ニムロド
ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』(1563年)
左下に作業中の石工達に指図するニムロドが描かれている。

ニムロド(ニムロデ、ニムロッドとも。ヘブライ語: נמרוד、Nimrôd)は、旧約聖書の登場人物。『創世記』第10章において、クシュの息子として紹介されている。クシュの父はハム、その父はノアである。地上における最初の勇士で狩人であるとされる[1]。ユダヤ人の伝承が記された『ユダヤ古代誌』ではバベルの塔の建設を命じた王とされる[2]。

『創世記』におけるニムロド

同時代の登場人物たちは概ね民族の代表者(族長)として記録されており、その名前はそれぞれの民族名をも兼ねているのだが、ニムロドの場合、民族的な背景は触れられずに単なる個人名(原義は反逆する者という意味[3])として記されている。単独で紹介された人物としては相対的に情報量が少ないが、同時代人の言葉により、彼が有能な狩人であったことが知られる。

創世記 10章9節  彼は主の前に力ある狩人であった。それゆえ、「主の前に力ある狩人ニムロデのように」と言われるようになった。(口語訳)

また、彼の王権がバベル、ウルク、アッカド、カルネ(その所在はいまだに特定されていない)といった古代都市を含むシンアルの地、及びニネヴェ、カラ、レセン、レホボット・イール(この都市の所在も不明である)のあるアッシリア地方にまで広がっていたことが『創世記』(10章)では述べられている。また、『ミカ書』(5章)ではアッシリアについて預言する際、同地を「ニムロドの地」として言及している。

ミドラーシュにおけるニムロド

一方、ミドラーシュではよりネガティブな人物として想定されている。それは彼の名前が即、神に対する反逆を表明しているからである。つまり「ニムロド」とはヘブライ語で「我等は反逆する」を意味している。狩人としての彼の行為もまた、凶暴かつ残虐的に描写されている。なかんずくバベルの塔の建造においてはその企画発案者と見なされている。彼は巨大な塔を建て、唯一の神ではなく、偶像崇拝を始めるようになる。

ユダヤ人社会では比較的ポピュラーな個人名として通用している。

推定される歴史上の人物

古来、伝説上ニネヴェを建設したとされるニノスとニムロドを同一視する説があるが、最新の研究では、アッカドの狩猟農耕の神と讃えられたニヌルタ、あるいは、王名にその名を冠したトゥクルティ・ニヌルタ、あるいは、『シュメール王名表』にウルクの初代王として記録されているエンメルカルなどがニムロドと見立てられている。

芸術作品におけるニムロド

聖書学におけるニムロド

ニムロドに関して、一部に次のような説がある。

陰謀論について研究する政治学者のマイケル・バーカン(英語版)によれば、こうした説の起源は、スコットランドの神学者にしてフリーメイソンであるとされる、アレクサンダー・ヒスロップ(Alexander Hislop)による、反カトリック冊子『ふたつのバビロン 教皇崇拝はニムロデ夫妻崇拝である』(The Two Babylons)に求められる。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ↑ 創世記 10:8,10:9
  2. ↑ “Josephus: Antiquities of the Jews, Book I”. 2020年7月17日閲覧。
  3. ↑ Jeff A. Benner, "Nimrod" Ancient Hebrew Research Center. https://www.ancient-hebrew.org/names/Nimrod.htm
  4. ↑ Witchcraft and the Illuminati、10-12ページ、ジョン・トッド
  5. ↑ マイケル・バーカン『現代アメリカの陰謀論 黙示録・秘密結社・ユダヤ人・異星人』三交社
  6. ↑ 高木慶太、芦田拓也『これからの世界情勢と聖書の預言 改訂新版』いのちのことば社

関連項目

⌬ Phoenix Mesh CID: 未登録 IPFS未登録 📡 0ピア N=1 CRITICAL PQS B61