タコの山(タコのやま)とは、滑り台を主としながら迷路や秘密基地のような構造を併せ持つ、コンクリート製・人造石研ぎ出し仕上げの屋外公園遊具で、造形上、タコ(蛸)の姿を模していることからその名で呼ばれている。「タコ山」「タコの滑り台」「タコさんすべり台[1]」「タコの山のすべり台(※開発企業の後身に当たる前田環境美術が用いる名称の一つ)[2]」「タコ遊具[3]」「タコスライダー」など様々な別名でも親しまれている。
1965年(昭和40年)に日本の東京都足立区西新井にある新西新井公園[4][gm 1][5]に初めて設置されて以来、日本各地に数多く設置されるようになった[6]とも、1968年(昭和43年)に東京都品川区の神明児童遊園に設置されたのを先駆けとして広がったともいわれている。いずれにしても、そのころ以来、タコの山はほぼ日本国内に限って広く普及していった。
造形に愛嬌と不思議さがあって人気なのもさることながら、業者の言うことには[* 1][7]、小さな子供は遊んでいるうちに自分がどこにいるのかよく分からなくなるという迷路性があって楽しい[7]らしい。
前田屋外美術株式会社(倒産し、旧経営陣により現在は前田環境美術株式会社に社名変更して営業)が開発、1960年代後半から日本全国の公園に設置した屋外公園遊具で、その形状が成立した経緯については複数の証言がある。
当時同社の若手デザイナーであった工藤健(東京藝術大学彫刻科修了。のち、彫刻家として大成。多摩美術大学名誉教授、二科会理事)によれば[8]、この遊具の雛形に当たる新案は「プレイスカルプチャー 石の山」という名称で[9]、曲線の組み合わせで何の形とも判然としない形状の滑り台であったという。工藤は児童の想像力を掻き立てようと、あえて不可解な形状にデザインした結果であった。
だが、売り込み先の一つであった東京都の足立区役所の幹部には理解されず、何の形か分からないから頭を付けてタコ(蛸)の形にするように指示されてしまう。しかしこうしてできた「タコの山」第1号が区内の新西新井公園(1965年〈昭和40年〉造成)に設置されると人気を博し、ほかの公園にも次々に設置されるようになっていったという[10][11]。
一方、東京都品川区の公園整備担当職員であった人物の証言では、区内の神明児童遊園に設置する遊具として前田屋外美術株式会社が曲がりくねった滑り台を複数組み合わせた形状の遊具を提案したが、この職員は気に入らず、同社のカタログに掲載されていた別の遊具がタコ(蛸)の形であるのを見て、原案の遊具にタコの頭を載せてタコの姿を模った滑り台にすることを思いついた。これこそが「タコの山」誕生の瞬間であり、1968年(昭和43年)に神明児童遊園に設置された2基が第1号であるという[12][gm 2]。
いずれにしても、1960年代後半、東京都区部の都市公園に登場した「タコの山」は子供たちに人気の遊具となった。設置されている公園は、公園管理者の定めた正式名称とは別に「タコ山公園」「タコ公園」「タコチュー公園」など地域住民や愛好者による思い思いの愛称で親しまれている。前田環境美術株式会社は1970年(昭和45年)ごろから全国に「タコの山」を約400基作ったが[13]、当社には記録が残されておらず、正確な数は把握できない。
最初期に設置された中には撤去されたものもある。理由は老朽化ばかりでなく、前田環境美術によれば、古いものは勾配が急なのも2002年(平成14年)3月に改められた公園遊具の安全基準「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」[14]に照らして存続させづらい点があるという[13][15]。
神明児童遊園の「タコの山」2基にうちの大きいほうは、道路整備に伴って移転が試みられながらも予想以上の老朽化のために断念され、2007年(平成19年)7月、地域住民らに惜しまれつつ撤去・廃棄されたうえで、新設の同公園に同形の新品が改めて設置された。小さいほうの1基は新設の同公園に設置し直されている。
一方で、そうそう増やせるものでないなか、完全新規で設置されることもある。2010年(平成22年)には北九州市の和布刈公園に国内最大級の高さ約6メートル・最大幅約20メートルのタコの山が設置された[9](■右上段に画像あり)[gm 3]。
2011年(平成23年)にはデンマークの首都コペンハーゲンに整備されているスーパーキーレン公園 (Superkilen Park)」[gm 4]に前田環境美術のタコの山が設置された(■右列に画像あり)。
2020年4月、京王相模原線の跡地に開園した『鉄道敷地公園』(仮称)に、2016年に閉園した調布駅前の通称「タコ公園」のシンボル「タコの滑り台」が再建された。 施行元は林建設[16]。


開発・製作(設計、施工等)、設置・管理・撤去、記録、評価など、何らかの形で深く関係する者のうち、特筆性の高いものを記載する。個別の設置場所は、「❚○○公園」などという形で、設置してある施設名と確認し得る最近の色使いを基調色で表している。❚はピンクの単色で最もよく見られる色使いの一つ。❚2本以上はそれらの色で色分けされている。
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