グランディスオオクワガタ

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グランディスオオクワガタ
かつてグランディスオオクワガタの亜種とみなされていた Dorcus hopei moriyai のオス成虫
分類
界 : 動物界 Animalia
門 : 節足動物門 Arthropoda
綱 : 昆虫綱 Insecta
目 : コウチュウ目 Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目 Polyphaga
上科 : コガネムシ上科 Scarabaeoidea
科 : クワガタムシ科 Lucanidae
亜科 : クワガタムシ亜科 Lucaninae
族 : クワガタムシ族 Lucanini
亜族 : オオクワガタ亜族 Dorcina
属 : クワガタ属 Dorcus
亜属 : オオクワガタ亜属 subgen. Dorcus
種 : オオクワガタ Dorcus hopei
亜種 : グランディスオオクワガタ
D. h. grandis
学名
Dorcus hopei grandis
Didier, 1926
シノニム
  • Dorcus grandis
和名
グランディスオオクワガタ

グランディスオオクワガタ Dorcus hopei grandis は、コウチュウ目クワガタムシ科クワガタ属 Dorcus オオクワガタ亜属に分類されるオオクワガタ Dorcus hopei 種の亜種であり[1]、中華人民共和国の雲南省南部、ラオス、ベトナム北部に分布するクワガタムシである[2]。中国語では寮国大锹甲と呼称される[1]。

学名の亜種名 grandis とは「偉大な」という意味である。かつては独立種として Dorcus grandis の学名を与えられていたが、2025年に広義のオオクワガタ D. hopei の亜種とみなす新学説が発表された[3]。すなわち、グランディスオオクワガタは日本や朝鮮半島などに分布する狭義のオオクワガタ D. h. binodulosus や、中国に広く分布するホペイオオクワガタ D. h. hopei と亜種関係ということになる。一方でホペイオオクワガタ D. h. hopei と 狭義のオオクワガタ D. h. binodulosus をシノニムとみなし、日本・朝鮮半島・中国のオオクワガタをいずれも同一亜種とみなす場合もある[4]。グランディスオオクワガタの再分類に伴い、グランディスオオクワガタの亜種 D. g. moriyai とみなされていたミャンマー北西部(チン丘陵(英語版))、インド北東部(マニプール州)に分布する亜種 ssp. moriyai についても、改めてオオクワガタの亜種 D. h. moriyai に再分類された[3]。台湾に分布するタイワンオオクワガタ(中国語版) ssp. formosanus もかつてはグランディスオオクワガタの亜種 D. g. formosanus とみなされていたが、こちらも2013年にオオクワガタの亜種 D. h. formosanus として再分類されている[5][3]。

形態

体長はオスが32.7 - 92.0mm、飼育下96.5mm(2024年)、メスが32.0 - 56.7mm

オオクワガタ亜属では最大の大きさを持つ。野外ギネスは92.0mm、飼育ギネス(飼育レコード)は96.5mm。 体の横幅があり、大アゴが太く、強く湾曲している。

日本のオオクワガタなどの大アゴの内歯(内側の突起)は 大型個体になるほど前方に位置するが、本種の内歯は、どの個体でも真ん中の付近に位置する。 また、原名亜種では前胸背板(背中)の前縁(かど)が斜めに切れているという特徴がある。

分布

中華人民共和国の雲南省南部、ラオス北部、ベトナムに分布する[2]。ベトナムでは旧イエンバイ省、旧ハザン省、サパで、ラオスではサムヌア、シエンクワーン県で分布記録がある[1]。

生態

成虫は、夜行性であり、木の樹液を餌としている。オスは樹液が出る大木の洞などを縄張りにしている。用心深い性格であり、小さい物音でも隠れてしまうといわれている。しかし、いざとなったときは勇敢に戦い、スマトラオオヒラタクワガタやコーカサスオオカブトなど、世界的に見て最強群のカブト・クワガタにも引けを取らない戦力を発揮する。 メスは繁殖のためオスの縄張りや産卵場所を探して飛び歩くので、メスの方が灯火(明かり)に飛来するといわれている。

幼虫は、倒木や立枯れの地上部分の朽木の中で生活し、その朽木を食べて育つ。 日本のオオクワガタなどと比べて、やや湿度が高い朽木を好む。

原名亜種、ミャンマー亜種では標高1500メートル以上の比較的に標高の高い地域に生息し、ラオスではクルビデンスオオクワガタと混棲(こんせい)していて別種であることが確認されている。クルビデンスオオクワガタの方が生息範囲が広い。 台湾亜種では平地から山地まで生息し、シェンクリンオオクワガタと同じ地域に混棲しているが、シェンクリンオオクワガタの方が優位な力関係にある。 ミトコンドリアDNAの解析結果からグランディスオオクワガタとホペイオオクワガタとは最も近縁であることが明らかになったが、ホペイオオクワガタとの混棲地域は、まだ見つかっていない。

クワガタブームの到来によりラオス産の個体が日本へ入り始めた頃、輸出のために現地の人々が収入源としてクワガタ捕獲し、大木を切り倒していることが社会問題となり、環境への影響が懸念されたこともあるが、現在はこのようなことは無い。 また、グランディスオオクワガタは日本のオオクワガタと交雑することが確認されているので、生態系への影響が懸念されている。

それほど闘争心の強い種ではないが、オオクワガタ亜属の中では比較的気性が荒いと言われているため、飼育の際にはオスがメスを殺害しないように注意する必要がある。

旧分類

1926年から広く知られていたが、1995年にラオスから日本に標本が入り、分類学的な位置づけが再確認された。以下の3亜種はいずれもグランディスオオクワガタの亜種とみなされていた種であり、これら3亜種の分布域はインドからインドシナ半島(ミャンマー、ラオス、ベトナム)、台湾にまでおよんでいるが、その分布域は分類が見直される前の広義のオオクワガタ Dorcus hopei(原名亜種 D. h. hopei および狭義のオオクワガタ D. h. binodulosus)の分布域の南方に帯状に広がっている[6]。

グランディスオオクワガタ Dorcus hopei grandis Didier, 1926[3]
中国雲南省南部、ラオス北部、ベトナムに分布する[2]。タイプ産地はラオス[7]。中国語名は寮国大锹甲[1]。オス成虫の前胸背板の前縁は前方で斜めの直線状に切れ込んでいる[6]。かつてはグランディスオオクワガタの原名亜種 Dorcus grandis grandis とみなされていた[6]。[2]。
守谷氏大锹甲 Dorcus hopei moriyai Nagai, 2005[3]
ミャンマー東部、インド北東部[8]、中国雲南省西部に分布する[2]。タイプ産地はミャンマー東部[7]。かつてはグランディスオオクワガタのインド・ミャンマー亜種とみなされていた[2]。かつてグランディスオオクワガタの亜種とみなされていた3亜種の中では最大で、オスの体長は最大90 mm以上に達する。原名亜種によく似るが、前胸背板側縁の前縁は小さく半円状に突出する[8]。亜種名は守谷和眞に由来する[8]。
タイワンオオクワガタ(中国語版) Dorcus hopei formosanus Miwa, 1929
台湾に分布する[6][9]。内歯は大型個体ほど やや前方に位置する。前胸背板の切れ込みがあるものと、ないものが存在する。原名亜種とホペイオオクワガタとの中間的な傾向がある。
原産地の台湾では低地から高地帯にかけて広く分布し、6月から8月にかけて樹液や灯火で見つかるが、稀である[8]。台湾では保護昆虫に指定されており、採集は禁止されている[8]。

脚注

参考文献

  • 「ホペイとオオクワガタ大特集」『ビー・クワ』No. 12、2004年。 
  • 永井信二「ミャンマー産グランディスオオクワガタの1新亜種」『BE・KUWA』第413号、むし社、2005年7月1日、2-3頁。  - 『月刊むし』2005年7月号。
  • 藤田宏「藤田宏の世界のオオクワガタ大図鑑」『BE・KUWA』第16号、むし社、2005年9月23日、8-19頁。  - 『月刊むし』2005年10月増刊号(2005年秋号)。
  • 「世界のドルクス大特集」『ビー・クワ』No. 20、2006年。 
  • 藤田宏 著、(監修者)水沼哲郎・永井信二・鈴村勝彦 編『世界のクワガタムシ大図鑑』 6巻、むし社〈月刊むし・昆虫大図鑑シリーズ〉、2010年12月20日。ISBN 978-4943955061。 NCID BB04284986。国立国会図書館書誌ID:026998699・全国書誌番号:22674089。 
  • 土屋利行「世界のドルクス大図鑑」『BE・KUWA』第68号、むし社、2018年8月10日、8-37頁。  - 『月刊むし』2018年8月増刊号(2018年夏号)。
  • 「世界の人気オオクワガタ大特集!!」『ビー・クワ』No.72、2019年
  • 「第24回クワガタ飼育レコードコンテスト」『ビー・クワ』No.93、2024年
  • 黄灝 (Huang Hao); 陳常卿 (Chen Chang Chin) (2013-09-20). Stag Beetles of China Ⅱ 中华锹甲[貳] (出版一刷 ed.). 福爾摩沙生態有限公司. pp. 397-402. ISBN 978-9868685031 
  • Jing-Zhi Lin; Nguyen-Minh Tuan (2025-12-14). “Taxonomic revision of the Dorcus curvidens and D. grandis species groups (Coleoptera: Lucanidae: Lucaninae) in the Indochinese Peninsula”. The Indochina Entomologist 1 (94): 947-960. doi:10.70590/ice.2025.01.94. 

関連項目