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| ワクチン概要 | |
|---|---|
| 病気 | SARS-CoV-2 |
| 種別 | ? |
ARCT-154(ベトナムではVBC-COV19-154としても知られる)は、米国のArcturus Therapeutics社が開発したCOVID-19ワクチン[1][2] の開発コード名である。自己増幅型RNA技術を用いた「レプリコンワクチン」とも呼ばれる新しいタイプのワクチンの1つである[3][4]。販売名は『コスタイベ筋注用』であり、登録された一般名は『コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン』である。
Arcturusは、ベトナムのVinbiocare社と協力し、臨床試験と製造を支援した[5]。日本では、Meiji Seika ファルマを製造販売業者として、2023年11月に従来株のCOVID-19に対するこの自己増殖型ワクチンが承認された[6][7]。
2回接種が必要で、2回目は1回目から28日後に接種する[8]。
自己増幅型RNA(saRNA)技術を用いたmRNAワクチンの1つである[9][10]。saRNAワクチンは、少量の接種でも体内でmRNAが自己増幅するため、少ない量のmRNAで十分な抗体を持続的に生成できる特徴を持つ[11][12]。これにより、従来のmRNAワクチンに比べて接種量を大幅に減らし、製造期間の短縮や副反応の軽減が期待されている[3][9]。saRNAは従来のmRNAよりは長持ちするが、従来のmRNAと同様に体内ですぐに分解される[4]。
元来、修飾されていないRNAは手に付着しただけで分解するほど不安定である[13]ため、十分な抗原タンパク質を発現するための安定化手段として、レプリカーゼがコードされている。
翻訳されたレプリカーゼが自身をコードするmRNAを複製することで増幅され分解速度を遅らせ、同時に目的物質であるSARS-CoV-2由来の配列も複製し、抗原タンパク質を体内で十分に翻訳させることができる。
用いられているのはベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)由来のレプリカーゼタンパク質(nsP1、nsP2、nsP3 )であるが、SARS-CoV-2も含めウイルス自身が作られることはない[14]。
レプリカーゼとSARS-CoV-2配列は同一の複製起点から複製されるレプリコンであるため、「レプリコンワクチン」と称される。
凍結乾燥粉末の形で製造でき、超低温コールドチェーンを使用することなくワクチンの安定性を保つことができる[15][1][16]。
2021年8月、Arcturusは、ベトナムでARCT-154ワクチンの臨床試験を実施し、ハノイのホアラックハイテクパークに製造施設となる工場を設立するために、ビングループの傘下企業であるVinbiocareと提携した[5][17]。この工場には2億ドルの投資が必要とされ、年間2億回分のワクチンを製造できる能力を持つ[18][19]。ビングループは2022年初頭にワクチンの最初のバッチを生産する予定である[20]。Arcturusは、Vinbiocareにワクチン製造のための「独自の技術とプロセス」へのアクセスを提供し、ベトナムでの販売と使用のみを目的とした独占的製造ライセンスも供与する[8][1][21]。これには、ARCT-021などのArcturusの他のすべてのCOVID-19ワクチンと、ベトナムでの将来の疾病予防のための他のワクチンが含まれる[18]。Vinbiocareは、前払いで4000万ドルを支払い、技術移転費用を負担し、「Arcturusから供給されるmRNA原薬と、施設で生産されたワクチンに対するロイヤリティ」を支払う[8][17]。
非臨床研究では、SARS-CoV-2アルファ変異体、ベータ変異体、デルタ変異体、ガンマ変異体を含むCOVID-19変異株に対する中和抗体を非ヒト霊長類で誘発することが示された[8][21][22]。
複数の臨床試験で従来のmRNAワクチンと同様の有効性と安全性が示され、2023年11月に日本で従来株COVID-19対応の製品が承認された[3]。saRNAタイプのワクチンが通常承認されるのは世界初である[3][6]。インドでは2022年にCOVID-19に対する別のsaRNAワクチンが緊急使用認可を受けており[23]、3000人以上を対象とした臨床試験で有効性と安全性が実証された[15][24]。
2021年8月3日、Arcturus Therapeutics社は、シンガポールでARCT-154とARCT-165ワクチンに関する臨床試験の承認を受けたことを確認した。第1相/第2相臨床試験では、これらのワクチンを初回接種シリーズとして、またファイザー社COVID-19ワクチンの初回接種後のブースターとして評価する。この研究は、シンガポール政府の助成金により一部資金提供された[22][25]。
Arcturus Therapeutics社は、ベトナムで第1相から第3相の臨床試験を行った[26]。この臨床試験は、ビングループの子会社であるVinbiocareが全面的に後援し、資金提供した[21][8]。
2021年8月2日、Vinbiocare社はベトナムでCOVID-19ワクチン候補の臨床試験を開始するための規制当局の承認を受けた[21][18]。同社は保健省と連携し、3段階に分けて21,000人の成人を対象にVBC-COV19-154ワクチンの第1相から第3相の臨床試験を実施する[21][1]。臨床試験の第1段階では、100人のボランティアを募集し、ワクチンの安全性、忍容性、免疫原性の初期評価を行う。臨床試験の第2段階では、複数の省の指定医療施設で300人のボランティアを登録し、第3段階では、第3a段階(600人のボランティア)と第3b段階(2万人のボランティア)を含め、2万600人のボランティアが参加する予定である[18][27]。プラセボ投与を受けた被験者は6か月後に活性ワクチンを投与され、すべての被験者は1年間にわたって追跡調査される[10]。
2021年12月には、ベトナムでの緊急認可を申請するための手続きを完了し、保健省に緊急使用許可申請した[18][1]。緊急使用許可申請については2023年7月現在で進捗はなく、承認時期も不明である[28]。
2024年5月20日、Arcturus Therapeutics社は、ベトナムにおける第1相から第3相の臨床試験を終了した[26]。第3b相試験は、1万6000人以上を対象にした大規模な臨床試験が実施された[29]。この試験では、ワクチンの有効性と安全性が確認された[30][3]。
臨床試験の第1相は、2021年8月15 - 16日にハノイ医科大学で開始された。第1相は、3:1の比率で無作為に割り当てられた100人の健康なボランティアを対象に実施された。つまり、75%がARCT-154ワクチンを、25%がプラセボを接種した。第1相試験の主な目的は、ワクチンの安全性と免疫原性を評価することだった。ボランティアは、28日間隔でARCT-154ワクチンまたはプラセボを2回接種した。研究チームは、1回目の接種(1日目)から2回目の接種から7日後(36日目)までのボランティアのデータを評価した[31]。ARCT-154ワクチンの安全性に関する第1相の報告書は、2021年9月20日に倫理委員会によって承認された。予備的な結果によると、ARCT-154ワクチンは健康なボランティアに対して安全であることが示された[32][33]。
ワクチンの第2相および第3相試験は、バクニン、ハノイ、ロンアンで同時に実施され、合計1000人のボランティアが参加した。北部地域での試験はハノイ医科大学が、南部のホーチミン市ではパスツール研究所が実施した。バクニンでは9月20日から23日にかけて、研究チームがボランティアの募集を開始し、18歳から65歳までの338名を選び、9月27日から29日にかけて初回投与を行った。ロンアンとハノイでは、保健省もボランティアへの初回投与を実施した[33]。第3a相試験は11月24日に終了し、研究チームは12月30日に試験結果を保健省に報告した[33]。第3b相試験は1万6000人を対象に行われ、有効性と安全性が確認された[30][3]。
2022年11月、Meiji Seika ファルマ (本社:東京都中央区京橋2丁目4番16号、フリーダイヤル (0120) 093-396、代表取締役社長:小林大吉郎、役員一覧) が国内で第3相試験を開始した[34]。この非劣性試験(先行薬と同様の有効性と安全性があるかを確かめる試験)は、4回目のブースターとして、828人の参加者をARCT-154またはファイザー社ビオンテックCOVID-19ワクチンに無作為に割り付けた[35][36]。2023年12月に結果が公表され、有効性については従来のファイザー社ワクチンよりも少ない量(1/6)で、同等以上の免疫反応の誘導効果が示された[36][30]。有害事象については、ほとんどは軽度または中等度であり、発現割合はファイザー社ワクチンと同程度だった[36][30]。
副反応の可能性(「コスタイベ筋注の注意点」)
Meiji Seika ファルマの「コスタイベ筋注の注意点」にて、
「心筋炎、心膜炎」、「ギラン・バレー症候群」、「ショック、アナフィラキシー」が上げられている[37]。
2023年11月28日、CSL Seqirus社(Arcturus Therapeutic社の独占的グローバルパートナー)とMeiji Seika ファルマは、ARCT-154ワクチン「コスタイベ筋注用[38]」を薬事申請し、承認された[39][3]。このタイプのワクチンが通常承認されるのは世界初である[3][6]。今回の承認は、ベトナムや日本で実施された試験を含め、ARCT-154を用いた複数の試験で有望な臨床データが得られたことに基づいている[3]。今回承認されたのは従来株対応ワクチンであり、現在のCOVID-19の流行株とは異なるため供給されない[3]。2024年5月、Meiji Seika ファルマは、オミクロン株JN.1系統対応ワクチンの薬事承認を申請した[39]。2024年9月17日 武見敬三厚生労働大臣は、Meiji Seika ファルマの新型コロナウイルスワクチン「コスタイベ筋注用」について「安全性に問題なし」と述べた。[40]
他にVLPセラピューティクス・ジャパン (本社:東京都港区西新橋1丁目16番4号、代表取締役:赤畑渉[41]、創設者一覧) などのグループが、レプリコン技術を用いた別のsa-mRNAワクチン(VLPCOV)を開発しており[42][43][44]、2024年7月時点でオミクロン株XBB.1.5系統対応ワクチンの第3相試験を行っている[39]。
2024年11月11日、Arcturus Therapeutics 社は、H5N1 パンデミック インフルエンザのための 自己増幅 mRNA ワクチン候補である ARCT-2304 の臨床試験の承認を FDA から取得した。[45]
ARCT-154は、反ワクチン団体である神真都Qや日本看護倫理学会(2024年10月時点で日本学術会議協力学術研究団体への加盟申請中)などから健康被害に関する懸念を呈されている[46][47][48] [49][50][51] [52][53][54][55] 。令和6年6月には参議院議長宛に川田龍平参議員により質問主意書が提出された[56]。また、2024年9月に、このワクチンの接種開始を憂慮するMeiji seikaファルマの現役MR社員有志数名による本が出版されている[57]。若手社員が別の製薬会社のワクチン接種後に死亡したことから、その社員K氏の名を冠した編集グループ「チームK」を社内で結成し販売に反発したという体裁となっている。しかし同製薬会社は内部調査の結果、関わった人物はK氏と面識のない社員1名のみと判明したとし、書籍で「社員の多くがレプリコンワクチンを売りたくないと思っている」とされた点を否定した[58][59]。
主な懸念事項はシェディングと呼称される現象であるが、これはmRNAワクチン、あるいはそこから翻訳されたタンパク質が何らかの形でウイルスそのものとなり、体外へと排出され空気感染する現象を指すと考えられる。
シェディング現象が存在するとの科学的コンセンサスはないが[60]、2024年には一部のフィットネス店や美容院がシェディングの恐れがあるとして接種者を入店拒否し、こうした動向に対し厚生労働大臣は冷静な対応を呼びかけた[61]。
2024年9月25日、Meiji Seika ファルマ小林大吉郎代表取締役社長は、記者説明会でシェディングとmRNAの増幅について「mRNAワクチンは生ワクチンなどと異なり、ウイルスの一部(スパイクタンパク)しか使用していないため、感染性のあるウイルス粒子自体を形成することはない。したがってシェディングは起こらないと考えられており、そのような科学的知見は現在あらゆる先行研究にもない。」と述べた。[62] また、レプリコンワクチンは投与された後にmRNAワクチンが増幅しつづけず「 ... 投与後は時間の経過に伴い生体内から消失していくことが示されている」という、厚生労働省による審査報告書に沿った見解を示した[14]。
2024年10月8日、Meiji Seikaファルマは悪質な批判を繰り返す反ワクチン団体(「mRNAワクチン中止を求める国民連合」及び日本看護倫理学会)の幹部を名誉毀損で提訴することを発表した[63][64][65]。
また、厚生労働省は、一部医療機関が接種を理由に診療を拒否していることに対し、医師法(応召義務)違反である可能性があると懸念を示している[66]。
製薬会社Meiji Seikaファルマは、次世代型の新型コロナワクチン「レプリコンワクチン」について原口一博衆議院議員が事実に基づかない発言で名誉を傷つけたとして、東京地裁に2024年12月に損害賠償を求め提訴した[67]。
立憲民主党所属の参議院議員である川田龍平の第213回国会でのレプリコンワクチンに関する質問に対する答弁書[68]は日本看護倫理学会が声明する一つの論拠と掲げられている[69]。
川田は同ワクチンへの懸念について「世界初承認のレプリコンワクチン定期接種の中止を求めるオンライン署名」を2024年9月に開始し、シェディングなどのリスクに関する十分な臨床データが存在しないなどの理由から中止すべきであると主張し、この署名は途中経過で厚生労働大臣宛に担当部局を通じて手渡したされ、福岡厚生労働大臣も記者会見において要請書提出と川田より直接の意見があったことを認めた[70]。また、2024年12月17日、Xに「ロットによって接種者全員が亡くなっているショックな統計すらある」と投稿し、同内容を12月17日の参議院予算委員会でも「ロットを使った人が全て亡くなっているロットがあったり」と発言した[71][72]。2024年9月28日の東京臨海広域防災公園では「コロナワクチン反対」を訴える大規模なデモ集会で川田は登壇し、妻との共著のワクチン本を販売していたと報道された[73]。川田は上記の原口の製薬会社Meiji Seikaファルマによる提訴に対する2月26日記者会見でも陪席し科学的検証不十分との立場を持っている[74][75]。
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