お梅は呪いたい

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『お梅は呪いたい』(おうめはのろいたい)シリーズは、藤崎翔による日本の小説作品。ファンタジー、ホラー作品。

戦国時代末期にその祟りを恐れられ封じられていた日本人形・お梅。500年後の現代に蘇り、人々を呪うために奮闘するが、かつて人々を恐怖に陥れた数々の手法が、現代人に通用しないばかりか、呪いを逆に作用させてしまう事で起こる顛末をユーモラスに描く。

あらすじ

『お梅は呪いたい』のあらすじ

ぷろろうぐ
鶴川家九代目当主茂家の長女・豊姫は領地争いで緊張関係にある亀野家当主・亀野則家に嫁ぐが、実家の鶴川家は茂家が病死した期に乗じて亀野家に攻め滅ぼされてしまう。その後亀野家は相次いで子を失うなど不幸が重なり、全ての不幸の原因は豊姫にあると信じ込み発狂した則家は、妻・豊姫を切り殺し、ついには自身も衰弱死してしまう。豊姫が嫁入り道具として持参した人形は、処分されかけるが、関わった者が次々と不幸に見舞われるため、呪いの人形として、厳重に封じ込められ、家臣の家の屋根裏に仕舞い込められる。
ゆふちゅうふばあを呪いたい
亀野家滅亡から時が流れ、500年後の現代。世帯主が亡くなり、整理されることとなった解体中の古民家から、ある日、古い日本人形が発見される。遺族はその人形の気味悪さに、相続を躊躇うなか、専門学校へ進学し上京していた松宮悠斗は、その日本人形のお梅を亡くなった大伯母から受け継ぐことを宣言し、東京のアパートへ持ち帰る。
失恋女を呪いたい
スポーツジムの事務として働く里中怜花は、失恋し酒びたりな毎日をおくるが、ひょんなことから手に入れた日本人形のお梅を、酔った勢いで部屋に飾り始めてから、生活に思いがけない変化が生じてゆく。
引きこもり男を呪いたい
新たに日本人形のお梅が拾われた先は、高校を中退し、引きこもりを続ける高山渓太。ゆうちゅうふばあの悠斗とも失恋女の怜花とも違う、陰気臭い暮らしぶりに面食らうお梅。さっさと呪い殺して、次こそは健全な人間に取り憑きたいのだが、呪いの効果が渓太になかなか表れない。そんなある日渓太は思い出したくもない夢を見る。それは彼が引きこもりになった原因の、悔やんでも悔やみきれない出来事が起きた日の事であった。
老婆と童(わらべ)を呪いたい
親切な岡橋雅恵に拾われた日本人形のお梅は、雅恵と交流する友達のいない少年、日野友希との仲を切り裂こうと、さっそく二人を呪い始めるが、友希の悩みを聞いた雅恵は、居ても立っても居られず、問題を解決するためにいじめっ子の住む家へ向かう。
老人ほおむで呪いたい
老人ホーム・翔風苑で暮らす老人・西本勲。痴呆症を発症していて、意思の疎通も難しい。彼の世話をするヘルパーに拾われて勘違いで勲のベットサイドに置かれるようになった日本人形のお梅は、勲に地獄の苦しみを与えようと語りかける。「人間が悶え苦しむのを見るのが快楽だ。楽しい。楽しい-」
ベットで苦しむ勲は、忘れていたはずの記憶を少しづつ思い出してゆく。
ゑぴろうぐ
老人ホームの暮らしは快適であったが、日本人形を気味悪がる痴呆症の老人に捨てられたことにより、再びお梅は取り憑く人間を探す旅に出る。

『お梅は次こそ呪いたい』のあらすじ

ぷろろうぐ
お梅は解体中の家屋の中で、首だけで現存し呪いの能力を失った呪いの人形・治郎丸と出会う。治郎丸は、お梅に空中を浮遊する術と、残された瘴気の力を授けて、重機に家屋ごと捻り潰されて死んでしまった。「再び呪いの人形の力を現代に轟かせてほしい」と言い残して。
間者童(かんじゃわらべ)を呪いたい
池村美央の両親は、母校の系列にあたる付属小学校に美央を入学させるため、受験に熱を入れるが、その熱が上がれば上がるほど、家族の絆は緩み、気持ちはバラバラになってゆく。美央はそのつらい胸の内を、拾い物の日本人形に明かすが、その緩んだ家族の絆の隙を突くように、お梅は池村家に取り憑いてゆく。
母子家庭を呪いたい
日本人形を美央から貰い受け、新たな持ち主となった鹿取彩乃は心根の優しい少女だが、障害を抱えている。その妹の障害を理由に、兄の修馬までいじめやからかいのターゲットとなるが、自分がいじめやからかわれていることは、シングルマザーの母親には言えないでいる。しかも不良少年の虎次郎が率いるグループのぱしりとして、冴えない学校生活を送っていた。ある時、同じようにぱしりとして扱われている少年・芝宏樹から「包丁で虎次郎を脅して不良グループから抜けたい」と打ち明けられる。相手にケガを負わせても構わない。と自暴自棄になっている宏樹を見捨てられず、虎次郎を呼び出した待ち合わせの場所まで修馬は付いてゆくが、ずる賢い虎次郎は、宏樹の捨て身の計画を予想し、高校生の兄・熊次郎を連れて待ち構えていた。
二世帯住宅で呪いたい
勘違いから専業主婦の谷元良絵に拾われた日本人形のお梅。良絵は二世帯住宅で、寝たきりの母を介護しながら暮らしている。タクシー運転手である夫は母の介護に無理解で、また大学生の娘も気ままに学生生活を謳歌している。全ての家事と介護を引き受け、良絵の心はすり減るばかり。ある日、主婦の苦労を夫と娘に思い知らせてやろうと、良絵は家事のすべてを放棄して、母の部屋に立てこもりを始めるが、その生活の不自然さに、お梅やお隣りに住む女子高生・永見杏菜が気付き始める。
恋患い(こいわずらい)で呪いたい
谷元理香は生活の荒れた母が使い込んだ学費をねん出するため、大学を休学し、レストランまるこで働いている。その店の常連であるサラリーマンの日下部 裕太は、理香に恋心を抱いているが、その気持ちをどう彼女に伝うべきか迷っている。ある時、裕太が店に置き忘れた携帯電話をきっかけに、二人はお互いを想い合う大切な存在であることに気づくが、実はもう一人理香に思いを寄せる男性がいる事を、まだ二人は知る由もなかった。
しんがあそん某(なにがし)を呪いたい
かつて『あいしてるの理由』という曲をヒットさせたシンガーソングライターのKYOYA(キョウヤ)。その後はヒット曲を作れぬまま一発屋として認識されたまま、世間から忘れ去られようとしている。そんな彼を事務所の社長で恋人の藤田亜沙美は懸命に支えているが、そんな二人の関係は、冷え切りそして破綻しつつあった。KYOYAに拾われたお梅は、KYOYAが持ち歩いているボイスレコーダーを亜沙美の荷物に紛れさせ、彼女が浮気している様子を録音することに成功。二人の仲を引き裂こうと暗躍する。亜沙美に別れを告げ、部屋で自殺しようと、吊るした荷造り紐に首をかけた瞬間、KYOYAは思いがけない体験をする。
ゑぴろうぐ
女性と密会中、天敵のカラスに追われるお梅を、写真出版社が放ったスクープ撮影用のドローンの類いと勘違いした情報番組の司会者・沖原泰輔。お梅を破壊しようと強硬手段に出るが、運悪く車に跳ねられてしまう。その事故のどさくさにまぎれ、なんとか窮地を脱したお梅は、次に取り憑く人間を探す旅に出る。

『お梅は魔法少女ごと呪いたい』の概要

お梅に強敵あらわる!!!! その名は〝ハッピー魔法少女イライザ〟! 幸運の人形イライザに、お梅は不満爆発!? 笑いと涙と精巧な伏線回収に踊らされる!?
かつては戦国大名を滅亡させたほどなのに、約500年ぶりに復活してからは間違えて人々を幸せにしてばかり……失敗続きの呪いの人形お梅が〝ハッピー魔法少女イライザ〟なる人形と出会った! お梅とは正反対の、人の幸せを願ういけ好かない存在だが、特殊能力満載のイライザをも利用して、今度こそ現代人を呪い殺せるのか。
涙と笑いの大好評オカルトハートフルコメディ第3弾![1]

『イライザは救いたい』の概要

オーマイガッ!!!! みんなを幸せにしたいのに、どうして不幸になるの??
幸運の人形の奮闘が、人間にとってはもはや怪談!? 笑いと涙と連鎖する伏線回収に震え上がる、祟られ人生喜劇!『お梅は呪いたい』シリーズ第4弾!
昭和四十五年放送のアニメ『ハッピー魔法少女イライザ』のキャラクターグッズとして作られた人形イライザに、人知れず魂が宿った! イライザは魔法の力を駆使して現代人を幸せにしようと頑張るが、持ち前の不幸体質にジェネレーションギャップや余計なお節介が祟って、逆に人々を不幸にしてしまう!?
人を幸せにする呪いの人形お梅とは正反対の、愛と善意が不幸を呼ぶオカルトホラーコメディ![2]

登場人物

お梅(おうめ)
本シリーズの主人公。元は鶴川家九代目当主・重定の長女・豊姫の所有物であった日本人形。木と紙で出来ていて、赤い和服を着ている。かつては呪いの人形と恐れられていたが、怪談話にあるような、髪の毛が伸びるなどの特徴はない。500年ぶりに封印を解かれ、社会復帰を果たすが、世の中の移り変わりに戸惑いを感じている。ただしテレビ等を通じて歴史を学んだり、アラビア数字の時計を見てその表記の合理性を理解するなど知能も高く、高い向学心と柔軟性、好奇心を持ち合わせていて、現代社会と現代を生きる人間の暮らしに適応するための、情報収集には貪欲である。
歩いて移動したり、物を持つこともできるが、歩幅や腕力、俊敏性などの運動能力は人形のスケール感どおりのため、『チャイルド・プレイ』のチャッキーのようなスケール感を無視した重たい刃物の使用や携帯、トリッキーな動きは出来ない。特技は瘴気を体から発して相手を呪う事。思考には500年前に用いられていた旧仮名遣いの言葉を用いる。また発声器官がないため言葉を発することはできない。
イライザ(ゐらゐざ)
昭和45年(1970年)放送のアニメ『ハッピー魔法少女イライザ』のキャラクターグッズとして作られた金髪の西洋人形。特技はカチューシャにマジカルパワーを溜めて実行するマジカルワープ(瞬間移動)や、見掛けた者が拾わずにはいられなくなる「魅了の力」等々…。
人知れず魂が宿ったイライザは、なぜかお梅を〝幸福の人形仲間〟と思い込んで慕っており、行く先々につきまとう。
魔法の力を駆使して現代人を幸せにしようと奮闘するも、生来のとんでもない不幸体質にジェネレーションギャップや余計なお節介が祟って、逆に人々をもれなく不幸にしてしまう有り様…。
『お梅は魔法少女ごと呪いたい』から登場するサブキャラクター。

『お梅は呪いたい』の登場人物

  • 松宮 悠斗(まつみや ゆうと)
専門学校の通うために上京したが、現在はコンビニのバイト店員をしながら、売れないユーチューバーとして活動している。「ゆふちゅうふばあを呪いたい」に登場。
  • 里中 怜花(さとなか れいか)
スポーツジムの事務として働く。恋人に女の影を感じ、詰問したところ、自分が本命ではなく、彼の浮気相手だったことを知る。失恋後は、ショックで部屋の整理整頓が出来なくなり、酒びたりの生活を送るようになる。「失恋女を呪いたい」に登場。
  • 高山 渓太(たかやま けいた)
かつては高校球児だったが、母を失った不幸な事故をきっかけに、自宅で引きこもりを続けている。松宮 悠斗が働くコンビニの常連客でもある。「引きこもり男を呪いたい」に登場。
  • 岡橋 雅恵(おかはし まさえ)
公園に面した一戸建ての住宅に暮らす女性。40年連れ添ったご主人を亡くし現在は一人暮らし。庭に家庭菜園を作り、収穫を楽しみにしている。「老婆と童を呪いたい」に登場。
  • 日野 友希(ひの ともき)
宮城県出身の小学生。引っ越してきたばかりでまだ友達がいない。家庭の事情で厚生労働省に勤めるシングルマザーの母親と二人暮らし。「老婆と童を呪いたい」に登場。
  • 西本 勲(にしもと いさお)
老人ホーム・翔風苑で過ごす老人。満州からの引き揚げ組の家庭で育ち、帰国後は貧しい暮らしを強いられる。職を転々としたのち縁あって中華料理屋で働き始める「老人ほおむで呪いたい」に登場。

『お梅は次こそ呪いたい』の登場人物

  • 治郎丸(じろうまる)
鎧兜を身に着けた武者人形の形をした呪いの人形。ただし首から下の胴体はすでに欠損し、現在は生首状態で存在している。正確な人形年齢は不明だが、お梅よりも年若である。500年間封じ込められていたお梅とは違い、封じ込められることなく長く活動していたため、呪い殺した人数は何十人にものぼり、まさに凄腕の呪いの人形である。お梅に残存する呪いの力と、浮遊する技術を授け、重機によって解体される家屋と運命を共にする。「ゑぴろうぐ」に登場。
  • 池村 美央(いけむら みお)
教育熱心な両親により付属小学校に入学するための進学塾に通わされているが、本心はお友達の多くが入学する地元の小学校に通いたいと願っている。拾った日本人形・お梅にえるざと名付けて、その苦しい胸の内を吐き出している。近所に住む純真無垢な少女・鹿取彩乃にとてもなついている。「間者童を呪いたい」に登場。
  • 鹿取 修馬(かとり しゅうま)
彩乃の兄。彩乃の抱える障害を理由に両親は離婚。母親と彩乃と共に暮らす。彩乃の事でからかわれたりいじめられるようになり、現在は反抗期の真っ只中。ただし反抗の原因を母親にも話すわけにもゆかず悶々とした日々を送る。「母子家庭を呪いたい」に登場。
  • 谷元 良絵(たにもと よしえ)
母の世話をしながら二世帯住宅で暮らす主婦。母の介護、家事に追われ、理解のない家族の中で孤独を感じている。「二世帯住宅で呪いたい」に登場。
  • 日下部 裕太( くさかべ ゆうた)
IT企業に勤めるサラリーマン。レストランのウェイトレス・理香に恋している。「恋患いで呪いたい」に登場。
  • 木塚 恭也(きづか きょうや)
同級生と始めたバンドを解散後、名前をKYOYAから恭也に改めて始めたソロ活動で「あいしてるの理由」という曲でヒットを飛ばすも、勢いは続かず一発屋として世間に認知されている歌手。自殺願望がある。「しんがあそん某(なにがし)を呪いたい」に登場。
  • 沖原 泰輔(おきはら たいすけ)
夕方の情報番組『サイセットワイド』の司会者。俳優。離婚歴アリ。司会を務めていた『オキハラミュージック』では、KYOYAをゲストに招くなど交流があるが、その裏ではKYOYAのパートナーである藤田亜沙美に近づくなど、油断ならない人物。

お梅が視聴する映像作品

  • 『ちゃいるどぷれゐ(チャイルド・プレイ)』 - 一巻の「失恋女を呪いたいの登場人物」、怜花の部屋で視聴するが、人間と体力的に互角な戦いを繰り広げる人形の設定をあり得ないと一刀両断し、視聴を途中で放棄する。
  • 『とゐすとおりゐ(トイ・ストーリー)』 - 一巻の「引きこもり男を呪いたい」の登場人物、渓太の部屋で視聴するが、人形の苦労が丁寧に描かれている部分に関しては、不覚にも感情移入してしまった。と、一度は好意的な評価を下すものの、あくまでも玩具として人間に従属するうっでゐ(ウッディ)らの姿勢を、呪いの人形の立場としては受け入れられないと批判する。

書籍情報

  • 『お梅は呪いたい』文庫本(書下ろし):2024年2月20日、祥伝社文庫、296ページ、ISBN 978-4396350390
  • 『お梅は次こそ呪いたい』(第二巻)文庫本(書下ろし):2024年12月20日、祥伝社文庫、344ページ、ISBN 978-4396350901
  • 『お梅は魔法少女ごと呪いたい』(第三巻)文庫本(書下ろし):2025年12月11日、祥伝社文庫、328ページ、ISBN 978-4396351595
  • 『イライザは救いたい』(第四巻)文庫本(書下ろし):2026年9月9日、祥伝社文庫、256ページ、ISBN 978-4396352103
カバーデザイン:坂野公一(welle desigin) 1 - 4巻
カバーイラスト:五月女ケイ子 1 - 4巻

※『お梅は呪いたい』はシリーズ作品ではあるが、作品ごとにタイトルが異なり、また作品にも巻数や通し番号が振られていないため、ここでは便宜上、出版順に助数詞として「巻」を用いることとする。

メディアミックス

舞台化

  • 松村武脚本・演出、「お梅は呪いたい」製作委員会の製作で、2026年2月に東京と名古屋にて公演予定であったが、諸般の理由により公演は延期となった[3]。

ラジオドラマ


外部リンク

脚注

出典

  1. ↑ “藤崎翔『お梅は魔法少女ごと呪いたい』”. 祥伝社. 2026年10月5日閲覧。
  2. ↑ “藤崎翔『イライザは救いたい』”. 祥伝社. 2026年10月5日閲覧。
  3. ↑ “舞台『お梅は呪いたい』”. 舞台『お梅は呪いたい』. 2026年4月17日閲覧。
  4. ↑ “青春アドベンチャー「お梅は呪いたい」(2026年11月2日-13日放送・全10回)”. NHK 日本放送協会. 2026年9月30日閲覧。

注釈