乳首
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| 乳首 | |
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ヒトの女性の乳首 | |
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ヒトの男性の乳首 | |
| 英語 | Nipple |
| 器官 | 感覚器 |
乳首(ちくび、英: nipple, 独: Brustwarze, 仏: mamelon, 羅: papilla)は、哺乳類の胸部にある器官。乳頭(にゅうとう)ともいう。人の場合、1個の乳房に一つある、色素が沈着した突起物。周囲にある色素沈着した領域は乳輪(にゅうりん、英: areola, 独: Warzenhof, 仏: aréole, 羅: areola mammae)とよばれる[1]。
なお、資料によってはバストトップと称される場合もある[2]が、和製英語である。
概要
哺乳類の乳房に存在する乳汁の出口である。授乳時に子供が乳首を咥えて、吸うことで母乳を摂取する。乳首はオス・メスに分化する前の胎児の段階で作られてしまうため、オスにも存在するが多くはあまり大きくならずに終わる。女性ホルモンの影響が大きいと女性の様に発達する(女性化乳房症)。
乳腺の乳腺小葉で合成された乳汁は、乳管を通って乳頭まで運ばれる[3]。乳管は合流して主乳管(1個の乳房に15-20個)となり、乳頭に開口する[4]。乳汁は垂れ流しではなく、乳首や乳房を搾ったり、乳首を吸うことではじめて出てくる。ヒトの場合、乳児が乳首を吸引するとそれがトリガーとなって下垂体前葉よりプロラクチンというホルモンが分泌される。プロラクチンの血中濃度が高まると乳汁が合成される[5]。一方、家畜から乳汁を得る場合は乳首を搾って得る。
乳輪にはモントゴメリー腺(乳輪腺)が分布しており、皮脂を分泌する。これは乳輪および乳頭を保護する役割を持つ。

思春期前(女性は乳房のタナー段階I)は男女とも乳首は小さく、性差も無い。女性は思春期に入ると同時に乳房の成長が始まり(Thelarche)、最初に乳房のタナー段階IIの前半である乳頭期[6]として乳首が膨らみはじめ、白い体操シャツやTシャツ1枚のみ着用且つ胸と密着した時に[7] 乳首・乳輪付近に疼痛や痒みが生じたり(これが後述する黒ずみの一因にもなる)、「胸ポチ」が生じやすくなることで、思春期に入ったことに気づきやすく[8]、これを機にノーブラをやめてジュニアブラを着け始める[9]時期であり、ジュニアブラを着用する事で乳首・乳輪付近の疼痛や痒み、胸ポチを抑える[10][11]。乳頭径は乳房のタナー段階IIまでは3-4mmであるが、III以降では4-9mmとなる[12]。成人型乳房になった女性(乳房のタナー段階V)の乳頭径は平均10mm前後・乳頭高さ8-9mmであるが、人によっては乳頭径が20mm以上になる「巨大乳頭」となる場合があり、巨大乳頭になると授乳時に開口が小さい乳児が乳首を咥えて、吸うことが困難になる(乳児が成長して開口が大きくなると巨大乳頭でも乳首を咥えて、吸うことが可能となる)[13]。逆に、乳頭径・乳頭高さが平均を下回る「短小乳頭」でも「陥没乳頭」程ではないものの開口が小さい乳児が乳首を咥えて、吸うことが困難になる[14]。
色は乳房のタナー段階I(思春期前)は薄ピンク色であるが、これは血管が集中しているためである。IIからVにかけては個人差により薄ピンク色のままの人もいれば、ホルモンバランスの変化や乳首・乳輪に被服などが摩擦することなどでメラニン細胞が活性化してメラニンが生成され、黒ずむ人もいる。妊娠中から出産直後にかけてはホルモンが増加し、また授乳時の刺激から守るためにメラニン色素が増えて黒ずみが増す。高齢者はメラニンを生成する機能が衰えるために黒ずみが薄くなる。男性も思春期以降は黒ずむ。乳輪についても類似の現象が見られ、思春期前ではピンクだが妊婦・経産婦では褐色ないし黒褐色となる[15]。
性的な機能

多くの野生動物では、乳頭の感度は「授乳期における育児行動」の期間に主として機能し、発情期以外の日常的な性行動において重要視されることは少ない。これに対し、人間(ヒト)においては授乳期に関わらず、非生殖目的の性行動や前戯における重要な性感帯として機能する。これには人類の進化に伴う「直立二足歩行への移行による、胸部の視覚的・性標識(シグナル)化」や、「特定の繁殖期(発情期)の消失に伴う、パートナーとの永続的な絆を深めるための親密な社会的コミュニケーション(親和行動)への変化」が深く関係していると考えられている[16]。
女性11名を対象とした実験では、皮膚への刺激を脳のどの領域(体性感覚野)で感じるかをfMRIにより確認した結果、乳首への刺激により体幹領域だけでなく性器領域も同時に活性化することが判明した[17][18]。後にこれは男性でも同様であることが確認された[19]。
乳首の皮膚神経が刺激されると、平滑筋の作用によりその長さは伸びる(勃起)[20]。陰茎の勃起が性的興奮以外の条件(就寝中や体の放熱時など)でも頻繁に起こってしまうのと同様に、乳首のそれは性的興奮以外にも温度や触覚によっても起りうる。
神経解剖学および脳科学的メカニズム
乳頭およびその周辺(乳輪)は、接触や振動を鋭敏に感知する感覚受容器が高密度に集中しているため、物理的な刺激に対して極めて敏感である。
2011年にラトガーズ大学の研究チームが機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて行った女性の脳機能マッピング実験によると、乳頭を自己刺激した際に活性化する脳の体性感覚野領域は、クリトリスや膣、子宮頸部が刺激された際に活性化する「性器(Genital)」の領域と重複していることが実証された。この脳科学的発見により、乳頭への刺激が脳内で直接的な性的快感として処理されやすい仕組みが明らかになっている[21]。
また、乳頭への刺激は脳の下垂体後葉に伝達され、オキシトシンの大量分泌を促す。オキシトシンは精神的な充足感や他者への親密感をもたらすとともに、母性行動や社会性神経機能に関与する性質を持つ[22]。
生物学的・進化医学における意義
乳頭が刺激に対して敏感に反応するシステムは、多くの哺乳類に共通して備わっている生物学的な適応行動である。
哺乳類における育児と授乳
哺乳類において、子が乳頭を吸う刺激(吸啜刺激)は、母親の脳内でオキシトシンを分泌させる引き金(射乳反射)となる。これによって乳腺を囲む筋上皮細胞が収縮し母乳が押し出されると同時に、母親の脳内で子への愛着行動(母性行動)が促される。この仕組みは、母親が育児を継続するための生存戦略(適応行動)であるとされる[23]。
疾患
授乳期に乳首を清潔に保っておかないと乳管が詰まったり細菌が感染したりして乳腺炎になる。乳首に病変が広がるパジェット病という癌もある[24]。乳首が乳房内部に引き込まれたり、血性の分泌物を出したら、乳癌が疑われる[25] 。
脚注
- ↑ 『トートラ人体解剖生理学 原書9版』佐伯由香, 細谷安彦, 高橋研一, 桑木共之[編訳]、丸善、2014年1月31日、627頁。ISBN 978-4-621-08768-8。
- ↑ 石部千晶 (2019年3月22日). “皮膚科医が回答! 「バストトップ」をキレイなピンク色に近づける方法って?”. マイナビウーマン. 株式会社マイナビ. 2019年10月6日閲覧。
- ↑ 『最新版 女性の医学大全科』主婦の友社〈主婦の友新実用BOOKS〉、2010年2月22日、35頁。ISBN 978-4-07-264220-7。
- ↑ 落合慈之[監修]『婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック 第2版』学研メディカル秀潤社、2017年10月5日、340頁。ISBN 978-4-7809-1128-2。
- ↑ 乳房文化研究会 編『乳房の科学―女性のからだとこころの問題に向きあう―』朝倉書店、2017年、116頁。ISBN 978-4-254-10279-6。
- ↑ 鈴木光明(編著)『産婦人科診療指針』中外医学社、2008年6月10日、588頁。ISBN 978-4-498-06033-3。
- ↑ “恥ずかしがる娘もOK 「友ブラ」で思春期の胸をケア”. NIKKEY STYLE (2019年11月21日). 2020年5月3日閲覧。
- ↑ 「思春期早発症」とは 武田薬品工業
- ↑ 睡眠時を除く ナイトブラ(夜用ブラ)ってなに?
- ↑ “10歳。娘と「胸」について話し始めるタイミング”. 日経DUAL. 株式会社日経BP (2015年2月19日). 2019年10月6日閲覧。
- ↑ 北村邦夫(監修)『女の子の心とからだ』金の星社、18頁。ISBN 978-4-323-06482-6。
- ↑ 大山建司「<総説> 思春期の発現」『山梨大学看護学会誌』第3巻第1号、山梨大学看護学会、2004年、3-8頁、doi:10.34429/00003695、ISSN 1347-7714。
- ↑ “巨大乳頭のママの母乳育児、どうすればいいの?【助産師がアドバイス】”. ピジョンインフォ. PIGEON. 2023年6月16日閲覧。
- ↑ “短小乳頭ママの母乳育児、どうすればいいの?【助産師がアドバイス】”. ピジョンインフォ. PIGEON. 2023年6月17日閲覧。
- ↑ 『医科学大事典 36』講談社、1983年4月10日、89-92頁。ISBN 4-06-147836-2。
- ↑ デズモンド・モリス 著、日高敏隆 訳『裸のサル』角川書店、2000年。ISBN 978-4309250229。
- ↑ tenga (2021年8月31日). “なぜ乳首は感じるのか ~脳の活動(体性感覚野)編~” (jp). TENGAヘルスケア プロダクトサイト. 2026年4月18日閲覧。
- ↑ Komisaruk, B. R.; Wise, N.; Frangos, E.; Liu, W.; Allen, K.; Brody, S. (2011-10-01). “Women's Clitoris, Vagina, and Cervix Mapped on the Sensory Cortex: fMRI Evidence” (英語). The Journal of Sexual Medicine 8 (10): 2822–2830. doi:10.1111/j.1743-6109.2011.02388.x. ISSN 1743-6109. PMC 3186818. PMID 21797981.
- ↑ Allen, Kachina; Wise, Nan; Frangos, Eleni; Komisaruk, Barry (2020-04-01). “Male Urogenital System Mapped Onto the Sensory Cortex: Functional Magnetic Resonance Imaging Evidence” (英語). The Journal of Sexual Medicine 17 (4): 603–613. doi:10.1016/j.jsxm.2019.12.007. ISSN 1743-6109.
- ↑ “Rauber Kopsch Band2.714”. Rauber-Kopsch解剖学. 慶應義塾大学医学部解剖学教室. 2019年10月6日閲覧。
- ↑ Komisaruk, Barry R.; Wise, Nan; Frangos, Eleni; Liu, Corey; Allen, Kenesha; Brody, Stuart (2011-11). “Women's Clitoris, Vagina, and Cervix Map to Distinct Areas of the Sensory Cortex”. The Journal of Sexual Medicine 8 (11): 2822–2830. doi:10.1111/j.1743-6109.2011.02388.x. PMID 21726410 2026年11月6日閲覧。.
- ↑ 丸山崇、上田陽一 (2025年5月8日). “オキシトシン”. 脳科学辞典(日本神経科学学会). doi:10.14931/bsd.11041. 2026年11月6日閲覧。
- ↑ 厚生労働省 (2007年3月14日). “「授乳・離乳の支援ガイド」の策定について”. 厚生労働省. 2026年11月6日閲覧。
- ↑ 山内兄人『性差の人間科学』コロナ社、2008年9月25日、180-181頁。ISBN 978-4-339-07789-6。
- ↑ 太田和夫『体の取扱説明書』産経新聞出版、2007年9月11日、250頁。ISBN 978-4-86306-023-4。
関連項目
- ニプレス
- おしゃぶり
- プライベートゾーン
- ニップル (曖昧さ回避)
- 嘉門タツオ - 「哀愁の黒乳首」と言う黒色の乳首を持つ女性の悲哀を歌った歌を持つ。