ウミネコ
ウミネコ
ウミネコ(夏羽) Larus crassirostris
保全状況評価[a 1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 鳥綱 Aves
目 : チドリ目 Charadriiformes
亜目 : カモメ亜目 Lari
科 : カモメ科 Laridae
属 : カモメ属 Larus
種 : ウミネコ L. crassirostris
学名
Larus crassirostris Vieillot, 1818
和名
ウミネコ
英名
Black-tailed gull

ウミネコ(海猫[1]、Larus crassirostris)は、チドリ目カモメ科カモメ属に分類される鳥類。

分布

ロシア南東部、中国大陸東部、台湾、日本、朝鮮半島[a 1]

冬季になると中華人民共和国東部などへ南下して越冬するか、ロシア南東部や朝鮮半島では周年生息する[2][3][4][5][6][7]。日本では周年生息(留鳥)する[7][8]が、冬季になると北海道や本州北部で繁殖する個体群は南下する個体が多い[3]。

形態

全長44-48センチメートル[5]。翼開張120-128センチメートル[2][4][7]。体重0.5-0.6キログラム[5]。頭部や体下面の羽衣は白、体上面の羽衣は黒灰色[4][7]。尾羽も白いが内側尾羽10枚の先端付近が黒く[3][4][5][7]、英名(black-tailed=黒い尾をした)の由来になっている[1]。翼上面は黒灰色[7]。初列風切先端は黒く、先端に白い斑紋が入る個体もいる[6][7]。

嘴は太く頑丈[1]。種小名crassirostrisは「太い嘴の」の意[1]。嘴の色彩は黄色で、先端が赤くその内側に黒い斑紋が入る[3][4][5]。後肢の色彩は黄色[4][5][7]。

幼鳥は全身が黒褐色の羽毛で被われ、肩を被う羽毛や翼上面の外縁(羽縁)が淡褐色[7]。虹彩は黒い[4]。嘴や後肢の色彩はピンク色を帯びた淡褐色で、嘴の先端は黒い[7]。

夏季は後頭が白(夏羽)、冬季は後頭に灰褐色の斑紋が入る(冬羽)[2][4][7]。

生態

沿岸部や河口、干潟などに生息する[6][7]。近年、東北地方の内陸部での記録も増えている。減農薬の水田が増えたからと考えられている[9]。和名は鳴き声がネコに似ていることが由来とされる[1][3]。

食性は雑食性で、魚類、両生類、甲殻類、昆虫、動物の死骸などを食べる[2][5][8]。他の鳥類が捕らえた獲物を奪う事もある[8]。

繁殖形態は卵生。集団繁殖地(コロニー)を形成する[5]。沿岸部の岩礁や草原などに木の枝や枯草、海藻などを組み合わせた皿状の巣を作り、日本では4-5月に1回に2-3個の卵を産む[2][3][5]。2011年6月、東京都台東区上野のビルの屋上で、20から30つがいが営巣しているのが確認され、複数の幼鳥も確認された[9]。他の鳥類(カイツブリやカルガモ(卵や雛を含む。)、コアジサシ、スズメなど)を捕食する可能性が懸念されている[9]。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は24-25日[5]。雛は孵化してから約40日で巣立つ[2][5]。生後3年で性成熟すると考えられ[5]、生後3-4年で成鳥羽に生え換わる[7]。

人間との関係

八戸市の蕪島。白いものは全てウミネコ。

日本では、1922年に青森県八戸市の蕪島と島根県出雲市の経島がそれぞれ「蕪島ウミネコ繁殖地」「経島ウミネコ繁殖地」、1933年に岩手県陸前高田市の椿島が「椿島ウミネコ繁殖地」、1934年に宮城県女川町の江島が「陸前江ノ島のウミネコおよびウトウ繁殖地」、1938年に山形県酒田市の飛島が「飛島ウミネコ繁殖地」として、それぞれ国の天然記念物に指定されている[2][5]。上記の陸前高田市や女川町がある三陸海岸がウミネコの繁殖地として知られている。

日本の東京都区部では、台東区や中央区、墨田区、江東区など東京湾から離れた地域を含めてビル屋上などで営巣や目撃例が増えている。屋上緑化などの影響が考えられ、都心ウミネコ研究会の観察によると、隅田川で魚類を捕食し、3~8月の繁殖期は東京都心にいて秋~冬は離れる。鳴き声や糞害への苦情もあり、東京都庁は鳥獣保護管理法に基づく鳥獣保護管理事業計画を改定して、2022年4月から繁殖期なら、都の許可があれば卵・雛を捕獲できるようにした[10]。

日本鳥類保護連盟の神崎高歩によると、ウミネコは小魚などを巣に運ぶときに、飛翔中に吐き出してしまうことがあるという。小魚などが路上などに散乱している光景は海沿いに居住する人々にとってはごく普通の光景であるが、このような光景を初めて見る人にとっては非常に不思議なことであり、しばしば騒動になって新聞などで報道されることがある[11]。

画像

脚注

    参考文献・記事

    [脚注の使い方]
    1. 1 2 3 4 5 安部直哉『山溪名前図鑑 野鳥の名前』(山と溪谷社、2008年)64-65頁
    2. 1 2 3 4 5 6 7 加藤陸奥雄、沼田眞、渡辺景隆、畑正憲監修『日本の天然記念物』(講談社、1995年)784-789頁
    3. 1 2 3 4 5 6 環境庁 『日本産鳥類の繁殖分布』大蔵省印刷局、1981年
    4. 1 2 3 4 5 6 7 8 桐原政志『日本の鳥550 水辺の鳥』(文一総合出版、2000年)282-283頁
    5. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編『動物大百科8 鳥類II』(平凡社、1986年)157頁
    6. 1 2 3 高野伸二『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』(日本野鳥の会、2007年)86-87頁
    7. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 真木広造、大西敏一『日本の野鳥590』(平凡社、2000年)305頁
    8. 1 2 3 『小学館の図鑑NEO 鳥』(小学館、2002年)65頁
    9. 1 2 3 『朝日新聞』2011年7月21日37頁(大阪本社版13版)
    10. ↑ 都心ビル、仰げばウミネコ 屋上緑地「営巣を防ぐ対策を」鳴き声やふん害、苦情も 朝日新聞デジタル(2022年5月21日)2022年5月24日閲覧
    11. ↑ 今泉有美子「“空からオタマジャクシ”鳥が吐いた?」『産経新聞』朝刊2009年6月28日14版総合3面

    関連項目

    外部リンク

    1. 1 2 The IUCN Red List of Threatened Species
      • BirdLife International 2009. Larus crassirostris. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.
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