タコクラゲ

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タコクラゲ
タコクラゲ Mastigias papua
分類
界 : 動物界 Animalia
門 : 刺胞動物門 Cnidaria
綱 : 鉢虫綱 Scyphozoa
目 : 根口クラゲ目 Rhizostomeae
科 : タコクラゲ科 Mastigiidae
属 : タコクラゲ属 Mastigias
種 : タコクラゲ M. papua
学名
Mastigias papua
Lesson, 1830
英名
Papuan jelly
Spotted jelly
Lagoon jelly
Golden medusa

タコクラゲ(蛸水母、蛸海月、Mastigias papua)は、鉢虫綱に属するクラゲの一種。

概要

泳ぐタコクラゲ。葛西臨海水族園にて。

傘はほぼ半球状。傘には円形から楕円形の斑紋が見られる。口腕の長さは傘の半径程度であり、数は8本[1]。

口腕の下部には棍棒状の付属器があり[2]、タコに似た外見からその名がつけられた。体内には褐虫藻(共生藻)が共生しており体色は褐色[注 1][3][注 2]。褐虫藻が抜けてしまうと体色が白っぽくなる[4][5]。

傘に触手はないが、傘の下には口腕を持つ。その口腕の先から、細長い棒状の付属器が伸びるのが特徴の一つで、これが形の上でタコの足に当たる。傘径10cm程度になるが、20cmほどの個体もいる[1]。夏から秋に、静かな湾内で見ることが多い。日本近海では南日本各地の温暖な太平洋岸で見られる[6]。

生態

タコクラゲの持つ褐虫藻は光合成を行い、つくりだした有機物の一部をクラゲに渡している。一方、クラゲは代謝の過程において生じた二酸化炭素やアンモニアを褐虫藻に渡し、褐虫藻がこれらを利用することで共生が成立しているとされる[4]。なお完全に光合成だけに頼っているわけではなく、小型の甲殻類等を捕食してもいる[2]。

雌雄異体[2]。卵と精子は水中で受精する。受精卵はしばらくメスの口腕上にとどまったのち、プラヌラになってから遊泳する。本種のプラヌラは共生藻を持たず、ポリプ時代に親クラゲの崩壊した組織片を食べて共生藻を取り入れるとされる[2]。

分布

インド洋ならびに太平洋の温帯から亜熱帯にかけての地域に広く分布する。日本においては沖縄、奄美大島、天草、瀬戸内海、田辺湾、相模湾等で見られる[1]。

また、台湾、中国南部、インド、フィリピン、パラオ諸島、フィジー、アフリカ東岸にも分布する[1][7]。

人間との関わり

佐賀県東松浦郡の呼子地方の漁師は、本種の事を「イラ」と呼んで恐れているという。この名は刺された際に「痛みでイライラする」ことに由来するという説がある[8]。しかし、本種は毒が弱く、基本的にほとんどの人は痛みを感じないと言われている[9]。

備考

原記載の報告地はパプアニューギニア[6]。

パラオ共和国のマカラカル島にはジェリーフィッシュレイクという、本種の別亜種が群生する湖が存在する[10][11]。

脚注

注釈

  1. ↑ 幼体では褐虫藻が少ないため体全体が白っぽい。成長に伴って褐虫藻は増加し、次第に傘や口腕が褐色になる。
  2. ↑ ただし色彩には変異があり、青色や緑色に近い色合いの個体も存在する。

出典

  1. 1 2 3 4 峯水 et al. 2015, p. 274
  2. 1 2 3 4 日高 1997, p. 31
  3. ↑ “タコクラゲ”. 美ら海生き物図鑑. 沖縄美ら海水族館. 2024年8月14日閲覧。
  4. 1 2 峯水 et al. 2015, pp. 62–63
  5. ↑ “青白のタコクラゲ”. 大阪府立環境農林水産総合研究所. 2024年8月14日閲覧。
  6. 1 2 峯水 et al. 2015, p. 61
  7. ↑ “GBIF”. 2024年8月14日閲覧。
  8. ↑ 荒俣 2021, p. 44.
  9. ↑ “タコクラゲ”. いおワールド かごしま水族館. 2024年8月14日閲覧。
  10. ↑ “ジェリーフィッシュレイク”. 駐日パラオ共和国大使館. 2024年8月14日閲覧。
  11. ↑ Dawson, Michael N. (2005). “Five new subspecies of Mastigias (Scyphozoa: Rhizostomeae: Mastigiidae) from marine lakes, Palau, Micronesia”. Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom (Cambridge University Press) 85 (3): 679–694. doi:10.1017/s0025315405011604.

参考文献

  • 日高敏隆 監修『日本動物大百科』 第7巻 無脊椎動物、平凡社、1997年11月30日。ISBN 4582545572。 
  • 峯水亮、久保田信、平野弥生、ドゥーグル・リンズィー『日本クラゲ大図鑑』平凡社、2015年9月。ISBN 9784582542424。 
  • 荒俣宏『世界大博物図鑑』 別巻2 水生無脊椎動物(普及版)、平凡社、2021年2月25日。ISBN 9784582518672。