アメリカ合衆国の文化

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アメリカ合衆国の文化(アメリカがっしゅうこくのぶんか、英語: Culture of the United States)とは、アメリカ社会やアメリカ人における価値観、およびその価値観に付属する制度・法律・生活習慣を一括する用語である。

具体的には、アメリカ国内における思想や言論、宗教、科学技術、理論知識、食文化、祭り、文学、音楽、娯楽、視覚芸術、舞台芸術、社会現象などの総称を指す。また、米国文化は多面的であるため、大きく大衆文化(ポップカルチャー)と高雅文化(ハイカルチャー)に分類されるほか、多様なサブカルチャーとしても捉えられることがある。

日本語ではアメリカ文化や、米国文化、アメリカン・カルチャーなどにも訳されている。

特徴

アメリカという国の「擬人化キャラ」
米国の民主主義を象徴するキャラクター「コロンビア女神」。1917年に創作され、「コロンビア映画」などの映画界、エンターテインメント界で定番として登場。
米国の愛国心を象徴するキャラクター「サムおじさん」。1916年の徴兵ポスター「君を必要だ」が非常に有名で、小説・漫画・短編動画では頻繁に登場。

価値観

ブリタニカ百科事典に拠れば[1]、米国最初の文化はアメリカ先住民が創ったネイティブ・アメリカン文化であったが、現代の米国文化の基盤は西洋にあり、ヨーロッパ人の植民地支配の歴史から由来していた[2][3][4]。そのため、米国は今でも民主国家・西洋諸国・資本主義国たちの一員であり、もしくは欧米圏の筆頭格とされている。

一方、歴史の中で奴隷として扱われた多くのアメリカ黒人や先住民たちは、白人コンミュニティと堂々と対峙し、特権階級の影響力を弱める社会運動を通じて、1980年代には法的・社会的に完全な平等を獲得した[5][6][7][8]。過去の不平等な過ちを繰り返さないために、現代のアメリカでは『ポリコレ』を徹底し、国民全員を平等に合衆国という家族の一員として扱うことを重視している。また、特定の文化団体や政治集団による権力層の独占も厳しく制限している[9][10][11]。

このように、米国人はアメリカという国家そのものが、単なる享楽主義や消費主義にとどまらず、哲学的・倫理的な側面も備えていると考えている。

多民族と多様性

アメリカ文化のもっとも顕著的な特徴は、全世界の文化が1つの国の中に共存・共栄していることである。アメリカ社会自体はまるで「小さな地球のようなもの」とされている[29][30][31][32]。

  • 国内の歴史・地理・人種の構成に基づき、外国からの移民・世界経済の情勢・流行の趨勢の影響を受けつつ、米国特有の文化へ形成している。1776年の米国建国から現代にかけて各国の移民に大きな影響を受け続け、「どの国」からの移民が多いほど、米国文化は「あの国」の文化に近づけるという現象がある。
  • 地球上のほかの国々とは大きく異なり、アメリカ文化は古来一貫したものでは無く、恒に時代の進歩と共に変化してゆく。かつて「普通」とされていた文化が現代の米国では「差別」と見なされたり、今は「低俗だ」と思われている文化が将来には「センス良いモノ」として流行したりすることがよくある。

米国社会では「自由」「民主制」「多様性」といったキーワードが日常生活やメディアを通じて繰り返し登場し、米国人は知らず知らずのうちにそれらの価値観を自然に受け入れていた。一方、かれらもまた自由・民主制・多様性をアメリカの精神的核心として、映画やゲーム、漫画、ドラマ、小説などの米国産の文化商品に反映させ、外国人に対しても強調し続けている。

たとえば、米国はかつて「文化のるつぼ(Melting Pot)[33][34]」と広く呼ばれていたが、1960年代から文化多様性の高まりにつれて、米国人は自分たちの社会を「サラダボウル(Salad Bowl)[35][36][37][38]」という言葉で形容するようになった。これは各人種や移民が「サラダの中の野菜」のように、それぞれの見た目を保ちつつ、ただ米国の法律というドレッシングにかけられて、同じ味に統一していたことを意味する[39]。また、これらの多くの民族をコミュニケーションを取りやすいのために、アメリカ英語を共通語として使っている[40][41]。

なお、アメリカ文化は人間にとって親しみやすく、一度もアメリカに住んだことが無い人でも、アメリカ文化の中に自分と同じ価値観を大量にみつけることが出来る[42][43][44]。外国人はアメリカ人や米国製のモノをよく観察していると、その考え方を自然に理解し、中の「善・愛・慈悲」といった価値観を深く感じ取ることができる[45][46][47][48][49]。一方、アメリカ国内の50州では、人種・民族・宗教・性別・教育・思想・経済的地位などの交叉により、何百種類の価値観が生み出され、米国人はわざわざ海外へ行かなくても、国内でさまざまな価値観をもつ外国人と直接的に接触することが出来る。

最後、アメリカの流行文化や娯楽文化の浸透力はすさまじく[50][51]、人間としての感動と共鳴も引き呼びやすい[52][53]。このため、1970年代以降、米国は世界から「文化の超大国」と称されるようになっている[54][55]。

地域ごとに文化が変わる

アメリカ合衆国には、地域ごとに文化的な特徴に差があり、これらの地域はニューイングランド、ミッドアトランティック、南部、中西部、南西部、西部に分類される。この西部はさらに太平洋諸州と山岳州に分けられる[要出典]。また、ニューヨーク市プライド・マーチは世界最大のLGBTイベントであり、アメリカ国内では地域によって寛容度に違いが見られる。

文化地理学者コリン・ウッドワードによれば、アメリカ合衆国にはその入植の歴史に基づく11の文化的地域が存在している。東部では、北から南へと、ニューイングランドのピューリタン地区(「ヤンキー・ドム」)が広がり、この地域は五大湖の北部からミシシッピ川やミズーリ川上流まで続いている。ニューヨーク都市圏にはニューオランダ地域があり、ペンシルベニアから五大湖の南部、さらにミシシッピ川を越えた上ミッドウエストに広がるミッドランド地域も存在した。また、ウェストバージニアから下ミッドウエスト、上南部を経てアーカンソー州南部やオクラホマ州南部に至るグレーター・アパラチア、カロライナ州からフロリダ、そしてテキサスにかけて広がるディープ・サウスもある。西部では、スペインによって最初に入植された南西部の「エル・ノルテ」地域、19世紀にヤンキーやアパラチア出身者によって急速に開拓された「レフト・コース」、そして広大だが人口の少ない内陸西部が広がっている[56][57]。

アメリカ合衆国本土の西海岸(カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州)は、しばしば「レフト・コース」と呼ばれる。これは、この地域が左派的な政治的傾向を持ち、社会的リベラリズムに傾いていることを示している[要出典]。

南部は、社会的に保守的な福音主義プロテスタントがこの地域の文化に深く根ざしているため、「バイブル・ベルト」と呼ばれることがありまする。この地域では、すべての宗派を通じてキリスト教の教会出席率が全国平均よりも高い傾向がある。南部は、一般的に、北東部のメインライン・プロテスタントおよびカトリック、宗教的に多様な中西部および五大湖地域、ユタ州とアイダホ州南部のモルモン回廊、そして比較的世俗的な西部と対比される。無宗教者の割合は、バイブル・ベルトの州であるアラバマ州が6%であるのに対し、最も高いのは北東部およびニューイングランド州のバーモント州で34%である[58]。

アメリカ合衆国では、強い文化的な違いが長い歴史を持ち、南部の奴隷制社会(南北戦争前)の時代がその典型的な例である。北部と南部の間での社会的および経済的緊張は非常に激しく、最終的には南部が独立国として自己宣言し、アメリカ連合国を形成した。これがアメリカ南北戦争の発端となった[59]。

言語における文化

アメリカ合衆国には連邦レベルで公用語の定めはないが、28の州で英語を公用語とする法律が制定されており、事実上の国語とみなされている。2000年の国勢調査によると、アメリカ人の97%以上が英語を流暢に話し、81%の家庭では英語のみが使用されている。アメリカ英語には多くの地域方言があり、イギリス英語やその他の英語とは異なる独自の特徴を持つ。北部、中部、南部、西部の4つの主要な方言圏があり、ニューヨーク市、フィラデルフィア、ボストンなどの大都市には、それぞれ特有の方言が存在する。また、地域色の薄い標準的な発音として「ジェネラル・アメリカン(General American)」があるとされ、イギリス英語における「容認発音(Received Pronunciation)」に相当するものと考えられることもある。一般的には、中西部の発音と関連付けられることが多い。

さらに、アメリカ手話(ASL)は、主に聴覚障害者の間で使用され、アメリカ合衆国で独自に発展した言語である[要出典]。アメリカ合衆国では、英語以外に全土で300以上の言語が話され、ニューヨーク市では最大800の言語が使われている。そのうち約150の言語は先住民の言語で、その他は移民がもたらしたものである。アメリカに移住する人々の多くにとって英語は母語ではないが、英語が広く使われる国からの移民の多くは、英語をすでに話すことができる出来る。これには、英語を第一言語とするカナダ、ジャマイカ、イギリス出身者だけでなく、英語を公用語とするインド、ナイジェリア、フィリピンなどからの移民も含まれる[60]。

2000年の国勢調査によると、アメリカ合衆国には約3,000万人のスペイン語の母語話者がいた。スペイン語はプエルトリコ自治連邦区の公用語であり、主にこの地域で話されているほか、ニューメキシコ州でも公的な地位を持つ。さらに、国内各地にスペイン語を話すコミュニティが点在している[60]。英語とスペイン語の両方を話せる人々は、相手や状況に応じて二つの言語を使い分けることがあり、この現象は「スパングリッシュ(Spanglish)」として知られている[要出典]。

アメリカ合衆国の先住民言語には、ナバホ語、ユピック語、ダコタ語、アパッチ語などがあり、国内の多くのインディアン居留地やポウワウ(先住民の文化的な祭典)で話されている。また、ハワイ州ではハワイ語が公用語となっており、グアム準州および北マリアナ諸島準州ではチャモロ語、北マリアナ諸島準州ではカロリン語、アメリカ領サモアではサモア語が公用語に指定されている。

2017年の米国家庭内で使用される言語[61]
言語 総人口の割合
アメリカ英語 78.2%
スペイン語 13.4%
中国語 1.1%
その他 7.3%

アメリカ料理

『1621年の最初の感謝祭』(1899年作)この作品は、アメリカ白人がアメリカ先住民の善意に感謝する様子を描き、人種の平等という理念を提唱している。

アメリカの料理は、国の広大な土地、約3億3,000万人の大規模な人口、そして多くの先住民や移民の影響による多様性が特徴である。主流のアメリカ料理は他の西洋諸国の料理に似ているが、小麦やトウモロコシが主要な穀物として使われている[要出典]。伝統的なアメリカ料理には、七面鳥、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ(マイズ)、カボチャ、メープルシロップといった食材が含まれ、これらはアメリカ先住民、初期のヨーロッパ移民、アフリカ系奴隷やその子孫によって取り入れられたものである[要出典]。

米国を象徴する料理として、アップルパイ、ドーナツ、フライドチキン、ハンバーガー、ホットドッグなどがある[62][63]。これらは多くが移民のレシピや国内での革新から生まれた。また、フライドポテト、ブリトーやタコスといったメキシコ料理、イタリア由来のパスタやピザの料理なども自由にアメリカ流にアレンジされ、広く親しまれている[64]。

米国家庭で提供される料理の種類は地域や家族の文化的背景によって大きく異なる。最近移住してきた人々は出身国の食文化に近い料理を食べる傾向があるが、これらの料理がアメリカ風にアレンジされた形、たとえばアメリカ風中華料理やアメリカ風イタリア料理として広がることもある。また、大都市では、ベトナム料理、韓国料理、タイ料理といった本格的な各国料理が簡単に手に入る。

ドイツ料理はアメリカ料理、とりわけ中西部料理に大きな影響を与えており、ジャガイモ、ヌードル、ロースト、シチュー、ケーキやペイストリーなどが両国料理の代表的な要素である[65]。ハンバーガー、ポットロースト、ベイクドハム、ホットドッグといった料理は、ドイツ料理に由来するアメリカの代表的な料理の例である[66][67]。

アメリカ合衆国の各地域にはそれぞれ独自の料理や調理スタイルがある。たとえば、ルイジアナ州やミシシッピ州はケイジャン料理やクレオール料理で知られている。これらの料理はフランス料理、アカディア料理、ハイチ料理の影響を受けているが、それ自体が独創的でユニークなものである。代表的な例には、クローウフィッシュ・エトフェ、レッドビーンズ・アンド・ライス、シーフードまたはチキンのガンボ、ジャンバラヤ、ブーディンがある。

また、イタリア、ドイツ、ハンガリー、中国の影響や、伝統的なネイティブ・アメリカン、カリブ海、メキシコ、ギリシャの料理も、一般的なアメリカ料理に広がっている。たとえば、アメリカ中部の中流家庭では、1週間の夕食としてレストランのピザや手作りピザ、エンチラーダ・コン・カルネ(肉入りエンチラーダ)、チキン・パプリカッシュ、ビーフストロガノフ、ザワークラウト付きブラートヴルストなどを楽しむことが珍しくない[要出典]。

ソウルフードは、南部のアフリカ系奴隷やその自由になった子孫たちによって発展し、白人南部人が食べる料理とほぼ同じものが多いが、特にアメリカ南部や他の地域に住む多くのアフリカ系アメリカ人の間で人気がある。また、ルイジアナ・クレオール料理、ケイジャン料理、ペンシルベニア・ダッチ料理、テックスメックス料理のような融合料理も、地域的に重要な存在である。

アメリカ人は一般的に紅茶よりもコーヒーを好み、成人の半数以上が毎日1杯以上のコーヒーを飲んでいる[68]。オレンジジュースや牛乳(現在は低脂肪のものが一般的)は、朝食時に欠かせない飲み物として普及しているが、これはアメリカの食品産業のマーケティングによる影響が大きいである。

1980年代から1990年代にかけて、アメリカ人のカロリー摂取量は24%増加した。また、ファストフード店での頻繁な食事が、保健当局が「肥満の流行」と呼ぶ現象に関連付けられている[69]。さらに、砂糖を多く含むソフトドリンクも人気があり、これらの飲料が平均的なアメリカ人の1日のカロリー摂取量の9%を占めている[70]。

アメリカのファストフード業界は、世界で最初に誕生し、いまも最大規模を誇る産業であり、アメリカのマーケティングの優勢を象徴する存在と見なされている。マクドナルド[71]、バーガーキング、ピザハット、ケンタッキーフライドチキン、ドミノ・ピザ、ウェンディーズなどの企業は、世界中に数多くの店舗を展開している[72]。また、これらの企業は1940年代にドライブスルー形式を導入し、この革新的なサービスを先駆けて広めた[73]。

脚注

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  3. ↑ “Native American Traditions” (英語) 2024年8月13日閲覧。
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参考文献

関連項目

外部リンク