斎藤敦史

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さいとう あつし
斎藤 敦史
プロフィール
生年月日 (1986-01-29) 1986年1月29日(40歳)
出身地 日本の旗 日本・熊本県熊本市
職業
代表作

斎藤 敦史(さいとう あつし、1986年1月29日 - )は、日本の男性アニメーター、キャラクターデザイナー。

人物

来歴

生い立ちと学生時代

熊本県熊本市に3人兄弟の末っ子として生まれた[2]。幼少期はテニス部の活動やゲームセンター通い、兄弟との漫画の回し読みなどに時間を費やしており、自発的にアニメを視聴する習慣はなかった[1]。小学生の頃から兄たちが購入してきた漫画をジャンル問わず読んでおり、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』や『ブラック・ジャック』などを好んでいた[2]。深夜アニメなどの視聴経験はなかった一方でゲームを好み、雑誌の『ファミ通』を購入したり自宅で格闘ゲームを遊んだりしていた[2]。絵に関しては冬目景の作品やゲーム『ギガウイング2』のキャラクターデザインを好んでおり、うすた京介の短編漫画『エト』の模写やノートへの落書き程度の経験はあったものの、高校までは美術系の学校ではなくデッサンなどの専門的な訓練は受けていなかった[2]。また、幼稚園から小学校まではサッカー、中学校では軟式テニス、高校では硬式テニスに打ち込んでいた[2]。漫画への関心はその後も続き、少女漫画からBL漫画、レポ漫画まで幅広く読み、同人誌即売会の「コミティア」に参加することもある[2]。過去には漫画編集者から読切執筆の打診を受けたものの、多忙のため実現には至らなかった[2]。

高校卒業後は映像学科へ進学した。進学の動機は、ゲームセンターで触れたビデオゲームのCG制作やPV制作への関心によるものである[1][2]。3年次にアニメーションのコースに進んだのも明確な意図があったわけではなく、仲の良い同級生の選択についていった結果であった[1][2]。大学進学後は友人の勧めによりアニメ作品を視聴するようになり、同じ学科の友人から勧められた湯浅政明監督の『マインド・ゲーム』で初めてアニメーションへの強い関心を持つようになった[1]。自分で意識してアニメと向き合い始めたのは20歳前後だったと振り返っている[1]。大学のアニメーション教育は放任主義であり、3人チームで5分から10分程度の映像作品を制作した際には、セル画の重ね方や原画と動画の違いを知らないまま本番用の動画を描くような状態であった[2]。

京都アニメーション時代

大学卒業後の2008年に京都アニメーションに入社した[3][2]。入社の動機も友人の影響が大きく、友人が同社社長の講演会を聞いて高く評価していたのを聞いて受験を決めたものであり、当時は同社の作品をそれほど視聴していなかった[3][2]。入社試験の一次選考ではお題に沿った描画を行い、二次選考の面接ではポートフォリオの不足を補うために前日に急遽描いた動物の絵を持参した[2]。本人は自身の画力が出席者の中で劣っていたと感じており、真面目そうな印象から採用されたのではないかと分析している[2]。

入社後の研修段階では、線の引き方から段階的に課題をこなしていったが、ゴールデンウィーク前まで研修が続いており、出来のよい新人ではなかったと自己評価している[3]。原画担当となった当初は『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』で全カットリテイクが続くなど苦しい時期を過ごした[3]。その後、参加した『けいおん!』の第7話で、木上益治と荒谷朋恵が描いたレイアウト・ラフ原画を第二原画として清書する経験を通じて大きな手ごたえをつかみ、第13話では提出したレイアウトがほぼすべて通るまでに成長したと語っている[3]。

同社在籍時には木上益治をはじめとする多くのスタッフから影響を受けた[4]。『けいおん!』の原画担当時に作画監督を務めていた西屋太志とは退社後も交流が続き、のちに映画『聲の形』への参加につながった[4]。また、動画検査の中峰ちとせが、絵を見られることを恥ずかしがる人物に対して、これから全世界の人に見られるのだから恥ずかしがってはならないと声をかけていたことが印象に残っていると述べている[4]。さらに、役割が異なるだけで役職に上下はないという教えが心に残っており、動画は決して下の役職ではなくキャラクターデザイナーや作画監督と同列であるという考え方をはじめ、仕事に向き合うための意識を同社で学んだと振り返っている[4]。この経験から、自身は上の立場を意味する「先生」と呼ばれることを好まない[4]。2年あまり在籍した後に京都アニメーションを離れたが、その理由は外部、特に東京での仕事に挑戦したいという前向きな動機によるものであった[5][4]。

フリーランスとしての活動

京都アニメーション退社後、アニメ業界を舞台にした作品『SHIROBAKO』には視聴者として深くのめり込み、キャラクターを好きになった最初の経験であったと振り返っている[5]。業界をある程度リアルに描いているため職業的な共感も大きく、アニメーターが描くことに行き詰まる場面や、初めてキャラクターデザインを担当するエピソードなどは、自身の経験の前後で受け取り方が変わったと述べている[5]。この作品をきっかけに『花咲くいろは』『NEW GAME!』『ガールズ&パンツァー』『アイカツ!』など、それまで関心を持っていなかったタイプの作品にも興味を持つようになり、それがキャラクターデザインの仕事を始めるきっかけになったと語っている[5]。また、劇場版公開時には応援イラストの一環として矢野エリカとナベPのふたりを描き、作品に関わる機会を得たことをうれしく思ったとも述べている[5]。

その後、制作を続けるうちにキャラクターデザインの仕事も手がけるようになり、プロデューサーの永谷敬之との縁から生まれた『BLACKFOX』で初めてキャラクターデザインを担当した[5]。2020年には『ラブライブ!スーパースター!!』のキャラクターデザインを担当し、2022年と2024年にわたって全3期の放映が行われた[2]。さらに、『プリキュア』シリーズの第20作目『ひろがるスカイ!プリキュア』や、アニメ『小市民シリーズ』でもキャラクターデザインを担当した[2]。

今後の展望

作画に限らず、演出・監督業への意欲も示している[5]。OP・EDやPVの絵コンテ・演出のオファーを受けたこともあるが、アニメーターの仕事が途切れずに続いているために先延ばしになっており、いつかチャレンジできれば挑んでみたいと述べている[5]。

自身について、仕事への姿勢は真面目であるものの根本的には怠け者であり、気を抜くと仕事を引き受けすぎてしまうため自己マネジメント能力の向上やインプットのための新しい経験の必要性を感じている[6]。近年は多忙により趣味としての絵(自主制作アニメや平面構成的な絵)を描く機会が減っており、仕事の絵が固く製図のようになってしまう懸念から、より感情的で絵らしい絵を描きたいという思いも抱いている[6]。今後は、依頼があればアニメに限らず様々な分野の仕事に挑戦し、不測の事態も含めて楽しんでいきたいと語っている[6]。

作風・デザイン論

アニメーションへの関心の原点は、湯浅政明監督の『マインド・ゲーム』が持つ映像表現的特異性にある。平面的でありながら生々しい動きをするという湯浅監督の特徴に衝撃を受け、アニメを楽しむというより、自分もそのような動きや画面を作りたいという意欲を抱いたと述べている[1]。同様に大平晋也の作画についても、生々しいリアルさという共通点を持ちながら沖浦啓之とは出力の方向が異なると分析し、特に『イノセンス』における大平パートの動きの生々しさと沖浦の絵の整合性が混在した部分を高く評価している[1]。かつてはこのような実験的作画を志向していたため、周囲からは現在のキャラクター主体の作品での活動とは方向性が大きく異なると言われることもあるという[5][4]。かつてプロデューサーからもキャラクターデザインの方向ではないと評されていたため、自身が多くのデザインを手がけている現状を不思議に思うこともあると明かしている[4]。

キャラクターデザインや総作画監督の仕事においては、キャラクターの内面に入り込むことを重視しており、キャラ表に描かれた以上の想像力がなければ機械的な表情にしかならないと語っている[5]。また、手描き作画の意義として、3Dの進化を踏まえた上でも、愛情や没入感があってこそ生み出せる現実感やかわいさがあると考えており、少なくとも自分自身はキャラクターに入り込んだほうが描きやすいと述べている[5]。

原画の経験が長いことから、キャラクターデザインはできる限りアニメーターが描きやすいものにしたいと考えており、線を一本引くのにも理由を説明できる絵を目指している[4]。動きの邪魔になるものは極力排除したいという意向があるが、業界の人手不足などの事情から、発注段階で線を少なく動かしやすくしてほしいと求められることもある[4]。ただし、シンプルにしすぎると華やかさやパッと見のインパクトが弱まるため、そのバランスを取ることを心がけている[4]。例えば『ラブライブ!スーパースター!!』では、室田雄平による原案の絵柄を尊重しつつ、線を減らすというオーダーとのバランスを模索し、目や髪の情報量を維持しながら情報の抜き差しを行った[4]。

対象年齢によるデザインの描き分けも行っており、未就学児が主な視聴者である『ひろがるスカイ!プリキュア』では、目を大きくして視認性を高め、身体から露骨なセクシーさを排除した記号的な絵を志向した[4]。一方で『ラブライブ!』では、シリーズのファンがイメージするこだわりを汲み取るようにしている[4]。

一枚絵のイラスト制作には苦手意識があるものの、描く際には時間軸を意識し、描かれたキャラクターがそれまでにどのようなやりとりをしてきたのかという枠外の物語を想像できるような前後の時間を盛り込む工夫をしている[4]。

参加作品

テレビアニメ

2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年
2025年
2026年

劇場アニメ

2009年
2012年
2015年
2016年
2017年
2019年
2020年
2023年
2024年
2025年

OVA

Webアニメ

  • Eve「心予報」(2020年、キャラクターデザイン・作画監督・原画)
  • Liella!「始まりは君の空」(2021年、キャラクターデザイン・総作画監督・原画)
  • まじかるちいかわ×yama「マジカルシンドローム」スペシャルミュージックビデオ(2025年、原画)
  • 常闇トワ「シルべ」(原画)

著書

  • 斎藤敦史アニメーション&イラストワークス あめゆらげ(一迅社、2026年6月26日)ISBN 978-4-75-809863-2

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 宮 (2022a).
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 山内 (2024), p. 1.
  3. 1 2 3 4 5 宮 (2022b).
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 山内 (2024), p. 2.
  5. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 宮 (2022c).
  6. 1 2 3 山内 (2024), p. 3.
  7. ↑ 「いよいよ今週末から『ソードアート・オンライン』第1話場面公開」『アニメイトタイムズ』アニメイト、2012年7月5日。2026年6月10日閲覧。
  8. ↑ 「6月5日放送『ダンまち』第10話より先行場面カット&あらすじ到着」『アニメイトタイムズ』アニメイト、2015年6月5日。2026年6月10日閲覧。
  9. ↑ アニメージュプラス 編集部「『ラブライブ!スーパースター!!』Liella!登場のティザーPV公開!」『アニメージュプラス』徳間書店、2021年5月7日。2026年6月10日閲覧。
  10. ↑ 山内貴範「プリキュア20作目 新作のキャラデザは『ラブライブ!スーパースター!!』の斎藤敦史で ラブライバーが歓喜」『Real Soundブック』blueprint、2023年1月8日。2026年6月10日閲覧。
  11. ↑ コミックナタリー編集部「米澤穂信の小説・小市民シリーズがTVアニメ化!梅田修一朗&羊宮妃那が出演」『コミックナタリー』ナターシャ、2024年1月12日。2026年6月10日閲覧。
  12. ↑ 「劇場アニメ『BLACKFOX』公開初日舞台挨拶の開催が決定」『アニメイトタイムズ』アニメイト、2019年9月6日。2026年6月10日閲覧。

参考文献

外部リンク