硤合反応

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硤合反応(そあいはんのう、Soai reaction)は、ジイソプロピル亜鉛を用いたピリミジン-5-カルバアルデヒド[1][2]のアルキル化反応である。

概要

日本の化学者硤合憲三が1995年に本反応を発見し[3][4]、硤合は「キラリティーおよびホモキラリティーの起源の解明」に関する業績により、2010年に日本化学会賞を受賞し[5]、さらに2026年に「不斉有機合成における非線形効果および自己触媒作用の発見」により、アンリ・カガンともにノーベル化学賞を受賞した[6][7]。

この反応は自触媒的であり、急速に増大する量の生成物と同じエナンチオマーをもたらす。生成物のピリミジルアルカノールはキラルであり、さらなる触媒サイクルにおいて同じキラリティーを誘導する。低いエナンチオマー過剰率から反応を開始すると非常に高いエナンチオマー過剰率を持つ生成物が得られる[8]。

本反応はいくつかの生体分子の分類のホモキラリティー(単一の鏡像異性体のみが存在する性質)の起源を知る手掛かりとして研究されている。

その他のキラル添加剤を不斉誘導(英語版)の初期源として使うことができる。その最初の反応で生じた主生成物は急速に増幅される。例えば、硤合らのグループは、親核剤(ヌクレオフィル)と結合するための明確なルイス塩基性部位を持たないキラルな第四級炭化水素であっても、反応において不斉触媒作用を誘起できることを実証している[9]。

この不斉誘起は、アルカンのC–H結合とアルデヒドのπ電子との相互作用の結果として生じると考えられている[9]。

別の例として、硤合らは、14Nと15Nの同位体質量差(7%)のみに由来するキラル性を持つ[15N](2R,3S)-2,3-ビス(ジメチルアミノ)ブタンであっても、化学量論量の配位子として用いることで45% eeの光学純度が得られることを示した[10]。

出典

  1. ↑ “Pyrimidine-5-carboxaldehyde”. PubChem. 2026年10月8日閲覧。 PubChemではIUPAC名を pyrimidine-5-carbaldehyde としている。
  2. ↑ “ピリミジン-5-カルボアルデヒド”. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター. 2026年10月8日閲覧。 「ピリミジン-5-カルボアルデヒド」「ピリミジン-5-カルバルデヒド」などの表記も確認できる。
  3. ↑ “Asymmetric autocatalysis and amplification of enantiomeric excess of a chiral molecule”. Nature 378 (6559): 767–768. (1995). Bibcode:1995Natur.378..767S. doi:10.1038/378767a0.
  4. ↑ Shibata, Takanori; Morioka, Hiroshi; Hayase, Tadakatsu; Choji, Kaori; Soai, Kenso (1996). “Highly Enantioselective Catalytic Asymmetric Automultiplication of Chiral Pyrimidyl Alcohol”. Journal of the American Chemical Society 118: 471. doi:10.1021/ja953066g.
  5. ↑ “CSJ Award 2010: Prof. Kenso Soai”. The Chemical Society of Japan. 2015年4月14日閲覧。
  6. ↑ “ノーベル化学賞に東京理科大学の硤合憲三さんら2人”. 日テレNEWS NNN (2026年10月7日). 2026年10月7日閲覧。
  7. ↑ Nobel Prize in Chemistry 2026
  8. ↑ Flügel, Rolf M. (January 11, 2011). Chirality and Life: A Short Introduction to the Early Phases of Chemical Evolution. Springer. pp. 16–17. ISBN 9783642169779
  9. 1 2 Kawasaki, T.; Tanaka, H.; Tsutsumi, T.; Kasahara, T.; Sato, I.; Soai, K. (2006). “Chiral Discrimination of Cryptochiral Saturated Quaternary and Tertiary Hydrocarbons by Asymmetric Autocatalysis”. J. Am. Chem. Soc. 128 (18): 6032–6033. doi:10.1021/ja061429e. PMID 16669661.
  10. ↑ “Asymmetric Induction by a Nitrogen 14 N/15 N Isotopomer in Conjunction with Asymmetric Autocatalysis”. Angewandte Chemie 55 (49): 15246–15249. (December 2016). doi:10.1002/anie.201608955. PMC 5132014. PMID 27754589.

参考文献