経歴
山口県屋代島(周防大島)生まれ。大阪府立天王寺師範学校(現大阪教育大学)専攻科卒業。
学生時代に柳田國男の研究に関心を示し、その後渋沢敬三に見込まれて食客となり、本格的に民俗学の研究を行うようになった。
1930年代から1981年に亡くなるまで、生涯に渡り日本各地をフィールドワークし続け(1200軒以上の民家に宿泊したと言われる)、膨大な記録を残した。
宮本の民俗学は、非常に幅が広く後年は観光学研究のさきがけとしても活躍した。民俗学の分野では特に生活用具や技術に関心を寄せ、民具学という新たな領域を築いた。
宮本が所属したアチックミューゼアムは、後に日本常民文化研究所となり、神奈川大学に吸収され網野善彦らの活動の場となった。
学風
宮本の学問はもとより民俗学の枠に収まるものではないが、民俗学研究者としては漂泊民や被差別民、性などの問題を重視したため、柳田國男の学閥からは無視・冷遇された。
20世紀末になって再評価の機運が高まった。益田勝実[1]は宮本を評し、柳田民俗学が個や物や地域性を出発点にしつつもそれらを捨象して日本全体に普遍化しようとする傾向が強かったのに対し、宮本は自身も柳田民俗学から出発しつつも、渋沢から学んだ民具という視点、文献史学の方法論を取り入れることで、柳田民俗学を乗り越えようとしたと位置づけている。
宮本が残した調査記録の相当部分は別集も含め、長年にわたり刊行した『宮本常一著作集』(未來社)で把握できるが、未収録の記録も少なくない。
DVD・ビデオ
- 『学問と情熱 第15巻 宮本常一 民衆の知恵を訪ねて』 紀伊國屋書店評伝シリーズ(47分)
- 田村善次郎・宮本千晴監修、ナレーター木内みどり。DVD:2008年8月
関連文献
- 『宮本常一「忘れられた日本人」を訪ねて』(平凡社<別冊太陽 日本のこころ>、2007年)- 図版解説
- 『宮本常一と写真』(平凡社<コロナ・ブックス>、2014年)- 図版入門、石川直樹・須藤功・畑中章宏・赤城耕一が寄稿
- 網野善彦『宮本常一『忘れられた日本人』を読む』(岩波書店〈岩波セミナーブックス〉、2003年/岩波現代文庫、2013年)
- 佐野眞一『旅する巨人:宮本常一と渋沢敬三』(文藝春秋、1996年/文春文庫、2009年)- 第28回大宅壮一ノンフィクション賞
- 佐野眞一『宮本常一が見た日本』(日本放送出版協会、2001年/ちくま文庫、2010年)- 続編でNHK番組「NHK人間講座」が元
- 佐野眞一『宮本常一の写真に読む失われた昭和』(平凡社、2004年/平凡社ライブラリー、2013年)- 宮本が撮った写真約200枚を読み解く
- 『宮本常一のメッセージ:周防大島郷土大学講義録』(みずのわ出版、2007年)
- 佐野眞一・藤本淨彦・碓井巧・小泉凡・立松和平
- 『宮本常一:旅する民俗学者』(佐野眞一責任編集、河出書房新社〈KAWADE道の手帖〉、2005年、増補版2013年、新版2024年)
- 畑中章宏『宮本常一:歴史は庶民がつくる』(講談社現代新書「現代新書100:今を生きる思想」、2023年)
- 若林恵・畑中章宏対談『『忘れられた日本人』をひらく:宮本常一と「世間」のデモクラシー』(黒鳥社、2023年)
- 中澤さかな『宮本常一が見た萩:旅する民俗学者』(萩ものがたり、2008年)- 案内冊子
- ※以下は入門書以外
- 宮本常一追悼文集編集委員会編『宮本常一 同時代の証言(正・続)』(日本観光文化研究所、1981年/復刻版:マツノ書店、2004年)
- 須藤功『宮本常一:人間の生涯は発見の歴史であるべし』(ミネルヴァ書房〈ミネルヴァ日本評伝選〉、2022年)
- 『写真でつづる宮本常一』(須藤功編、未來社、2005年)
- 『宮本常一コレクションガイド』(宮本常一記念館編、森本孝監修、みずのわ出版、2017年)
- 佐野眞一『宮本常一のまなざし』(みずのわ出版、2003年)- 主に講演録
- 佐田尾信作『宮本常一という世界』(みずのわ出版、2004年)
- 佐田尾信作『風の人:宮本常一』(みずのわ出版、2008年)
- 田中慎二・荒木肇=写真、佐田尾信作=文『宮本常一 旅の原景』(みずのわ出版、2005年)
- 『旅する巨人宮本常一:にっぽんの記憶』(みずのわ出版、2006年)
- 読売新聞西部本社編、全国離島振興協議会・日本離島センター・屋代島(周防大島)文化交流センター監修
- 長浜功『彷徨のまなざし:宮本常一の旅と学問』(明石書店、1995年)
- 長浜功『日本民衆の文化と実像:宮本常一の世界』(明石書店、1995年)
- 毛利甚八『宮本常一を歩く:日本の辺境を旅する(上・下)』(小学館、1998年)
- さなだゆきたか『宮本常一の伝説』(阿吽社、2002年)
- 岩田重則『宮本常一:逸脱の民俗学者』(河出書房新社、2013年、新版2024年)
- 岩田重則『日本人のわすれもの:宮本常一『忘れられた日本人』を読み直す』(現代書館「いま読む!名著」、2014年)
- 木村哲也『『忘れられた日本人』の舞台を旅する』(河出書房新社、2006年/河出文庫、2024年)
- 『宮本常一を旅する』(河出書房新社、2018年)- 改訂新版
- 斎藤卓志『世間師・宮本常一の仕事』(春風社、2008年)
- 小松正之『宮本常一とクジラ』(雄山閣、2009年)
- 長岡秀世『知行合一の旅人:宮本常一 その済民思想の伏流水』(梓書院、2011年)
- 坂野徹『フィールドワークの戦後史:宮本常一と九学会連合』(吉川弘文館、2012年)
- 福田晴子『宮本常一の旅学 観文研の旅人たち』(宮本千晴監修、八坂書房、2022年)
- 門田岳久『宮本常一〈抵抗〉の民俗学 地方からの叛逆』(慶應義塾大学出版会、2023年)
- 山古志村写真製作委員会編著『ふるさと山古志に生きる:村の財産を生かす宮本常一の提案』(農山漁村文化協会、2007年)
- 『写真集 山古志村:宮本常一と見た昭和46(1971)年の暮らし』(須藤功解説、同上、2005年)
脚注
出典
- ↑ 論考「宮本常一論の瀬ぶみ」、新版は『説話文学と絵巻ほか 益田勝実の仕事1』(ちくま学芸文庫、2006年)に収録。
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:195
- 1 2 宮本常一年譜 2006:196
- 1 2 宮本常一年譜 2006:197
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:198
- 1 2 宮本常一年譜 2006:199
- ↑ 宮本常一年譜 2006:200
- 1 2 宮本常一年譜 2006:200
- 1 2 3 4 宮本常一年譜 2006:201
- 1 2 3 4 宮本常一年譜 2006:202
- 1 2 宮本常一年譜 2006:203
- 1 2 3 4 宮本常一年譜 2006:204
- ↑ 宮本常一年譜 2006:205
- ↑ 宮本常一年譜 2006:206
- ↑ 宮本常一年譜 2006:207
- ↑ 宮本常一年譜 2006:208
- 1 2 3 4 宮本常一年譜 2006:209
- 1 2 3 4 5 宮本常一年譜 2006:210
- 1 2 3 4 5 宮本常一年譜 2006:211
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:213
- ↑ 宮本常一年譜 2006:214
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:214
- ↑ 宮本常一年譜 2006:215
- ↑ 国立国会図書館. “博士論文『瀬戸内海島嶼の開発とその社会形成』”. 2023年5月9日閲覧。
- ↑ 宮本常一年譜 2006:215
- ↑ 宮本常一年譜 2006:216
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:217
- 1 2 宮本常一年譜 2006:218
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:219
- 1 2 3 4 宮本常一年譜 2006:220
- ↑ 宮本常一年譜 2006:221
- ↑ 宮本常一年譜 2006:222
- 1 2 宮本常一年譜 2006:223
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:224
- 1 2 宮本常一年譜 2006:225
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:226
- 1 2 3 4 宮本常一年譜 2006:227
- ↑ 宮本常一年譜 2006:228
- 1 2 3 宮本常一年譜 2006:229
- 1 2 宮本常一年譜 2006:230
- ↑ “周防大島町名誉町民一覧”. 周防大島町. 2022年7月22日閲覧。
- ↑ “CYCLE FIELD 2024”. CYCLE FIELD. 2024年12月7日閲覧。
- ↑ “広報すおう大島 平成27年(2015年)9月号”. 周防大島町. 2024年12月7日閲覧。
- ↑ “周防大島町の宮本常一記念館、7日にリニューアルオープン 山口県”. 中国新聞. 2024年12月7日閲覧。
- ↑ 生前の刊行は第25巻(1977年)まで。50巻目は師・渋沢敬三の評伝。
別版に『宮本常一集』(全43冊、未來社、1987年)がある。
- ↑ "わたしの自叙伝 宮本常一〜民俗学との出会い〜". NHK. 2025年2月4日. 2025年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年2月4日閲覧。
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