水匠
水匠(すいしょう)は、コンピュータ将棋のプログラム。世界コンピュータ将棋選手権や電竜戦などで多くの優勝経験を持つ強豪ソフトの一つ。やねうら王の探索部を使用しているいわゆるやねうら王ライブラリ勢であり、評価関数と定跡が公開されている。
概要
開発者は弁護士の杉村達也。ハンドルネーム「たややん」としてVTuberとしても活動している。
水匠はプロ棋士の棋譜解析や研究支援ツールとしても利用されている。藤井聡太も水匠を使用していると名前を挙げたことがある[1]。渡辺明もAI研究のために高性能パソコンとともに水匠とディープラーニング系ソフトのdlshogiを導入したと述べている[2]。
名前の由来
将棋ソフトに「水匠」という名前をつけた理由として、まず漢字にしようと思ったのは、強くなったときに新聞に縦書きで載ることを考えたから。アルファベットとかカタカナだと縦書きで読みにくい。また短い方がいいと思ったため2文字にした。「水」を入れた理由は、当時強かったソフトに「大合神クジラちゃん」や「dolphin」みたいに水にちなんだ名前が多かったので「水」を使おうと考えた。「匠」という字を選んだ理由は、同じ弁護士でプログラマーでもある出村洋介という開発者が作った「技巧」という将棋ソフトにあやかったためで、「巧」を「匠」に変えて「水匠」という名前にしたとのこと[3]。
歴史
水匠は世界コンピュータ将棋選手権や電竜戦で多数の優勝を果たしている。世界コンピュータ将棋選手権では、2020年にコロナで代替開催されたオンライン大会で優勝した。電竜戦では、第3回(2022年)と第4回(2023年)に連続優勝を飾った。電竜戦のハードウェア統一戦でも、第1回(2022年 - 2023年)と第3回(2025年)で優勝している。電竜戦TSEC指定局面戦でも第2回(2021年)で優勝している。
水匠5までは無償で公開していたが、水匠6以降は非公開となり、最新版はやねうら王ニュースレターに支援すると配布される有償ソフトウェアとなっている。また、スマホアプリ『将棋ウォーズ』の運営元であるHEROZが提供する「棋神アナリティクス」でも使用できる。
水匠U
水匠U(すいしょううわて)は二枚落ちの上手を持つことに特化した評価関数。2017年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝したelmoを1手1秒に設定して1手60秒読ませると10回のうち3回勝ったという。elmoが駒落ち下手を前提にしていないことを考慮しても、2年前のトッププログラムに二枚落ちで勝つのは驚異的な成長スピードである。将棋倶楽部24に参戦し、レーティング2600〜2700くらいの実力を発揮した。二枚落ち以外の駒落ちでも基本的に強く、開発者曰く「六枚落ち:しっかり考えて指します。四枚落ち:稀にR2000超相手に勝つ実力。二枚落ち:前回R2525。飛香落ち・飛車落ち:勝てた方を話題にさせてください。角落ち:人類が勝てるのか試してください。香落ち:家庭用PCならソフト指しにも負けない実力です」とされている[4]。
脚注
- ↑ 赤旗名人戦千葉・市原大会. (2020年12月22日). “2020年12月22日時点のツイート”. Twitter. 2022年3月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。- 「人間は深く読まずとも判断ができる “AI超え”の手 なぜ指せた」『しんぶん赤旗日曜版』2021年12月27日・1月3日合併号。
- ↑ 松本博文 (2021年8月16日). “渡辺明名人、1秒間に8000万手読むコンピュータを購入しディープラーニング系のソフトも導入”. Yahoo!ニュース. Yahoo! JAPAN. 2025年3月13日閲覧。
- ↑ “世界一強い将棋ソフトのコストは?開発者は「国家プロジェクトにしてほしいな、と(笑)」”. Number Web. 文藝春秋 (2020年12月27日). 2025年3月13日閲覧。
- ↑ 松本博文 (2020年4月16日). “ヤバいぐらい強いコンピュータ将棋ソフトに大駒落ちで勝ち越せる人類は何人存在するか?”. Yahoo!ニュース. Yahoo! JAPAN. 2025年3月14日閲覧。
関連項目
外部リンク
- たややん⚖🔮将棋AI水匠 (@tayayan_ts) - X(旧Twitter)