いぬづか ひろし
犬塚 弘
本名 犬塚 弘(ひろむ)
別名義 ワンちゃん
生年月日 (1929-03-23) 1929年3月23日
没年月日 (2023-10-26) 2023年10月26日(94歳没)
出生地 東京府荏原郡大森町(現・東京都大田区大森)
死没地 静岡県熱海市の病院[1]
身長 179cm
職業 俳優
コメディアン
ベーシスト
活動期間 1955年 - 2023年
配偶者 死別
主な作品
映画
『ハナ肇の馬鹿シリーズ』
『男はつらいよ』シリーズ
バラエティー番組
『クレージーキャッツショー』
『8時だョ!出発進行』
受賞
TAMA映画祭
最優秀作品賞

2012年『この空の花 長岡花火物語』
2020年『海辺の映画館―キネマの玉手箱』
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犬塚 弘(いぬづか ひろし、本名;犬塚 弘〈いぬづか ひろむ〉、1929年〈昭和4年〉3月23日 - 2023年〈令和5年〉10月26日[2])は、日本の俳優、ベーシスト。

コミックバンド「ハナ肇とクレージーキャッツ」で最後まで存命だった人物で、昭和・平成・令和時代と3代にわたって存命していた唯一のメンバーだった[3]。最終所属は境事務所。

略歴

東京府荏原郡大森町(現・東京都大田区大森)生まれ。生家は代々の裁判官の家系であり、江戸っ子の16代目にあたるという[4]。また、元は徳川家康と共に三河から江戸へ出てきた直参の旗本の家柄で、祖父の代まで十数代にわたり現在の第一ホテル東京本館の一帯に居を構えていた大地主だったともいう[5]。

父・登(1894〜1983)が貿易商で海外勤務が多かったことからジャズやハワイアンのレコードに親しみ、音楽への興味を育まれる。暁星中学校、陸軍飛行学校[注釈 1]を経て、1949年、文化学院社会学部を卒業。在学中は羽仁五郎、神近市子、仁戸田六三郎らの教えを受けた。貿易業をしていた父親の友人であるアメリカ人の紹介で、当時進駐軍の統計調査をしていたIBMに入社するが、その紹介者が帰国した直後、2年で退社。職場のアメリカ人たちからいじめを受けたのが直接の理由だという[4]。

IBM退社後、1951年、兄が作ったハワイアンバンドグリーン・グラス・キャップ・ボーイズに参加[5]。このとき、兄から「背が高いからベースをやれ」と言われ、そのままベースを受け持った[5]。このとき、真面目な性格ゆえ日本フィルハーモニー交響楽団の指揮者に基礎から個人レッスンを受けた[5]。ジャズベースでボウイングをする変り種になったのはこのためである。

1952年、シックス・レモンズの与田輝雄の誘いで萩原哲晶とデューク・オクテットに参加。モダンジャズを演奏するようになる[5]。しかし当時のジャズのしかつめらしさになじめないものを感じ[5]、そのころ楽屋にたびたび遊びに来ていたハナ肇の誘いでクレージーキャッツの前身である「ハナ肇とキューバン・キャッツ」の結成に参加(1955年4月1日)。ウッドベースを担当。

その後、クレージーの一員としてテレビや映画などに出演する一方、植木等、ハナ肇、谷啓に次ぐ『第4の男』として大映などで主演作も撮られた。しかし、「基本的にドタバタが好きじゃない」と話し、1970年以降、喜劇以外への出演が多くなり、宇野重吉、木村光一などから演劇を教わっていくにつれ演劇に没頭。当時の事務所である渡辺プロダクションからの移籍を考えるようになる。10回目の交渉で現在の事務所への移籍が認められ、1986年に渡辺プロを退社。その際、渡辺プロの渡邊晋社長(当時)からは「つらかったら戻ってこいよ」と言われたという。また渡辺プロ創立50周年の記念パーティーには、植木等の強い誘いもあって出席している。

谷啓とは下戸という共通点から、特に親しかった。他のメンバーが夜の街に繰り出してしまうと、残った二人でトランプやコントのネタ作りなどをして過ごした。久しぶりに会っても目を合わせただけで、すべてが分かる仲だったという。没後のお別れ会では、弔辞を朗読している。

暁星中学の一学年先輩でもある石橋エータローが退団し得意の料理の道に進んだ際も「オイ、水を得た魚だな」と激励をしたり、最年少の安田伸を必ず「僕と安さん」と敬意を評した。桜井センリに対しても同様に「バンドマンの給与が月平均4万円の頃桜井さんは18万円だったが誰からも揶揄されなかった」と絶賛している。植木等の死去に関して「今どき80歳なんて早すぎます」とコメント。記憶力が低下した谷啓に対しても自ら文字板を持ってキャメラの後ろに立ったり、ハナ肇には『シャボン玉ホリデー』の本番でいきなり本名=弘(ヒロム)と呼ばれた事に立腹しつつ1980年に自宅にハナ肇からクレージーキャッツ結成25周年記念の花束が届いた事に「定夫のバカヤロウ、余計な事しやがって」とハナ肇に電話し、お互いに泣き合ったという逸話がある。

『シャボン玉ホリデー』のエンディングで『スターダスト』のギターを弾く男のシルエットは本人である[7]。

メソッド演技で挑んだ『馬鹿が戦車でやって来る』の兵六が火の見櫓に登る場面や兵六のセルフパロディである高い場所が好きな『クレージー大作戦』の陣十郎(ジンベス)がロープ一本で宙吊りされる場面、『クレージーのぶちゃむくれ大発見』の私立探偵=犬丸が遊園地観覧車の梯子に登るスタント等を自ら演じている。

2012年11月、ピアニストの桜井センリが他界したことにより、クレージーキャッツのメンバーで最後の存命者となった[8][9]。

ミュージシャンとしてだけでなく、俳優としても地位を確立して大ベテランと言われる年齢を超えても活動していたが、2015年ごろに妻が亡くなり、自身も90歳を迎えて脊柱管狭窄症などを患った影響で体が思うように動かなくなったとして2020年公開の映画『海辺の映画館―キネマの玉手箱』(大林宣彦監督)を最後に俳優を引退する意思を明らかにした。しかしながら、これはあくまでも俳優としての引退であり、芸能人、コメディアン、クレージー・キャッツとしての引退は否定している[10]。

なお、2019年当時は静岡県熱海市のシニアマンションにて隠居生活を送っていた[10]。

2020年1月には週刊女性のインタビューに回答している[11]。

2023年10月27日、静岡県熱海市内の病院にて94歳で亡くなったことが報道された[12]。数か月前から体調を崩し入院していた。これにより、クレージーキャッツのメンバー全員がこの世を去った。同年、第65回日本レコード大賞特別功労賞を受賞した[13]。

家系

司法省中解部(現在の裁判官)の犬塚重遠は父方の祖父。歌人の原阿佐緒は母のいとこ[注釈 2]。菅原文太も母方の親戚で、弘の又いとこにあたる[15]。母方の祖父は南画家の土屋漁洋(1876年 - 1946年)[16]。

出演

※ 太字は役名

映画

主演作品

東宝クレイジーシリーズ

馬鹿シリーズ

喜劇一発シリーズ

男はつらいよシリーズ

その他

テレビ

ドラマ

バラエティ・教養番組ほか

吹き替え

その他

舞台

著書

佐藤利明との共著。同年の東京新聞夕刊の連載「この道 犬塚弘 最後のクレイジー」に大幅加筆したもの。

演じた俳優

関連項目

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ↑ 犬塚と潮健児、丹波哲郎の3人が陸軍飛行学校の出身であり、潮は「同じ飛行学校に、将来芸能界に進む人間が三人もいた、などというのも考えるとちょっと不思議です」と述べている[6]。
  2. ↑ 「母方の叔父に俳優座の原保美さんがいましてね」と語っているが、母のいとこの子は本来「はとこ」と呼ばれる[14]。

出典

  1. ↑ クレージーキャッツ・犬塚弘さん死去、94歳…山田洋次監督「遂にワンちゃんもか」
  2. ↑ “フジテレビ港浩一社長、クレイジーキャッツ犬塚弘さんの訃報を会見中に知って“アッと驚く””. 日刊スポーツ (2023年10月27日). 2023年10月28日閲覧。
  3. ↑ “犬塚弘さんの実直さ感じた電話の沈黙 クレージー前身バンド盟友と過ごした夜に見せた素顔 記者が語る”. デイリースポーツ online (株式会社デイリースポーツ). (2023年10月31日) 2023年11月5日閲覧。
  4. 1 2 『シャボン玉ホリデー スターダストを、もう一度』 五歩一勇 (日本テレビ放送網、1995年)p.76・84
  5. 1 2 3 4 5 6 『THE OFFICIAL CRAZY CATS GRAFFITI』(エディシオン・トレヴィル、2007年)p.318
  6. ↑ 潮健児『星を喰った男』 (BANDAI,1993年刊) p.73-p.74
  7. ↑ 歌と歌手にまつわる話(58) ホーギー・カーマイケルの伴奏でStardust JAZZにまつわる話
  8. ↑ 「孤独死」桜井センリさん 人とのかかわり得意ではなかった NEWS POSTSEVEN 2012年11月17日付
  9. ↑ 桜井センリさん ひっそりと天国に 日刊スポーツ 2012年11月13日閲覧
  10. 1 2 “90歳の犬塚弘、俳優卒業宣言「頭も口も大丈夫だけど下半身が駄目」”. サンケイスポーツ. 産業経済新聞社: pp. 1-2. (2019年10月2日) 2019年10月2日閲覧。
  11. ↑ https://www.jprime.jp/articles/-/17064
  12. ↑ 犬塚弘さんが死去、94歳 クレージーキャッツ元メンバー、哀愁漂う演技も 産経新聞 2023年10月27日
  13. ↑ “伊集院静さん、『日本レコード大賞』特別功労賞受賞 訃報を受け…記者会見で追加発表”. ORICON NEWS. 株式会社oricon ME (2023年12月6日). 2023年12月6日閲覧。
  14. ↑ 山下勝利『ハナ肇とクレージーキャッツ物語』p.114
  15. ↑ 『最後のクレイジー犬塚弘』p.185-186
  16. ↑ 『最後のクレイジー犬塚弘』p.177
  17. ↑ “熟レンジャー|ストーリー|キャスト|スタッフ”. www.jyuku-ranger.jp. 2019年10月13日閲覧。
  18. ↑ 海老名香葉子が発表した作品とは無関係。

外部リンク

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