テリー・ライリー
| テリー・ライリー Terry Riley | |
|---|---|
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2017年11月8日、東京 | |
| 基本情報 | |
| 出生名 | Terrence Mitchell Riley |
| 生誕 | 1935年6月24日(91歳) |
| 出身地 |
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| 学歴 | カリフォルニア大学バークレー校 |
| ジャンル | 現代音楽、ミニマル・ミュージック、前衛音楽、実験音楽 |
| 職業 | 作曲家、ミュージシャン |
| 公式サイト | terryriley.net |
テリー・ライリー(Terry Riley、1935年6月24日 - )は、アメリカ合衆国出身の作曲家である。スティーヴ・ライヒやフィリップ・グラスらと並ぶミニマル・ミュージックの代表的な作曲家の1人[注 1]。2020年から日本在住[1]。
来歴
カリフォルニア州コルファックスに生まれ、シャスタ・カレッジ、サンフランシスコ州立大学、サンフランシスコ音楽院で学ぶ。その後、カリフォルニア大学バークレー校に入学して作曲法を学び、修士の学位を得た。
1958年ごろにはロバート・エリクソンの指導を受け、ポーリン・オリヴェロス、ローレン・ラッシュと即興演奏を行った。1959–1960年にはアンナ・ハルプリンの舞踊団でヤングとともに作曲家として活動し、1961年に修士号を取得した。1965年にニューヨークへ移った後には、ヤングのシアター・オブ・エターナル・ミュージックに歌手として参加した[2]。
ヤングとの交流を背景とする初期作品には、長く保たれる協和音を用いた弦楽四重奏曲(1960年)と、短いフレーズやリズムの反復が現れる弦楽三重奏曲(1961年)がある[3]。
1960年代を通じて、ヨーロッパにも度々旅行した。そこではピアノ・バーで日々の糧を得ながら、音楽的影響も受けた。「ア・レインボウ・イン・カーヴド・エア」は1968年の作品として目録に記載され[4]、レコードは1969年に発売された[5]。
1970年にインド古典声楽家のパンディット・プラン・ナートに師事した[6]。ラ・モンテ・ヤングやマリアン・ザジーラも彼の生徒であった。パンディットの課程の間に何度もインドを訪問し、師が演奏する際、タブラ、タンブーラおよび声による伴奏に携わった。
1971年から1981年までミルズ・カレッジでインド古典音楽と作曲を教えた[2]。
1978年後半には、DAADのベルリン芸術家プログラムで約3か月滞在した。1974年と1978年のメタムジーク・フェスティバルにも出演している。ベルリンではタンジェリン・ドリームのエドガー・フローゼと交流し、フローゼからコルグのシンセサイザーを借りた[5]。

日本に移住
2020年2月、同年8月から開催されるDOMMUNEが企画した佐渡島のイベント「さどの島銀河芸術祭」でのコンサートに際し、日本を視察しに訪れる。当時はダイヤモンド・プリンセス号でクラスターが発生しており、感染のリスクが懸念された。その際、DOMMUNE主催の宇川直宏への手紙で「もしウイルスに感染したとしても、それは私のカルマなので心配はいらない」と書いた。佐渡島に滞在した際、鼓童や鬼太鼓に感動したと述べた。
訪日後にアメリカで新型コロナウイルス感染者が増加したため、日本に滞在することを決める。日本での生活について、「85歳にして人生の新たな章が始まるとは想像もしていませんでしたが、私の仕事や人生観全般において、最も活力に満ち、最も刺激的な時期の一つとなっています」とコメントをしている[7]。佐渡島で1週間過ごしたのちに山梨県北杜市に在住する[8]。以降、毎月神奈川県鎌倉市で弟子の宮本沙羅[9]と共に少人数制のKIRANA流派ラーガ教室を開催し、参加者と気軽な形で交流している[10][11]。
「さどの島銀河芸術祭」は8月8日から10月11日に開催され、ライリーは9月22日に北沢浮遊選鉱場跡でコンサートを行った[12]。運営側はコンサートを予約制として、来場者はPCR検査の陰性結果が必要となる日本初のコンサートとなった。当日はライブ配信はなく、後日にDOMMUNEで期間限定のアーカイブが配信された。
2022年には久石譲とのコンサートが発表されたが、久石の体調不良により直前でキャンセルとなった。
2023年7月20日には国立音楽大学の講堂大ホールで『In C』の作曲公開講座を行った。国立音楽大学に在籍する学生による演奏とライリーによる指導を公開形式で行った[13]。
2023年10月4日には、2020年初春来日直後のまだ日本移住を決める前に山梨県小淵沢で録音したアルバムである「Terry Riley STANDARD(S)AND -Kobuchizawa Sessions #1」をリリースした[14][15]。
2023年10月7日には、「埼玉国際芸術祭2023」のオープニングとしてコンサートを行い、10月13日・14日に京都の東本願寺の能楽堂で、イベント「AMBIENT KYOTO」のために特別公演を行う。
水戸芸術館の2023年の紹介では、2020年2月の佐渡視察後に山梨へ短期滞在する予定だったが、3月の米国でのロックダウンを受けて滞在を続けたと説明されている。また、2022年5月から鎌倉でラーガ教室を始めたとされる[1]。

音楽性と協働
反復と奏者の選択
反復される音型と即興の関係は、「インC」や「Keyboard Studies」などに見られる。「インC」 (1964年) は最も知られた曲で、ミニマル音楽を一気に有名にした[16]。
『In C』では、長さの異なる53の音型を番号順に演奏し、各奏者が反復回数と次の音型へ進む時点を選ぶ。演奏指示は互いの音をよく聴き、おおむね二、三の音型の範囲で進むよう求める。ピアノ高音域やマレット楽器による8分音符のハ音の脈動は、奏者が共通の拍を保つ手段である。楽器と人数には幅があり、全員が最後の音型へ到達して終結する[17]。作曲家・研究者ロバート・カールは、各音型の音高とリズムは固定されていても、その間の移動に自由があるという、構造をもつ即興の例として論じている[18]。
テープ遅延、鍵盤と調律
1960年代初めにはテープの切り貼りとループを試み、パリでは2台のテープレコーダーを使うタイム・ラグ・アキュムレーターを発展させた。時間差をもって録音と再生を重ね、短い素材から密度を増す音響を作る。『Music for The Gift』(1963年)では、チェット・ベイカーの演奏録音が素材となった[3][19]。
1960年代後半には徹夜コンサートを行い、オルガンなどの独奏を長時間続けた。生演奏の音を遅延させて再び重ねることで、独奏者が複数の層を作った[3]。DAADの紹介は、オルガンと2台のテープレコーダー、ミキサー、増幅装置を運ぶ独奏ツアーと、毎回異なる即興演奏の関係を説明している[5]。
『ア・レインボウ・イン・カーヴド・エア』や『Poppy Nogood and the Phantom Band』は、こうした鍵盤・サクソフォーンの即興と多重録音の探究に属する[3]。『Shri Camel』では純正律に調律したヤマハのオルガンを用い、1980年のレコードではデジタル遅延を加えて音の層を拡張した[5]。

クロノス・クァルテットとの共同制作
1970年代末、ミルズ・カレッジでデイヴィッド・ハリントンらと関係を築き、1979年に記譜による作曲を再開した。クロノスとの制作では、鍵盤の即興、インド音楽、弦楽器の技法を結び付けた[20]。管弦楽作品『Jade Palace』はカーネギー・ホールの1990–1991年の100周年企画による委嘱であった[6]。MITの2015年公演の紹介は、それまでの成果として弦楽四重奏曲13作などを挙げている[6]。ハリントンは、ライリーが求める音程や弓による表現を探る過程で、四重奏団の音が変化したと回想している[21]。
『レクイエム・フォー・アダム』はハリントンの息子を追悼する作品で、1999年6月28日にアムステルダムで初演された[21]。『サン・リングズ』は2001年8月から2002年7月に制作され、弦楽四重奏と合唱に、NASAの観測で得られた宇宙の音響を重ねる。本人は、ドナルド・ガーネットから渡された録音が作品の出発点となったと述べている[22]。初演は2002年10月26日、アイオワ大学のハンチャー・オーディトリアムで行われた[23]。
『ザ・カスプ・オブ・マジック』では、クロノスと呉蛮の琵琶に、声、打楽器、玩具などの響きを組み合わせた。2005年に初演され、レコードは2008年に発売された。ライリーは、弦楽四重奏と琵琶の音色を通して、異なる文化的な音楽の境界を滑らかにつなぐ構想を説明している[24]。
受容と教育・異分野の活動
カールは、1968年の『In C』の録音にデイヴィッド・ベアマンが関わり、LPジャケット内側に楽譜を掲載したことが、他の演奏者による上演の広がりを支えたと説明する。この1968年録音は、2022年に米国議会図書館の全米録音資料登録簿へ選ばれた[18]。
ザ・フーのピート・タウンゼントはライリーの反復と電子音響に刺激を受けた。『ババ・オライリィ』[注 2]の曲名は、ライリーとメヘル・バーバーに由来する[25]。ライリーとの共同制作には、オリヴェロス、詩人マイケル・マクルーアらとの活動もある[3]。
2011年にはMITでガムランと電子音響のための『White Space Conflict』が初演され、2015年にはギタリストの息子ギャン・ライリーらと演奏した。2023年の88歳の誕生日には、MITなどの企画で6大陸の88人によるオンライン演奏が行われ、ライリーも水戸から参加した[6]。
日本では、2005年に自由学園明日館講堂、金沢21世紀美術館・シアター21で、ギタリストのデイヴィッド・タネンバウムらとともに公演を行った。また、2014年には映像作家寒川裕人と共同プロジェクトで来日公演を行った[26]。2017年11月には、フアナ・モリーナ、ジェフ・ミルズとのツーマン(会場:渋谷 WWW X)ならびに単独公演(会場:代官山 晴れたら空に豆まいて)を行い、大きな話題を呼んだ。また、その来日に先駆けてのDOMMUNEでのビデオ・インタビューに於いて、「『ミニマル』というのはアカデミックすぎる。自分はむしろ『サイケデリック』と呼ばれたい」と述べた。
ディスコグラフィ:代表作
以下には作品名と録音の代表例を含む。作曲・初演と録音発売の年代は下の年表・対応表で区別する。

- インC(1964)
- ア・レインボウ・イン・カーヴド・エア(作品1968年、レコード発売1969年)[4][5]
- ドリーム
- EC
- キーボード・スタディ2
- Shri Camel (1980) (コンピュータ制御のデジタルディレイで変調された純正律電子オルガン独奏のための曲)
- The Harp of New Albion (1986) (純正律ピアノのための曲)
- Salome Dances for Peace
- Chanting the Light of Foresight (純正律に合わせたロヴァ・サキソフォン・カルテットによる曲)
- Persian Surgery Dervishes
- サン・リングズ (クロノス・クァルテットのための曲)
創作と活動の年表
橙色の帯は作曲期間、◆は資料に記載された単年の制作年、青色の帯は教職期間、●は単発の出来事を示す。Wは作品、Rは教職、Eは出来事の番号で、下表に対応する。両図は1960–2030年の同じ軸を用いる。録音・発売・初演は作曲年と分離して対応表に記す。Shri Camelの点はIRCAMの目録年であり、その後も版を変えて演奏された作品の完成・固定を意味しない。図と表は狭い画面では横へスクロールできる。
初期の反復・電子音楽と学習

四重奏とその広がり

制作・初演・録音の対応
| 番号 | 作品 | 制作年・期間 | 初演・録音等 |
|---|---|---|---|
| W01 | Music for The Gift | 1963年 | テープ音楽。チェット・ベイカーと協働。[19] |
| W02 | In C | 1964年 | 1964年11月サンフランシスコ初演/1968年録音。[18][17] |
| W03 | A Rainbow in Curved Air | 1968年 | レコード発売1969年。[5][4] |
| W04 | Shri Camel | 1976年 | IRCAM目録年。DAADは1976年着手と記す。レコード発売1980年。[5][27] |
| W05 | Cadenza on the Night Plain | 1983年 | 弦楽四重奏のための作品。[28] |
| W06 | Requiem for Adam | 1999年 | 1999年6月28日アムステルダム初演/レコード発売2001年。[21][29] |
| W07 | Sun Rings | 2001–2002年 | 制作2001年8月–2002年7月/2002年10月26日アイオワ初演。[23][22] |
| W08 | The Cusp of Magic | 2004年 | 2005年初演/2008年レコード発売。[24][30] |
教職と出来事
脚注
注釈
- ↑ テリー・ライリー本人は「ミニマル・ミュージック」という分類はアカデミック過ぎるため余り好まず、どちらかと言えば「サイケデリック」という分類を好んでいる。
- ↑ 「オライリィ」は、ライリーの名前から取っている。
出典
- 1 2 3 篠田大基 (2023年6月6日). “テリー・ライリーという生き方”. 水戸芸術館. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 3 “Terry Riley — Biography”. IRCAM. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 3 4 5 Max Noubel. “Incandescent Meditation on the Edge of the Precipice”. IRCAM. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 3 “A Rainbow in the Curved Air”. IRCAM. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 Thomas Groetz. “Portrait Terry Riley”. DAAD Berliner Künstlerprogramm. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “Terry Riley”. Arts at MIT. 2026年10月27日閲覧。
- ↑ “DOMMUNEが贈るテリー・ライリーの公開収録ライブが佐渡島で開催”. cinra. 2020年9月14日. 2021年3月8日閲覧.
- ↑ “日本移住を決めた85歳テリー・ライリー、佐渡島DOMMUNE公開収録ライブに出演 (音楽ナタリー)”. LINE NEWS. 2022年8月22日閲覧。
- ↑ “SARA MUSIC”. SARA MUSIC (2021年1月31日). 2023年5月20日閲覧。
- ↑ “KIRANA EAST music class of Terry Riley(@kirana_east) • Instagram写真と動画”. www.instagram.com. 2023年5月20日閲覧。
- ↑ “KIRANA EAST”. Peatix (2023年5月21日). 2023年5月20日閲覧。
- ↑ さどの島銀河芸術祭とは(さどの島銀河芸術祭、2020年)
- ↑ “テリー・ライリー 作曲公開講座[国立音楽大学 - くにたちおんがくだいがく]”. www.kunitachi.ac.jp. 2023年7月20日閲覧。
- ↑ “https://twitter.com/TerryRiley_info/status/1698908047991820738”. X (formerly Twitter). 2023年10月5日閲覧。
- ↑ “Terry Riley/Terry Riley STANDARD(S)AND -Kobuchizawa Sessions #1- テリー・ライリー スタンダーズアンド -小淵沢セッションズ-”. tower.jp. 2023年10月5日閲覧。
- ↑ Honigmann, David. “In C, Barbican, London – review”. Financial Times. 2022年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月29日閲覧。
- 1 2 Terry Riley. “In C — score and Performing Directions”. Third Coast Percussion. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 3 4 Robert Carl. ““In C”—Terry Riley (1968)”. Library of Congress. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 “Music for The Gift”. IRCAM. 2026年10月27日閲覧。
- ↑ “Terry Riley — This Assortment of Atoms – One Time Only!”. Kronos Quartet. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 3 “Requiem for Adam”. Nonesuch Records. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 “Kronos Quartet — Terry Riley: Sun Rings”. Philharmonie Luxembourg. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 “Commissions — Sun Rings”. Hancher Auditorium, University of Iowa. 2026年10月27日閲覧。
- 1 2 “The Cusp of Magic”. Nonesuch Records. 2026年10月27日閲覧。
- ↑ Simon Harper. “‘Baba O’Riley’: The Story Behind The Who’s Classic Song”. uDiscover Music. 2026年10月27日閲覧。
- ↑ テリー・ライリー、日本人映像作家寒川裕人とのコラボレーション公演が決定!CDJournal(2014年10月)
- ↑ “Shri Camel”. IRCAM. 2026年10月27日閲覧。
- ↑ “Cadenza on the Night Plain”. IRCAM. 2026年10月27日閲覧。
- ↑ “Terry Riley — Works by date”. IRCAM. 2026年10月27日閲覧。
- ↑ “The Cusp of Magic”. IRCAM. 2026年10月27日閲覧。
参考資料
- Edward Strickland, "Terry Riley". Grove Music Online. (subscription access)
関連項目
- ミニマル・ミュージック
- ジョン・ケージ
- ジョン・クーリッジ・アダムズ
- フィリップ・グラス
- スティーヴ・ライヒ
- カーヴド・エア(このグループ名は、ライリーの作品名「A Rainbow in Curved Air」から採られた)
- シュトックハウゼン
外部リンク
- Terry Riley's home page
- Terry Riley / テリー・ライリー - twitter
- Otherminds.org score of In C
- Interview with Terry Riley
- NewMusicBox: Terry Riley in conversation with Frank J. Oteri, 2000
- Epitonic.com: Terry Riley featuring tracks from The Book of Abbeyozzud and The Light of Foresight (with Rova)
- Art of the States: Terry Riley In C (1964)
- Terry Rileyの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- SUPER VISION