東方典礼カトリック教会

ウィキペディアから、無料の百科事典
キリスト教 > 東方教会 > 東方典礼カトリック教会
キリスト教 > 西方教会 > カトリック教会 > 東方典礼カトリック教会
キリスト教教派の系統図。東方典礼カトリック教会が正教会から分かれてローマ・カトリック教会に帰属した系統が表されている。ただし東方典礼カトリック教会には東方諸教会からローマ教皇に帰属した教会も多い。

東方典礼カトリック教会(とうほうてんれいカトリックきょうかい、ギリシア語: Ανατολικές Καθολικές Εκκλησίες、ラテン語: Ecclesiae Catholicae Orientales、英語: Eastern Catholic Churches)は、正教会や東方諸教会で用いられる典礼を使いながら、ローマ教皇権を認めてカトリック教会の教義を受け入れ、ローマ・カトリック教会とフル・コミュニオン関係にあるキリスト教の諸教会の総称。ここで用いられるRitus(日本語に置き換えるなら典礼) は、単に典礼祭儀の伝統のみを意味するのではなく、典礼・神学・規範・霊性を内包する包括的な概念である。

名称

東方カトリック教会、帰一教会(きいつきょうかい)、ユニア教会、ユニエート教会、東方帰一教会、東方典礼、合同派などとも呼ばれる。

自権者 Sui iuris(独立教会)でありながらカトリックに帰属するに至ったという意味でユニエイト(英語: Uniate)という概念ができた。これは元々は自称であり、カトリック教会でも20世紀初めまでは使われた。しかし正教会で多く蔑称として使われた用語でもあり、現在ローマ教皇庁がこの用語を使うことはない。

用語

東方カトリック教会は教皇および世界中のカトリック教会の信徒と完全な交わりにあるが、[注釈 1][注釈 2] 彼らはラテン教会(ラテン典礼を用いる教会であり、その中でローマ典礼が最も広く普及している)の構成員ではない。[注釈 3] 東方カトリック教会は、それとは別に、「スイス・イウリス(sui iuris)」すなわち自律的な固有の教会として存在している。もっとも、ラテン教会の信徒たちとは、秘跡の分かち合いにおいて完全かつ対等な相互関係を保っている。

典礼

「典礼」(「典礼様式」、rite)という言葉には、いくつかの意味がある。特定の教会の典礼的遺産を指す用法とは別に、この言葉は、稀ではあるものの、特定の教会そのものを指すものとして公式に用いられることがある(現在もなお、そのような用法が存在する)。したがって、「ラテン典礼(Latin rite)」という用語は、ラテン教会(西方教会)そのものを指すこともあれば、ラテン教会に属する一つあるいは複数の典礼様式(ローマ典礼、アンブロジオ典礼、モサラベ典礼など)を指すこともある。[要出典]

1990年の東方教会法典(CCEO)では、[4][5] 「自治教会」(自律教会)および「典礼」(典礼様式)という用語は、次のように定義される。

歴史

近世以降、正教会などでウクライナやトランシルヴァニアを中心にローマ教皇の支配を認めて、元の教会から離れるものが出た。この帰属の変化は、宗教としての教義上・教団内部の政治上・外的要因として世俗政治上等、さまざまな理由によるが、東方典礼カトリック教会諸派のうち最大規模であるウクライナ東方典礼カトリック教会に代表されるように、ローマ・カトリックの信仰の強いポーランド・リトアニア共和国の政治的・文化的影響が非常に強い。そのために東方典礼カトリック教会諸派は正教会の信徒から「裏切り者」と敵視される傾向にあり、ロシアでは厳しい弾圧を受けた。

正教会からの帰一教会は多く正式名称をビザンチン=カトリック(旧称ギリシア=カトリック)という。対して正教会ではこれをユニエイトと呼ぶ。フィレンツェ公会議以後、正教会から分離したものであり、ロシア、ウクライナ等に分布するほか、近代以降北アメリカや西ヨーロッパにも移民によって広がっている。典礼は正教会同様、東方典礼を中心とし、ほぼ同じ聖人暦を持ち、司祭の妻帯を認めるなど、外形的にも正教会と共通の点を多く持つ一方、ローマ首位権の承認、フィリオクェ句の受容など、神学的にはローマ・カトリック教会と同一の立場にある。

正教会からみた帰一教会は、自教派から出た異端であり、ルーシ民族主義の感情も相まって現在も正教会の一部の教会では、ローマとの和解の条件に帰一教会の解消と正教会への復帰を挙げるものがある。日本ハリストス正教会においても「ユニエート」と呼称・表記することが多いが、蔑称として用いる意図はなく、自らの「普遍性 (Catholic)」を自認する事から「東方典礼カトリック」と呼ぶ事を避けるべき立場にある事情や、「ローマ・カトリック教会に『帰る』」という認識を西方教会と共有するかのような「帰一教会」という呼称を避けるべき立場にあるという事情などによる。

東方典礼カトリック教会の司教

西方のカトリック(ラテン典礼)の司教はローマ教皇に直属するが、東方典礼カトリック教会の司教は教皇に直属せず、アレクサンドリア(コプト典礼カトリック教会)、アンティオキア(シリア典礼カトリック教会、メルキト・ギリシャ典礼カトリック教会、マロン典礼カトリック教会)、バグダード(カルデア典礼カトリック教会)、ベイルート(アルメニア・カトリック教会)という六つのカトリック東方総大司教座の一つ、または東方大司教座の一つに属する。

ビザンチン(ギリシャ)典礼の教会はこれらの東方総大司教座ではなく、それぞれの大司教座に属するが、教皇直属の司教座も存在する。

これらの教会は、ラテン典礼のカトリック教会(ローマ・カトリック教会)とは異なる典礼様式を使用するが、聖体拝領は完全に共同で行われうる。

東方典礼カトリック教会の一覧

東カトリック特定教会の本部がある国(赤:ビザンツ式典礼、緑:アレクサンドリア式典礼、黄色:その他)

脚注

注釈

  1. ↑ "The Catholic Church is also called the Roman Church to emphasize that the centre of unity, which is essential for the Universal Church, is the Roman See"[1]
  2. ↑ Examples of the use of "Roman Catholic Church" by popes, even when not addressing members of non-Catholic churches, are the encyclicals Divini illius Magistri and Humani generis, and Pope John Paul II's address at the 26 June 1985 general audience, in which he treated "Roman Catholic Church" as synonymous with "Catholic Church".[2] The term "Roman Catholic Church" is repeatedly used to refer to the whole Church in communion with the see of Rome, including Eastern Catholics, in official documents concerning dialogue between the Church as a whole (not just the Western part) and groups outside her fold. Examples of such documents can be found at the links on the Vatican website under the heading Pontifical Council for Promoting Christian Unity. The Holy See presently does not use "Roman Catholic Church" to refer only to the Western or Latin Church. In the First Vatican Council's Dogmatic Constitution de fide catholica, the phrase the Holy, Catholic, Apostolic, and Roman Church (Sancta catholica apostolica Romana ecclesia) also refers to something other than the Latin or Western Church.
  3. ↑ Some Eastern Catholics who use the Byzantine liturgical rite and call themselves "Byzantine Catholics" deny that they are "Roman Catholics", using this word to mean either Catholics who use the Roman Rite or perhaps the whole Latin Church, including those parts that use the Ambrosian Rite or other non-Roman liturgical rites: "We're Byzantine rite, which is Catholic, but not Roman Catholic"[3]

出典

  1. ↑ この記事には現在パブリックドメインとなったO'Brien, Thomas J., ed. (1901). “An Advanced Catechism of Catholic Faith and Practice: Based Upon the Third Plenary Council Catechism, for Use in the Higher Grades of Catholic Schools”. An advanced catechism of Catholic faith and practice: based upon The Third Plenary Council Catechism. Akron, OH; Chicago, IL: D. H. McBride. n. 133. OCLC 669694820.からの記述が含まれています。
  2. ↑ Pope John Paul II (1985年6月26日). [catechesis] (Speech). General audience (イタリア語).
  3. ↑ “Ukrainian church pastor honored”.[リンク切れ]
  4. ↑ “Code of Canons of the Eastern Churches”. Intratext.com (2007年5月4日). 2011年4月27日閲覧。
  5. ↑ “Codex canonum Ecclesiarium orientalium”. Intratext.com (2007年5月4日). 2011年4月27日閲覧。

関連項目

外部リンク

General