上三川強盗殺人事件
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| 上三川強盗殺人事件 | |
|---|---|
| 場所 |
|
| 座標 | 北緯36度27分33.0秒 東経139度53分5.0秒 / 北緯36.459167度 東経139.884722度座標: 北緯36度27分33.0秒 東経139度53分5.0秒 / 北緯36.459167度 東経139.884722度 |
| 標的 | 民家 |
| 日付 |
2026年5月14日 9時23分 – 9時28分 |
| 概要 | 現場指示役の夫婦に指示された高校生ら4人が民家に押し入り、金品を物色し、住人3人をバールや刃物で殺傷した |
| 攻撃側人数 | 4人 |
| 武器 | バール、刃物 |
| 死亡者 | 1人 |
| 負傷者 | 2人 |
| 容疑者 | 主導者1名(男性X[注釈 1])、現場指示役2名(夫婦)、実行役4名(少年A、少年B、少年C、少年D)[1]、リクルーター役1名(少年E)[2] |
| 容疑 |
強盗殺人罪 愛護動物殺傷罪(現場指示役2名、実行役4名)[3] |
| 管轄 |
栃木県警察下野警察署[注釈 2]・神奈川県警察[5] 警視庁 宇都宮地方検察庁 |
上三川強盗殺人事件(かみのかわごうとうさつじんじけん)は、2026年5月14日に日本の栃木県河内郡上三川町で発生した強盗殺人事件[6]。現場指示役の夫婦と実行役の少年A、少年B、少年C、少年D(以下、A、B、C、Dと記載)、リクルーター役の少年E(以下、Eと記載)が逮捕された[6]。また、背後に匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ、闇バイト)が関係しているとみられる[6]。
犯行
犯行の前兆
犯行現場周辺では4月中旬 - 上旬ごろから不審者や横浜ナンバーの不審車(黒のホンダ・オデッセイ)およびナンバープレートの折り曲げられた不審な黒のスクーターがたびたび目撃され、注意が呼びかけられていた。被害者宅周辺をスクーターで往復したり、スマートフォンで周囲を撮影したりしていたという。被害者の親族も犯行前月にスクーターに乗り田畑の中で長時間留まる不審者や、親族宅付近を往復する乗用車を発見し、スクーターの男と乗用車の運転手は一緒にいるところも目撃され、回覧板で不審者情報として共有された。事件前日にはとちぎナンバーの黒っぽい軽乗用車が被害者宅付近に停められており、運転手とみられる男が、携帯電話を手に雑木林から出てきた様子を近隣住民が目撃していた[7]。
被害者親族の相談を受け栃木県警察ではパトロールを4月下旬から数十回実施し、親族からの情報提供を受け5月6日に不審車に乗っていた茨城県結城郡八千代町在住の41歳の男を盗品等保管の疑いで逮捕していた。不審車には盗難ナンバープレートが装着されていた。この男は別の犯行グループの実行役とみられ、「闇バイトに応募した。連絡を取った相手から目出し帽を用意しろと指示を受けた」と供述している。また、この車を押収して調べたところ、車種や色が同じ車が3月中旬に東京都新宿区百人町内の酒買い取り店で発生した窃盗未遂事件の現場付近の防犯カメラに映っていたことが判明しているが、ナンバープレートは上三川町内で目撃されていたものとは異なっていた[8]。
また、上三川町外にある被害者次男の住宅で4月8日に窃盗事件があり[9]、貴金属や被害者宅の住所などが書かれた書類が盗まれていた。この際、トクリュウに被害者情報が流出し、高校生らの構成員とする新たな実行犯グループを編成しターゲットとした可能性が指摘されている[10]。
犯行当日の9時ごろ、被害者宅付近に居住する81歳男性が庭先で作業中、目出し帽をかぶった上下黒の服を着た不審な男に出くわし、男は男性に対して大声で「がんばってきます」と言ったとする証言が上がっている[11]。
犯行の流れ
犯行当日、現場指示役の夫婦と実行役の4人は別の車で栃木県まで移動した。実行役の車はBが運転役として無免許で運転していたとされる。6人は道中のサービスエリアで一度集合していた。運転役は被害者宅には押し入らなかったとみられている[12]。
9時23分ごろ、上三川町上神主にある民家にA、C、Dが押し入り[3]、金品を物色したほか、住人の69歳女性を殴打したうえ凶器で突き刺し殺害し、さらに女性の悲鳴を聞き夫が呼び寄せた息子2人をバールで殴打するなどして骨折させるなどのけがを負わせた[13]。犯行後、実行犯らは逃亡した。女性と鉢合わせしたため、金品を計画通りに奪うことができず、実行役らは提示されていた報酬を受け取っていないとみられている[14]。現場の住宅の1階の掃き出し窓が割られており、女性が倒れていた部屋では物色された形跡があった。女性の体には20か所以上の刺し傷があり、死因は出血性ショックとみられる。その他、飼い犬も殺されていた[12]。
9時30分ごろ、この家より「強盗です。家族がバールで殴られた。犯人は駆け足で逃げた」と110番通報があり、駆け付けた警察官が9時57分ごろに現場から約550メートル離れた路上で顔を手で隠しながら歩いていた実行犯の1人であるAを発見、職務質問を行い、任意での取り調べの結果事件への関与を認めたため強盗殺人容疑で逮捕された。逮捕された際、身分証やスマートフォン、現金は持っていなかった。
犯行後、B、Cは車で逃走したがA、Dは車に乗れず、Aは徒歩で逃走している最中に警察に発見され、DはヒッチハイクでJR石橋駅まで移動後、東北本線で逃走[15][16]。Aの供述をもとに捜査が行われ、5月15日にAと同じ高校に通っていたBが緊急逮捕、16日にBの別の高校の知人であったC、およびDが、17日に現場指示役とみられる20代の夫婦が逮捕された。また、30日にはリクルーター役のEが逮捕された[2]。
犯人像
- 事件への関与者の関係[注釈 3]
| 男性X (公開手配中) | |||||||||||||||
| 男 (5) | 女 (6) | ||||||||||||||
| 少年B (2) | 少年A (1) | ||||||||||||||
| 少年C (3) | |||||||||||||||
| 少年D (4) | |||||||||||||||
| 少年E (7) | |||||||||||||||
匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の類の犯罪グループが関与しているとみられており、現場指示役の夫婦のさらに上位にも指示役がいる可能性を捜査している[17]。
男性X(トクリュウ側の事件主導者)
事件関係者のスマートフォンの解析などから、現場指示役の夫婦に指示を出していたとみられる「カズ」と名乗る男性X(当時48歳)の関与が浮上し[1]、27日に逮捕状が取られた[18]。Xは秘匿性の高い通信アプリである「シグナル」や「テレグラム」を使用し[1]、現場指示役と隠語を使って連絡を取り、被害者宅の情報を送信し指示を出していた疑いがある[1][18]。事件前にはホームセンターでバールを購入しており、現場指示役を通じて実行役に渡され、凶器として使用された可能性がある[1]。
また、Xは事件の3日後の5月17日に中国に出国し、東南アジアに逃亡した可能性がある[18][5]。成田国際空港の防犯カメラには、Xが変装することなく、肩から複数のバッグをかけて1人でスーツケースを引いて歩く様子が記録されていた[1] 。29日にはXの公開手配が行われた[19]。
公開手配と併せて、栃木県・神奈川県両警察の合同捜査本部から警察庁を通じ旅券返納命令を出すよう求められていた外務省は、6月3日、Xに対し同命令を出した。同月24日の期限までに返納に応じない場合は旅券が失効し、渡航先で不法滞在の状態となる[5]。さらに、6月5日に警察庁は国際刑事警察機構を通じ国際手配を行った[20]。
夫婦(現場指示役)
現場指示役の夫婦(夫28歳、妻25歳)は横浜市港北区在住であった[6]。現場指示役の夫は国外逃亡を図る直前の17日未明に東京国際空港(羽田空港)第3ターミナルで、現場指示役の妻は17日午後にその娘(当時生後7か月)と一緒にいたところを横浜市内のビジネスホテルで発見され身柄を拘束された[21]。
2人は、防犯カメラの映像を手がかりに足取りをつかむ「リレー捜査」により特定に至った。栃木県外に夫婦が出たことが判明したため警察庁が調整役となり警視庁、神奈川県警察、埼玉県警察の連携により捜査を展開した。さらに現場指示役が普段から立ち寄る先を聞きこむことにより最後の居場所を把握、現場指示役の夫が羽田空港に向かうことが判明したのは5月16日の夜であり、捜査員が急行した段階ではすでに出国手続きが完了し制限区域内に1人でいた模様。現場指示役の妻も同様の方法で特定した[4]。
少年A、B、C、D(実行役)
実行役の少年らは全員が犯行当時16歳の高校生で、A、B、Cは相模原市居住、Dは川崎市居住であった。Bは自宅から出てきたところで、Cは相模原市内の関係先から出てきたところで、Dは川崎市内のアルバイト先の飲食チェーン店で発見され身柄を拘束された[6]。
トクリュウ側の指示役が何らかの形で実行役を集めたとみられ、Aは「同学年の仲間に誘われた」と供述している。Bは実行役の夫婦と顔見知りであったことが判明しており、同学年の友人3名を誘ったとされる。実行役同士は互いに面識がなかったとみられており、「事件当日に初めて会った人もいる」と実行役の1人が供述している[22]。DはA、B、Cとは別の高校に通い関係性は不明である[6]。
現場指示役の夫婦は栃木県内の他の場所から高校生らスマートフォン用アプリの通話機能で指示を送っていたとみられ、「『やらなければ家族を殺す』と言われていた」と脅されたと実行役の一部が供述しているほか、武器や逃走用の自動車(BMW・5シリーズ)は現場指示役が用意したとみられるが、名義は夫婦とは違う人物であった[23]。逃走用のBMW車はBの自宅近くの公園で発見されている[24][8]。
6月26日、宇都宮地検は強盗殺人や強盗殺人未遂、動物愛護法違反などの非行内容で4人を宇都宮家裁に送致した[25]。宇都宮地検は7月31日までに4人全員を起訴した[26]。
少年E(リクルーター役)
相模原市の高校生であった当時18歳のEは、5月13日ごろに神奈川県またはその周辺で強盗などの犯罪行為を実行させることを知りながら、通信アプリを使用してDをBに紹介した[2]。同月30日に、職業安定法違反(有害業務の紹介)の疑いで逮捕された[27][28][2]。EはB、Dとそれぞれ知人関係である[2]。6月19日、宇都宮地検はEを宇都宮家裁に送致した[29]。Eは横浜家裁相模原支部に移送され、7月13日、横浜家裁はEを検察官送致(逆送致)した[30]。Eは再び宇都宮地検に移送され、22日に宇都宮地検はEを同法違反の罪で起訴した[31]。
時系列
- 2026年(令和8年)
- 4月
- 8日 - 被害者次男宅で窃盗事件
- 20日 - 被害者宅近くで不審なバイクがいると親族が県警下野署に相談
- 22日 - 被害者宅近くで不審な車とバイクがいると親族が県警下野署に相談
- 5月
- 6日 - 不審車に同乗していた男を盗品等保管容疑で逮捕
- 14日 - 事件発生。少年Aが逮捕
- 15日 - 少年Bを逮捕。相模原市内で逃走用のBMW車を発見し押収
- 16日 - 少年C、少年Dを逮捕
- 17日 - 現場指示役夫婦を逮捕
- 27日 - 現場指示役に指示を出していたとみられる男性Xの逮捕状が取られる
- 29日 - 男性Xの公開手配が行われる
- 30日 - リクルーター役の少年Eを逮捕
- 6月
- 5日 - 男性Xを国際手配
- 19日 - 少年Eを職業安定法違反の非行内容で家裁送致
- 22日 - 現場指示役、実行役の計6名を動物愛護法違反容疑で追送検[3]
- 26日 - 実行役の少年4人を強盗殺人などの非行内容で家裁送致
- 7月
- 13日 - 少年Eを検察官送致
- 22日 - 少年Eを職業安定法違反罪で起訴
- 4月
脚注
注釈
出典
- 1 2 3 4 5 6 「主導疑い 48歳手配 栃木強殺 成田で複数バッグ」『毎日新聞』2026年5月30日、朝刊、22面。
- 1 2 3 4 5 「栃木強殺7人目逮捕 18歳高校生 実行役勧誘の疑い」『読売新聞』2026年5月31日、朝刊、32面。
- 1 2 3 「飼い犬殺害容疑 栃木強殺追送検 高校生ら6人」『読売新聞』2026年6月23日、朝刊、1面。
- 1 2 「夫婦の行方、防犯カメラ追跡 リレー捜査、出国前に夫確保 栃木・強盗殺人容疑」『朝日新聞』2026年5月18日、夕刊。オリジナルの2026年5月25日時点におけるアーカイブ。
- 1 2 3 “栃木強盗殺人で海外逃亡した「主導役」に旅券返納命令、応じなければ渡航先で不法滞在状態に”. 読売新聞オンライン. 2026年6月3日. 2026年6月3日閲覧.
- 1 2 3 4 5 6 「バール握り「頑張る」 栃木強殺一週間」『毎日新聞』2026年5月22日、朝刊、19頁。[リンク切れ]
- ↑ 「匿流 複数人下見か 上三川強盗殺人 被害者宅 不審者、バイク目撃で警戒」『下野新聞』2026年5月16日、朝刊。
- 1 2 「現場指示役か、夫婦逮捕 栃木・強盗殺人容疑 夫は羽田で発見」『朝日新聞』2026年5月18日、朝刊。オリジナルの2026年5月17日時点におけるアーカイブ。
- ↑ 「4少年、当日初めて合流か 栃木・強盗殺人 匿流、指揮系統捜査」『朝日新聞』2026年5月19日、朝刊。オリジナルの2026年5月25日時点におけるアーカイブ。
- ↑ 「栃木強盗殺人の1週間前、不審車両の男を逮捕…犯行失敗で新たに高校生4人らの実行犯グループ編成か」『読売新聞』2026年5月20日。
- ↑ 「栃木強盗殺人、住民と出くわした目出し帽に上下黒服の男「がんばってきます」…不審者目撃相次ぐ」『読売新聞』2026年5月15日。
- 1 2 「別の実行役→少年らに交代した可能性 犬も殺したか 栃木強殺」『毎日新聞』2026年5月20日。[リンク切れ]
- ↑ 「現場に急行する警察官、顔隠し歩く少年発見し確保 共犯者の行方追う」『朝日新聞』2026年5月15日。
- ↑ 「栃木強殺「数百万円の報酬」 容疑の少年「もらう予定だった」」『毎日新聞』2026年5月29日、朝刊、19面。
- ↑ 「栃木強殺、ヒッチハイクで逃走か 少年、帰りに仲間の車乗れず」『毎日新聞』2026年5月18日。[リンク切れ]
- ↑ 「栃木強盗殺人、高校生1人が知人2人を実行役に勧誘か…高級外車は第三者から夫婦に提供された可能性」『読売新聞』2026年5月18日。
- ↑ 「栃木強盗殺人、容疑の実行役高校生「夫婦に頼まれた」…指示役とみられる夫婦の「さらに上の指示役」関与疑い」『読売新聞』2026年5月18日。
- 1 2 3 「栃木強殺主導か 逮捕状 容疑の40代男性 事件後出国」『毎日新聞』2026年5月27日、朝刊、7面。
- ↑ “「主導役」男を公開手配 栃木強殺、海外当局と協力して捜査”. 産経新聞. 2026年5月29日. 2026年5月29日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年5月29日閲覧.
- ↑ “栃木強盗殺人でX容疑者を国際手配…東南アジアに逃亡か、身柄拘束求める「赤手配」ICPOに要請”. 読売新聞. 2026年6月6日. 2026年6月6日閲覧.
- ↑ 「指示役か 夫婦逮捕 上三川強盗殺人 横浜の20代無職 計6人に 事件時は県内に 海外逃亡計画も」『下野新聞』2026年5月18日、朝刊。
- ↑ 「「当日初めて会った人も」上三川強盗殺人 逮捕少年一部供述 新たに2人送検」『下野新聞』2026年5月18日、朝刊。
- ↑ 「少年4人が乗った車、容疑者夫婦以外の名義 夫婦が調達し貸し出しか」『朝日新聞』2026年5月19日。
- ↑ 「「夫婦から凶器渡された」 栃木の強盗殺人、実行役の少年が供述」『毎日新聞』2026年5月19日。[リンク切れ]
- ↑ 「栃木強盗殺人、実行役少年4人を家裁送致 宇都宮地検」『時事ドットコム』時事通信社、2026年6月26日。2026年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- ↑ “実行役とされる16歳と17歳の少年2人起訴 栃木の強盗殺人事件”. 朝日新聞. 2026年7月31日. 2026年7月31日閲覧.
- ↑ “栃木強盗殺人でリクルーター役か 実行役少年を紹介容疑で18歳逮捕”. 朝日新聞. 2026年5月30日. 2026年5月31日閲覧.
- ↑ “リクルーター役疑いの18歳高校生、新たに1人逮捕 栃木強盗殺人”. 毎日新聞. 2026年5月30日. 2026年5月31日閲覧.[リンク切れ]
- ↑ “リクルーター役の18歳高校生男を家裁送致 栃木強殺事件、実行役の16歳少年勧誘か”. 産経新聞. 2026年6月19日. 2026年6月19日閲覧.
- ↑ “栃木・上三川町強殺事件、実行役の少年勧誘疑いで高校生を横浜地検に逆送”. 産経新聞. 2026年7月14日. 2026年7月14日閲覧.
- ↑ “栃木県上三川町の強盗殺人、実行役を紹介した男子高校生を職業安定法違反で起訴”. 読売新聞. 2026年7月22日. 2026年7月22日閲覧.