ガス人間
| ガス人間 Human Vapor | |
|---|---|
| ジャンル | 配信ドラマ |
| 原作 | ガス人間第一号(監督:本多猪四郎 / 脚本:木村武) |
| 企画 |
山内章弘 馮年 呉良次 |
| 脚本 |
ヨン・サンホ リュ・ヨンジェ |
| 監督 | 片山慎三 |
| 出演者 |
小栗旬 蒼井優 広瀬すず 林遣都 UTA 竹野内豊 |
| 音楽 | 大間々昂 |
| 国・地域 |
|
| 言語 | 日本語 |
| 製作 | |
| 製作総指揮 |
ヨン・サンホ 市川南 大田圭二 臼井央 佐藤善宏 |
| プロデューサー |
小野田壮吉 ヤン・ユミン |
| 制作 |
TOHOスタジオ WOW POINT |
| 製作 | 東宝 |
| 配信 | |
| 配信サイト | Netflix |
| 配信国・地域 | |
| 配信期間 | 2026年7月2日 |
| 放送分 | 41 - 68分 |
| 回数 | 8 |
| 公式サイト | |
『ガス人間』(ガスにんげん)は、2026年(令和8年)7月2日にNetflixで配信された配信ドラマ。1960年(昭和35年)に制作・公開された『ガス人間㐧1号』を題材としている[1]。
経緯
2024年5月7日、韓国のWOW POINTと日本のTOHOスタジオの共同制作、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)などの監督で知られるヨン・サンホによる脚本と製作総指揮、『ガンニバル』(2022年)などの監督で知られる片山慎三による演出、Netflixジャパンによる配信のもと、蒼井優と小栗旬が出演するリブート版『ガス人間』の制作開始が報じられた[2]。
元々はプロデューサーの馮年が「東宝は約90年の歴史があるのに、ゴジラ以外の自社IPを活用できている実感があまりなく、勿体ない」と思っていたのがきっかけでプロジェクトが立ち上がった。ヨン・サンホとの協業を熱望し2018年に訪韓した際に、企画案の中からヨンが選んだのが『ガス人間第一号』だった。ヨンは早々に現代版にリブートさせるイメージとしてA4用紙2枚ほどのアイデアメモを用意したという[3]。
当初は劇場公開を想定した企画だったが、新型コロナウイルスの流行で開発が停滞。その折にNetflixがパートナーとなり、2020年頃にプロジェクトが具体的に動き出すこととなった[3]。
プロデュースチームにより片山慎三が監督に選ばれた。通常のドラマシリーズがエピソード監督を複数立てる体制が主流であったが、「全8話を自分が撮る」ことを自ら条件にして参加を快諾した[3]。
2024年3月にヨンと片山がリアルで対面する脚本合宿を行い、4月にヨンサイドから脚本を引き取ったのち、7月までの3か月間で日本仕様に調整して撮影稿とした。撮影が始まってからも細部の改稿作業を並行していたため、2020年の実作業開始時から足掛け4年ほどが脚本制作に費やされた。メインキャラクターを演じる小栗旬と蒼井優へのオファーは「どうしてもこの2人にお願いしたい」との思いから2022年に早々に行われ、快諾を取り付けた[3]。
2024年9月にクランクインし、撮影は2025年4月末までの約8か月間に渡って行われた。ロケ地は約150か所にのぼり、東京駅前を大規模封鎖したカーアクションシーンは実現までに1年半ほどの交渉と準備期間を要した。なお、同シーンは映画『ダークナイト』のトラック転倒シーンなどを参考にしながら試行錯誤が重ねられた[3]。
ガス人間役には、本作品が俳優デビューとなるモデルのUTAが起用されている[4]。原作映画と違い、ガス人間がタイトルロールだが主人公ではないという位置づけから、「あまり色のついていない真っ新な役者さん」が求められ、片山の推薦でUTAに白羽の矢が立った。オファーは即決され、長期にわたる演技のトレーニングと肉体改造に励んだ。アメリカ生活が長いUTAのためにハリウッドで活動する演技コーチを招へいするなど、制作陣もバックアップした[3]。なお、UTAによれば、本作品のプロジェクトは3年前から極秘裏に進められていたという[4]。
あらすじ
この節にあるあらすじは過剰な記述となっている恐れがあります。 |
JNTの報道記者・甲野京子が自身の冠コーナーにゲストとして招いた帝都大学名誉教授・佐野久伍が、生放送中に突如不審なガスに巻かれて苦しみだし、肺の内側から爆発四散するという事件が起きる。京子の元恋人である警視庁捜査一課の岡本賢治は不祥事で謹慎処分中であったが、亡き父の友人である警視総監・坂本守直々の命令を受けて復帰し、部下の阿部美智子らとともに爆死事件の捜査担当となる。賢治の不祥事とは、かつてプロポーズ寸前まで進展していた恋人の京子に捜査情報を漏らし、それを元にした京子の強引な取材の結果、当時追っていた被疑者の森靖利を自殺に追い込んだというものであった。
事件と同時刻、JNTと報道各社に犯人を名乗る男からの犯行声明動画が送り付けられる。男は記者会見の開催を予告し、声明をトップニュースで報じたメディアに対してのみインタビューに応じると宣言する。当日、男が会見場所に指定した文庫ラーメンというラーメン屋が現在の店舗ではなく移転前の旧店舗跡地を指すことに京子だけが気づき、インタビューはJNTの一社独占となる。男は、27年前に存在したホワイトセンターという福祉施設の真実を暴露し、関係者に対して復讐することが動機であると告白、これからも殺人は続くと予告し、自らをガス人間と名乗る。ガス人間はJNT取材班と駆けつけた賢治ら警察の目前でガスに変異し、機動隊やSITを制圧して逃走する。
賢治ら警察はガス人間が残した衣服についていたボタンの家紋から指定暴力団「藤代会」を事件関係者としてマークする。一方で京子らの調査によりホワイトセンターは27年前に山梨に存在していた政府支援による施設で、その実態は身寄りのない入居者らを不当な労働力として使用する収容施設であったこと、当時山梨県に落下した隕石による環境汚染を浄化する作業にその労働力が使われたこと、同時に山梨県に招致されていた「世界こども平和博」を無事に開催するべく、政府主導でそれらの事実を隠蔽することにホワイトセンターとその関係者らが加担していたことが判明する。
京子はホワイトセンター元所長の小畑広紀に接触することに成功し、小畑が持つ当時の作業日誌を受け取る約束を取付ける。しかし京子は賢治らがマークしていた藤代会配下の半グレ集団に襲撃される。賢治らの介入で京子らは無事保護されるが、直後に藤代会若頭・大友リキの命令を受けた組員の山崎が小畑を殺害し、日誌を奪い逃走する。死の直前、小畑は京子にホワイトセンターを取り仕切っていた「無風」という裏組織の存在を明かす。
京子は小畑とのやりとりが藤代会に流れたことを不審に思い、同僚局員の西山達也が京子のスマートフォンに盗聴アプリがインストールされていることに気づく。京子はアプリを入れられたのが警察の事情聴取でスマホを預けたときであると気づき、担当刑事の吉田則夫が藤代会と内通している可能性があると賢治に忠告する。一方、山崎は日誌をデータ化してリキに送り原本を焼却するが、そこに賢治ら捜査員が駆けつける。吉田は捜査員の目を盗み、正当防衛に偽装して山崎を射殺する。京子らJNTクルーは藤代会の正面にある空き家からカメラと指向性マイクを使って藤代会組長・大友三郎の動向の監視を始める。
藤川富士太と藤川華歩の兄妹は、動画サイトYTubeで鳴かず飛ばずのオカルト系チャンネル「フジタとカホの恐怖地帯」を運営している動画配信者である。華歩は顔に大きな痣があり人目に触れることを嫌っていたため裏方と声の出演に徹し、富士太が1人で出演者役をこなしている。一躍世間の注目の的となったガス人間のネタを追っていた富士太は、憧れの映像監督・ゴロがある廃倉庫で撮影した地下アイドル・ドリームサキュバスのミュージックビデオに、ガス人間の姿が映っていることに気づく。これを特大スクープとして「恐怖地帯」の配信で公開するも、同時接続者はわずか1桁と不発に終わるが、動画を見た「dadashow」というアカウントから「調査内容を100万円で買い取りたい」という連絡が来る。
dadashowが求める廃倉庫の所在地を明らかにするため、富士太と華歩はアシスタント志望の面接と偽りゴロ監督に接触する。そこで出会った元ドリーム・サキュバスのミミを経由し、当時マネージャーを務めていた謙太という男から廃倉庫の住所を聞き出した2人は、証拠を押さえるべく現地へ向かう。
廃倉庫にたどり着いた藤川兄妹は地下に降りた先にある広い空間で石化したガス人間を発見する。そこへFAXの着信があり、設置されていたピタゴラ装置が作動して「いとしのエリー」のレコードが再生される。曲を聴いたガス人間の石像は涙を流し、人の姿に再生する。FAXから流れる「今写真を送った大友三郎を殺せ」という命令を聞いたガス人間は廃倉庫を去る。ガス人間は自らの意思ではなく何者かの指示で動いているということを突き止めた藤川兄妹は撤収しようとするが、そこで富士太がガス人間を操る黒幕にたどり着けばさらに多額の金を得られると言い出す。
命令を受けて動き出したガス人間は藤代会事務所を襲撃し、張り込んでいるJNTクルーの目前で組員らをなぎ倒し大友三郎に迫る。三郎は組員の運転する車で逃げ出すが、東京駅丸の内口前でガス人間に追いつかれ、車ごと吹き飛ばされ、道路に叩きつけられ死亡する。車で後を追っていた京子は三郎の遺体が握っていたスマホからホワイトセンターの日誌データを奪うことに成功する。
命令を遂行し廃倉庫へ戻ってきたガス人間を追って広間に戻った藤川兄妹は、黒幕の正体を押さえるべく、再び石化したガス人間の前に隠しカメラを仕掛ける。そこへ京子が現れ、隠れていた2人を発見する。ガス人間に指示を出していた黒幕は京子であり、藤川兄妹を廃倉庫に誘き出したdadashowの正体もまた京子であった。
幼少期の甲野京子は母親のネグレクトに遭い、ホワイトセンターに預けられた。そこで隕石の汚染処理作業を命じられた作業員らが有害物質を浴びて死亡したのを見た京子は、作業員の死体を運ぶ車に紛れ込んでホワイトセンターを抜け出し、たどり着いた旧文庫ラーメンで常連の青年・堤田蓮に出会い保護された。蓮をレンおじさんと呼び懐くようになった京子であったが、あるときホワイトセンターの作業を取り仕切るヤクザの森が京子の母親を伴って現れ、京子を連れ戻そうとした。蓮は森と取引を行い、京子の代わりに自身が労働力としてホワイトセンターへ収容されることを決めた。
ホワイトセンターでは落下した隕石の下に掘った横坑を爆破し、有害な隕石を地中に埋めるという計画が進行していた。その最終局面の爆弾設置作業を任された蓮は見事これを完遂するが、隕石の発する有害物質を真下で浴びたことで身体がガス化し、爆弾の爆発に巻き込まれて爆散、そのまま行方不明者として処理される。
成長してJNT局員となった京子はあるとき、廃墟を巡る番組企画に上がってきた廃倉庫がかつて蓮と暮らした場所であると気づく。廃倉庫を訪れた京子はそこで石化した蓮を発見し、倉庫を買い取って定期的に通い詰めるようになる。あるとき倉庫で2人の思い出の曲である「いとしのエリー」のレコードをかけた京子は、蓮が人間の姿で再生するのを目の当たりにし、ガス人間の仕組みを知る。同時期に京子は賢治と出会い交際をスタートするが、賢治が追っていた被疑者がかつて自分や蓮を苦しめた森であることを知り、賢治を裏切ってガス人間に森の殺害を依頼した。森からホワイトセンターの関係者に佐野久伍や大友三郎がいることを聞き出した京子はそのままガス人間に森を殺害させ、自殺の偽装工作をしたのであった。
京子は藤川兄妹に「復讐を完遂するまで真相を黙っていれば2人のチャンネルで全てを独占配信出来るようにする」と取引を持ちかけるが、華歩に拒否される。京子は次なるターゲットとして日誌に記されていた「無風」メンバーである警視総監・坂本守の殺害をガス人間に指示しようとするが、寸前で思いとどまる。坂本と親しい賢治に坂本がホワイトセンターの関係者であると明かして2人で坂本邸に向かうと、坂本は、日本の国益を守るため、ホワイトセンターで死亡した労働者らを行方不明者として処理し隠蔽したと自白した。さらに、賢治の父・岡本信也がホワイトセンターを独自に捜査していることに気づき「無風」に密告、信也は交通事故に見せかけて「無風」に暗殺されており、その遠因を作ったのも坂本であった。
坂本は全てを告白する決意を固めJNTでの緊急記者会見を手配するが、富士太が再生数目当てにガス人間を使って坂本の殺害予告動画を撮影しアップロードしてしまう。さらに真相の暴露を阻止するべく「無風」から送り込まれた吉田がボーリング場にたむろする藤代会に藤川兄妹の拉致を依頼した後、記者会見に向かおうとした坂本を自殺に見せかけて射殺する。
吉田は「無風」メンバー最後の一人であるカイという男の命令で動いていた。吉田の依頼を受けた大友リキ以下藤代会構成員は藤川兄妹を監禁し、拷問の末にガス人間のからくりを聞き出す。同じ頃、京子が坂本の妻・千恵子に行った聞き取り調査から「無風」とは坂本・大友・カイの3人が高校時代に組んでいたバンドの名前であり、カイの正体が現職東京都知事・三浦威であることが判明する。京子は最後のターゲットである三浦の殺害指示をFAXでガス人間に送るが、藤川兄妹を伴って廃倉庫の広間に到着していたリキがレコードの針を止めてこれを阻止する。遅れて廃倉庫にやって来て富士太からガス人間への指示の仕組みを聞き出した三浦は、テストとしてガス人間に藤川兄妹の殺害を命じる。逃走の末、富士太は頭からガソリンを被り、誕生日プレゼントで華歩にもらったライターを用いてガス人間ごと自らを爆破する捨て身の策を講じて爆死。直後ガス人間は復活したが流石にダメージを負ったのか、それ以上の追跡はせず、これにより華歩は逃げ延びる。
坂本が暗殺の間際に言い残した父・信也の死に関する言葉から信也の遺品である手帳や当時の捜査資料をあたっていた賢治は、信也がホワイトセンターを追っていたこと、森が27年前に文庫ラーメンでトラブルを起こし警察沙汰になっていたことを知る。一方、三浦の根回しによって京子がガス人間事件の教唆犯として全国指名手配されてしまう。文庫ラーメン新店舗を訪れ、先代店長の遺品として残されていた大量のポラロイド写真の中からガス人間こと堤田蓮と幼い頃の京子のツーショットを見つけた賢治は二人の関係性に気づき、京子を匿って逃亡を開始する。逃亡中に富士太の死を知った京子は、YTubeの非公開コメント機能を使って華歩との接触を試みる。
東京都知事選の開票日が目前に迫る中、ガス人間が三浦の選挙事務所に表れて爆発を起こし、スタッフ3名を殺害、三浦も腕に軽傷を負う。賢治・京子と合流した華歩は三浦が襲われたことを不審に思い、富士太が仕掛けた隠しカメラにガス人間に指示をした人間が写っている可能性に思い当たり、廃倉庫へ侵入する。カメラ映像により、選挙事務所襲撃を指示したのは三浦自身であることが判明する。これは不安を煽ることで世論を安定志向へ誘導し、迫る都知事選で現職である自らの支持率を高めるための行動であった。
その直後、廃倉庫に大友リキら藤代会組員が戻ってくる。京子は華歩とともに映像データを持って逃亡し、賢治に「ガス人間を止める方法が一つだけあるので、三浦がガス人間に京子を襲う指示を出すように誘導してほしい」と頼む。賢治は京子と華歩を逃がすべく単身藤代会と交戦するが多勢に無勢、捕らえられて拷問される。リキから「ガス人間に指示を出す様子を撮られている」と報告を受け遅れて到着した三浦は、拳銃を使って賢治を脅し、映像データを持ち去ったのが京子であると聞き出す。三浦はガス人間に京子を「跡形もなく」殺すことを指示してその場を去り、リキは賢治をパーフィニー(嬲り殺し)しようと凶器の準備を始める。賢治は耳を切り落とされる寸前に拘束を解いてその場の組員ら全員を制圧する。
華歩は映像データを三浦のライバル候補・桐島かずみの選挙事務所に持ち込む。三浦に支持率で劣る桐島はファクトチェックを重んじるスタッフの静止を押し切って起死回生の一手として華歩の提案に乗る決意を固める。華歩は「恐怖地帯」チャンネルで初めて自らの素顔を晒して配信を行い、兄を死に追いやった三浦の裏の顔を告発する。一方京子はホワイトセンターの日誌データを西山に送り、JNTによる後追い報道が始まる。桐島も自身の公式チャンネルから配信を行って追撃。三浦の街頭演説中、JNTの速報が流れたことで三浦の支持者たちは次々と掌を返し始め、三浦の失脚は決定的となる。
廃倉庫から生還した賢治は署に戻って捜査員らに三浦都知事逮捕の号令をかけ、都庁へ向かう。三浦の捜索中、都庁ビル内で吉田が賢治に背後から発砲するが、以前から吉田の言動を疑っていた阿部が阻止する。吉田は大量の隠し武器を用いて阿部を追い詰めるが、最期は自ら取り出した絞殺用ワイヤーがエレベーターのドアに引っかかり、作動したエレベーター内で首を吊られて死亡する。
賢治は都庁の屋上で三浦と対峙する。自身もまた「無風」の上位にある存在のコマに過ぎなかったことに絶望した三浦は投身自殺を図るが、賢治と駆けつけた捜査員により救出され、逮捕される。
一方ガス人間に追われる京子は賢治にメッセージを送る。実はガス人間を止める手があるというのは嘘であり、彼女の真意は品川にある旧JNT社屋の金庫室にガス人間を誘導して、自らの命と引替えにガス人間を永久に閉じ込める算段であった。必死の逃走の末、京子は自分もろともガス人間を金庫室に閉じ込めることに成功。駆けつけた賢治が強化ガラスの窓越しに呼びかける中、京子は全身をガスに飲み込まれながらもそれを抱きしめるような姿勢になり、そのままガス人間もろとも爆発、消滅する。静まり返った爆発の跡には、かつて京子が賢治を裏切った夜に賢治が用意し、京子が逃亡に使った車に保管していた婚約指輪が遺されていた。一部始終を見届けた賢治は蹲り、慟哭する。
事件の収束から一年後、警視庁に密着取材することになった西山は、担当となった阿部とともに事件について語り合う。賢治は無縁墓地に建てられた京子の墓に花と指輪を供えて帰宅するが、自室のレコードで再生した「いとしのエリー」に吸い寄せられるかのように部屋に侵入してきたガスの気配を感じ取ってハッとした表情を見せ、物語は終了する。
ガス人間
身体を自在にガスに変換することのできる、神出鬼没の怪人。虚な表情が特徴で喋り方も抑揚がなく、人間とはかけ離れた不気味な印象を漂わせている。
「過去に深い苦しみを味わった被害者」を自称し、各メディアに送付したリンク先の動画で自身の犯行を認める発言や殺害方法、その標的などを報告する記者会見の予告を犯行前にあらかじめ送るなどの劇場型犯罪を展開して警察やメディアを翻弄し、日本中を混乱と恐怖に陥れる。
ガス状の身体を使い、人間の体内に潜り込んで窒息または破裂させて殺害するほか、物体をすり抜け、空中を浮遊して高速で移動したり、爆発に似た衝撃波を発生させるなど、様々な能力を持つ。ガスの状態でも物を掴んだり殴ったりすることができるが、防弾ガラスのような頑丈な物体を破壊するほどの力はない模様。
その正体は堤田蓮という身寄りのない男性で、元々はラジオを好み、同じような境遇の京子を保護者として受け入れる心優しい青年だった。彼は1999年、「無風」という組織が設立した収容施設・ホワイトセンターが主導した隕石の汚染処理作業から脱走してきた京子を守るべく、センター職員のヤクザ・森と取引する形で自身が京子の代わりに収容される。そして隕石を地下に沈めるための爆薬設置作業中、隕石の発する有害物質をもろに浴びたことで体質に変化が生じ、全身がガスに変質してしまったという経緯を持つ。
自らが変質する原因を作った当時のセンター職員たちを狙う復讐鬼と思われたが、実はガス人間には蓮の意識は残っておらず、一定のシステムで他人の命令に従うだけのマシンのような存在であることが判明する。普段は生前暮らしていたリサイクルショップ跡の廃墟に石像のような休眠状態で佇んでいるが、愛好していた「いとしのエリー」を聴くことで目覚め、[注釈 1]かつて京子に向けて行っていた「相手にリクエストを訪ねる動作」をした後に命令を受けることで本格的に動き出し、命令を遂行するとまた廃墟に戻ってきて休眠状態に戻るという一連のシステムを繰り返している。
殺しの命令を受けると標的に向けて真っすぐに向かい、標的以外には一切興味を示さない。[注釈 2]標的を殺害するまで執拗に追跡するが、ダメージを負うなどのイレギュラーが発生すると指示を中断する。[注釈 3]
事件発覚の6年前、成長してJNT局員となった京子によって偶然発見され、その命令に従って森、佐野、大友を立て続けに殺害。その仕組みを藤代会や三浦に知られて以降は、三浦に命令されるままに富士太や三浦の選挙事務所スタッフ、都内のホームレスたちを手にかけ、最後は京子を殺害するべく追跡する。
京子を追跡した末、最後は旧JNTスタジオ社屋の地下金庫室に誘導され、京子を飲み込みながら大爆発を起こし、跡形もなく消滅。
しかし事件から1年後、賢治が自室で再生した「いとしのエリー」に引き寄せられるかのようにガスが入り込み、人型の形状に結集するところで物語は幕を閉じる。[注釈 4]
キャスト
主要キャスト
- 岡本賢治(警視庁捜査一課 警部補):小栗旬[5]
- 甲野京子(テレビ局JNT 報道記者):蒼井優[5]、斉藤柚奈(過去)
- 藤川華歩(動画配信者・妹):広瀬すず[5]
- 藤川富士太(動画配信者・兄):林遣都[5]
- 森靖利(元ヤクザ、上場企業「ビットマネートレード」社長):竹野内豊[5](現在)、野村周平(過去)[6]
- ガス人間(堤田蓮):UTA[4]
- 岡本信也(賢治の父):青木崇高[6]
- 阿部美智子(警視庁捜査一課 巡査部長):芋生悠[6]
- 吉田則夫(警視庁捜査一課 警部):こばやし元樹[6]
- 坂本守(警視総監):ピエール瀧[6]
- 坂本千恵子(坂本の妻):原日出子[6]
- 西山達也(テレビ局JNT 報道記者):伊島空[6]
- 伊花純一郎(テレビ局JNT 報道局長):古舘寛治[6]
- ゴロ監督(映像制作会社「イン・ザ・ソックス」社長):髙嶋政宏[6]
- 謙太 / ケンタ(元「イン・ザ・ソックス」マネージャー、ホスト):賀来賢人[6]
- ミミ(元・地下アイドル「ドリームサキュバス」メンバー):森川葵[6][7]
- ミホ(同上):羽原美優[7]
- ユリ(同上):溝口奈菜[7]
- マイ(同上):愛い姫[7]
- アヤカ(同上):鳴島煌浬[7]
- アンナ(同上):麻倉瑞季[7]
- 佐野久伍(帝都大学名誉教授):モーリー・ロバートソン[6][注釈 5]
- 小畑広紀(憩いの場「うみかぜ」施設長):酒向芳(現在)、中島歩(過去)[6]
- 大友三郎(指定暴力団「藤代会」組長):中野英雄[6]
- 大友リキ(指定暴力団「藤代会」若頭):松浦祐也[6]
- 三浦威(東京都知事):岡部たかし[6]
- 桐島かずみ(三浦都知事のライバル候補):夏川結衣[6]
その他キャスト
- 山口哲雄(テレビ局JNT 報道記者):松本ししまる
- 宮崎加奈(テレビ局JNT 報道記者):新野七瀬
- 桑田(テレビ局JNT 報道記者):藤井宏之
- 松井(テレビ局JNT 報道記者):滝本圭
- 藤井(テレビ局JNT 報道記者):ちすん
- 田中(テレビ局JNT 報道記者):松澤傑
- 落合浩介(テレビ局JNT カメラマン):谷口翔太
- 渡辺百華(テレビ局JNT 音声):瀬戸真莉奈
- ワイドショーの司会:船越雅史
- テレビ局JNTアナウンサー:林みなほ
- ENTテレビニュースキャスター:山田泰三
- 荒木リオン(ENTテレビ記者):彩乃あん
- 川田稔(警視庁捜査一課 係長):川瀬陽太
- 本山(警視庁捜査一課 刑事):足立英
- 刑事:安藤広郎、林田直樹
- 山之内聡志(ブンコラーメン店主):柾賢志
- 翔太(「うみかぜ」で生活する子供):柊木陽太
- 科学捜査研究所の職員:三石琴乃
- 加藤新一(元記者):近藤芳正
- 山崎慎三(指定暴力団「藤代会」組員):三河悠冴
- 轟海斗(指定暴力団「藤代会」組員):市川理矩
- 藤代会組員:阿邊龍之介、細谷雅幸
- さつき(孤児):原寧々
- 半グレのリーダー:堀丞
- オークショニア:山下リオ
- 都知事秘書:北山雅康
- 「三好弥」店主:吉原光夫
- パーム(「三好弥」店員→寿司屋「しゃり王」配達員):ローハン・ジテンドラ・ケムラニ
- 京子の母:和田光沙
- ラーメン屋店主:松崎悠希[注釈 6]
スタッフ
挿入歌
配信日程
| 配信回 | サブタイトル[10] | 配信日 | 配信時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | インタビュー | 7月2日 | 52分 |
| 2 | 情報提供者 | 59分 | |
| 3 | 日誌 | 41分 | |
| 4 | 恐怖地帯 | 52分 | |
| 5 | ブンコラーメン | 57分 | |
| 6 | 無風 | 48分 | |
| 7 | Ellie My Love | 51分 | |
| 8 | 願い | 68分 |
評価
小説版
- 乾緑郎著、2026年6月30日発売、講談社文庫、ISBN 9784065439302[13]
脚注
注釈
- ↑ 完全に覚醒しきるまで曲を聴き続けなければならず、覚醒途中で曲を止められると休眠状態に戻ってしまう。
- ↑ 意図して標的以外を傷つけないようにしているわけではないので、大友の部下たちのように巻き添えで殺されるパターンもある。
- ↑ 富士太と華歩の両方の殺害を命じられたが、富士太の捨て身の爆発を食らった後は華歩の追跡を止め、その後すれ違っても追跡しなかった。
- ↑ ガスが結集する際、その形状は蓮のものではなく、消滅する直前の京子のポーズに酷似しており、京子が新たなガス人間となって復活したことを示唆している。
- ↑ 撮影後の2026年1月に死去したため、遺作となった[8]。
- ↑ UTAの演技コーチも担当。
出典
- ↑ 「Netflix×東宝:業界の常識を覆す巨大プロジェクトNetflixシリーズ「ガス人間」 日本映像作品初となる挑戦を含む予告&メインキーアート解禁!」Netflix、2026年6月9日。2026年6月28日閲覧。
- ↑ 「「新感染」韓国ホラー監督が蒼井優と小栗旬主演で日本映画「ガス人間」をリメーク!」『よろず〜ニュース』デイリースポーツ、2024年5月7日。2024年5月8日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 “Netflixシリーズ「ガス人間」8年越しの企画秘話から新星UTA抜てきの裏側まで 作品がより面白くなるトリビア7選”. 映画.com (2026年7月9日). 2026年7月16日閲覧。
- 1 2 3 「本木雅弘の長男・UTA、ついにベールを脱いだ“俳優デビュー作”で190センチの圧倒的存在感【Netflix『ガス人間』】」『オリコンニュース』oricon ME、2026年5月13日。2026年5月13日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “広瀬すず、林遣都、竹野内豊、小栗旬×蒼井優のNetflixシリーズ『ガス人間』出演決定”. リアルサウンド映画部. blueprint (2026年1月27日). 2026年1月27日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 “Netflixドラマ『ガス人間』相関図・登場人物・キャスト一覧|写真付き解説”. ORICON NEWS (2026年7月3日). 2026年7月6日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 「『ガス人間』ドリームサキュバスのメンバー&曲を解説!ミミ(森川葵)は付き合ってるの?」『ciatr』エボイス、2026年7月6日。2026年7月6日閲覧。
- ↑ 「『ガス人間』衝撃シーンも…教授役の“正体”に「遺作だったのか」「えぇ!?」と反響 モーリー・ロバートソンさんが出演」『ENCOUNT』Creative2、2026年7月4日。2026年7月6日閲覧。
- ↑ “小栗旬 × 蒼井優 23年ぶり実写共演!日韓トップクリエイターの強力タッグで 東宝の伝説的特撮映画を完全オリジナルストーリーでリブート!Netflixシリーズ「ガス人間」制作決定”. Netflix (2024年8月7日). 2024年8月9日閲覧。
- ↑ ガス人間 - Netflix
- ↑ “小栗旬×蒼井優「ガス人間」Netflix週間TOP10初登場1位! メインキャスト・スタッフ集結の“新次元”スペシャルアートを披露”. 映画.com (2026年7月8日). 2026年7月16日閲覧。
- 1 2 “ポン・ジュノ監督、蒼井優の芝居を絶賛 「ガス人間」での存在感は「『ガス人間』という作品における、もうひとつのスペクタクル」”. 映画.com (2026年7月15日). 2026年7月16日閲覧。
- ↑ “『ガス人間』(乾 緑郎,ヨン・サンホ,リュ・ヨンジェ)”. 講談社. 2026年6月30日閲覧。