ロジシャン

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ロジシャン[1][注 1]
欧字表記 Logician[6]
品種 サラブレッド[7]
性別 牡[6]
毛色 粕毛[1][6]ないし芦毛[8][7][9]
生誕 2016年3月29日(8歳)[6]
父 Frankel[6]
母 Scuffle[6]
母の父 Daylami[6]
生国 イギリスの旗 イギリス[6]
生産者 ジュドモントファーム[6]
馬主 ハーリド・ビン・アブドゥッラー[6]
調教師 ジョン・ゴスデン(イギリスの旗 イギリス)[6]
競走成績
生涯成績 9戦6勝
獲得賞金 £529,036[6]
勝ち鞍
GI英セントレジャー2019年
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ロジシャン[1](英:Logician[6])は、イギリスの競走馬。主な勝ち鞍は2019年の英セントレジャー(GI)。

血統背景

母のScuffleはイギリスで10戦3勝、ステークス競走ではリステッド競走スノードロップ牝馬ステークス(Snowdrop Fillies' S)3着の成績がある[10]。祖母Tantinaはイギリスで5戦4勝、うちセプターステークス(Sceptre S)などリステッド競走2勝[11][12]。3代母Didinaはイギリスとアメリカで走り13戦5勝、アメリカでG2ダリアハンデキャップ(Dahlia H)優勝、G1ゲイムリーハンデキャップ3着などがある[13]。5代母のMonroeは1980年にアイルランドでG3バリオーガンステークス(Ballyogan S)に勝った馬で、ジュドモントファーム創設時の基礎牝馬である[12]。

祖母Tantinaの産駒(すなわち本馬の叔父にあたる)には、2012年にG1ドバイデューティフリー(UAE・芝1800メートル)を制し、イギリスG1クイーンエリザベス2世ステークス、フランスG1ジャック・ル・マロワ賞、香港G1香港マイル、イタリアG1ヴィットーリオ・ディ・カープア賞で2着になるなど、1マイル(約1609メートル)路線で活躍したCityscapeがいる[14][12]。同じく祖母の産駒Bated Breathは5ハロン(約1005メートル)のG2テンプルステークス(Temple S)に勝ち、G1キングズスタンドステークス(5ハロン)、G1ジュライカップ(6ハロン)、G1スプリントカップ(6ハロン)、G1ニアークティックステークス(6ハロン)で2着になった[15][12]。

また、父馬のフランケルも専ら1マイルで活躍をした競走馬であり、こうした血統背景から本馬の長距離適性について疑問視する声もあった[12][16]。

粕毛か芦毛か

生産者であるジュドモントファームは、本馬の毛色を「roan」すなわち粕毛としている[17]。英国の競馬メディアであるレーシング・ポストや日本中央競馬会(JRA)の子会社JRA-VANでも、本馬の毛色を「roan」(粕毛)に分類している[6][1]。ケニアのメディアDaily Nationでは、本馬について「あまり馴染みがない粕毛馬」(Logician 5-6 favourite, is an unfamiliar roan colour)と紹介している[18]。

一方、国際競馬統括機関連盟や、ジョッキークラブの公式血統サイトであるequineline.com、デイリーレーシングフォームや全米サラブレッド競馬協会などの公式情報サプライヤーであるEQUIBASEでは、本馬を「gray」すなわち芦毛としている[9][8][7]。

米国で粕毛馬に関する啓蒙活動を展開する全米粕毛馬協会(American Roan Horse Association)は粕毛の特徴について「芦毛とは異なり、歳を取るにつれて毛色が次第に明るくなっていくことはない」としている[19]。日本中央競馬会(JRA)も「芦毛との違いは、白毛の生じる部位が限定されること、年齢に関係なく当歳時から色合いの変わらないことである」としている[20]。いずれにせよ、日本国内ではサラブレッドの公式登録を管理する公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルがサラブレッドの毛色を8種類に分類しており、その中には「粕毛」がない[21]。

戦績

3歳(2019年)

ロジシャンは3歳春にデビュー[1]、5月に未勝利戦(1マイル2ハロン=約2011メートル)、6月に条件戦(1マイル2ハロン=約2011メートル)、7月にハンデ戦(1マイル4ハロン=約2414メートル)と3連勝した[6][22]。

8月21日には、ヨーク競馬場の真夏の「イボア開催」で、G2グレートヴォルティジュールステークス(Great Voltigeur S・1マイル3ハロン188ヤード=約2385メートル)に出走、1馬身3/4差をつけて勝ち、デビュー以来無敗の4連勝とした[23][24]。

グレートヴォルティジュールステークスは、クラシック三冠戦の最終戦セントレジャーステークス(14ハロン115ヤード=約2921メートル)の前哨戦であり、これに勝ったことでロジシャンの距離適性についての議論が起きた。叔父のCityscapeやBated Breathが短距離で活躍し、父フランケルも1マイルから中距離を得意としていたことから1マイルぐらいを得意とするだろうという者がいたり、フランケル産駒は10ハロンの中距離を中心に活躍していることや半姉Suffusedがアメリカで15.5ハロン(約3118メートル)の競走に勝っていることを引き合いにだして、ロジシャンもこの長距離をこなせるだろうという者もいた[16][25]。

ロジシャンの次の出走競走の候補は、9月14日のG1セントレジャーステークス(2921メートル)と、9月15日のフランスG2ニエル賞(2400メートル)とがあった[25]。距離延長となるセントレジャーステークスに挑むか、実績のある2400メートル戦のニエル賞を経由して凱旋門賞を目指すのか、あるいは2017年のクラックスマンのようにニエル賞からチャンピオンステークス(2004メートル)へ向かうのか、管理するジョン・ゴスデン調教師や主戦騎手のランフランコ・デットーリ、馬主のハーリド・ビン・アブドゥッラーの代理人であるグリムソープ男爵(Edward Beckett, 5th Baron Grimthorpe)らは、「いろいろな選択肢があり、10日ほど考える」と述べた[25][16][23]。

結局、ゴスデン調教師はセントレジャー挑戦を表明した。これには、同厩のエネイブルが凱旋門賞で史上初となる3連覇に挑むこととの兼ね合いもあったとも伝わる[25]。セントレジャーは2017年・2018年とエイダン・オブライエン調教師の管理馬が優勝しており、こちらも3連覇をかけて3頭を送り込んできた[26][注 2]。

グレートヴォルティジュールステークスが行われる前の時点では、各馬券業者のセントレジャーの前売り馬券でのロジシャンの倍率は概ね8対1(9.0倍)で2番手の評価だった[22]。しかし、グレートヴォルティジュールステークスの勝ちっぷりから、セントレジャーの本命とみられるようになった[28]。レース当日までに、ロジシャンの単勝倍率は5対6(約1.83倍)と「圧倒的」な本命となった[29]。一方、イギリスのブックメーカーの最大手ウィリアムヒルは30対1(31.0倍)の賭け率をつけた[30][注 3]。2番手評価はセントレジャー2着だったキャメロットを父に持つサードラゴネット(Sir Dragone)で、倍率は11対4(3.75倍)である[27][16]。

後方待機から直線で外埒沿いに進路を取ると、一気の追い込みを決めてレコード勝ちし、無傷の5連勝でのG1制覇を達成した。その圧巻の走りに、ドンカスター競馬場に集まった3万人の観衆は大喝采を浴びせた。鞍上のランフランコ・デットーリは英セントレジャー6勝目で、年間G1・15勝目。ジョン・ゴスデン調教師は年間G1・12勝目となった[31]。

同厩舎・同馬主で同じくデットーリが主戦を務めるエネイブルとの兼ね合いもあり、凱旋門賞には向かわず3歳シーズンを終えることになった。ゴスデン師は本来12ハロン向きであると評価し、翌年は12ハロン路線を歩ませるプランを明かした[32]。

4歳(2020年)

2019年シーズン終了後に重篤な腹膜炎を発症したことで長期休養を余儀なくされた。2020年9月20日のドンカスター競馬場の10ハロンの条件戦で1年ぶりに復帰し、2頭立ての競走を7馬身差で勝利した[33][34]。10月9日、ヨーク競馬場のG3カンバーランドロッジステークスに出走するが、勝ち馬から10馬身弱離された4頭立ての4着に敗れ、デビューからの連勝が止まった[35][34]。

5歳(2021年)

2021年5月15日のアストンパークステークス(G3)で復帰したが3着。6月26日のフレッドアーチャーステークス2着を最後に現役を引退した。引退後は障害用の種牡馬としてイギリスのシェイドオークスタッドに繋養される[36] 。

競走成績

以下の内容は、Racing Post[6]の情報に基づく。

出走日競馬場競走名格距離着順騎手着差1着(2着)馬
2019.5.17ニューベリー未勝利芝10f 1着K.オニール2馬身(High Commissioner)
6.21ニューマーケット条件戦芝10f 1着R.ハヴリン1馬身3/4(Away He Goes)
7.4ニューベリーハンデキャップ競走芝12f 1着L.デットーリ4馬身1/2(Natty Night)
8.21ヨークグレートヴォルティジュールステークスG2芝12f 1着L.デットーリ1馬身3/4(Constantinople)
9.14ドンカスター英セントレジャーG1芝14.5f 1着L.デットーリ2馬身1/4(Sir Ron Priestley)
2020.9.10ドンカスター条件戦芝10f 1着L.デットーリ7馬身(Mythical Magic)
10.9ヨークカンバーランドロッジステークスG3芝12f 4着M.ハーレー9馬身3/4Euchen Glen
  • 競走成績は2020年10月9日現在

血統表

ロジシャンの血統(血統表の出典)[8][37]
        *Northern Dancer *Nearctic
  *Natalma
  Sadler's Wells *Fairy Bridge *Bold Reason
Galileo   *Special
    *Miswaki *Mr. Prospector
  1998 鹿毛 IRE   *Hopespringseternal
  Urban Sea *Allegretta *Lombard
Frankel       *Anatevka
      Danehill *Danzig *Northern Dancer
    *Pas de Nom
2008 鹿毛 GB   * デインヒル *Razyana *His Majesty
Kind   *Spring Adieu
      *Rainbow Quest *Blushing Groom
  2001 鹿毛 IRE   *I Will Follow
  Rainbow Lake *Rockfest *Stage Door Johnny
      *Rock Garden II
        *Mill Reef *Never Bend
  *Milan Mill
  Doyoun *Dumka *Kashmir II
Daylami   *Faizebad
    *Miswaki *Mr. Prospector
  1994 芦/粕毛 IRE   *Hopespringseternal
  Daltawa *Damana *クリスタルパレス
Scuffle       *Denia
      *Mr. Prospector *Raise a Native
    *Gold Digger
2005 芦毛 GB   Distant View *Seven Springs *Irish River
Tantina   *La Trinite
      *Nashwan *Blushing Groom
  2000 栗毛 USA   *Height of Fashion
  Didina *Didicoy *Danzig
      *Monroe
父系  
母系ファミリーナンバー:8-f(出典)[38]
5代内の近親交配Miswaki4×4=12.50%、Mr. Prospector5×4×5=12.50%、Northern Dancer4×5=9.38%、Danzig4×5=9.38%、Blushing Groom5×5=6.25%、(出典)[8]
上記血統表中、4桁の数字は生年を表す。国名は生産国を表す。「*」は日本へ輸入された馬を示す。太字は近親交配が行われていることを示す。
  • 母Scuffleもアブドゥッラー殿下の所有馬で、現役時代はロジャー・チャールトン厩舎に所属し、通算10戦3勝の成績を残している[39]。
  • 半兄Suffused(父Champs Elysees)は米国でG3を2勝している[40]。

脚注

注釈

  1. ↑ 日本国内で「ロジシャン」と馬名登録された競走馬は過去にあり、1994年生まれのフランス産馬(1997年から1998年に日本国内で8戦0勝。父馬はロイヤルアカデミーII)がいる[2]。世界にも同名馬が複数あり、そのうち1991年にニュージーランドで生まれたLogcian(父馬Lord Ballina[3])はオーストラリアやニュージーランドの障害競走で10年間に67戦9勝、当時のオーストラリア障害界のチャンピオン級の1頭とみなされていた[4][5]。
  2. ↑ サードラゴネット(Sir Dragonet、11対4(3.75倍))、イルパラディソ(Il Paradiso、8対1(9.0倍))、ウェスタンオーストラリア(Western Australia、50対1(51.0倍))の3頭[27]。
  3. ↑ ウィリアムヒルはセントレジャーステークスの公式スポンサーである。

出典

  1. 1 2 3 4 5 JRA-VAN、競馬データ、ロジシャン。2019年9月18日閲覧。
  2. ↑ 日本軽種馬協会、JBIS-Search、ロジシャン(FR) 基本情報。2019年9月18日閲覧。
  3. ↑ Equibase Company LLC.、EQUIBASE、Logician (NZ) statistics。2019年9月18日閲覧。
  4. ↑ デイリー・テレグラフ、2001年2月3日付、Logician Gold Cup dream lives on。2019年9月18日閲覧。
  5. ↑ Nick Mordin、“Betting for a Living”、Aesculus Press Ltd,、2002年。ISBN 978-1904328087。64-65ページ。Google Books版。
  6. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 “Logician”. Racing post. 2019年9月17日閲覧。
  7. 1 2 3 Equibase Company LLC.、EQUIBASE、Logician (GB)。2019年9月18日閲覧。
  8. 1 2 3 4 ジョッキークラブ、The Jockey Club Information Systems, Inc、equineline.com、Logician (GB)。2019年9月18日閲覧。
  9. 1 2 国際競馬統括機関連盟、Racing - Race Detail、William Hill St Leger S.。2019年9月18日閲覧。
  10. ↑ 日本軽種馬協会、JBIS-Search、Scuffle(GB)) 基本情報。2019年9月18日閲覧。
  11. ↑ 日本軽種馬協会、JBIS-Search、Tantina(USA) 基本情報。2019年9月18日閲覧。
  12. 1 2 3 4 5 レーシング・ポスト、2019年9月14日付、Logician seals a superb St Leger meeting for versatile granddam Tantina。2019年9月18日閲覧。
  13. ↑ 日本軽種馬協会、JBIS-Search、Didina(GB) 基本情報。2019年9月18日閲覧。
  14. ↑ 日本軽種馬協会、JBIS-Search、Cityscape(GB) 基本情報。2019年9月18日閲覧。
  15. ↑ 日本軽種馬協会、JBIS-Search、Bated Breath(GB) 基本情報。2019年9月18日閲覧。
  16. 1 2 3 4 レーシング・ポスト、2019年9月14日付、Who will stay the St Leger trip? Pedigree guide to the Doncaster Classic。2019年9月18日閲覧。
  17. ↑ @JuddmonteFarms (2019年9月14日). "Logician (pictured as a lovely roan yearling!) is the second St Leger winner in Prince Khalid's colours. Toulon was the first in 1991". X(旧Twitter)より2019年9月18日閲覧。
  18. ↑ Daily Nation、2019年9月15日付、Logician confirms status as market leader in Doncaster St Leger。2019年9月18日閲覧。
  19. ↑ “What is a Roan?”. American Roan Horse Association. 2019年9月27日閲覧。
  20. ↑ “粕毛(競馬用語辞典)”. JRA. 2019年9月27日閲覧。
  21. ↑ 公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル馬の毛色と特徴−毛色。2019年9月18日閲覧。
  22. 1 2 Racing TV、2019年8月20日付、Great Voltigeur Stakes: Logician aiming to extend unbeaten run。2019年9月18日閲覧。
  23. 1 2 JRA-VAN、海外競馬ニュース、2019年8月22日付、英G2グレートヴォルティジュールS、ロジシャンが無敗で重賞制覇。2019年9月18日閲覧。
  24. ↑ Racing.com、RacingPost配信、2019年8月22日付、Logician dazzles in Great Voltigeur。2019年9月18日閲覧。
  25. 1 2 3 4 Sporting Life、2019年9月3日付、Autumnwatch: Talking points | Enable, Logician, Japan and more。2019年9月18日閲覧。
  26. ↑ JRA-VAN、海外競馬ニュース、2019年9月10日付、英セントレジャー、無敗馬ロジシャン対オブライエン勢の構図に。2019年9月18日閲覧。
  27. 1 2 レーシング・ポスト、2019年9月14日付、William Hill St Leger Stakes (Group 1)。2019年9月19日閲覧。
  28. ↑ Racing TV、2019年9月9日付、Hot favourite Logician firmly on course for St Leger。2019年9月18日閲覧。
  29. ↑ レーシング・ポスト、2019年9月14日付、Frankie Dettori and John Gosden raise another Leger cheer with Logician。2019年9月18日閲覧。
  30. ↑ ザ・サン、2019年9月14日付、Logician – Horse racing special odds: 30/1 to win St Leger 2019。2019年9月18日閲覧。
  31. ↑ David Carr (2019年9月14日). “Frankie Dettori and John Gosden raise another Leger cheer with Logician”. BBC. 2019年9月18日閲覧。
  32. ↑ “ロジシャンがG1英セントレジャー制覇、コースレコードで無傷の5連勝”. JRA-VAN ver. World (2019年9月15日). 2019年7月15日閲覧。
  33. ↑ レーシング・ポスト、2020 Sky Sports Racing Sky 415 Conditions Stakes。2021年5月11日閲覧。
  34. 1 2 JRA-VAN、ニュース、2020年10月10日付、ロジシャンが初黒星、英G3カンバーランドロッジSでまさかの最下位。2021年5月11日閲覧。
  35. ↑ “【海外競馬】無傷セントレジャー覇者ロジシャンが4頭立て4着で初敗戦/英G3・カンバーランドロッジS”. netkeiba.com. 2020年10月10日閲覧。
  36. ↑ “ロジシャンの引退が決定、障害用の種牡馬に転身”. JRA-VAN (2021年8月4日). 2021年8月4日閲覧。
  37. ↑ 日本軽種馬協会、JBIS(Japan Bloodstock Information System)、Scuffle(GB)血統情報、2019年9月23日閲覧。
  38. ↑ 日本軽種馬協会、JBIS(Japan Bloodstock Information System)、Scuffle(GB)血統情報、2019年9月23日閲覧。
  39. ↑ “Scuffle”. Racing Post. 2019年9月18日閲覧。
  40. ↑ “Suffused”. Racing Post. 2019年9月18日閲覧。

外部リンク