強制処分および強制処分法定主義の考えは、刑事手続における重要な用語および原則である。刑事手続のうち一定のものは強制処分であり、法の定めがなくてはなしえない、とすることで、捜査機関の活動に立法府が制約を課し、国民に対する捜査機関による無制限の人権侵害を防ぐ役割を持っている(同時に司法府からの制約として、令状主義が要求される)。
強制処分によって行われる捜査が強制捜査である(強制処分にはこのほか公判上の手続などが含まれる)。強制捜査についてはその違法性が問題とされることが多い。強制捜査が法の定めに従わずなされた場合(捜索・押収などを令状を取らずに行った場合など)は、違法な捜査が行われたことになり、違法収集証拠排除法則の問題となる。
「強制の処分」の具体的内容についてはかつて争いがあった。
これを受けて判例(最決昭和51年3月16日刑集30巻2号187頁)は、強制処分とは「有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段」である、と説示している。これを支持する通説(重要な利益侵害説)の理解によると、(1)同意がないことと(2)重要な利益の侵害の2つが要件となる。
任意処分とは、強制処分以外の処分のことである。原則としては司法警察活動上の用語であるが、任意処分についての概念は職務質問・所持品検査といった行政警察活動においても妥当するとされる。
また、強制処分=有形力の行使という構造が否定されたことで、任意処分であっても有形力を行使しうる場合があるとされている(たとえば、職務質問中に突如逃げ出した相手の手をつかむ、など)。
もっとも、任意処分であっても自由になしうるわけではない。特に任意捜査の場合に問題となるが、判例によって、任意捜査であっても人権侵害を生じ又は生じるおそれがあるから必要性・緊急性等に照らし具体的状況の下で相当な限度でのみ行い得る、とされている(比例原則)。任意捜査の限界を超えた任意処分がなされた場合に、違法収集証拠排除法則の問題を生じるかについては争いがあるが、現在の判例は否定的である。
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