ロビン・ウォール・キマラー

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ロビン・ウォール・キマラー
Robin Wall Kimmerer
生誕 1953年
アメリカ合衆国・ニューヨーク州
住居 アメリカ合衆国・ニューヨーク州シラキュース
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
教育 植物学
出身校 ニューヨーク州立大学環境森林科学部(学士)
ウィスコンシン大学マディソン校(修士・博士)
職業 植物生態学者、作家、大学教員
活動期間 1981年 -
雇用者 ニューヨーク州立大学環境森林科学部
団体 ネイティブアメリカンと環境センター(創設者)
米国生態学会 伝統的生態学的知識部会(共同創設者)
シチズン・ポタワトミ・ネーション(登録市民)
著名な実績 伝統的生態学的知識(TEK)と西洋科学の統合、コケ類の生態学、生物文化的再生、ネイチャーライティング
代表作 『コケの自然誌』『植物と叡智の守り人』『サービスベリー』
影響を受けたもの ローレン・アイズリー、アルド・レオポルド、ポタワトミおよびハウデノショーニーの伝統的知識
影響を与えたもの エリザベス・ギルバートの小説『The Signature of All Things』、環境思想、ネイチャーライティング
活動拠点 シラキュース
肩書き SUNY特別教育教授、ネイティブアメリカンと環境センター創設ディレクター(名誉)
子供 娘2人
受賞 ジョン・バロウズ賞(2005年)、シグルド・F・オルソン・ネイチャーライティング賞(2014年)、ソロー賞(2021年)、マッカーサー・フェロー(2022年)、国家人文科学勲章(2023年)
栄誉 全米科学アカデミー会員(2023年)、『TIME』誌「最も影響力のある100人」(2025年)
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ロビン・ウォール・キマラー(英: Robin Wall Kimmerer、1953年 - )は、アメリカ合衆国の植物生態学者、作家、大学教員。シチズン・ポタワトミ・ネーション(Citizen Potawatomi Nation)の登録市民であり[1]、ニューヨーク州立大学環境森林科学部(SUNY ESF)のSUNY特別教育教授(Distinguished Teaching Professor)を務める。同学部のネイティブアメリカンと環境センター(Center for Native Peoples and the Environment、CNPE)を創設し、ディレクターを務めた[2][3]。

専門はコケ類の生態、生態系の再生、そして伝統的生態学的知識(TEK)が生態学や環境教育に果たす役割である[1]。科学者の視点と先住民の知を織り合わせたエッセイで広く知られ、『コケの自然誌』(原題 Gathering Moss、2003年)で2005年にジョン・バロウズ賞を受け[4]、『植物と叡智の守り人』(原題 Braiding Sweetgrass、2013年)で2014年にシグルド・F・オルソン・ネイチャーライティング賞を受けた[5]。後者は刊行から約7年を経た2020年にニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト(ペーパーバック・ノンフィクション部門)に入り[6][7]、累計200万部を超え、20言語に翻訳されている[8]。

2022年にマッカーサー・フェロー[9]、2023年に全米科学アカデミー会員に選ばれ[10]、2024年に国家人文科学勲章を授与された[7]。

生涯

生い立ちと教育

キマラーは1953年、アメリカ合衆国ニューヨーク州に生まれた[2]。祖先にはヨーロッパ系とアニシナアベ系の両方が含まれる[1]。ポタワトミ語での名は、英語に訳すと "Light Shining through Sky Woman" になる。ニューヨーク州北部で育つ間に、家族は部族とのつながりを結び直し、強めていったという[11]。後年は、伝統的な言語が使われ続けることの重要性を語り、オンライン講座でポタワトミ語の学習を続けている[11]。

1975年にニューヨーク州立大学環境森林科学部で植物学の学士号を取得し、その後ウィスコンシン大学で修士号(マッカーサー財団は1979年、同大学の同窓会誌は1978年と記す)、1983年に博士号を取得した[9][12]。

大学院時代のキマラーは、ウィスコンシン大学アーボレータムの敷地内の小さな家に住み込み、夜間の見回りを担う警備員を務めていた。1980年代初めのある夏の夕方、ジョン・カーティスが放棄された畑に在来種の種をまいて造ったカーティス・プレーリーで、背丈を超える草に囲まれ、植物生態学にできることの大きさを実感したという[12]。同じ頃の見回りの折、掲示板でカンザス州の巨大なアメリカニレの写真を目にした。この木は、ポタワトミの長老でキマラーの祖先でもある人物にちなみ「ルイ・ヴュー・エルム」と呼ばれていた。彼女は現地を訪ねて祖先の歴史を新たに知り、木が1990年代後半に落雷と破壊行為で失われるまで、何度か通った[12]。この出来事は、科学の道を進むうちに先住民の知の道から外れていたことに気づく契機となった。まもなく先住民の長老たちが植物の知恵を語る集まりに招かれたことが、先住民の知と西洋科学をともに探究する生涯の歩みの出発点になった[12]。

研究者・教育者としての歩み

博士号の取得後は、ケンタッキー州の大学で教えながら、2人の幼い娘を育てた。その後、学部時代を過ごしたニューヨーク州立大学環境森林科学部から招かれ、シラキュースに戻った[12]。日本語版の著者紹介によれば、同大学で教え始めたのは1993年である[13]。

2002年に米国生態学会(Ecological Society of America)の伝統的生態学的知識部会の共同創設に加わり、2006年にはネイティブアメリカンと環境センターを設立した[2]。同センターは、先住民の知と科学の知の双方に基づくプログラムを通じて、持続可能性という共通の目標を追うことを使命とし、先住民の学生に環境科学を学ぶ機会を広げ、先住民の哲学と科学の道具を統合する新しいモデルを探ってきた[1][3]。全米人文科学基金(NEH)の紹介文は、彼女が力を注いだ取り組みとして、土地の正義をめざす活動、先住民女性による気候サミット「Voices from Maple Nation」、先住民の若者向けの「Native Earth Environmental Youth」プログラムを挙げている[14]。

2003年に最初の単行本『Gathering Moss』(邦訳『コケの自然誌』)を、2013年に『Braiding Sweetgrass』(邦訳『植物と叡智の守り人』)を刊行した。2015年には国連総会で「自然との関係を癒す(Healing Our Relationship with Nature)」をテーマに講演している[14]。2022年にマッカーサー・フェローに選ばれ、2023年5月に全米科学アカデミー会員に選出された[9][10]。2023年度の国家人文科学勲章は、2024年10月21日にホワイトハウスで、ジョー・バイデン大統領から授与された[7]。同年11月には、贈与経済(ギフト・エコノミー)を論じた『The Serviceberry』を刊行した[15]。2025年には『TIME』誌の「最も影響力のある100人」に選ばれ[3]、一般の人が身近な自然を愛する行動に参加するための運動「Plant, Baby, Plant」を始めた[16]。ESFの紹介ページは、現在の肩書をSUNY特別教育教授およびネイティブアメリカンと環境センターの創設ディレクター(名誉)としている[3]。

業績

キマラーの研究は、おおむね3つの領域にまたがる。

コケ類の生態学
初期から、ヨツバゴケ(Tetraphis pellucida)やシッポゴケ属の一種(Dicranum flagellare)における有性繁殖と無性繁殖の適応度の違い、撹乱の頻度と繁殖様式の関係、ナメクジによる無性繁殖体の散布、ギャップの大きさと種の共存、岩上の生息地における種数の規定要因などを論じた。のちには、アディロンダック山地の樹上性コケ類と森林管理の関係、倒木の根返り塚に定着するコケの散布制限のほか、オレゴン州での商業的なコケ採取後の樹上群集の回復も研究テーマに挙げている[1]。
生態系の再生
鉛・亜鉛の廃鉱山跡における植生の発達に関する研究から出発し、のちに、先住民にとって文化的に重要な植物の個体群動態と再生へと軸足を移した。スイートグラス(Hierochloe odorata)の個体群動向と生育環境の研究、モホークの共同体での植物の再導入、イロコイの薬用植物ゴールドスレッド(Coptis trifolium)や籠づくりに用いられるブラックアッシュ(Fraxinus nigra)の再生に関する学生の研究指導などがある[1]。彼女自身は、自らを「根本的には植物生態学者」とし、人と土地の関係の修復を目指す「生物文化的再生(biocultural restoration)」に取り組む者と位置づけている[12]。
TEKを科学と教育に生かすための研究と提言
2000年の「Native Knowledge for Native Ecosystems」、2001年の先住民による野焼きの役割を論じた論文、2002年の『BioScience』掲載論文「Weaving traditional ecological knowledge into biological education: a call to action」などがある[1]。NEHの紹介文は、とくに2002年の論文が、異なる知の体系をつなぐ進路を望む学生にとって、大学をより門戸の開かれた場にしたと評価している[14]。

教育面では、コケの生態学、先住民の課題と環境、野外民族植物学、植物と文化といった科目を担当した。またハウデノショーニー環境タスクフォースと協力した先住民の若者向け環境キャンプ、オノンダガ湖の再生に関わるプロジェクト、メノミニー・ネーション・カレッジとの森林管理教育の共同事業などを主導または共同で担った[1]。

ネイチャーライティング

書くことの出発点

キマラーは、長年コケを研究しながら、それを専門的な科学の形式、つまり物質としての生態の事実の報告としてしか書いてこなかったことに限界を感じ、コケを尊敬する「教師」として讃える文章を書こうとしたと述べている。彼女が言うには、読者がコケを好きになれるのなら、緑の世界全体をも愛せるはずであり、物語には「情報」にはできないやり方で共感や気づかいを呼び起こす力がある[14]。

科学者の訓練と表現のあり方に人間例外主義や傲慢さの根があると早くから考え、『コケの自然誌』はそうした文化を変える試みの一部だったともいう[14]。さらに、物語が人を科学へ導く入口になりうることを、この本への読者の反応から確かめ、次にはそれを先住民の思考への入口として使おうと考えたと語っている[12]。

作風と構成

作品の基調は、抒情的な個人的エッセイ、コケや植物の精密な観察、先住民の物語や言語の考察を一つの語りに織り込む点にある[12]。『植物と叡智の守り人』では、伝統的生態学的知識、西洋の科学的伝統、植物が教えてくれることという3種類の知を、スイートグラス(ウィインガーシュク)の三つ編みに見立てて編み合わせる[9]。全体は、スイートグラスを扱う工程になぞらえて、植える、育てる、摘む、編む、燃やすの5部で構成されている[17]。ハウデノショーニーの「感謝の言葉(Thanksgiving Address)」を一章に据え、先住民の言語が自然物に「生きている」ことを示す文法をもつことや、複数の作物を組み合わせる農法、必要なだけを採る「オナラブル・ハーベスト」の考え方といった実践も、ゆずり合い(互恵性)という一貫した主題のもとに語られる[9]。

近年の『サービスベリー』は、2020年に雑誌へ寄せたエッセイを拡充した120ページに満たない小著で[18]、ジョン・バーゴイン(John Burgoyne)による挿絵を伴う[19][15]。

エッセイは科学誌や文芸誌にも寄せられ、『Orion』『Whole Terrain』『Adirondack Life』などに掲載されたほか、複数のアンソロジーにも収録されている。ESFの紹介ページはこうした活動を「literary biology(文学的生物学)」と呼び、アンドリュース実験林、ブルー・マウンテン・センター、シトカ・センター、メサ・レフュージでのライター・イン・レジデンスも務めたと記す[1]。

系譜と評価

ソロー協会は、2021年にキマラーへソロー賞を贈った際、人と植物の互恵的で倫理的な関係に焦点を当てた『植物と叡智の守り人』が、ソローのネイチャーライティングの精神をとらえていると述べた[6]。

ジョン・バロウズ協会は、2013年のエッセイ「Council of the Pecans」を、博物学者の知識、詩人の想像力、優れた語り手の技巧を兼ね備えた作品と評し、2014年のジョン・バロウズ賞(自然エッセイ部門)を贈った[20]。オルソン賞の選考委員は、植物や動物を最古の教師とみなす先住民の教えと、植物学・生態学の科学的知見という異質な分野を、叙情的で霊性を帯びた形で織り合わせた点を選考理由に挙げた[21]。

米国のネイチャーライティングの伝統との関係については、『サタデー・イブニング・ポスト』誌が、アルド・レオポルドの『野生のうたが聞こえる』(A Sand County Almanac)やソローの晩年の自然観察などに体現された文学的・科学的・哲学的・共同体的な伝統を、現代でもっとも明確に映し出す書き手としてキマラーを挙げた[22]。これは一評者の見方であるが、彼女の作品が古典的な系譜の延長と、そこに先住民の思想を持ち込んだ刷新の両面から論じられていることを示している。

キマラー自身は、好むネイチャーライティングを、驚きの感覚がのびやかに広がったものだと説明し、若い頃の読者として形成的だった書き手にローレン・アイズリーを挙げている。近年の読書では、リンダ・ホーガンのエッセイ集『Dwellings』も推している[23]。

受容と広がり

『植物と叡智の守り人』は、大きな宣伝や大手紙の書評に頼らず、読者から読者へと手渡されて広がった。出版元の小さな非営利出版社ミルクウィード・エディションズ(Milkweed Editions)にとっても、これほど大きな影響を受けた本と著者は他にないと、発行人は語っている。ポッドキャスト『On Being』での対談が全国的な知名度につながったとされる[24]。批評面では、Literary Hub の「10年間のベスト・エッセイ集」に選ばれたと紹介されている[17]。日本でも、『コケの自然誌』(2012年)と『植物と叡智の守り人』(2018年)が築地書館から刊行されている[25][26]。

影響関係

影響を受けた人物・伝統

ローレン・アイズリー
科学者でありながら、自然界の神秘を内省的に綴ったローレン・アイズリーを、若い頃の読書で形成的だった書き手として挙げている[23]。
アルド・レオポルド
気候危機に人々が動かない理由を、知的な理解に頼りすぎて感情的な反応を呼び起こせていないためだと論じ、その文脈でレオポルドの「詩人でもある森林官が必要だ」という趣旨の言葉を引いている[12]。レオポルドの伝記を著した保全生物学者カート・メイン(Curt Meine)は、ウィスコンシン大学でキマラーの一般生態学の講義を受けた学生で、のちに彼女と親交を結び、人間と自然の研究機関Center for Humans and Natureで協働する仲間になった[12]。
生態学的再生の潮流
ウィスコンシン大学アーボレータムでの経験は、彼女が人と土地の関係に関心を深める上で大きな意味をもった。当時のアーボレータムの職員で、のちに生態学的再生学会(Society for Ecological Restoration)を共同創設したビル・ジョーダン(Bill Jordan)と親交を結んだ。ジョーダンは、再生の営みそのものが人と自然のより健全な関係を築く道になると考えており、それは彼女のポタワトミの背景とも響き合った[12]。
先住民の伝統と長老たち
ポタワトミの祖先や長老たちの物語、そして先住民の長老たちが植物の知恵を語る集まりが、彼女の歩みを方向づけた[12]。『植物と叡智の守り人』にはハウデノショーニーの「感謝の言葉」が1章分を占め、その考え方はゆずり合いや感謝を重んじる彼女の思想の中核にある[9]。
植物と土地という教師
キマラーは、特定の個人よりも、植物や土地そのものを最初の教師と位置づける発言を繰り返している。迷ったときは植物のもとへ行き、土地から学ぶには教師の前に身を置く必要がある、と述べている[12][9]。

影響を与えた人物・分野

エリザベス・ギルバート
19世紀の女性植物学者を主人公にした小説『The Signature of All Things』(2013年)の執筆にあたり、『Gathering Moss』を拠り所にした。書き始める前にキマラーへ手紙を出し、小説の構想が生物学的に成り立ちうるか相談し、完成後にはコケに関する記述の正確さも彼女に確認してもらった[27]。ギルバートは、コケが水のありかを示す存在だという見方も彼女の著作から学んだと書いている[28]。
リチャード・パワーズ、クリスタ・ティペットら
『植物と叡智の守り人』には、作家リチャード・パワーズ(Richard Powers)やラジオ番組『On Being』の司会者クリスタ・ティペット(Krista Tippett)らが推薦の言葉を寄せている。パワーズは、著者に日々感謝していると述べた[29]。
芸術家・後続の書き手
カナダの先住民系アーティスト、Cheryl L'Hirondelleは、この本と著者に出会ったことをきっかけに楽曲と映像作品を制作した[8]。2022年には、モニーク・グレイ・スミス(Monique Gray Smith)が『植物と叡智の守り人』を若い読者向けに翻案し、Nicole Neidhardt の挿絵を添えて刊行した[30]。
環境人文学・高等教育
CNPEを通じて、先住民の学生を育て、先住民の知と科学を橋渡しする教育の場をつくってきた。NEHの紹介文では、彼女が学生に「居場所がある」という感覚を与えたいと考えていることも述べられている[14]。2002年の論文は大学を異なる知の体系に対して開く役割を果たしたと評価されている[14]。著書は大学の共通図書にも採られた。マーケット大学の教職員向け読書会では『サービスベリー』が取り上げられた[31]。

主な著作・論文

書籍

  1. Kimmerer, Robin Wall (2003) (英語). Gathering Moss: A Natural and Cultural History of Mosses. Corvallis: Oregon State University Press. https://osupress.oregonstate.edu/book/gathering-moss 2026年9月24日閲覧。 
    邦訳:ロビン・ウォール・キマラー 著、三木直子 訳『コケの自然誌』築地書館、2012年10月。ISBN 978-4-8067-1449-1。https://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1449-1.html。2026年9月24日閲覧。 
  2. Kimmerer, Robin Wall (2013) (英語). Braiding Sweetgrass: Indigenous Wisdom, Scientific Knowledge and the Teachings of Plants. Minneapolis: Milkweed Editions. ISBN 978-1-57131-356-0. https://milkweed.org/braiding-sweetgrass 2026年9月24日閲覧。 
    邦訳:ロビン・ウォール・キマラー 著、三木直子 訳『植物と叡智の守り人 ネイティブアメリカンの植物学者が語る科学・癒し・伝承』築地書館、2018年7月25日。ISBN 978-4-8067-1564-1。https://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1564-1.html。2026年9月24日閲覧。 
  3. Kimmerer, Robin Wall (2021) (英語). The Democracy of Species. Penguin Green Ideas. London: Penguin Books. ISBN 978-0-14-199704-9. https://www.penguin.co.uk/books/443658/the-democracy-of-species-by-kimmerer-robin-wall/9780141997049 2026年9月24日閲覧。 
  4. Kimmerer, Robin Wall (2024) (英語). The Serviceberry: Abundance and Reciprocity in the Natural World. Illustrated by John Burgoyne. New York: Scribner. ISBN 978-1-66807-224-0. https://www.simonandschuster.com/books/The-Serviceberry/Robin-Wall-Kimmerer/9781668072240 2026年9月24日閲覧。 
  5. “Braiding Sweetgrass for Young Adults: Indigenous Wisdom, Scientific Knowledge and the Teachings of Plants(Monique Gray Smith 翻案、Nicole Neidhardt 挿絵、Zest Books/Lerner、2022年)” (英語). Shelf Awareness. 2026年9月24日閲覧。

主なエッセイ・寄稿

  1. “Council of the Pecans(Orion 2013年9・10月号)” (英語). SUNY College of Environmental Science and Forestry. 2026年9月24日閲覧。
  2. Kimmerer, R. W. (2011). “Learning the Grammar of Animacy”. In L. Savoy, A. Deming (英語). The Colors of Nature: Culture, Identity, and the Natural World. Milkweed Editions. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。 
  3. Kimmerer, Robin Wall (2015年3月30日). “Nature Needs a New Pronoun: To Stop the Age of Extinction, Let's Start by Ditching "It"” (英語). YES! Magazine. 2026年9月24日閲覧。
  4. “Practical Reverence – with Robin Wall Kimmerer(『サービスベリー』の元になった2020年のエッセイに関する対談)” (英語). Emergence Magazine (2024年11月21日). 2026年9月24日閲覧。

主な論文・章

  1. Kimmerer, R. W. (1984). “Vegetation Development on a Dated Series of Abandoned Lead-Zinc Mines in Southwestern Wisconsin” (英語). American Midland Naturalist 111: 332–341. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  2. Kimmerer, R. W. (1991). “Reproductive Ecology of Tetraphis pellucida: Differential Fitness of Sexual and Asexual Propagules” (英語). The Bryologist 94 (3): 284–288. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  3. Kimmerer, R. W. (1993). “Disturbance and Dominance in Tetraphis pellucida: A Model of Disturbance Frequency and Reproductive Mode” (英語). The Bryologist 96 (1): 73–79. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  4. Kimmerer, R. W.; Young, C. C. (1996). “Effect of gap size and regeneration niche on species coexistence in bryophyte communities” (英語). Bulletin of the Torrey Botanical Club 123: 16–24. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  5. Kimmerer, R. W. (2000). “Native Knowledge for Native Ecosystems” (英語). Journal of Forestry 98 (8): 4–9. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  6. Kimmerer, R. W.; Lake, F. K. (2001). “Maintaining the Mosaic: The role of indigenous burning in land management” (英語). Journal of Forestry 99: 36–41. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  7. Kimmerer, R. W. (2002). “Weaving traditional ecological knowledge into biological education: a call to action” (英語). BioScience 52: 432–438. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  8. Shebitz, D. J.; Kimmerer, R. W. (2004). “Population trends and habitat characteristics of sweetgrass, Hierochloe odorata: Integration of traditional and scientific ecological knowledge” (英語). Journal of Ethnobiology 24: 345–352. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  9. Shebitz, D. J.; Kimmerer, R. W. (2005). “Re-establishing roots of a Mohawk community and restoring a culturally significant plant” (英語). Restoration Ecology 13 (2): 256–263. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  10. Kimmerer, R. W. (2005). “The role of dispersal limitation in community structure of bryophytes colonizing treefall mounds” (英語). The Bryologist 108 (3): 391–401. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  11. Muir, P. S.; Rambo, T. R.; Kimmerer, R. W.; Keon, D. B. (2006). “Influence of overstory removal on growth of epiphytic mosses and lichens in western Oregon” (英語). Ecological Applications 16 (3): 1207–1221. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 
  12. Kimmerer, R. W. (2011). “Restoration and Reciprocity: The Contributions of Traditional Ecological Knowledge to the Philosophy and Practice of Ecological Restoration”. In David Egan (英語). Human Dimensions of Ecological Restoration. Island Press. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。 
  13. Kimmerer, R. W. (2012). “Searching for synergy: integrating traditional and scientific ecological knowledge in environmental science education” (英語). Journal of Environmental Studies and Sciences 2 (4): 317–323. https://www.esf.edu/faculty/kimmerer/index.php 2026年9月24日閲覧。. 

受賞・栄誉

  • 2005年:ジョン・バロウズ賞(ジョン・バロウズ・メダル、『コケの自然誌』)[4]
  • 2014年:ジョン・バロウズ自然エッセイ賞(「Council of the Pecans」)[20]
  • 2014年:シグード・オルソン・ネイチャーライティング賞(『植物と叡智の守り人』)[5]
  • 2014年:ミッドウェスト書店員選書賞(Midwest Booksellers Choice Awards)。同書はオリオン誌ブックアワードのノンフィクション部門でも最終候補に挙がった[21]
  • 2021年:ソロー賞(Thoreau Prize for Excellence in Nature Writing)[6]
  • 2022年:マッカーサー・フェロー[9]
  • 2023年:全米科学アカデミー会員[10]
  • 2023年度:国家人文科学勲章(2024年10月21日授与)[7]
  • 2025年:『TIME』誌「最も影響力のある100人」[3]

思想・考え方

3種類の知
キマラーの中心的な仕事は、伝統的生態学的知識(TEK)、西洋の科学的伝統、そして植物が教えてくれることという、3種類の知を編み合わせることにある。TEKとは、先住民が自然界との関係の中で培ってきた知の総体で、あらゆる生き物とその生息地との相互依存や、人間と動植物との本来的な親族関係に重きを置く[9]。彼女が示すのは、科学が誤っているという主張ではなく、科学と先住民の知がそれぞれ別の力をもち、両者を併用することで、土地との関係をより公正で喜びのあるものにできるという展望である[9]。
人間例外主義への批判
キマラーは、人間を頂点に置くピラミッドという虚構に基づく物質主義的な世界観が、環境と文化の劣化の根本原因の一つだと考える。個人主義的で人間中心主義的な態度が、人間以外の親族を危うくする搾取的な思考を可能にしているという[14]。
互恵性と親族性
キマラーによれば、互恵性は生態学的な原理でもあり、私たちが互いや他の種を扱うやり方は、土地の扱い方に通じる。親族関係という発想は土地そのものにまで広げることができ、人間は世界の主人ではなく親族として自分を想像できる[12]。NEHの紹介文も、彼女の解決策の核心を、自然との親族の絆、とりわけ互恵と相互責任の絆を取り戻すことだと要約している[14]。
感謝と「十分さ」
ハウデノショーニーの「感謝の言葉」は、太陽や月をはじめ、生きものと生きていない存在が世界を住める場所にしている働きに感謝を述べる形式である[9]。キマラーは、深い感謝が「必要なものはすべてある」という感覚を育て、消費にブレーキをかけると論じる。世界を、所有できるモノではなく、多くの手と結果を伴う物語の集積として見るとき、贈り物と商品の違いが見えてくる、という[32]。
オナラブル・ハーベスト(Honorable Harvest)
必要な分だけを採り、採ったものは敬意をもって使うという、先住民の収穫の倫理を指す[9]。文書化された規則ではなく日常の小さな行いの中で受け継がれてきた指針であり、彼女はそれを、採る前に許しを求め、答えに従うこと、最初のものも最後のものも採らないこと、半分より多くは採らないこと、他者の分を残すこと、害を最小にすること、無駄にしないこと、感謝し、お返しの贈り物をすること、といった形に整理している[33]。
アニマシー(生命性)の文法
先住民の言語には、水や森などの自然物を「生きたもの」として扱う文法があり、それが自然への敬意を支えているとキマラーは述べる[9]。日常の言語が、人間以外の存在の知性を私たちに忘れさせる力の一つだとして、2015年のエッセイでは、自然を「it(それ)」と呼ぶ代わりに、生きものを指す代名詞として単数の「ki」と複数の「kin」を提案した。これは、生きた地球の存在を意味するアニシナアベ語 Bemaadiziiaaki に着想を得たものである[34]。
贈与経済
『サービスベリー』では、贈り物を、自分が稼いだわけではないのに誰かから与えられるものと定義する。サービスベリーの木が太陽の恵みを果実に変え、昆虫や鳥、土壌へと分け与えていくように、贈り物は動き続けることで関係の網をつくり、金銭に頼らない形の安全をもたらす、と彼女は語る[32]。稀少性と蓄財に根ざした現在の経済に対し、関係の質から豊かさが生まれる互恵的なモデルを対置する[15]。ただし、小さな規模の贈与経済が、資本主義そのものを問い直す責任を免除するわけではない、とも強調している[32]。彼女はこの本の前払い印税を、土地の保護、再生、正義のための贈り物として返したとされる[35]。
物語、感情、土地の正義
キマラーは、気候危機への対応が進まない一因を、知的な理解だけに頼り、感情的な反応を呼び起こせていないことに見る[12]。物語には、情報ではなし得ない形で共感や気づかいを引き出す力があり、科学と思いやりを結びつける責任が書き手にはあると考える[14]。また、先住民の共同体に土地を返す「ランドバック(LandBack)」などの土地正義の取り組みを支持し、不正義に加担するより、正義に参加するほうがよいと述べている[12]。

発言

キマラーの思想の理解を助けるため、キーワードごとに分類した彼女自身の説明等の発言を以下に引用する。

親族としての世界
「私たちは、自分を宇宙の支配者ではなく、生きものたちの親族なのだと、想像してみることができます。」
(原文:"We can imagine ourselves as kinfolk instead of masters of the universe.")[12]
言葉の力(アニマシーの文法)
「言葉には、文化を変えていくための道具としての力があります。」
(原文:"Language can be a tool for cultural transformation.")[34]
オナラブル・ハーベスト
「私たちを支えてくれるものたちを、私たちも支え返しましょう。そうすれば、大地は永遠に続いていきます。」
(原文:"Sustain the ones who sustain you and the earth will last forever.")[33]
物語の力
「物語には、思いやりや気づかいを呼び起こす力があります。ただの『情報』には、それはできないのです。」
(原文:"Story can activate empathy and care in a way that 'information' can never do.")[14]
感謝と「十分さ」
「深い感謝は、『これで十分』という満ち足りた感覚を育てて、消費にブレーキをかけてくれます。」
(原文:"It creates a sense of sufficiency and 'enoughness' that puts the brakes on consumption.")[32]
ネイチャーライティング
「私が好きなのは、驚きの感覚がのびやかに広がっている自然の文章です。」
(原文:"one with an expansive sense of wonder")[23]

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 “Faculty Profile: Robin Kimmerer” (英語). SUNY College of Environmental Science and Forestry. 2026年9月24日閲覧。
  2. 1 2 3 “Robin Wall Kimmerer” (英語). Encyclopaedia Britannica. Encyclopaedia Britannica, Inc.. 2026年9月24日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 “Research in Action: Robin Wall Kimmerer” (英語). Be Mighty. SUNY College of Environmental Science and Forestry. 2026年9月24日閲覧。
  4. 1 2 “About the Awards” (英語). John Burroughs Association. 2026年9月24日閲覧。
  5. 1 2 “"Braiding Sweetgrass" wins Sigurd Olson nature writing award”. Star Tribune (英語). 2014年5月7日. 2026年9月24日閲覧.
  6. 1 2 3 “Robin Wall Kimmerer to Receive 2021 Thoreau Prize” (英語). The Thoreau Society (2021年7月1日). 2026年9月24日閲覧。
  7. 1 2 3 4 “Dr. Robin Wall Kimmerer Honored with 2023 National Humanities Medal” (英語). SUNY College of Environmental Science and Forestry. 2026年9月24日閲覧。
  8. 1 2 “Braiding Sweetgrass” (英語). Milkweed Editions. 2026年9月24日閲覧。
  9. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 “Robin Wall Kimmerer” (英語). MacArthur Fellows Program. John D. and Catherine T. MacArthur Foundation (2022年10月12日). 2026年9月24日閲覧。
  10. 1 2 3 “National Academy of Sciences Elects Members and International Members” (英語). National Academy of Sciences (2023年5月2日). 2026年9月24日閲覧。
  11. 1 2 “Robin Wall Kimmerer” (英語). Americans Who Tell The Truth. Americans Who Tell The Truth. 2026年9月24日閲覧。
  12. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 Sandra Knisely Barnidge (2023年夏). “The Teachings of Plants” (英語). On Wisconsin. Wisconsin Alumni Association. 2026年9月24日閲覧。
  13. ↑ “植物と叡智の守り人”. 紀伊國屋書店ウェブストア. 紀伊國屋書店. 2026年9月24日閲覧。
  14. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 Kyle Powys Whyte. “Robin Wall Kimmerer: National Humanities Medal, 2023” (英語). National Endowment for the Humanities. 2026年9月24日閲覧。
  15. 1 2 3 “The Serviceberry” (英語). Simon & Schuster. 2026年9月24日閲覧。
  16. ↑ “About” (英語). Robin Wall Kimmerer. 2026年9月24日閲覧。
  17. 1 2 “Braiding Sweetgrass by Robin Wall Kimmerer” (英語). Audible. Audible. 2026年9月24日閲覧。
  18. ↑ “Practical Reverence – with Robin Wall Kimmerer” (英語). Emergence Magazine (2024年11月21日). 2026年9月24日閲覧。
  19. ↑ “The Serviceberry: Abundance and Reciprocity in the Natural World” (英語). Bookreporter.com. 2026年9月24日閲覧。
  20. 1 2 “ESF Professor Wins John Burroughs Nature Essay Award” (英語). SUNY College of Environmental Science and Forestry (2014年3月20日). 2026年9月24日閲覧。
  21. 1 2 “"Braiding Sweetgrass" author to speak at Northland College” (英語). Bayfield County Journal (2014年10月25日). 2026年9月24日閲覧。
  22. ↑ “Considering History: 6 of the Best American Nature Books for Earth Day” (英語). The Saturday Evening Post (2024年4月22日). 2026年9月24日閲覧。
  23. 1 2 3 “Robin Wall Kimmerer on reading for 'the richness of the gifts around you'”. The Boston Globe (英語). 2020年12月17日. 2026年9月24日閲覧.
  24. ↑ “'Braiding Sweetgrass' environmental roots deepen”. The Riverside Press-Enterprise (英語). 2024年1月28日. 2026年9月24日閲覧.
  25. ↑ “コケの自然誌”. 築地書館. 2026年9月24日閲覧。
  26. ↑ “植物と叡智の守り人”. 築地書館. 2026年9月24日閲覧。
  27. ↑ “"Eat, Pray, Love" Author Writes of Moss and Evolution” (英語). National Geographic. 2026年9月24日閲覧。
  28. ↑ “ME AND MY MOSS MENTOR!” (英語). Elizabeth Gilbert official website (2013年10月7日). 2026年9月24日閲覧。
  29. ↑ “Braiding Sweetgrass: Indigenous Wisdom, Scientific Knowledge and the Teachings of Plants” (英語). Amazon.com. 2026年9月24日閲覧。
  30. ↑ “Reading with... Robin Wall Kimmerer” (英語). Shelf Awareness (2022年10月14日). 2026年9月24日閲覧。
  31. ↑ “Book discussion of Kimmerer's 'The Serviceberry,' March 12” (英語). Marquette Today. Marquette University (2025年3月). 2026年9月24日閲覧。
  32. 1 2 3 4 “Robin Wall Kimmerer on The Serviceberry” (英語). Living on Earth. World Media Foundation (2025年12月5日). 2026年9月24日閲覧。
  33. 1 2 “Guidelines for the Honorable Harvest” (英語). Upaya Zen Center (2014年6月5日). 2026年9月24日閲覧。
  34. 1 2 Robin Wall Kimmerer (2015年3月30日). “Nature Needs a New Pronoun: To Stop the Age of Extinction, Let's Start by Ditching "It"” (英語). YES! Magazine. 2026年9月24日閲覧。
  35. ↑ “The Serviceberry: Abundance and Reciprocity in the Natural World” (英語). J. Michaels Books. 2026年9月24日閲覧。

外部リンク