ペットボトルロケット

ウィキペディアから、無料の百科事典
ペットボトルロケット、発射の瞬間

ペットボトルロケット(英語: water rocket)は、炭酸飲料用ペットボトルにノーズコーン(英語版)や安定翼を装着し、水と圧縮空気を入れて、一気に弁を開放し水と空気を噴出させ飛行する模型ロケットである。水ロケットあるいはウォーターロケットともいう。

概説 

このロケットは、火薬を使わずに手軽にモデルロケットの打ち上げができることが最大の特徴である。単純に楽しみのため打ち上げる場合もあるし、実験教材として打ち上げられる場合もある。安全かつ楽しく力学の基本(特に作用・反作用)に関して学ぶことができる。子どもたちの理科の教材として頻繁に採用されている。

耐圧弁や発射装置や羽やロケット先端部分がワンセットになったペットボトルロケット用キットが数千円程度で市販されており小学校低学年の生徒でも数十分〜1時間程度の工作で組み立てて打ち上げを行うことができる。市販セットの他には、使用済みの炭酸飲料のペットボトル数個とビニールテープを用意するだけでよい。

打ち上げる者・チームごとの工作技術、工学的な能力、力学に関する知識などの差が飛距離の差、具体的な数字の差となって現れるので競技会も行われている。アメリカのサイエンス・オリンピアド(英語版)でもペットボトルロケットの競技が行われている[1][2]。日本各地でも打ち上げ競技会が開催されている。

山岳地帯の電線敷設の際に尾根から尾根への架線作業にも利用されている。中部電力が「ウォーターロケット延線工法」と呼んで1999年(平成11年)度に全社に配備した[3]。400m近く飛ぶペットボトル2本を連結し、容量を増加した大型のペットボトルロケットも使っている。

安全対策

万一人間の顔や眼などに当たれば危険なため、JAXAが公開している教材では、炭酸飲料用1.5L入りペットボトルを使用する場合、目安として幅約50m、奥行き約100mを確保する、としている[4]。

タカギのペットボトルロケットのセットは安全性を考慮し、ゴムまりのような薄いゴムの柔らかい素材の部品が同梱されている。

羽(多くがプラスチック板)の断面はそのまま「むき出し」にするのではなく、ビニールテープなどで覆うことで当たっても人の皮膚が切れないようにしておく。

打ち上げはペットボトル内部に高い圧力をかけて行うので、ペットボトルは必ず炭酸飲料のものを使用する。緑茶飲料やミネラルウォーターなど非炭酸系飲料のものは構造や厚みが高圧に弱いものが多いので、原則的に使うべきではない。

発泡入浴剤を中に入れると紹介している本もあり[5] 、この方法でやりすぎるとペットボトルが結構簡単に破裂(わずかな小傷から裂け、破裂)する可能性もあるので、入浴剤の量は、他の人が実際に使って破裂しなかった量のデータも調べて、量を慎重にコントロールするとよい。

航空法がらみ

日本国内の航空法ではペットボトルロケットに関する規定は無い。ペットボトルロケットはいわゆる「飛翔体」と分類される。

飛翔体は、日本の航空法により空港の周辺では打ち上げは禁止されている。そのほか、もしも航空路の直下の土地で高度150mを超えて打ち上げる場合は飛行通報書の提出が必要になる。

それ以外は、もしも高度250mを超える打ち上げをするような場合、書類の提出が必要になる。

歴史

アメリカ合衆国では古くから、ジュニアスクールや、ジュニアハイスクールやハイスクール、大学で、火薬を固めた固形燃料を使用したモデルロケットを飛ばす授業は行われることがあった。また大人になっても趣味で固形燃料式の模型ロケットを飛ばすことは多かった。

炭酸飲料製造会社の一部が1970年代にプラスチック製のボトルを使い始め、1973年にPETボトルを使い始めた[1]。

日本では、高速ガスを噴出する小型固形燃料は花火と同じ扱いで打ち上げることができ、昭和時代の科学雑誌などに掲載された広告に固形燃料ロケットのキットが掲載され販売されていた。(大型のものは都道府県知事へ届出が必要で義務や制約がある。)だが、日本にはロケットの打ち上げに向いている草原や荒野がほとんどなく、固形燃料式モデルロケットはなかなか普及しなかった。1990年代に家庭の廃品として出るペットボトルを利用できるペットボトルロケットが知られるようになると、学校カリキュラムに次第に取り入れられていった。

脚注

出典

  1. 1 2 NASA,
  2. ↑
  3. ↑ 配電部「第13回全社配電技術オリンピック「新技術紹介」」(PDF)『技術開発ニュース』第88号、中部電力、2001年1月、28頁。 - 同工法の紹介記事が掲載されている。
  4. ↑ “-基本型水ロケット-” (pdf). edu.jaxa.jp. JAXA 宇宙教育センター. pp. 1-5 (2009年). 2023年12月5日閲覧。
  5. ↑ 岩藤英司『大人のワクワク実験 アウトドア編』小学館、2011年。

参考文献

  • 造事務所編『完全図解ペットボトルロケット講座 : 作り方・飛ばし方』双葉社、1996年。ISBN 4-575-28568-4。 
  • 林熙崇、飯田洋治 著「12. どこまでいくか水ロケット」、愛知・岐阜・三重物理サークル編著 編『いきいき物理わくわく実験 2』(改訂版)日本評論社、2002年(原著1999年)、161-172頁。ISBN 4-535-78338-1。 

関連項目

外部リンク