宮内庁式部職

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宮内庁庁舎

宮内庁式部職(くないちょうしきぶしょく)は、宮内庁の内部部局の一つである。単に式部職(しきぶしょく)ともいう。

宮内庁法第7条に基づき、儀式、交際、雅楽に関する事務をつかさどる。現在の宮内庁の組織説明では、式部職は、宮中の儀式、雅楽・洋楽、鴨場接待、外国交際などを担当する部局として位置づけられている[1]。

式部職の下には、儀式を総括する式部副長と、外事を総括する式部副長が置かれ、式部官が儀式、雅楽・洋楽、鴨場接待、外国交際などの事務を担当する[1]。雅楽・洋楽は、式部職に属する楽部が扱う[1]。

事務

宮内庁法第7条は、式部職の所掌事務を次のように定めている。

宮内庁法第7条
式部職においては、左の事務をつかさどる。
一 儀式に関すること。
二 交際に関すること。
三 雅楽に関すること。

宮内庁の組織説明では、式部職は、儀式、雅楽・洋楽、鴨場接待、外国交際などを担当する部局として説明されている[1]。このうち雅楽・洋楽は楽部が扱い、外国交際については外事を総括する式部副長の下で式部官以下が担当する[1]。

式部職の事務には、宮中祭祀や皇室行事に関する儀式事務、外国賓客や外交団との交際に関する事務、雅楽・洋楽の演奏、鴨場接待、御料鵜飼に関する事務などが含まれる。これらは、皇室の儀礼、国際親善、伝統文化の継承と紹介に関わる業務である。

組織

式部官長

式部職の長は式部官長である。式部官長は式部職の事務を統括する。給与上は特別職の上皇侍従長および指定職8号俸の宮内庁次長と同等に位置づけられている[2][3]。

宮内庁の幹部名簿では、式部職に式部官長、式部副長、式部官が置かれていることが確認できる[4]。

式部副長

式部職には、儀式を総括する式部副長と、外事を総括する式部副長が置かれる[1]。前者は儀式関係の事務を、後者は外国交際関係の事務を総括する。

式部官

式部官は、式部副長の下で儀式、雅楽・洋楽、鴨場接待、外国交際などの事務を担当する[1]。宮内庁長官の定める式部官は、それぞれ命を受けて、儀式、交際および雅楽に関する事務を分掌する。

楽部

宮内庁楽部秋季雅楽演奏会

楽部は、式部職に属し、雅楽および洋楽を担当する部門である[1]。宮中の儀式、饗宴、園遊会などにおいて雅楽を演奏するほか、春・秋の定期公演、国立劇場や地方での公演などを通じて雅楽を公開している[5]。また、楽部職員は洋楽も修得し、皇室行事において洋楽演奏も行う[5]。

楽部が伝承する雅楽は、国の重要無形文化財に指定され、2009年(平成21年)にはユネスコの無形文化遺産「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載された。式部職の中で楽部は、雅楽・洋楽を通じて宮中儀礼と伝統文化の継承に関わる部門である。

御料鵜飼

長良川の鵜飼

鵜飼いは日本の伝統的漁法であり、長良川では皇室の保護のもとで御料鵜飼が行われている。宮内庁によれば、長良川の鵜飼は明治維新後に保護を失い存続の危機に瀕したが、1890年(明治23年)に岐阜県知事の要請を受けて、宮内省が鵜匠に職員の身分を与え、長良川に御料場を設置した[6]。

現在、御料鵜飼は、古津地区および立花地区で宮内庁式部職鵜匠により毎年8回ずつ行われている[6]。このうち古津地区の一部では、駐日外国大使夫妻等を招待し、日本の伝統文化である鵜飼漁を紹介している[6]。

御料鵜飼は、皇室による伝統文化の保護と、外国交際の場における日本文化紹介の両面をもつ事務である。この点で、式部職の所掌する交際事務とも関係する。

歴史

現在の宮内庁式部職は、戦後の宮内府・宮内庁への改組のなかで整備された宮内庁の内部部局である。1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)にかけて宮内府が置かれていた時期には、式部職に相当する組織は「式部寮」と称され、その責任者は「式部頭」であった[7]。

1949年(昭和24年)6月1日の宮内庁発足後、式部職が置かれ、儀式、交際、雅楽に関する事務を担う内部部局となった。雅楽・洋楽を扱う楽部は式部職に属し、宮中儀式や公開演奏などを通じて雅楽を継承している。

旧宮内省にも式部職が置かれていたが、旧宮内省式部職については宮内省の組織史と関わるため、本項では主として戦後の宮内府・宮内庁における式部職を扱う。

歴代式部官長

宮内府が設置されていた1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)頃は、「式部寮」と称され、責任者は「式部頭(しきぶのかみ)」であった[7]。

代氏名在任期間備考
式部頭
-松平康昌[7]1947年(昭和22年)3月27日 - 1947年(昭和22年)5月2日親任官待遇
1947年(昭和22年)5月3日 - 1949年(昭和24年)5月31日
式部官長
1松平康昌1949年(昭和24年)6月1日 - 1957年(昭和32年)1月4日(亡)
2原田健(英語版)1957年(昭和32年)2月1日 - 1968年(昭和43年)9月10日(願)
3島重信1968年(昭和43年)9月10日 - 1973年(昭和48年)1月16日(願)
4湯川盛夫1973年(昭和48年)1月16日 - 1979年(昭和54年)8月14日(願)
5安倍勲1979年(昭和54年)8月14日 - 1989年(平成元年)6月20日(願)
6角谷清1989年(平成元年)6月20日 - 1995年(平成7年)9月8日(願)
7渡邉允1995年(平成7年)9月8日 - 1996年(平成8年)12月12日侍従長、宮内庁参与
8苅田吉夫1996年(平成8年)12月12日 - 2003年(平成15年)7月8日(願)高円宮憲仁親王殿下「斂葬の儀」(葬儀)葬儀委員長
9川島裕2003年(平成15年)7月8日 - 2007年(平成19年)6月15日侍従長
10原口幸市2007年(平成19年)6月15日 - 2009年(平成21年)10月4日(亡)
-(肥塚隆)2009年(平成21年)10月8日 - 2009年(平成21年)10月20日式部官長事務代理(式部副長)
11河村武和2009年(平成21年)10月20日 - 2012年(平成24年)9月1日(願)寛仁親王殿下「斂葬の儀」(葬儀)葬儀委員長
12小田野展丈2012年(平成24年)9月1日 - 2014年(平成26年)9月1日(願)侍従長
13河相周夫2014年(平成26年)9月1日 - 2015年(平成27年)5月1日上皇侍従長
14秋元義孝2015年(平成27年)5月1日 - 2023年(令和5年)4月1日宮内庁御用掛
15伊原純一2023年(令和5年)4月1日 - 2026年(令和8年)1月16日
16三上正裕2026年(令和8年)1月16日 -

脚注

注釈

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 “組織・所掌事務”. 宮内庁. 宮内庁. 2026年5月2日閲覧。
  2. ↑ 法律第六十三号(平二九・六・一六) 天皇の退位等に関する皇室典範特例法
  3. ↑ 特別職の職員の給与に関する法律 別表第一
  4. ↑ “幹部名簿”. 宮内庁. 宮内庁. 2026年5月2日閲覧。
  5. 1 2 “雅楽”. 宮内庁. 宮内庁. 2026年5月2日閲覧。
  6. 1 2 3 “御料鵜飼”. 宮内庁. 宮内庁. 2026年5月2日閲覧。
  7. 1 2 3 印刷局, ed (1947) (preview). 各庁職員抄録. 印刷局. pp. 12-13. NDLJP:1078939

関連項目

宮内庁・皇室儀礼

雅楽・楽部

御料鵜飼・鴨場接待

法令・制度

外部リンク