地雷グリコ
| 地雷グリコ GLICO WITH LANDMINES | ||
|---|---|---|
| 著者 | 青崎有吾 | |
| 発行日 | 2023年11月27日 | |
| 発行元 | KADOKAWA | |
| ジャンル |
推理小説 連作短編集 | |
| 国 |
| |
| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 四六判 | |
| ページ数 | 352 | |
| 公式サイト | kadokawa.co.jp | |
| コード | ISBN 978-4-04-111165-9 | |
|
| ||
| ||
『地雷グリコ』(じらいグリコ)は、青崎有吾による日本の小説。第24回本格ミステリ大賞小説部門、第77回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、第37回山本周五郎賞受賞作。第171回直木三十五賞候補。のちに漫画、配信ドラマなどのメディアミックスが展開されている。
概要
女子高生・射守矢真兎を主人公に、遊びを題材にした特殊なゲームをめぐる頭脳戦を描いた連作短編集[ep 1][ep 2][ep 3][ep 4][ep 5][ep 6]。
電子文芸誌『小説屋sari-sari』(KADOKAWA)2017年11月号、『カドブンノベル』(KADOKAWA)2020年11月号に各1編、『小説 野性時代』(KADOKAWA)2022年3月号、2023年2月号に2編が掲載されたのち、書き下ろしを1編加え[1]、2023年11月27日に同社から単行本が発売された[2]。2026年6月16日にはに小川哲よる解説を収録した角川文庫版が発売された[3]。
2024年に日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞、山本周五郎賞を相次いで受賞したほか、第171回直木三十五賞の候補となった[4][5]。
2024年末には『週刊文春ミステリーベスト10』『このミステリーがすごい!』『本格ミステリ・ベスト10』『ミステリが読みたい!』の主要ミステリランキング4誌で第1位を獲得したほか[6]、Mephisto Readers Clubの会員が選ぶMRC大賞、ミステリ・ファンダム「SRの会」の会員が選ぶ2023年国内部門でも第1位を獲得した[7][8]。更に書店員・飯田正人が選ぶ第7回飯田賞を受賞。既出の3冠と合わせてミステリ9冠と喧伝されている[8][9][10][11]。
制作背景
作者の青崎は、学園もののアンソロジーへの寄稿依頼をきっかけに、高校生がゲームで対決する読み切り短編を執筆した。当初は「ゲームに強い高校生が、生徒会の先輩を倒す」という一話完結の構想で、アンソロジー自体は企画中止となったものの、担当編集者から連作化を勧められたことで、連作短編集『地雷グリコ』として作品を発展させることになった[14]。
連作化に際して青崎は、ギャンブル漫画『賭博黙示録カイジ』『嘘喰い』などから蓄積していたアイデアをもとに、「地雷グリコ」をはじめ、「坊主衰弱」「自由律ジャンケン」「だるまさんがかぞえた」「フォールーム・ポーカー」といった、既存の遊びに独自のルールを加えたゲームを考案した。各ゲームは、カードゲームのように机上だけで進むものに偏らないよう、身体を動かしたり、広い場所を使ったりする構成を意識している。また、青崎自身が『嘘喰い』などのギャンブル漫画から影響を受けており、主人公の真兎と互角のライバル・絵空の造形にも、その影響が反映されている[14]。
一方で、本作の制作では、架空のゲームでありながら読者がルールを直感的に理解できるようにすることに特に苦心した。青崎は句読点や細かな言い回しまで工夫し、ゲームのルールを整理して説明する人物を登場させるなど、ミステリーの解決編と同様の手法を用いて説明を構成した。また、勝敗が偶然に左右されないよう運の要素を極力排し、提示されたルールや作中の言動から、読者自身が勝敗を予測できる「フェアプレー」に近いゲーム展開を目指した[14]。
そして青崎は、ゲームにおける「読み合い」や「根拠をもとに推論して答え合わせをする過程」をミステリーの謎解きと共通するものと捉え、本作を「ゲームもミステリーの一種」という発想から構築した。命や大金を賭ける従来のギャンブル作品とは異なり、あえて大きなものを賭けないことで、それぞれのプレイヤーが決して譲れない価値観や信念を描こうとした。その結果、本作にはゲームの攻略そのものに加え、人間同士の読み合いや成長、関係性を描く連作へと発展し、青崎自身が「ミステリーのいちばん脂が乗ってておいしいと思える部分を詰め込んだ」と語る作品となった[14]。
あらすじ
- 地雷グリコ
- 西東京市の都立高校・頬白高校に通う1年生の射守矢真兎は、外見も言動もちゃらんぽらんな少女だが、実は「勝負事にやたらと強い」という隠れた才能を持っていた。ある日、真兎はクラスメイトの 鉱田風日から、文化祭「頬白祭」の模擬店で最も好条件な場所である旧校舎の「屋上」の使用権を巡るクラス、団体同士の争奪戦《愚煙試合》への出場を頼まれる。決勝まで勝ち進んだ真兎に立ちはだかる相手は、この争奪戦を連覇している生徒会代表の切れ者・椚迅人と介添人の江角だった。審判で文化祭実行委員である塗辺から提示された決戦の競技は、誰もが知る階段昇りゲーム「グリコ」に、相手の指定した段「地雷」に留まると大幅に後退させられるペナルティを加えた、特殊ゲーム「地雷グリコ」。頬白神社の見上げるような高い階段を前に、お互いが事前に地雷の設置位置を審判へ申請し、高度な心理的騙し合いを孕んだ頭脳戦が始まる。
- 坊主衰弱
- 頬白高校かるた部は騒がしさを理由に、百人一首や競技かるたの愛好家が集う「かるたカフェHATANO」から出入禁止処分を受ける。困り果てた部員たちは、生徒会の椚を伴って店へ謝罪と処分撤回を求めに向かい、真兎と鉱田もその一行に紛れて店を訪れる。店主の旗野が「出禁は撤回できない」と謝罪と申し入れを拒否すると、真兎は競技かるたで自分が勝てば出禁を撤回してくれないかと旗野に勝負を持ち掛ける。旗野は勝負を受け入れるが、競技かるたで素人と対戦することが大人気がないと難色を示し、百人一首の絵札を裏返して行う「神経衰弱」に、坊主の札を引くと獲得したすべての札を失うという「坊主めくり」の要素を加えた特殊ゲーム「坊主衰弱」での勝負を提案する。真兎は何らかの不正や罠の存在を予感しながらもカウンターの椅子に着き、理不尽な店主の鼻を明かすため緊迫した勝負に挑む。
- 自由律ジャンケン
- これまでの勝負で並外れた強さを見せた真兎の噂を聞きつけた生徒会長・佐分利錵子は、ある目的から真兎を生徒会にスカウトしようとする。真兎が勧誘を断ると、佐分利はゲームで決着をつけようと提案する。真兎が勝てば勧誘を諦め、佐分利が勝てば真兎は生徒会に加入するという条件だった。さらに佐分利から真兎の中学時代の同級生・雨季田絵空の名前が出されると、真兎は関心を示し、その勝負を受けることにする。佐分利が勝負のゲームとして選んだのは、通常のグー・チョキ・パーに加え、各プレイヤーが事前に「独自手」と「効果(ルール)」を設定する「自由律ジャンケン」だった。椚を審判に迎え、相手がどのような効果を仕込んだか分からない中、真兎と佐分利は互いの思考の裏を読み合う頭脳戦に臨む。
- だるまさんがかぞえた
- 真兎は、自らの過去に関わる絵空との勝負に必要な「Sチップ」を手に入れるため、佐分利、椚、鉱田らと埼玉の公園へ向かう。そこで待ち受けていたのは、日本三大不可侵校の一角として恐れられる星越高校の生徒会役員、新妻晴夫、巣藤、桶川の3人だった。彼らが頬白高校に流出したSチップを回収するために仕掛けた勝負《実践向上》は、鬼が振り向くタイミングとなる掛け声の文字数と、その間に子が前進できる歩数を事前に「入札」で申告する特殊ゲーム「だるまさんがかぞえた」だった。数字とロジックを駆使した入札による心理戦を前に、対戦相手・巣藤のハメ技を警戒しながらも、真兎はSチップを懸けた勝負に挑む。
- フォールーム・ポーカー
- ついに真兎は絵空を勝負の場に呼び出すことに成功し、頬白高校の旧校舎で対戦することになる。決戦の競技として提示されたゲームは、4つのスート(スペード、ハート、ダイヤ、クローバー)ごとに割り振られた別々の「部屋」を移動しながらカードを引き、3枚の手札で役の強さを競い合う、論理と洞察力を極限まで要求される変則ルールのトランプゲーム「フォールーム・ポーカー」。巨額のマネーに匹敵するSチップが賭けられるだけでなく、星越高校と頬白高校のプライド、何よりも真兎自身の譲れない思いを懸けた、絵空との究極の騙し合いの幕が切って落とされる。
- エピローグ
- フォールーム・ポーカーでの激闘から約1か月後、星越高校には、ある目的から絵空と新妻に伴われた真兎と鉱田、ふたりの姿があった。
登場人物
主要人物
- 射守矢真兎(いもりや まと)
- 本作の主人公。頬白高校1年4組の女生徒。亜麻色のロングヘアで短めのプリーツスカートに、ぶかぶかのカーディガンを羽織っている。帰宅部。南樹中学出身。
- 外見も言動もちゃらんぽらんだが、勝負事に並外れた強さを持ち、さまざまな特殊ゲームで強者と対決する。
- 鉱田風日(こうだ かざひ)
- 真兎の友人で同じ頬白高校1年4組のクラスメイト。真兎からは「鉱田ちゃん」と呼ばれる。真兎とは南樹中学からの付き合いで、ダンス部でひとりタップダンスに励んでいた。
- 真兎が挑む特殊ゲームに立会人として関わり、勝負の行く末を案じ見守る。
頬白高校
- 椚迅人(くぬぎ はやと)
- 生徒会代表。3年1組。ブレザーをきっちりと着込んだ、スクエア眼鏡が似合う男子。
- 1年の時から生徒会代表として《愚煙試合》に出場し、2年連続優勝を果たし屋上でオープン・カフェを開いた実績を持つ。
- 佐分利錵子(さぶり にえこ)
- 生徒会 会長[ep 3][ep 4][ep 5]。3年生。ベリーショートの黒髪にブルーのメッシュを入れ、左耳にピアスをつけ切れ長の目。
- 頭脳明晰で、唯我独尊タイプの女生徒。長袖シャツに紺のサマーベストを合わせたスラックスのボーイッシュな服装で、一人称は「オレ」。
- 塗辺(ぬりべ)
- 文化祭「頬白祭」実行委員[ep 1][ep 5]。1年生。跳ねた髪の寝癖を無造作ヘアと混同している。部活はラクロス部。
- 《愚煙試合》では「地雷グリコ」を、《実践向上》では「フォールーム・ポーカー」を提案し、審判としてゲームを取り仕切る。
星越高校
地雷グリコ
坊主衰弱
- 旗野(はたの)
- 「かるたカフェHATANO」の店主[ep 2]。髪をきっちりセットし、口の周りにひげを生やし、真鍮っぽい眼鏡をかける。元大学競技かるた部のエース。
- 店を競技かるたの選手や引退した名人、読手、作家、歴史家などが集う聖地にすることを目指しており、遊びでかるたをする女子高生たちを快く思っていない。
- 中束(なかつか)
- 頬白高校かるた部 部長[ep 2][ep 3]。女生徒。真兎や鉱田の先輩。
- 安木(やすき)、堀(ほり)
- 頬白高校かるた部の女生徒[ep 2]。安木は真兎や鉱田と同じ1年4組で、堀は1年2組。
- 橋本(はしもと)
- 頬白高校の数学教師[ep 2]。授業中の雑談で「人生はゲームだ」と言って「何でも楽しまなければ損」との持論を展開するが、真兎の反感を買う。
自由律ジャンケン
だるまさんがかぞえた
フォールーム・ポーカー
エピローグ
- 新庄寺(しんじょうじ)
- 星越高校3年生[ep 6]。Sチップ上位所持者(ホルダー)。長髪の男子生徒。
用語
- 頬白高校(ほおじろこうこう)
- 西東京市に所在する都立高校。真兎や鉱田が通う。
- 南樹中学(なんきちゅうがく)
- 西東京市に所在する中学校。真兎や鉱田、絵空の出身校。
- 星越高校(せいえつこうこう)
- 埼玉県入間市に所在する創立80年の私立高校。生徒数1000人。学力は全国トップクラスのエリート校で、政治家、社長、文化人を多数輩出している。
- 徹底した秘密主義をつらぬき、校風やカリキュラムに関する情報が極端に少ない。
- 日本三大不可侵校
- 埼玉の星越高校、長野の夕霧女学院、鹿児島の黒鯨塾の3校を指す言葉。
- 《愚煙試合》(ぐえんしあい)
- 5月に頬白高校で開催される文化祭「頬白祭」の出店場所で、特に一番人気の旧校舎「屋上」の権利を争う伝統的なトーナメント形式の真剣勝負(頭脳戦ゲーム)。
- 参加者は知略を競う「代表」各1名、代表の戦いに立ち会う「介添人」各1名、そして試合の公正な進行を司る文化祭実行委員の「審判」1名で構成される。
- 《実践向上》(キャリアアップ)
- 星越高校の校内で生徒間で行われるSチップを賭けたゲーム。事実上の賭博だが、学校側は黙認している。
- 1000人の生徒が10枚保持し、《実践向上》により校内で常時10億円分のSチップが動いている。
- Sチップ
- 星越高校の生徒が入学時に10枚貸し与えられる奨学金のチップ。Sはスカラシップ(scholarship:奨学金)のイニシャル。卒業時に1枚10万円に換金できる。
- 黄色く塗られたフチに白い星の模様が6つ入った樹脂製のチップで、中央にSの飾り文字が印字されている。オレオくらいのサイズ、板チョコくらいの厚み。
- 通常は星越高校の生徒間だけで流通しているが、20年以上前に、3枚のSチップが校外の頬白高校に流出している。
特殊ゲーム
- 地雷グリコ
- 概要:頬白神社の46段の階段を舞台に、階段のじゃんけん遊び(グリコ)に「地雷」の要素を加えた特殊ゲーム。
- ルール:一般的な「グリコ」と同様に、じゃんけんで勝ったプレイヤーがその手の文字数に応じて階段を上る。
- グ・リ・コ(グー):3段進む
- チ・ヨ・コ・レ・イ・ト(チョキ):6段進む
- パ・イ・ナ・ツ・プ・ル(パー):6段進む
- この基本ルールに加え、以下の特殊ルールが適用される
- ゲーム開始前
- 地雷の設置:両プレイヤーは1から45段目までの階段のうち、任意の3箇所に相手には見えない「地雷」を設置(申告)する。
- 地雷の設置数の上限:設置できる地雷は1段に1つまで。
- 地雷設置段の重複:両プレイヤーで希望の設置段が重複した場合はその段のみを公表し、設置をやり直す。
- ゲーム開始後
- 地雷の爆発:移動した先(着地した段)に地雷が設置されていた場合、地雷が作動する。
- 相手の地雷を踏んだ場合(被弾):ペナルティとして10段強制後退させられる。
- 自分の地雷を踏んだ場合(ミス):ペナルティによる後退はないが、相手に「その段に地雷が設置されていること」が露見する。
- あいこルール:1ターンで同じ手によるあいこが5回以上連続した場合、そのターンはゴールに近いプレイヤーが3段か6段好きな段数を進める。
- 両者が同じ段に立っていた場合は、先にその段に来ていたプレイヤーをゴールに近い方と見なす。
- 勝利条件:相手より先に階段を上り終え、最上段(46段目)を突破したプレイヤーが勝者となる。
- 坊主衰弱
- 概要:百人一首の伝統的な遊びである「坊主めくり」に「神経衰弱」の要素を掛け合わせたカードゲーム。
- ルール:百人一首の「絵札」100枚のみを使用する。全ての札を裏向きにして場に並べ、プレイヤーは交互に2枚ずつめくっていく。
- 札は描かれている人物によって「男」「姫」「坊主」の3種類に分類され、めくったカードの組み合わせによって処理が異なる。
- 「男」を2枚揃えた場合:その2枚の札を獲得(キープ)できる。さらに、もう一度自分のターンを連続して行う(2枚めくる)ことができる。
- 「姫」を2枚揃えた場合:揃えた2枚の姫の札とともに、「捨て場」に置かれているすべての札を自分の手札として獲得できる。
- 「坊主」をめくった場合(1発アウトペナルティ):その時点で自分が獲得していた手札をすべて失い、それらの札はめくった坊主の札とともに「捨て場」へと没収される。
- なお、烏帽子に坊主頭の蝉丸の札は「坊主」として扱う。
- 勝利条件:すべての札がめくられたゲーム終了時点で、最終的に獲得した手札(枚数)が最も多かったプレイヤーが勝者となる。
- 自由律ジャンケン
- 概要:「ジャンケン」をベースに、プレイヤー自らが新しい手とその効果を考案・追加して戦う特殊な変則ジャンケン
- ルール:通常の「グー」「チョキ」「パー」の3種類に、両プレイヤーがそれぞれ事前に考案した「独自手」を各1つずつ加えた、計5種類の手でジャンケンを行う。
- 独自手の作成条件
- 片手(指の折り曲げ等)で物理的に表現できる形であること。
- 「出した瞬間に無条件で勝つ」「全ての手の形に勝つ」といった強すぎる効果は不可。
- 最低でも1種類以上の手には負けるよう設定しなければならない。
- 特殊効果や条件(例:次のターンに課される制約など)を付与することも認められる。
- 情報の秘匿
- ゲーム開始前に両プレイヤーは自身の独自手の形と効果を「審判」にのみ申告し、承認を受ける。
- 対戦相手には独自手の形と呼び名以外の詳細(三すくみにおける相性や効果)は一切明かされない状態で勝負を開始する。
- 試合の進行
- お互いに「最初はグー。ジャン・ケン・ポン」の掛け声で手を出し合い、審判がその都度勝敗を判定する。
- プレイヤーは実戦の中で「相手がどのような効果の独自手を出してきたか」を推理し、その相性(勝ち負けの法則)を解き明かしていく必要がある。
- 独自手の形が申告した形通り正しく作られていない場合は「空手」扱いとなり、相手プレイヤーの勝利となる。
- 勝利条件:1対1による全7回勝負(7本勝負)を行い、先に4勝したプレイヤーが勝者となる。あいこ(引き分け)の場合は勝敗カウントせず、次の回へ移行する。
- だるまさんがかぞえた
- 概要:「だるまさんがころんだ」をベースに、「文字数」と「歩数」の入札要素を組み込んだ1対1の心理戦ゲーム。
- ルール:プレイヤーはあらかじめ「標的(マーカー)」と「暗殺者(キラー)」の攻守に分かれ、一定の距離を挟んで対峙する。
- 一般的な「だるまさんがころんだ」のように実際に声を出したり動いたりするが、「入札」で事前申告した内容に基づいた動きをする。
- 入札のシステム
- 標的(マーカー):「だ・る・ま・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ(10文字)」に縛られず、任意の「文字数」を入札(申告)する。
- 暗殺者(キラー):そのセットで自分が進む「歩数」を入札(申告)する。
- セットの判定基準
- セーフ:暗殺者の「歩数」が、標的の「文字数」以下だった場合(歩数 ≦ 文字数)。暗殺者は入札した歩数分だけ安全に進むことができる。
- アウト:暗殺者の「歩数」が、標的の「文字数」を上回った場合(歩数 > 文字数)。標的が振り向いたときに動いていたとみなされ、アウトとなる。
- 暗殺者の「歩数」が、標的の「文字数」と同じだった場合(歩数 = 文字数)はチェック回避として扱い、暗殺者は入札した歩数分だけ進むことができる。
- 標的の制約(総文字数ノルマ)
- 標的は、全5セットの合計で必ず「50文字」を使い切らなければならない(平均すると1セット10文字)。
- 入札のシステム
- 勝利条件
- 暗殺者の勝利条件:5セット以内に、一度もアウトになることなく、標的のいるゴール(タッチできる距離)まで規定の歩数を進みきること。
- 標的の勝利条件:5セットのうち、一度でも暗殺者をアウトにすること。または、暗殺者が5セットでゴールに到達できなかった場合。
- フォールーム・ポーカー
- 概要:3枚の手札で役を作るポーカーをベースに、物理的に離れた「4つの部屋」を移動しながらカードを集める変則ポーカー。
- ルール:ディーラーから配られた手札を基に、プレイヤー自身が会場内の4つの部屋を移動し、伏せられたカードから手札を集め役を作り、ベットする。
- 部屋の構成とカードの配置
- 会場にはスート(マーク)ごとに「クラブの間」「ダイヤの間」「ハートの間」「スペードの間」の4つの部屋が用意されている。
- 各部屋には、該当するスートのA〜Kのカード13枚がすべて裏向きで上段7枚、下段6枚で置かれており、どこにどの数字のカードがあるかは分からない。
- ゲームの進行
- トランプ用アプリでプレイヤーに配る手札を各3枚づつ1デッキから選出し、審判が現物の手札を部屋から調達しプレイヤーに配付する。
- プレイヤーの手札は3枚で、4つの部屋を回りながらカードを選び、手札を構築・交換していく。
- カードの交換は先攻、後攻の順に行う。2回戦以降は、直前の試合で勝利したプレイヤーが先攻となる。
- 捨てたカードの枚数によって、入室できる部屋の数と選べるカードの枚数が決まる。交換時間は5分間。
- カードは実際に手にするまで数字を確認できず、自分が交換するカードのみ触れることができる。
- 一度入った部屋には、同じ交換時間内に再び入ることはできない。
- 相手がどの部屋に入ったかは確認できるため、その移動先から相手の狙いや手札を推測することができる。
- 役の種類と強さ
- 3枚のカードで作る役は、強い順に以下のとおり。
- ロイヤルストレートフラッシュ:同じスートのQ→K→Aの連続した3枚。
- ストレートフラッシュ:同じスートで数字が連続した3枚。
- フラッシュ:同じスートの3枚。
- ストレート:数字が連続した3枚。
- スリーカード:同じ数字の3枚。
- ワンペア:同じ数字の2枚。
- 役なし:上記のいずれにも該当しないもの。
- 3枚のカードで作る役は、強い順に以下のとおり。
- 部屋の構成とカードの配置
- 勝敗の判定
- 役の強さは、ワンペア<スリーカード<ストレート<フラッシュ<ストレートフラッシュ<ロイヤルストレートフラッシュの順となる。
- 同じ役の場合は、役を構成するカードの数字を比較して勝敗を決める。
- 数字は2<3<4<5<6<7<8<9<10<J<Q<K<Aの順に強い。
- 数字と役が同じ場合は、スートの強さで勝敗を決める。スートはクラブ<ダイヤ<ハート<スペードの順に強い。
- A→1→2の連番の場合は、Aを最弱として扱う。
- 勝敗の判定
- ベッティング(賭け)
- カードの交換後、先攻のプレイヤーからチップを賭ける。
- 相手は「コール」「レイズ」「フォールド」のいずれかを選択する。
- コールは相手と同額を賭けること、レイズは賭け金を引き上げること、フォールドは勝負を降りることを指す。
- 各回戦にはベット額の最低額と上限額が設定されている。
- ベッティング(賭け)
BET額制限 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 上限額 50 100 200 無制限 最低額 20 40 80 100
- 勝利条件
- 交換した3枚のカードで役を作り、ベッティングを経た手札開示で、相手より強い役を成立させたプレイヤーが勝者となる。
- ベッティングの際にフォールドを宣言した場合は、相手側が勝者となる。その時点で相手が提示していたチップの半額を相手に支払う。
- 最大4回戦を行い、最終的により多くのチップを獲得したプレイヤーが勝者となる。
- 勝利条件
書誌情報
- 単行本:2023年11月27日発売[2]、KADOKAWA ISBN 978-4-04-111165-9
- 文庫本:2006年6月16日発売[3]、角川文庫 ISBN 978-40-4116662-8 (解説:小川哲)
| タイトル | 初出 |
|---|---|
| 地雷グリコ | 『小説屋sari-sari』2017年11月号[1] |
| 坊主衰弱 | 『カドブンノベル』2020年11月号[1] |
| 自由律ジャンケン | 『小説 野性時代』2022年3月号[1] |
| だるまさんがかぞえた | 『小説 野性時代』2023年2月号[1] |
| フォールーム・ポーカー | 書き下ろし[1] |
評価
2024年5月10日、第24回本格ミステリ大賞小説部門を受賞した[15]。
同年5月13日、第77回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞した。同賞では、ゲームを題材にするにあたり各話ごとに設定や規模を拡大させていく構成や、「ゲームとは何か」というテーマが評価された[16]。
同年5月16日には第37回山本周五郎賞を受賞した。選考委員を代表して選考経過を述べた小川哲は、最終的に満場一致で決定したことや、作品の面白さ、青春小説としての側面などを評価した[4]。また、第171回直木三十五賞の候補となった[5]。
2024年12月、KADOKAWAは本作について、「ミステリが読みたい! 2025年版」国内篇、『このミステリーがすごい! 2025年版』国内編、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門など、4大ミステリランキングすべてで第1位を獲得したと発表した[6]。
受賞・候補歴
ミステリ・ランキング
- 2024年
- 週刊文春ミステリーベスト10 国内部門 第1位[6]
- MRC大賞 1位
- 2025年
- ミステリが読みたい! 2025年版 国内篇 第1位[6]
- このミステリーがすごい! 2025年版 国内編 第1位[6]
- 2025本格ミステリ・ベスト10 国内ランキング 第1位[6]
コミカライズ
暁月あきらの作画による漫画版が、『ヤングアニマル』(白泉社)および「ヤングアニマルWeb」で2024年10月11日から連載されている[12]。
書籍情報(コミカライズ)
- 暁月あきら・作画、青崎有吾・原作 『地雷グリコ』 白泉社〈ヤングアニマルコミックス〉、既刊4巻(202年5月29日現在)
- 2025年2月28日発売[白 1]、ISBN 978-4-592-16330-5
- 2025年7月29日発売[白 2]、ISBN 978-4-592-16370-1
- 2026年1月29日発売[白 3]、ISBN 978-4-592-16490-6
- 2026年5月29日発売[白 4]、ISBN 978-4-592-16500-2
配信ドラマ
| 地雷グリコ ROCK PAPER LANDMINE | |
|---|---|
| ジャンル | 連続ドラマ |
| 原作 | 青崎有吾 |
| 企画 | THE SEVEN |
| 脚本 |
三嶋龍朗 上野詩織 小林大輝 |
| 監督 | 関和亮 |
| 出演者 |
森七菜 蒔田彩珠 山下美月 前田拳太郎 前田旺志郎 髙橋大翔 堀田真由 |
| 国・地域 |
|
| 言語 | 日本語 |
| 製作 | |
| 制作 | THE SEVEN |
| 製作 | Amazon MGMスタジオ |
| 配信 | |
| 放送チャンネル | Prime Video |
| 映像形式 | 文字多重放送 |
| 音声形式 | ステレオ放送 |
| 放送国・地域 | |
| 放送期間 | 2026年11月13日(予定) |
Amazon Prime Videoにて、11月13日より世界独占配信予定[13]。主演は森七菜と蒔田彩珠[13][17]。
キャスト(配信ドラマ)
主要人物
周辺人物
スタッフ(配信ドラマ)
脚注
出典
- 1 2 3 4 5 6 “「青崎有吾、ガチで勝ちに来てる。ミステリ界の旗手が仕掛ける、頭脳バトル小説『地雷グリコ』好評発売中&サイン会開催!”. PR TIMES (2023年12月1日). 2026年9月5日閲覧。
- 1 2 “「地雷グリコ」青崎有吾”. KADOKAWA. 2026年9月5日閲覧。
- 1 2 “「地雷グリコ」青崎有吾[角川文庫]”. KADOKAWA (2026年6月16日). 2026年9月5日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “青崎有吾トリプル受賞!!『地雷グリコ』が第37回山本周五郎賞受賞!”. KADOKAWA (2024年5月16日). 2026年9月5日閲覧。
- 1 2 3 “第171回直木賞候補の詳細”. 直木賞のすべて. 2026年9月5日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “青崎有吾『地雷グリコ』4大ミステリランキング完全制覇!山本周五郎賞を含め8冠達成の快挙!”. KADOKAWA (2024年12月9日). 2026年9月5日閲覧。
- ↑ “MRC大賞2024 順位発表!(全作品分)”. tree (2024年12月24日). 2026年10月3日閲覧。
- 1 2 3 4 “青崎有吾『地雷グリコ』9冠達成の大人気小説は何が凄いのか? ミステリ評論家・千街晶之が分析”. リアルサウンドブック. bule print (2024年12月11日). 2026年9月5日閲覧。
- ↑ 「森七菜&蒔田彩珠 W主演史上初のミステリー賞9冠を果たした超大ヒット作を実写化!Prime Originalドラマ『地雷グリコ』ティザー解禁!」『PR TIMES』(プレスリリース)、THE SEVEN、2026年10月1日。2026年10月4日閲覧。
- ↑ “森七菜×蒔田彩珠「地雷グリコ」に堀田真由、山下美月、前田拳太郎らが出演…「究極のだまし合いに揺さぶられてください」”. web ザテレビジョン. KADOKAWA (2026年10月1日). 2026年10月4日閲覧。
- ↑ “森七菜×蒔田彩珠『地雷グリコ』堀田真由、山下美月、前田拳太郎、前田旺志郎、髙橋大翔が参戦”. ORICON NEWS. oricon ME (2026年10月1日). 2026年10月4日閲覧。
- 1 2 “本格頭脳バトル小説「地雷グリコ」を「めだかボックス」の暁月あきらがマンガ化”. コミックナタリー. 白泉社 (2024年10月11日). 2026年8月25日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 “森七菜・蒔田彩珠が学校生活を賭けて頭脳バトル、「地雷グリコ」プライムビデオでドラマ化”. 映画ナタリー. ナターシャ (2026年8月24日). 2026年8月25日閲覧。
- 1 2 3 4 “騙しと理詰めが勝利を導く! 究極のゲーム小説『地雷グリコ』青崎有吾インタビュー”. カドブン. KADOKAWA (2024年4月19日). 2026年8月25日閲覧。
- ↑ “青崎有吾『地雷グリコ』が「第24回本格ミステリ大賞」受賞!!”. KADOKAWA (2024年5月10日). 2026年9月5日閲覧。
- ↑ “青崎有吾2冠!!『地雷グリコ』が第77回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉受賞!”. KADOKAWA (2024年5月13日). 2026年8月25日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “森七菜×蒔田彩珠のドラマ「地雷グリコ」で堀田真由、山下美月、前田拳太郎ら5名が頭脳戦”. 映画ナタリー. ナターシャ (2026年10月1日). 2026年10月1日閲覧。
- 1 2 3 “ドラマ「地雷グリコ」を彩る5つのゲームは?本予告で“究極の頭脳戦”の全貌が明らかに”. 映画ナタリー. ナターシャ (2026年10月16日). 2026年10月16日閲覧。
参照エピソード
ヤングアニマルコミックス
以下の出典はヤングアニマルコミックス(白泉社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。
外部リンク
- 小説
- 漫画
- Webドラマ