あこがれの夏
| 「あこがれの夏」 | |
|---|---|
| ジョシュ・ギャッドの楽曲 | |
| 初出アルバム『アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック』 | |
| リリース | 2013年11月25日 |
| ジャンル | ショー・チューン |
| 時間 | 1分54秒 |
| レーベル | ウォルト・ディズニー・レコード |
| 作詞・作曲 | クリステン・アンダーソン=ロペス ロバート・ロペス |
「あこがれの夏」(あこがれのなつ、原題:In Summer)は、2013年公開のウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作による長編アニメーション映画『アナと雪の女王』の劇中歌。クリステン・アンダーソン=ロペスとロバート・ロペスが作詞・作曲し、原語版では雪だるまのオラフ役を演じたジョシュ・ギャッドが歌唱した[1]。
雪だるまでありながら夏に憧れるオラフの夢を描いたコミカルな楽曲であり、夏の暑さによって自分が溶けてしまうことを理解していないオラフの無邪気さが、歌詞と映像の対比によって表現されている。
本作は、2013年11月25日に発売されたサウンドトラック『アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック』に収録された。日本語吹替版では当初ピエール瀧が歌唱し、2019年以降に発売された音楽商品では後任の武内駿輔による音源が使用されている[2]。
概要
「あこがれの夏」は、映画『アナと雪の女王』の中盤で使用される、オラフによるソロ楽曲である。
オラフは、エルサの魔法によって生み出された雪だるまでありながら、暖かい夏に憧れている。
楽曲では、太陽の光を浴びたり、海辺でくつろいだりするなど、夏に経験したいことを想像するオラフの姿が描かれる。
しかし、オラフは気温が上昇すると雪だるまが溶けるということを理解しておらず、夏に対する無邪気な期待と、その結果を予想できる観客との認識の違いによって笑いが生まれる。
作詞・作曲を担当したロペス夫妻は、オラフの無知が単なる欠点ではなく、幼さや楽観性に由来するものであることを説明している[1]。
制作
制作背景
映画『アナと雪の女王』の歌曲は、クリステン・アンダーソン=ロペスとロバート・ロペスの夫妻が制作した。
ロペス夫妻は、オラフのための楽曲を検討する中で、当初「Hot Hot Ice」という別の歌曲を制作していた。
しかし、この楽曲は映画の登場人物や場面に適さないと判断され、最終的に採用されなかった。
その後、オラフが夏を夢見るという構想を中心に「In Summer」が制作された。
楽曲の制作では、雪だるまが夏を楽しむという矛盾した状況を利用し、登場人物の無邪気な性格を表現することが重視された。
ジョシュ・ギャッドの起用
原語版では、オラフの声を担当したジョシュ・ギャッドが歌唱した。
ロバート・ロペスは、ブロードウェイ・ミュージカル『ブック・オブ・モルモン』でギャッドと仕事をしており、彼の歌声やコメディー表現をよく知っていた。
このため、ロペス夫妻はギャッドの独特な声質や表現力を考慮して本作を制作した。
ロペスは2013年のインタビューで、ギャッドが優れたコメディー俳優であるとともに、独特な音楽的表現力を持つことを評価している[3]。
歌詞と楽曲の構成
本作は、明るく軽快な曲調を特徴とするミュージカルナンバーである。
歌詞では、オラフが夏の暑さや太陽の光に憧れ、それらを経験することで楽しい時間を過ごせると想像している。
一方で、雪だるまにとって暑さは溶ける原因となるため、オラフの希望と現実との間に大きな隔たりがある。
楽曲には、オラフが自分の未来を想像する場面と、その夢を滑稽に見せる映像表現が組み合わされている。
ロペス夫妻はNPRのインタビューで、オラフが溶けて水たまりになることを示唆する場面について、観客がオラフ自身よりも先にその意味に気づくように構成したことを説明している。
また、アニメーション制作の過程で、該当場面の間が当初の想定よりも長く取られたことにも言及している[1]。
映画での使用
本作は、アナとクリストフが、エルサを捜す途中でオラフと出会った後の場面で使用される。
オラフは、夏がどのような季節なのかを実際には知らないものの、太陽の光や暖かな気候に強い憧れを抱いている。
アナたちに夏への思いを語るオラフは、歌い始めると、花が咲く野原や砂浜、日差しの降り注ぐ場所などにいる自分の姿を想像する。
空想の場面では、オラフが海辺で日光浴をしたり、冷たい飲み物を楽しんだりするなど、夏のさまざまな楽しみを経験する姿が描かれる。
しかし、そのような場所では雪だるまが溶けてしまうことを、オラフ自身は理解していない。
楽曲の終了後、クリストフはオラフに夏の現実を教えようとするが、アナがそれを制止する。
この場面によって、オラフの楽観的で純粋な性格が強調されるとともに、アナやクリストフとの関係も描かれている。
日本語版
ピエール瀧による歌唱
日本語吹替版では、当初オラフ役を担当したピエール瀧が「あこがれの夏」を歌唱した。
日本語版の訳詞は高橋知伽江が担当した。
2014年に日本で公開された映画では、ピエール瀧による歌唱が使用され、日本語版サウンドトラックにも収録された。
日本語版でも、原語版と同様に、オラフが夏に憧れる様子と、雪だるまにとっての夏の危険を理解していないことによるユーモアが表現されている。
武内駿輔による再録音
2019年3月、ピエール瀧が逮捕されたことに伴い、日本語版のオラフ役の声優が変更された。
後任には武内駿輔が起用され、「あこがれの夏」も新たに録音された。
2019年7月29日に発売された『アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック -デラックス・エディション-』には、武内駿輔による日本語版が収録された[2]。
また、2024年に発売されたシリーズのベストアルバム『アナと雪の女王 ザ・ベスト』でも、武内駿輔による歌唱が収録されている[4]。
評価
本作は、オラフの人物像を表現するコミカルな楽曲として、映画評論家や音楽評論家から評価された。
『Variety』のスコット・ファウンダスは、映画評において本作を特に独創的なミュージカルナンバーとして取り上げた。
ファウンダスは、オラフが夏の風景を想像する場面について、クリス・バックとジェニファー・リーによるユーモラスな映像演出と、ロペス夫妻による遊び心のある歌詞を評価した[5]。
『Time』のリチャード・コーリスは、登場人物の性格、歌唱、映像演出が効果的に組み合わされている点を評価し、映画の中でも印象的なコミカルな楽曲として取り上げた。
『National Catholic Register』のスティーヴン・D・グレイダナスも、映画の中でも特にユーモアに富んだ場面として本作を評価した。
一方、本作については、物語の進行を直接的に担う楽曲というよりも、オラフの性格を紹介し、映画にコミカルな要素を加える楽曲であるとの見方も示されている。
チャート成績
ジョシュ・ギャッドによる原語版「In Summer」は、2014年に英国の全英シングルチャートで最高84位を記録した。
英国のOfficial Charts Companyによると、同チャートには通算5週間ランクインしている[6]。
また、米国ではBillboard Hot 100の下位に位置するBubbling Under Hot 100などのチャートに登場した。
| 国・地域 | チャート | 最高順位 |
|---|---|---|
| イギリス | 全英シングルチャート | 84[6] |
舞台ミュージカルでの使用
本作は、2018年にブロードウェイで開幕した舞台ミュージカル『アナと雪の女王』でも使用された。
ブロードウェイのオリジナル公演では、グレッグ・ヒルドレスがオラフ役を演じた[7]。
舞台版でも、オラフが夏に対する憧れを歌う場面に使用され、映画版と同様に、オラフの無邪気さを表現する役割を担っている。
映画版ではコンピューターアニメーションによってオラフの空想が表現されているのに対し、舞台版では舞台美術や演出によって場面が表現される。
日本では、2021年6月24日に開幕した劇団四季のミュージカル『アナと雪の女王』でも本作が使用されている。
同公演では、オラフはパペットを用いて表現され、俳優の歌唱と人形の動きを組み合わせた演出が採用されている。
劇団四季の公式サイトでは、オラフは夏に憧れ、ハグを好む雪だるまとして紹介されている[8]。
脚注
- 1 2 3 “Songwriters Behind 'Frozen' Let Go Of The Princess Mythology” (英語). North Country Public Radio. NPR. 2026年10月19日閲覧。
- 1 2 “アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック -デラックス・エディション-”. ユニバーサル ミュージック ジャパン. 2026年10月19日閲覧。
- ↑ “Frozen composers Robert Lopez and Kristen Anderson-Lopez” (英語). Awards Daily (2013年11月27日). 2026年10月19日閲覧。
- ↑ “2024年は『アナと雪の女王』日本劇場公開から10周年のアニバーサリー・イヤー!”. ユニバーサル ミュージック ジャパン (2024年6月14日). 2026年10月19日閲覧。
- ↑ Scott Foundas (2013年11月3日). “Film Review: 'Frozen'” (英語). Variety. 2026年10月19日閲覧。
- 1 2 “Search results for In Summer - Josh Gad” (英語). Official Charts Company. 2026年10月19日閲覧。
- ↑ “Frozen (Broadway, St. James Theatre, 2018)” (英語). Playbill. 2026年10月19日閲覧。
- ↑ “登場人物 Character|『アナと雪の女王』作品紹介”. 劇団四季. 2026年10月19日閲覧。