エゾクロテン

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エゾクロテン
エゾクロテン
エゾクロテン (Martes zibellina brachyura)
北海道新得町 (2008年1月)
保全状況評価
NT(道央・道北・道東)、EX(道南)[1]
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 哺乳綱 Mammalia
目 : ネコ目(食肉目) Carnivora
科 : イタチ科 Mustelidae
亜科 : イタチ亜科 Mustelinae
属 : テン属 Martes
種 : クロテン M. zibellina
亜種 : エゾクロテン M. z. brachyura
学名
Martes zibellina brachyura[2]
Temminck, 1844
和名
エゾクロテン

エゾクロテン(蝦夷黒貂、学名Martes zibellina brachyura)は、イタチ科イタチ亜科テン属クロテン種の亜種で、北海道に生息するクロテンである。

アイヌ語での呼称は「カスペキラ」で、意味は「しゃもじを持って逃げる」。集落に出てきて物を持ち去ったり、家禽を襲うことに由来するようである[3]。

分布

北海道の道央(中央部)と道北、道東の森林[4]。観察事例では道北や道東が多い[3]。

明治期までは北海道の広範囲に生息していたが、本種の毛皮を取るために乱獲されて個体数が減少し、1920年(大正9年)に本種の狩猟が禁止され[3]、現在も狩猟獣[5]から除外されている[1]。

1940年代に毛皮を取るための家畜として北海道にホンドテン(キテン[6])[7]が移入されたが、逃げて野生化したホンドテンが道南に生息している。現在、道北と道東が本種の生息地域であるが、道央(中央部)は本種と野性化したホンドテンが混生しており、交雑の可能性もあり、純粋種の本種の減少が危惧されている[3]。

特徴

成獣の大きさは、体長は約40 - 50cm。尾長は約10 - 15cm。耳長は約3.0 - 3.5cm。体重は約1.0 - 1.3kg[8]。毛色は、淡色系の白みがかった黄色の個体や暗褐色、あるいはその中間濃度の色など、黄色系で個体により様々な濃淡がある。前肢と後肢の手足の部分は黒色。尾の色は濃褐色[9]。冬毛は夏毛よりも淡い色になるが、本種の冬毛の色はユーラシア大陸に生息するクロテンと比較してより淡い色である[10]。陰茎骨の長さは約3cm、直径は約1.5mm、先端Y字型になっている[11]。歯数は、切歯が上6本下6本、犬歯が上2本下2本、前臼歯が上8本下8本、後臼歯が上2本下4本、合計38本。乳頭数は、胸部は無し、腹部1対、鼠径部2対、合計6個。指趾数(指の数)は、前肢が5本、後肢が5本、合計20本[12]。

生態

目蔭 
エゾクロテンの目蔭(北海道新得町、2007年12月)

冬眠はしないで1年中活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する。繁殖期以外は基本的に単独で行動する。躯体の柔軟性はとても高い[13]。また警戒心が強く[3]、よく後肢で2本足立ちして周囲を見回すことがある。この行動を目蔭(まかげ)という(→写真)。木登りはとても上手く(→写真)、太い樹木は爪を立てて登り、降りるときは頭部を下にして降りる。直径2cmの細い木にも登ることができ、その場合は指趾で木を掴むようにして登る。活動場所としては沢や川付近が多い[13]。

本種は巣として穴や樹洞、建造物の縁の下や屋根裏を使用する[13]。

食性は雑食性で、動物質のものはノネズミ類、エゾトガリネズミ[14]やエゾリス、鳥、カエルなどであるが[4]、本種よりも大きなエゾユキウサギなどもを捕食し、樹上ではエゾリスを追跡して捕食する[1]。植物質のものはヤマグワ[15]やサクラ、ヤマブドウ、マタタビ、コクワ(サルナシ)など。動物を捕食した場合は頭部を残す習性があるが、これは頭骨の硬度が高いためと推考される[4]。

鳴き声

本種は様々な鳴き声を出すが、威嚇時には「ギャーウーギュギュ」「ゲーオウー」などで、徘徊時には「フィヤーフィヤー」など静かに鳴いている[13]。

飼育展示施設

本種を飼育展示している施設は、日本では釧路市動物園だけである(2010年1月1日時点)[16]。

保全状態評価

Status jenv NT.svg
Status jenv NT.svg

ギャラリー

木登り 
木に登るエゾクロテン(北海道新得町、2008年1月)

脚注

  1. 1 2 3 『日本の哺乳類 改訂2版』(p81)より。
  2. ↑ 「哺乳類/爬虫類」『日本動物誌』より。
  3. 1 2 3 4 5 「エゾクロテンとは?」(釧路市動物園)より。
  4. 1 2 3 『野生動物調査痕跡学図鑑』(p377)より。
  5. ↑ 法律で捕獲が許可されている動物のこと --『広辞苑』より。
  6. ↑ 「エゾクロテン」(苫小牧民報社)より。
  7. ↑ 学名はMartes melampus melampus --「哺乳類/爬虫類」『日本動物誌』より。
  8. ↑ 『野生動物調査痕跡学図鑑』(p373, p374)より。
  9. ↑ 『野生動物調査痕跡学図鑑』(p373)より。
  10. ↑ 「クロテン」(北海道大学)より。
  11. ↑ 『野生動物調査痕跡学図鑑』(p375)より。
  12. ↑ 『野生動物調査痕跡学図鑑』(p372)より。
  13. 1 2 3 4 『野生動物調査痕跡学図鑑』(p376)より。
  14. ↑ 学名はSoricidae caecutiens --『野生動物調査痕跡学図鑑』(p257, p259)より。
  15. ↑ 学名はMorus australis Poiret --「ヤマグワ」『oNLINE植物アルバム』(宮城教育大学)より。
  16. ↑ 「かわいすぎるエゾクロテン」(釧路市動物園)より。

参考文献

ウェブサイト

出版物

  • 門崎允昭『野生動物調査痕跡学図鑑』北海道出版企画センター、2009年10月20日。ISBN 978-4832809147。 
  • 米田政明 著「クロテン」、阿部永 監修、自然環境研究センター 編集 編『日本の哺乳類』(改訂2版)東海大学出版会、2008年7月5日 第1刷発行、p81頁。ISBN 978-4486018025。 

辞書

  • 『広辞苑』(第5版)岩波書店〈シャープ電子辞書 PW-9600 収録〉、1998年 - 2001年。 

外部リンク