概要
歌川広重 名所浮世絵揃物『東海道五十三次之内 四日市 三重川』
2人の旅人が描かれているが、右にいる蓑笠[注 5]の男は風に逆らって歩き、左の男は強風で飛ばされた笠を慌てて追いかけている。
笠の材質は檜板・竹・藺草・菅製で、塗笠は、檜や杉の板材を薄く剥いだ「へぎ板」に和紙を貼って漆を塗って作成した物で、平安時代末期には主に老女が使用し、江戸時代初期には若い女性が使用した。
一方、陣笠は、竹で網代を組んで和紙を貼り、墨で染めて柿渋を塗って作成したものである[12]。刃や飛来する矢などから身を守る防具であり、手に持って盾として使用することもあった。
また、それとは別に戦国時代から足軽・雑兵などの農民兵に貸与・支給されていた防具・代用兜。はじめは煮締めた皮革の裏側に「筋金()[注 6]」と呼ばれる鍛鉄製の骨板を渡し漆をかけた陣笠を使っていたが、鉄砲普及後に総鍛鉄製のものに取って代わられた。鍛鉄製板を切り抜き、笠状に整形して防水用に漆をかけるだけの工程のため、通常の兜を作るよりもはるかに手間と費用がかからない。装着時には通常吸汗とクッションとして手ぬぐいなどの布を折りたたんで頭との間に敷いた。また日よけ・雨風よけや虫除け、首筋への矢除けに垂れ布を市女笠の虫の垂衣のように視界のある前方以外に垂らすこともあった。
「具足剣術」と呼ばれる鎧を着込んで行う剣術の一部には手盾として使われる使用法も残っている。『海国兵談』には、牛皮を用いて笠の形にして、手の甲・手首を守る形の手盾として、「牛皮楯」の記述・絵図があり、オランダ・中国が用いた戦法として紹介されている[注 7]。
防具のほか、野営での調理の際にはよく洗った鍛鉄製陣笠を大鍋として用い、味噌玉を溶かして芋がら縄など食材を入れ、3~4人分の陣中食[注 8]を用意するといった使われ方もした[13][14][15]。
笠紋
家紋としての被り笠(総称)は、笠(かさ)といい[1]、笠紋()ともいう。
現代でも地鎮祭で見られるように、天上から神を迎えるに当たって清浄な神域を生み出すべく四方に“竹を立てる”儀礼があり、これに由来して、神職の間で笠紋が普及していった。「一蓋笠/一階笠」ともいう基本図案の「笠」を始めとして、二蓋笠/二階笠[注 39]、三蓋笠/三階笠、三つ寄せ笠、頭合わせ三つ笠、五つ市女笠、建部笠、神宮笠、丸に笠、丸に陣笠、丸に切り竹笹に笠、丸に変わり切り竹笹に笠、中輪に房付き笠、中輪に房付き二蓋笠/中輪に房付き二階笠、ほか、種類は多い。
- 一蓋笠/一階笠()
- 市女笠を図案化した家紋。笠紋の代表紋で、笠紋の多くはこれを基本図案としている。普通は単に「笠」といい[58]、他と区別する際に助数詞「蓋()」を用いて「一蓋笠」といい、「蓋()」が「階()」に転じて「一階笠」ともいう。
- 二蓋笠/二階笠()
- 横並び2蓋の市女笠。もしくは、縦に2蓋重ねた市女笠。最も有名なのは前者にあたる柳生笠。
- 柳生笠()
- 大和柳生家の替紋の一つ。二蓋笠/二階笠の代表であることから、その名でも呼ばれる。
- 三蓋笠/三階笠()
- 縦に3蓋重ねた市女笠。
- 頭合わせ笠()
- 頂を合わせた3蓋の市女笠。
- 三つ寄せ笠()
- 内側を合わせた3蓋の笠。笠の種類は市女笠。変わり三つ寄せ笠では、笠の種類が花笠になる。
- 五つ市女笠()
- 頂を合わせた5蓋の市女笠。咲いた花のような図形をなす。
- 丸に笠()
- 丸[注 40]に収めた市女笠。
- 井桁に笠()
- 井桁に収めた市女笠。
- 花笠()
- 花笠を図案化した家紋。
- 編笠()
- 編笠を図案化した家紋。
- 陣笠()
- 陣笠を図案化した家紋。
- 足軽笠()
- 陣笠の一種である足軽笠を図案化した家紋。
- 唐人笠()
- 唐人笠を図案化した家紋。
- 深被り笠()
- 深被り笠を図案化した家紋。
脚注
注釈
- ↑ 上からかぶせる覆いや蓋を数える。笠または笠状のものを数える[6][10]。
- ↑ 文化財に限る。
- ↑ 「電灯の笠」「ランプの笠」など[1]。
- ↑ 「一蓋笠」「二蓋笠」など。「一階笠」「二階笠」の「階」は当て字。
- ↑ 蓑と笠。また、それらを着用した姿。
- ↑ または骨板金()、骨板()、骨金()。
- ↑ 足軽の持物でも手軽に作れる。
- ↑ この場合は味噌汁および汁かけ飯・または味噌汁と一緒に穀類を煮込んだ雑炊。
- ↑ 寛元2年〈1244年〉頃に成立。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 三夏の季語。
- ↑ 綾の組織にならって編む。
- 1 2 髻()を入れて固定できるようになっている突出部。
- ↑ 田楽を踊る法師。
- ↑ 保安元年〈1120年〉頃成立か。
- ↑ 第二次世界大戦前。
- ↑ 藺草()
- ↑ 延長5年〈927年〉成立。
- ↑ 解釈例:照り渡る難波の菅で作った笠を着けもせずに置いて古びさせてしまった。後で誰かが被る笠というのでもないのに。
- ↑ 旧福岡町。
- ↑ 建保4年〈1216年〉頃か。
- ↑ 建長6年〈1254年〉成立。
- ↑ 永正元年〈1504年〉刊。
- ↑ 近江国甲賀郡水口
- ↑ 1655-1684年。
- ↑ 寛永15年〈1638年〉刊。
- ↑ 元禄7年〈1694年〉刊。
- ↑ 1736-1741年。
- ↑ 全て男性。
- ↑ 小正月行事。
- ↑ つまり、塗笠にしている。
- ↑ 大名行列など。
- ↑ 和紙を細長く裂いて小縒/紙縒()にしたもの。
- ↑ 四国八十八箇所霊場巡り。
- ↑ 擂鉢を伏せたような形の笠。
- ↑ 享保17年〈1732年〉頃刊行。
- ↑ 貞享元年〈1684年〉刊。
- ↑ 寛永15年〈1638年〉刊
- ↑ 天和3年〈1683年〉頃刊行
- ↑ 柳生笠に代表される。
- ↑ 太い環の図形
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