敗・勝率.556NL東地区2位=第1ワイルドカードリーグ優勝決定戦(LCS)敗退2勝0敗3勝1敗3勝4敗
8[※1][※2]ヒューストン・アストロズ90勝72敗・勝率.556AL西地区優勝リーグ優勝決定戦(LCS)敗退免除3勝1敗3勝4敗
9[※1]トロント・ブルージェイズ89勝73敗・勝率.549AL東地区2位=第3ワイルドカードワイルドカードシリーズ(WCS)敗退0勝2敗--
10[※1]ミネソタ・ツインズ87勝75敗・勝率.537AL中地区優勝地区シリーズ(DS)敗退2勝0敗1勝3敗-
11[※3]マイアミ・マーリンズ84勝78敗・勝率.519NL東地区3位=第2ワイルドカードワイルドカードシリーズ(WCS)敗退0勝2敗--
12[※3]アリゾナ・ダイヤモンドバックス84勝78敗・勝率.519NL西地区2位=第3ワイルドカードワールドシリーズ進出2勝0敗3勝0敗4勝3敗
※1  同一リーグ内の地区シリーズやリーグ優勝決定戦などでは、勝率に関係なく地区優勝球団はワイルドカード球団より上位に位置づけられるが、ワールドシリーズだけはこれに当てはまらない。
※2  レギュラーシーズンでフィリーズはレンジャーズに対しては0勝3敗と負け越し、アストロズに対しては2勝1敗と勝ち越した。したがって、今シリーズの顔合わせがレンジャーズ対フィリーズとなった場合にはレンジャーズに、アストロズ対フィリーズとなった場合にはフィリーズにアドバンテージが与えられる。
※3  マーリンズがダイヤモンドバックスに対し、シーズン中の直接対決6試合を4勝2敗と勝ち越しているため、マーリンズが上位となる。

10月23日、まずレンジャーズがワールドシリーズ進出を決めた。勝ち残っていた球団のなかではレンジャーズの優先順位が最も高かったので、この時点で対戦相手に関係なくアドバンテージが確定、開催地は第1・2・6・7戦がグローブライフ・フィールド、第3・4・5戦がナショナルリーグ優勝球団の本拠地となった。

両チームの過去の対戦

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ワールドシリーズでこの2チームが対戦するのは、今回が初めて。レギュラーシーズン中のインターリーグでは、ダイヤモンドバックスが創設された1998年以降の26年間で計53試合が行われ、レンジャーズが通算で28勝25敗・勝率.528と勝ち越している[32]。このうち2018年7月30日の対戦では、開催地であるダイヤモンドバックス本拠地チェイス・フィールドの周辺に落雷があり、場内の照明が一部消えたため試合が20分以上中断したということがあった[33]。直近の対戦は2023年は5月2日・3日にレンジャーズの本拠地グローブライフ・フィールドで2試合、8月21日・22日にチェイス・フィールドで2試合の計4試合が組まれ、ダイヤモンドバックスが合計で3勝1敗とした。

ロースター

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両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。

テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス
守備位置背番号出身選手投打年齢ワールドシリーズ経験守備位置背番号出身選手投打年齢ワールドシリーズ経験
出場優勝出場優勝
投手61アメリカ合衆国の旗コディ・ブラッドフォード左左25初なし投手50ドミニカ共和国の旗ミゲル・カストロ右右28初なし
46アメリカ合衆国の旗ブロック・バーク[※1]左左27初なし65ドミニカ共和国の旗ルイス・フリアス右右25初なし
45キューバの旗アロルディス・チャップマン#左左357年ぶり2回目1回23アメリカ合衆国の旗ザック・ガレン★右右28初なし
33アメリカ合衆国の旗デーン・ダニング右右28初なし37アメリカ合衆国の旗ケビン・ジンケル右左29初なし
17アメリカ合衆国の旗ネイサン・イオバルディ★右右335年ぶり2回目1回29アメリカ合衆国の旗メリル・ケリー右右35初なし
22アメリカ合衆国の旗ジョン・グレイ右右31初なし35アメリカ合衆国の旗ジョー・マンティプリー左右32初なし
44アメリカ合衆国の旗アンドリュー・ヒーニー左左32初なし24アメリカ合衆国の旗カイル・ネルソン左左27初なし
25ドミニカ共和国の旗ホセ・ルクラーク右右29初なし19アメリカ合衆国の旗ライン・ネルソン右右25初なし
52アメリカ合衆国の旗ジョーダン・モンゴメリー#左左30初なし32アメリカ合衆国の旗ブランドン・ファート右右25初なし
54ベネズエラの旗マーティン・ペレス左左32初なし57アメリカ合衆国の旗アンドリュー・サールフランク左左26初なし
66アメリカ合衆国の旗ジョシュ・スボーツ右右29初なし38アメリカ合衆国の旗ポール・シーウォルド#右右33初なし
31アメリカ合衆国の旗マックス・シャーザー#[※1]右右394年ぶり3回目1回81アメリカ合衆国の旗ライアン・トンプソン#右右313年ぶり2回目なし
51アメリカ合衆国の旗ウィル・スミス左右343年連続3回目2回捕手11ベネズエラの旗ホセ・ヘレーラ右両26初なし
35アメリカ合衆国の旗クリス・ストラットン#右右33初なし14ベネズエラの旗ガブリエル・モレノ右右23初なし
捕手18アメリカ合衆国の旗ミッチ・ガーバー右右32初なし内野手10アメリカ合衆国の旗ジョーダン・ロウラー右右21初なし
11アメリカ合衆国の旗オースティン・ヘッジス#右右31初なし3アメリカ合衆国の旗エバン・ロンゴリア右右3815年ぶり2回目なし
28アメリカ合衆国の旗ジョナ・ハイム★右両28初なし4ドミニカ共和国の旗ケーテル・マルテ◎右両30初なし
内野手20ドミニカ共和国の旗エセキエル・デュラン[※2]右右24初なし2ドミニカ共和国の旗ヘラルド・ペルドモ★右両24初なし
6アメリカ合衆国の旗ジョシュ・ヤン★右右25初なし6アメリカ合衆国の旗ジェイス・ピーターソン#右左33初なし
30アメリカ合衆国の旗ナサニエル・ロウ右左28初なし15プエルトリコの旗エマヌエル・リベラ右右27初なし
5アメリカ合衆国の旗コーリー・シーガー★右左293年ぶり3回目1回26アメリカ合衆国の旗ペイビン・スミス左左27初なし
2アメリカ合衆国の旗マーカス・セミエン★右右33初なし53アメリカ合衆国の旗クリスチャン・ウォーカー右右32初なし
47アメリカ合衆国の旗ジョシュ・スミス右左26初なし外野手7アメリカ合衆国の旗コービン・キャロル★左左23初なし
外野手32アメリカ合衆国の旗エバン・カーター右左21初なし12キューバの旗ルルデス・グリエルJr.★右右30初なし
53キューバの旗アドリス・ガルシア★◎[※2]右右30初なし28アメリカ合衆国の旗トミー・ファム#右右35初なし
4アメリカ合衆国の旗ロビー・グロスマン左両34初なし5アメリカ合衆国の旗アレク・トーマス左左23初なし
16アメリカ合衆国の旗トラビス・ジャンコウスキー右左32初なし
3ドミニカ共和国の旗レオディ・タベラス右両25初なし
※1  第3戦終了後にシャーザーが故障のためロースターを外れ、第4戦からはバークが代わりに登録された。
※2  第3戦終了後にガルシアが故障のためロースターを外れ、第4戦からはデュランが代わりに登録された。

レンジャーズは、リーグ優勝決定戦からのロースター変更はない[34]。ダイヤモンドバックスは、リーグ優勝決定戦のロースターから投手のスレイド・セコーニを外し、内野手のジェイス・ピーターソンを加えた。地区シリーズからリーグ優勝決定戦へ進む際にはピーターソンに代えてセコーニを登録していたため、地区シリーズと同じロースターに戻したということになる。その理由について、監督のトーリ・ロブロは「ある救援投手を休ませるためにといって13人目の投手を入れておくよりも、野手に左打者の選択肢を持っておくほうが勝利に資すると判断した」と説明している[35]。セコーニもリーグ優勝決定戦では2試合2.0イニングで無失点だったが、いずれもチームが5点以上離された敗色濃厚な場面での登板だった。

レンジャーズには過去にワールドシリーズ優勝を経験したことがある選手が5人おり、2016年から2022年まで直近7年のうち、2017年を除く6シリーズの優勝経験者が揃っている[36]。直近2年は救援投手ウィル・スミスが、2021年はアトランタ・ブレーブスの一員として、2022年はヒューストン・アストロズの一員として、それぞれ優勝を経験した。全て異なる3球団から3年連続でシリーズに出場するのは、1986年〜1988年のドン・ベイラーと2007年〜2009年のエリック・ヒンスキーに次いで史上3人目であり、もし今シリーズをレンジャーズが制した場合は、W・スミスは彼らもなし得ていない3球団にまたがっての個人3連覇を達成する[注 5][37]。これに対してダイヤモンドバックスにはワールドシリーズ出場の経験者すらふたりしかおらず、優勝経験者はいない[36]。そのうち、内野手のエバン・ロンゴリアは新人時代の2008年にタンパベイ・レイズの一員として出場し敗退して以来、15年ぶり2度目のシリーズ出場を迎える。シリーズ出場間隔が15年以上空いたのはロンゴリアが史上4人目であり、野手では初となる[注 6][38]。また、ダイヤモンドバックス先発投手のメリル・ケリーは過去に韓国プロ野球在籍経験があり、SKワイバーンズの一員として2018年の韓国シリーズでは優勝も経験している。ワールドシリーズと韓国シリーズの両方に出場するのは、ケリーが史上5人目となる[注 7][39]。

開幕前の予想

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MLB.comが所属記者・アナリスト58人にどちらがシリーズを制するか予想させたところ、レンジャーズ勝利予想が30人に対してダイヤモンドバックス勝利予想が28人とほぼ互角の結果となった[40]。同様の企画は他の媒体でも行われ、FOXスポーツでは4人の予想がふたりずつに分かれた[41]。だがそれ以外ではレンジャーズ支持が多く、ESPNでは12人中9人[42]、CBSスポーツでは6人中4人[43]、NBCスポーツ傘下のロトワールドでは7人中5人[44]、『USAトゥデイ』では5人中4人[45]、『ジ・アスレチック』では30人中19人がレンジャーズの勝利を予想した[46]。

試合結果

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2023年のワールドシリーズは10月27日に開幕し、途中に移動日を挟んで6日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。

日付試合ビジター球団(先攻)スコアホーム球団(後攻)開催球場
10月27日(金)第1戦アリゾナ・ダイヤモンドバックス5-6xテキサス・レンジャーズグローブライフ・フィールド
10月28日(土)第2戦アリゾナ・ダイヤモンドバックス9-1テキサス・レンジャーズ
10月29日(日)移動日
10月30日(月)第3戦テキサス・レンジャーズ3-1アリゾナ・ダイヤモンドバックスチェイス・フィールド
10月31日(火)第4戦テキサス・レンジャーズ11-7アリゾナ・ダイヤモンドバックス
11月1日(水)第5戦テキサス・レンジャーズ5-0アリゾナ・ダイヤモンドバックス
優勝:テキサス・レンジャーズ(4勝1敗 / 球団創設63年目で初)

第1戦 10月27日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、12分52秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 R H E
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 3 1 1 0 0 0 0 0 0 5 8 0
テキサス・レンジャーズ 2 0 1 0 0 0 0 0 2 0 1x 6 9 0
  1. 勝利:ホセ・ルクラーク(1勝)  
  2. 敗戦:ミゲル・カストロ(1敗)  
  3. 本塁打
    ARI:トミー・ファム1号ソロ
    TEX:コーリー・シーガー1号2ラン、アドリス・ガルシア1号ソロ
  4. 審判
    [球審]D.J.レイバーン
    [塁審]一塁: アルフォンソ・マルケス、二塁: デビッド・ラックリー、三塁: ブライアン・ナイト
    [外審]左翼: ビック・カラパッツァ、右翼: ビル・ミラー
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時7分 試合時間: 4時間2分 観客: 4万2472人 気温: 73°F(22.8°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
アリゾナ・ダイヤモンドバックステキサス・レンジャーズ
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1右C・キャロル左1二M・セミエン右
2二K・マルテ両2遊C・シーガー左
3捕G・モレノ右3左E・カーター左
4一C・ウォーカー右4右A・ガルシア右
5DHT・ファム右5DHM・ガーバー右
6左L・グリエルJr.右6捕J・ハイム両
7中A・トーマス左7一N・ロウ左
8三E・ロンゴリア右8三J・ヤン右
9遊G・ペルドモ両9中L・タベラス両
先発投手投球先発投手投球
Z・ガレン右N・イオバルディ右

第2戦 10月28日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、10分19秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 0 2 0 0 2 3 2 9 16 0
テキサス・レンジャーズ 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 4 0
  1. 勝利:メリル・ケリー(1勝)  
  2. 敗戦:ジョーダン・モンゴメリー(1敗)  
  3. 本塁打
    ARI:ガブリエル・モレノ1号ソロ
    TEX:ミッチ・ガーバー1号ソロ
  4. 審判
    [球審]クイン・ウォルコット
    [塁審]一塁: デビッド・ラックリー、二塁: ブライアン・ナイト、三塁: ビック・カラパッツァ
    [外審]左翼: ビル・ミラー、右翼: D.J.レイバーン
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時5分 試合時間: 2時間59分 観客: 4万2500人 気温: 74°F(23.3°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
アリゾナ・ダイヤモンドバックステキサス・レンジャーズ
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1二K・マルテ両1二M・セミエン右
2右C・キャロル左2遊C・シーガー左
3捕G・モレノ右3左E・カーター左
4一C・ウォーカー右4右A・ガルシア右
5DHT・ファム右5DHM・ガーバー右
6左L・グリエルJr.右6捕J・ハイム両
7中A・トーマス左7一N・ロウ左
8三E・ロンゴリア右8三J・ヤン右
9遊G・ペルドモ両9中L・タベラス両
先発投手投球先発投手投球
M・ケリー右J・モンゴメリー左

第3戦 10月30日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、10分9秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
テキサス・レンジャーズ 0 0 3 0 0 0 0 0 0 3 5 0
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 6 0
  1. 勝利:ジョン・グレイ(1勝)  
  2. セーブ:ホセ・ルクラーク(1勝1S)  
  3. 敗戦:ブランドン・ファート(1敗)  
  4. 本塁打
    TEX:コーリー・シーガー2号2ラン
  5. 審判
    [球審]アルフォンソ・マルケス
    [塁審]一塁: ブライアン・ナイト、二塁: ビック・カラパッツァ、三塁: ビル・ミラー
    [外審]左翼: D.J.レイバーン、右翼: クイン・ウォルコット
  6. 試合開始時刻: 山岳部標準時(UTC-7)午後5時3分 試合時間: 2時間51分 観客: 4万8517人 気温: 78°F(25.6°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1二M・セミエン右1右C・キャロル左
2遊C・シーガー左2二K・マルテ両
3右A・ガルシア右3捕G・モレノ右
4左E・カーター左4一C・ウォーカー右
5DHM・ガーバー右5DHT・ファム右
6捕J・ハイム両6左L・グリエルJr.右
7一N・ロウ左7中A・トーマス左
8三J・ヤン右8三E・ロンゴリア右
9中L・タベラス両9遊G・ペルドモ両
先発投手投球先発投手投球
M・シャーザー右B・ファート右

第4戦 10月31日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、14分46秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
テキサス・レンジャーズ 0 5 5 0 0 0 0 1 0 11 11 0
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 0 1 0 0 0 4 2 7 12 1
  1. 勝利:アンドリュー・ヒーニー(1勝)  
  2. 敗戦:ジョー・マンティプリー(1敗)  
  3. 本塁打
    TEX:コーリー・シーガー3号2ラン、マーカス・セミエン1号3ラン、ジョナ・ハイム1号ソロ
    ARI:ルルデス・グリエル・ジュニア1号3ラン
  4. 審判
    [球審]デビッド・ラックリー
    [塁審]一塁: ビック・カラパッツァ、二塁: ビル・ミラー、三塁: D.J.レイバーン
    [外審]左翼: クイン・ウォルコット、右翼: アルフォンソ・マルケス
  5. 試合開始時刻: 山岳部標準時(UTC-7)午後5時4分 試合時間: 3時間18分 観客: 4万8388人 気温: 78°F(25.6°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1二M・セミエン右1二K・マルテ両
2遊C・シーガー左2右C・キャロル左
3DHM・ガーバー右3捕G・モレノ右
4左E・カーター左4一C・ウォーカー右
5三J・ヤン右5DHT・ファム右
6一N・ロウ左6左L・グリエルJr.右
7捕J・ハイム両7中A・トーマス左
8中L・タベラス両8三E・リベラ右
9右T・ジャンコウスキー左9遊G・ペルドモ両
先発投手投球先発投手投球
A・ヒーニー左J・マンティプリー左

第5戦 11月1日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、12分31秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
テキサス・レンジャーズ 0 0 0 0 0 0 1 0 4 5 9 0
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 1
  1. 勝利:ネイサン・イオバルディ(1勝)  
  2. セーブ:ジョシュ・スボーツ(1S)  
  3. 敗戦:ザック・ガレン(1敗)  
  4. 本塁打
    TEX:マーカス・セミエン2号2ラン
  5. 審判
    [球審]ブライアン・ナイト
    [塁審]一塁: ビル・ミラー、二塁: D.J.レイバーン、三塁: クイン・ウォルコット
    [外審]左翼: アルフォンソ・マルケス、右翼: デビッド・ラックリー
  6. 試合開始時刻: 山岳部標準時(UTC-7)午後5時6分 試合時間: 2時間54分 観客: 4万8511人 気温: 79°F(26.1°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1二M・セミエン右1右C・キャロル左
2遊C・シーガー左2二K・マルテ両
3左E・カーター左3捕G・モレノ右
4DHM・ガーバー右4一C・ウォーカー右
5三J・ヤン右5DHT・ファム右
6一N・ロウ左6左L・グリエルJr.右
7捕J・ハイム両7中A・トーマス左
8中L・タベラス両8三E・ロンゴリア右
9右T・ジャンコウスキー左9遊G・ペルドモ両
先発投手投球先発投手投球
N・イオバルディ右Z・ガレン右

セレモニー

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第1戦試合前の始球式の様子。ジョージ・W・ブッシュから捕手役のイバン・ロドリゲスへボールが投じられる

試合前のアメリカ合衆国国歌『星条旗』独唱と始球式を行った人物は、それぞれ以下の通り。

試合国歌独唱始球式
投手役捕手役
第1戦H.E.R.[47]ジョージ・W・ブッシュ[48]イバン・ロドリゲス[48]
第2戦パール・ピーターソン
(ボーイズ・アンド・ガールズ・
クラブ・オブ・アメリカ
)[49]
エイドリアン・ベルトレ[50]ファーガソン・ジェンキンス[50]
第3戦ジョーダン・スパークス[51]ランディ・ジョンソン[52]ルイス・ゴンザレス[52]
第4戦ミッキー・ガイトン[53]マドックス・カーミーン、
エイミー・ギボンズ
(癌サバイバー)[54]
トニー・ビーズリー、
ライアン・トンプソン[54]
ジョン・ラーム[55]メリル・ケリー[55]
第5戦ダイナ・ジェーン
(フィフス・ハーモニー)[56]
タイラー・モルドバン
(フェニックス市警察)[57]
不明

第2戦前の国歌独唱と第4戦前の始球式のうちのひとつは、いずれもMLBが協賛する非営利団体の活動と結びついたものである。第2戦前に登場したパール・ピーターソンはワシントン州スクイム在住の高校生で、校外活動促進団体 "ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブ・オブ・アメリカ"(BGCA)オリンピック半島支部の利用者である。彼女は5月のBGCA全米総会でその歌唱力を評価されて表彰を受けて以来、東海岸のニューヨーク州ニューヨークから南部のジョージア州アトランタや中西部のイリノイ州シカゴ、西海岸のカリフォルニア州ロサンゼルスに至るまで全米各地を股にかけて歌を披露してきた[58]。10月に入りニューヨークでのBGCA催事で歌唱したところ、そこに出席していたMLB幹部の目に留まって今回の抜擢につながった[59]。また、第4戦前の始球式のうちのひとつでは、MLBが協賛する悪性腫瘍(癌)研究支援の慈善団体 "スタンド・アップ・トゥー・キャンサー" との合同企画により、癌との闘病経験を持つ両球団ファンが事前にひとりずつ選ばれてボールを投じた。ダイヤモンドバックスのファン代表エイミー・ギボンズは、BGCA前フェニックス支部長で、卵巣腫瘍を克服した[60]。レンジャーズのファン代表マドックス・カーミーンは13歳の少年で、ここ5年の間に急性骨髄性白血病を2度発症して入院しており、その間にはエルビス・アンドラスらレンジャーズの選手たちの慰問を受けたこともある[61]。

ダイヤモンドバックスの本拠地球場チェイス・フィールドで行われる第4戦の前、もうひとつの始球式にはゴルファーのジョン・ラームが登場した。ラームはアリゾナ州立大学出身で、この年4月には4大メジャー大会のうちのひとつ、マスターズ・トーナメントを制した。今回の始球式ではマスターズ優勝者の証であるグリーンジャケットを身にまとい[注 8]、同じ大学出身でダイヤモンドバックス投手のメリル・ケリーを捕手役にしてボールを投じたが、その投球は右打席の方向へ大きく逸れた。このあとラームはX(旧Twitter)で「少ーーーーーし外れたかな⚾😂」と振り返り、また後日その投球の出来について訊かれると「10点満点で6〜7点はあげていい」と述べた[62]。ただ、今シリーズに姿を見せたマスターズ優勝経験者はラームが初めてではない。レンジャーズの本拠地球場グローブライフ・フィールドで行われた第1戦には、いずれもテキサス大学オースティン校出身の2015年大会王者ジョーダン・スピースと2022年大会王者スコッティ・シェフラーが観戦に訪れている[63]。

第5戦前の始球式には、フェニックス市警察(英語版)のタイラー・モルドバンが起用された。2021年12月14日未明、当時22歳の新人警官モルドバンは危険運転の通報を受けて現場へ向かい、車から降りた運転手と思しき男を追跡したところ、その男から頭部への1発を含む計8発の銃撃を受けて重体に陥った[64]。一時は生存も絶望視される状態だったが一命をとりとめ、2022年1月に救急搬送先の病院からリハビリ施設へ転院、同年6月には自宅へ戻った[65]。その後も車椅子生活となりながら、2023年4月6日にはダイヤモンドバックスのレギュラーシーズン本拠地開幕戦で始球式に起用され、妻チェルシーやダイヤモンドバックスOBルイス・ゴンザレスの介助のもと立ち上がってボールを投じた[66]。それから7か月後、今シリーズ第5戦がチェイス・フィールドで行われる年内最後の試合となったため、球団は「彼の始球式から始まったシーズンだから、掉尾を飾るには彼に戻ってきてもらうのがふさわしい」と、モルドバンを再び始球式に起用した[67]。今回の始球式ではチェルシーやゴンザレスのほかにフェニックス市長ケイト・ガイエゴ(英語版)や暫定警察長マイケル・サリバンも立ち会い、観衆が拍手と歓声で出迎えるなか、モルドバンは車椅子から立ち上がっただけでなく、そこから歩行器につかまって本塁方向へ歩みを進めたあとにボールを投じた[57]。

テレビ中継

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アメリカ合衆国

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アメリカ合衆国におけるテレビ中継はFOXが放送した。実況はジョー・デービス(英語版)が、解説はジョン・スモルツが、フィールドリポートはケン・ローゼンタールとトム・バードゥッチ(英語版)が、それぞれ務めた。MLBではこの年より投球間の時間制限 "ピッチクロック" が採用されたが、シーズンを通して続けたことで観るほうの違和感もなくなったと判断され、今シリーズ中継では画面上にクロックの表示がされなかった[68]。試合前にはケビン・バークハート進行のコーナーがあり、デレク・ジーターやデビッド・オルティーズ、アレックス・ロドリゲスが出演して試合の見所などを語った。

全5試合の平均視聴率は4.7%で、前年から1.4ポイント下降し、2020年の5.2%も下回って歴代最低となった[69]。シリーズを通しての、全米および出場両チームの本拠地都市圏における視聴率等は以下の通り。

全米および出場両チームの本拠地都市圏における視聴率等
試合日付放送時間全米テキサス州ダラスアリゾナ州フェニックス
視聴率占拠率視聴者数視聴率占拠率視聴率占拠率
第1戦[70][71]10月27日(金)午後8時00分〜0時15分4.6%15%917万人19.4%52%16.9%46%
第2戦[72]10月28日(土)午後7時58分〜11時5分4.0%12%815万人不明不明不明不明
第3戦[73][74]10月30日(月)午後7時57分〜10時55分4.2%11%813万人20.3%47%18.1%45%
第4戦[75][74]10月31日(火)午後7時58分〜11時19分4.5%13%848万人19.7%50%12.7%36%
第5戦[76]11月1日(水)午後7時57分〜11時12分6.0%17%1148万人不明不明不明不明
平均[69][77][78]4.7%14%911万人20.3%51%16.0%43%
参考:前年や裏番組との比較
今シリーズ前年からの変動裏番組の最高視聴率
試合視聴率視聴者数前年視聴率前年視聴者数番組放送局放送時間視聴率
変動変動
第1戦[70]4.6%917万人5.8%1.2ポイント下降1148万人231万人減少『ザ・プライス・イズ・ライト』(再放送)CBS午後8時00分〜9時00分1.8%
第2戦[72]4.0%815万人不明不明1079万人264万人減少Big Ten Saturday Night[注 9]NBC午後7時33分〜11時00分2.6%
第3戦[73]4.2%813万人6.2%2.0ポイント下降1116万人303万人減少『マンデーナイトフットボール』ABC午後8時13分〜11時21分4.8%
第4戦[75]4.5%848万人6.6%2.1ポイント下降1181万人333万人減少『ザ・ヴォイス』NBC午後9時00分〜10時00分3.1%
第5戦[76]6.0%1148万人7.0%1.0ポイント下降1277万人129万人減少『サバイバー』CBS午後8時00分〜9時30分2.7%
第6戦(なし)6.2%-1255万人--
平均4.7%911万人6.1%1.4ポイント下降1178万人267万人減少[註]放送時間は東部夏時間。中部夏時間は-1時間、山岳部標準時は-3時間

今シリーズの視聴率が低迷した理由については、以下のような要因が指摘されている。

  • 全米人気に欠ける出場球団:全米規模の人気がある球団はニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックス、ロサンゼルス・ドジャースなど一部に限られ、レンジャーズやダイヤモンドバックスはそこには入らない[79]。両球団の本拠地都市圏も、テレビ視聴世帯数では前年出場球団の本拠地都市圏を下回っているうえ[80]、全米の48%を占める東部時間帯地域から外れているため、東部大都市の住民の興味を引くことができない[81]。FOXの戦略・分析担当上級副社長マイク・マルビヒルは、今シリーズの対戦カードについて「出場球団が入れ替わって新王者が誕生するのは、球界にとって健全なこと」としたうえで「短期的にみれば、全米人気を持たない球団どうしの対戦では視聴率を稼げないのも確かだ」と述べた[77]。
  • スター選手不在:野球はその競技特性上、ひとりの選手が試合結果に与える影響はアメリカンフットボールやバスケットボールと比べて小さいため、勝利にはスター選手の活躍よりもチームの総合力が求められる[82]。スター選手を擁するチームが順当に勝ち上がる可能性は他競技より低く、今シリーズには大谷翔平やアーロン・ジャッジ[83]、ブライス・ハーパーやムーキー・ベッツなどのような人気選手がいなかった[80]。特にダイヤモンドバックスには、熱心な野球ファンでもなければ知らないような選手が多い[83]。
  • 裏番組のアメリカンフットボール中継:ワールドシリーズは前年の2022年より、開幕日を金曜日に設定した。これは第2戦と第3戦の間の移動日を日曜日に、第5戦と第6戦の間の移動日を木曜日にすることで、シリーズ中継が他メディアによるNFL中継の裏番組となるのを回避するためである[84]。ただこれでは第1戦(と、シリーズが長引けば第6戦)が、1週間のなかで最も視聴率をとりにくいとされる金曜日開催とならざるを得ない[77]。また、NFL中継との視聴率競争を完全に回避することはできず、月曜日の第3戦はESPN『マンデーナイトフットボール』(MNF)と重なる。この日MNFはABCとのサイマル放送を実施し、両局合計で平均視聴者数1520万人と、FOXのシリーズ第3戦を大きく超える数字を残した[85]。また第2戦が開催された土曜日は、番組単位でこそシリーズ中継が最も多くの視聴者を獲得しているが、カレッジフットボール中継はNBCとABCがそれぞれ別の試合で行っており、合計の平均視聴者数は953万人と、こちらもシリーズ中継を上回った[注 10][86]。
  • シリーズの早期決着:シリーズは第7戦へ近づくごとに視聴者数が増える傾向にある。直近10年をみても、第6戦は第5戦より視聴者数が平均で14%増えている[81]。しかし今シリーズはそこまで行かず、5試合で決着した。
  • テレビ離れ:大学1〜2年生くらいの若者のなかには、野球に興味があってもケーブルテレビの有料視聴契約をしていないため試合中継を観る習慣がなく、JomboyのようなインフルエンサーがSNSにアップする切り抜き動画で満足する、という例がみられるという[87]。

その一方で裏番組との視聴率争いでは、クイズ番組やオーディション番組、ドラマなどの娯楽番組に対しては8年連続でどの番組よりも高い視聴率を記録しており、マルビヒルも「我々の望みはふたつあって、そのうち『長いシリーズ』は叶わなかったが『娯楽番組より高い視聴率』は達成できた」と一定の評価を与えている[77]。

日本

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日本での生中継の放送は、日本放送協会(NHK)の衛星放送チャンネル "BS1" で行われた。実況は早瀬雄一が、解説は井口資仁が務めた[88]。NHKのアナウンサーや解説者がスタジオで映像を観ながらではなく、実際に現地へ赴いて球場の放送ブースからワールドシリーズの実況・解説を行うのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を挟んで2019年以来4年ぶりである。井口は選手としても2005年シリーズに出場した経験を持つが、それから18年後の今回、解説者という別の立場から開催都市の雰囲気や試合を直に目にしたことで、ワールドシリーズが持つ価値を再認識したという[89]。

解説者の古田敦也は、NHK中継の出演者ではないが今シリーズに合わせて渡米し、第3戦の試合前にチェイス・フィールドで自身と井口、ダイヤモンドバックス監督トーリ・ロブロの3人で肩を組んで撮影した写真をInstagramに投稿した[90]。古田は日本プロ野球のヤクルトスワローズでロブロと2000年にチームメイトだった縁から、2023年のスプリングトレーニングでダイヤモンドバックス臨時コーチを務めており、その際にもしチームがワールドシリーズへ進出したら再渡米すると約束していた[91]。テレビ朝日はシリーズの中継こそしていないものの、古田がロブロとの旧交を温めつつシリーズを現地取材する様子を11月5日の『サンデーLIVE!!』で詳報した[92]。

イギリス

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BBC系列のシリーズ第1戦中継で解説を務めたのは、いずれも元選手のライアン・ローランドスミス(左。写真は2008年8月21日、シアトル・マリナーズ在籍時に撮影)とゼイビア・スクラッグス(写真は2015年8月15日、マイナーリーグAAA級メンフィス在籍時に撮影)だった

イギリスでは、有料放送のTNTスポーツ(英語版)がポストシーズン全試合の放映権を持つ。しかし今シリーズでは、MLB機構の国際市場開拓戦略により第1戦の放映権が英国放送協会(BBC)へ移されたため、史上初めてBBC系列でのワールドシリーズ中継が実現した[93]。BBCは双方向サービス "レッドボタン(英語版)" で英国夏時間10月28日午前0時30分から生中継を行い、さらに同日の午前5時15分と午後8時25分、翌29日午後2時40分からの計3度再放送したほか[94]、BBCスポーツのウェブサイトや "iPlayer" などインターネット放送の視聴手段も用意した[95]。第2戦以降のTNTスポーツがMLBによって製作・提供されるアメリカ合衆国外向け英語放送用の映像・音声を使用したのに対し、第1戦のBBCはそれとは異なる独自の映像・音声を製作し、実況にはメラニー・ニューマン(英語版)を、解説にはライアン・ローランドスミスとゼイビア・スクラッグスを起用した[93]。

脚注

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注釈

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  1. ↑ 監督としてのシリーズ優勝回数は、ウォルター・オルストンやジョー・トーリと並び、7回のケーシー・ステンゲルとジョー・マッカーシー、5回のコニー・マックに次ぐ。両リーグ球団でのシリーズ優勝は、スパーキー・アンダーソンとトニー・ラルーサが過去に達成している。
  2. ↑ 他には1914年のボストン・ブレーブス、1967年のボストン・レッドソックスや1969年のニューヨーク・メッツ、2008年のタンパベイ・レイズが記録しており、レンジャーズとダイヤモンドバックスが15年ぶり5・6球団目。このような球団どうしがシリーズで直接対決するのは、今回が初めてとなる。
  3. ↑ 1991年シリーズに次ぐ。そのシリーズに出場したアトランタ・ブレーブスとミネソタ・ツインズは、1990年はそれぞれ65勝97敗と74勝88敗で、合算勝率は.429だった。
  4. ↑ 1914年のブレーブスが1911年44勝107敗5分→1912年52勝101敗2分→1913年69勝82敗3分で.363、1991年のブレーブスが1988年54勝106敗→1989年63勝97敗1分→1990年65勝97敗で.378、2006年のデトロイト・タイガースが2003年43勝119敗→2004年72勝90敗→2005年71勝91敗で.383。レンジャーズとダイヤモンドバックスはこの3球団に次ぐ。
  5. ↑ 3年連続出場時の所属球団は、ドン・ベイラーが1986年レッドソックス→1987年ツインズ→1988年オークランド・アスレチックス、エリック・ヒンスキーが2007年レッドソックス→2008年レイズ→2009年ニューヨーク・ヤンキース。その間の優勝経験はベイラーが1987年のみ、ヒンスキーが2007年と2009年である。
  6. ↑ 過去の3人は、1909年→1925年で16年空いたベーブ・アダムズ、1965年→1982年で17年空いたジム・カート、1979年→1995年で16年空いたデニス・マルティネス。
  7. ↑ 過去の4人は、1995年ワールドシリーズ→2001年韓国シリーズ(朝鮮語版)のカルロス・バイエガ、2006年韓国シリーズ→2018年ワールドシリーズの柳賢振、2015年ワールドシリーズ→2022年韓国シリーズ(朝鮮語版)のフアン・ラガーレス、2017年・2018年ワールドシリーズ→2022年韓国シリーズのヤシエル・プイグ。このうち優勝を経験したのは2022年韓国シリーズのラガーレスしかおらず、もし今シリーズでダイヤモンドバックスが優勝すれば、ケリーは史上初の両シリーズ優勝経験者となる。
  8. ↑ グリーンジャケットは、マスターズ開催地オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ(ANGC)の会員、および名誉会員となるマスターズ優勝者のみに贈られる。ただし普段はANGCのクラブハウスで保管されることとなっており、ANGCの敷地外へ持ち出すのは直近のマスターズ優勝者にしか許されていない。
  9. ↑ カレッジフットボール中継番組。この日はオハイオステート・バックアイズ(オハイオ州立大学)対ウィスコンシン・バジャーズ(ウィスコンシン大学マディソン校)戦を放送した。AP通信の記者投票ランキングでは、全米大学体育協会(NCAA)ディビジョンIフットボール・ボウル・サブディビジョン(英語版)全133校中オハイオステートが3位、ウィスコンシンがランク外(26位以下)だった。
  10. ↑ ABCの中継番組 Saturday Night Football では、コロラド・バッファローズ(コロラド大学ボルダー校)対UCLAブルーインズ(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)戦を放送した。AP通信の記者投票ランキングではUCLAが23位、コロラドがランク外だった。

出典

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  2. 1 2 "World Series champion Rangers’ full share $506,263, MLB postseason pool a record $107.8 million," Associated Press News, November 22, 2023. 2023年11月22日閲覧。
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  4. ↑ Jon Hoefling, "Bruce Bochy is only manager in MLB history to win title with team he beat in World Series," USA TODAY, November 2, 2023. 2024年9月28日閲覧。
  5. ↑ Stephen Hawkins, "Bochy adds to legacy with 4th World Series title, and 1st for Rangers, in his return to majors," Associated Press News, November 2, 2023. 2023年11月3日閲覧。
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  13. ↑ SLUGGER編集部 「30球団通信簿 全選手最終成績+編成トップ通信簿 テキサス・レンジャーズ フロントの勝利への執念が実ったプレーオフ進出」 『隔月刊スラッガー』2023年12月号増刊、日本スポーツ企画出版社、2023年、雑誌15510-12、72頁。
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  21. ↑ The Associated Press, "Marlins, D-Backs, Rangers, Astros, Blue Jays all clinch playoff berths on next-to-last day," Associated Press News, October 1, 2023. 2024年1月4日閲覧。
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  27. ↑ 宇根夏樹 「2年前は100敗以上、前年も負け越しの2チームが、前年のリーグ優勝チームを倒してワールドシリーズへ」 『Yahoo!ニュース』、2023年10月25日。2023年10月25日閲覧。
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外部リンク

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