ギュられる
「ギュられる」は、人工知能(AI)の技術的向上により、労働者が仕事や役割を奪われることを指すインターネットスラングで、就職活動中のZ世代を中心に[3]2026年頃よりSNSなどで広まった[4]。技術的特異点を意味するシンギュラリティから採った「ギュ」に「られる」を付けて受動態とした新語である[2]。
初出
初出についてはブロガー兼インフルエンサーの悪目納豆が2025年2月に自身のnote記事『シン平時にギュられないためには』においてシンギュラリティによる雇用代替を「ギュられる」と表現したのが始まり。[5] 広く知られるようになったきっかけは経済産業省が2026年3月に公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」で、2040年には大卒・院卒の文系人材が約80万人余り、理系は約120万人不足するとした推計を[1]4月26日付日本経済新聞が報じた[6]。4月18日には、同紙に「ギュられる」を取り上げたコラムが掲載されている[7]。国会では、2026年7月8日の参議院デジタル特別委員会においてチームみらいの安野貴博議員が、AI失業に関し「ギュられる」のワードを用いて質疑を行った[8]。
ニュアンス
総務省が2025年7月に発表した「情報通信白書」のアンケートによると、所属する企業における生成AIの活用方針を尋ねたところ、日本では約5割の企業が何らかの形で利活用する方針を定めていたという[7]。マイナビによる2027年度卒業予定の就活生のアンケートによると、AIの普及により将来はたらく環境に不安を覚えた学生は77.2%。「やりたい仕事がなくなってしまうのではないか(41.8%)」、「企業の採用数が減っていくのではないか(38.3%)」などの回答があった。同調査では、企業側の9割が新卒採用数は変わらないと回答している[9]。就活サイトみん就の2027年度卒業予定の就活生を対象とした調査では、AIの普及による雇用の動向について、生成AIの利用頻度が週一度以下では減少すると回答したのは55%であったのに対し、毎日利用している学生では70%。自分のキャリアに良い影響があると回答したのは週一度以下51%に対し、毎日利用では90%と、AIの利用頻度が高いほど危機感を持つとともに前向きである傾向がみられた[10]。AIに仕事を奪われる、技術的失業に対する不安感から生まれた言葉ではあるが、必ずしも悲観的な文脈だけではなく、ネット文化特有の軽さや自嘲を含んだユーモア[2]、既存の権力構造が激変し若者にチャンスが巡ってくる期待感など[3]、立場により多面的な意味を持つ。
マイナビは、2027年卒大学生キャリア意向調査において、ChatGPT用いてエントリーシートを作成する「チャピる」と並び、「ギュられる」を特徴的な新語として取り上げた[11]。日本経済新聞や毎日新聞[12]など既存大手メディアでも取り上げられた言葉であるが、2026年現在では企業や年配層には届いておらず、就活生や大学生の間の俗語にとどまっているようである[1]。
ギュられやすい業務
チームみらいの安野貴博の報告によると、スタンフォード大学による2025年の研究では、最もAIによる影響を受けやすい職種として、カスタマーセンターやソフトウェア開発などが挙げられた。アメリカではその領域における22歳から25歳の雇用が、ChatGPTが世に出た2022年からの3年間で、他の職種と比べて相対的に約16%減少しているという分析がある[8]。
一般に、資料作成やデータ入力など定型的な事務作業はAIに置き換えられやすく[13]、人間関係の調整や現場での意思決定、創造性のある業務は、AIへの置き換えは比較的困難であると考えられている[1]。経産省の「2040年の就業構造推計」のとおりに実際に雇用が推移するかどうかは、2020年代中期の現在においては未知である[4]。
脚注
- 1 2 3 4 “「ギュられる」とは?意味・元ネタとギュられやすい仕事、AI時代の就活対策”. 青梅法人会 (2026年8月17日). 2026年8月21日閲覧。
- 1 2 3 “「ギュられる」ってなに?流行り言葉、解説します。”. マクロミル (2026年2月27日). 2026年8月21日閲覧。
- 1 2 原田高志 (2026年2月17日). “【ギュられるとは?】Z世代が使う謎スラング 「ギュられる」の意味&正体── AIに職を奪われる恐怖が言語になった日”. 原田英語.com. 2026年8月21日閲覧。
- 1 2 岡田有花 (2026年4月27日). “[AI「ギュ」時代 プログラミングも文系就活も“ギュられる”って本当? AI「ギュ」時代 プログラミングも文系就活も“ギュられる”って本当?]”. IT media. 2026年8月21日閲覧。
- ↑ 。
- ↑ 「余る文系人材80万人 採用はスキル重視、データサイエンス必須に」『日本経済新聞』2026年4月26日。2026年8月21日閲覧。(
要購読契約) - 1 2 福光恵「令和なコトバ「ギュられる」 AIに仕事奪われる恐怖感」『日本経済新聞』2026年4月19日。2026年8月21日閲覧。(
要購読契約) - 1 2 “「AI失業」近未来の日本でも増える恐れに警鐘 チームみらい安野氏が国会で繰り返した「謎」のキーワード”. J-CASTニュース (2026年7月8日). 2026年8月21日閲覧。
- ↑ “AI普及で変わった、学生・企業の価値観~2027年卒新卒採用・就職活動の基礎とトレンド~”. マイナビ (2026年2月26日). 2026年8月21日閲覧。
- ↑ 『みん就、「生成AI普及に伴う就活意識調査」を実施』(プレスリリース)みん就株式会社、2025年12月18日。2026年8月21日閲覧。
- ↑ 『「マイナビ2027年卒 大学生キャリア意向調査7月<就職活動・進路決定>」を発表』(プレスリリース)マイナビ、2026年8月19日。2026年8月21日閲覧。
- ↑ 「「ギュられる」は現実か=町野幸」『毎日新聞』2026年6月18日。2026年8月21日閲覧。(
要購読契約) - ↑ “「ギュられる」って何? “仕事の消滅”でなく“価値の低下””. ムービック合同会社 (2026年3月26日). 2026年8月21日閲覧。