あらすじ
【聖都編】
フェンはさらわれたリムリアを救い出すため、ニキ・ヴァシュマールとともに村を出る。捜索の旅の中で占い師の少女ジュレや美青年の剣士クリシュナ、聖騎士ガルンなどといった仲間達と出逢い、やがて練法師(呪術使い)たちの組織≪聖華八門≫、そして≪八の聖刻≫に絡んだ神々の戦いという大きな運命に巻き込まれていく。
- 旋風の狩猟機 (かぜのしゅりょうき)〈1巻〉
ア・ハーン大陸中原、ダマスタ国の北はずれにあるカロウナ村に暮らす修行僧フェンは、父の遺した古操兵「ニキ・ヴァシュマール」を駆って外の世界に飛び出す事ばかり夢想する悪たれ小僧だった。
退屈ながら平穏な日々を送っていた収穫祭の夜、傭兵ガシュガルの操兵隊が村を襲い、〈獲物〉としてフェンの幼馴染でラマス教ソーブン寺官長の娘であるリムリアをさらい連れ去って行った。リムリアの父であり、フェンの師でもあるハラハ・ヴァルマーはリムリアの生い立ちについて語り、フェンにリムリアを守るよう依頼し「ニキ・ヴァシュマール」とともに旅立たせたのだった。
そのリムリアが連れていかれたのは、ダマスタの北にあるウルオゴナの首都デュラハーン。そこでリムリアは、自分をさらうようガシュガルに依頼した練法師《風の門》ゾマから自身の正体、16年前にウルオゴナに滅ぼされたホータン王家の唯一の生き残りであるリムリア・ラフト・メネス王女その人であることを教えられる。
ガシュガルの情報を追いながらフェンは立ち寄ったドウシャの街で、養母マサリエと死別したばかりのジュレ・ミィと出会う。2人で行った宿屋兼酒場でのいざこざを通じ、武者修行中のダマスタ国騎士で〈銀の貴公子〉として知られる美青年クリシュナ・ラプトゥとも知り合い、そこから行動を共にする。
フェン、クリシュナ、ジュレの3人は旅を続けるうちウルオゴナがダマスタ侵攻を計画していることを知り、それぞれの故郷(ジュレには故郷と言える場所が無いが)へと向かうのだが、その進路にある難所《風の巣》で練法師《火の門》バルサの襲撃を受ける。その戦いの中、それまでは全く普通の操兵だと思われてい「ニキ・ヴァシュマール」が覚醒、クリシュナの愛機アビ・ルーパに命じてジュレとともに避難させた後、ヴァシュマールとフェンは巨大な竜巻に巻き上げられ、大陸北部アレビスにあるカッチャラナ山まで飛ばされる。バルサの攻撃で重傷を負っていたフェンは、そこで聖刻騎士団前団長ラドウ・クランドに助けられる。
そこに聖刻騎士団南部方面隊《赤龍騎士団》所属の聖騎士ガルン・ストラがラドウの騎士団復帰を願ってやって来る。『ガルンが勝てば素直に山を下りる』との約束で毎日ラドウとガルンは決闘を重ねるものの、フェンとともに稽古を受けるようなものであった。何回目かの稽古の際、ラドウは背中に何者かの放った氷の刃を受け致命傷を負う。それを放ったのは、その日ガルンが一緒に連れて来た法王庁所属の派遣師ラモン・テグドスこと《水の門》シーターであった。ラドウは死の間際、ガルンに聖剣「プレ・ヴァースキン(龍の背びれ)」を譲り渡す。フェンとガルンの2人はシーターと戦って勝利するのだが…。
- 熱砂の貴公子 〈2巻〉
ウルオゴナとの戦いのため故国ダマスタに帰還したクリシュナであったが、宮廷内では権力争いばかりで民のことを考えない面々に失望し、親族内では祖父の拝金主義的な行動にも辟易するものの、祖父の用意した軍備で出陣する。
- 囚われの聖王女 〈3巻〉
- 黒衣の練法師 〈4巻〉
- 雷光の秘操兵 〈5巻〉
- 光風の快男児 〈6巻〉
【東方編】
フェン、ガルン、クリシュナ、ジュレの4人はガルンの故郷に足を踏み入れ…。
- 彷徨の三操兵〈1巻〉
- アグの大河 〈2巻〉
- 怨讐の呪操兵〈3巻〉
- 朔風の聖騎士〈4巻〉
- 聖刻教会の陰謀〈5巻〉
- 反逆の秘操兵 〈6巻〉
- 邂逅の聖巨神 〈7巻〉
【黒き僧正編】
東方西部地区のヒゼキアを中心にした動乱の物語。
クリシュナがフェンやジュレに対して抱いた劣等感から仲間を抜け、葛藤しながらアビ・アルタシャールに乗り、戦うことになる。
- 野望の蒼狼鬼
- 咆哮の貴公子
- 戦慄の黒太子
- 復活の黒僧正
- 紅蓮の練法師
- 宿縁の八聖者
操兵
先史文明の叡智で作られ、古来より大陸において巨大な武具として扱われてきた鋼の巨人。全身を鎧で覆った身長約2リート(8m)弱の機械巨人というのが一般的認識である。この世界では最強兵器として扱われており、各国ともその入手に血道を上げている。伝承によれば、かつては自らの意思で動き、その息吹で天地を鳴動させ、巨大な力で幾千もの軍勢を退けたと言う。しかし、その力を恐れた神によって魂を奪われ、今では人が乗らなければ動かない武具の類になってしまったという。技術の失伝や聖刻石の品質低下のため、現在作られる操兵は古代の遺物の劣化複製品がほとんどを占め、一部の例外を除き古代からの叡智を残す東方の聖刻教会(以下、東方)と西方の工呪会(以下、西方)の二つの組織でしか操兵は製作されていない。
機種で大別すると一般的な人型をした狩猟機、簡易版というべき従兵機、呪術増幅機能に特化した呪操兵の三種に分類される。その他格付けとしては従兵機に分類されるが、隠密行動に使用される隠行機や、矢を連射できる弩弓兵など目的に特化した機体が登場している。また先史文明によって製造された操兵は「古操兵」「秘操兵」と呼ばれ、現在の操兵の性能を上回る機体も多い。中には非常に強力で呪操兵と狩猟機の区別が無いものや既存の分類のいずれにも当てはまらない特殊な機能を持つものも存在する。
操兵が動く仕組みは、正確にははっきりしていない。心肺器や筋肉筒が欠損していたり、肩や膝といった可動機構が損壊していたり、極めつけには操手抜きでも動作する場合がまれにみられる。ただ、仮面あるいはそれに類する機体専用の聖刻が装着されていなければ決して動作しないことだけは確認されている。
東西の操兵の違い
両者の最大の違いは、操兵の魂と呼ぶべき仮面の質とそれに応じた機体の生産法ならびに納品までの時間である。
一般に東方製の仮面の方が強い聖刻力(マーナ)を放つ。装甲は小ぶりな装甲板を金具や紐で連結したもの(ラメラーアーマー)で、基本的に盾を持たない代わりに厚めの装甲になっている(これは東方操兵の特徴というよりは、反身の刀を両手で扱う剣術が東方の主流のためである)。西方製に比べて作りが雑で故障しがち(これは東方の鍛冶匠合の構造的問題に起因している)とも言われるが、製造元である聖刻教会が教義として暴利を得ることを否定していることから、西方製に比べて安価となっている。東方では機体の特定の特徴をさながら生物のように分類し、「○○種」というくくりで区分・発展させている。乗り降りは背中側のハッチから行う。
西方製の仮面から放たれる聖刻力は東方製に比べて劣るため、機体の構造を工夫することで性能を高めている。後述する新型従兵機「ル・グリップ」や従兵機の一種「弩弓兵」などが好例で「アビ・ルーパ」の様に空調機能を備えた機体すらある。製造期間も一年未満~数年と東方に比べて短い。また西方では「重操兵」「中操兵」「軽操兵」のように主に機体の体格と設計思想による機種区分もするようになった。工呪会製の操兵は、薄く打ち延ばした鉄板の装甲(プレートアーマー)で、装甲板同士の連結部が少ない事から、特に狩猟機は全般に細身でスマートな機体が多い。動きもなめらかで故障も少ない高級機とされるが、精密な反面華奢で組討ちは苦手とする。乗り降りのためのハッチは胸側に付く。
中原では東西両陣営からの輸入に頼るため、操兵はかなり貴重な存在である。価格が安いため中原でも運用されている機体は東方製が多い。中原の剣術は西方同様に片手剣と盾を持つものが主流らしく、東方製の機体でも盾を装備するなど西方風の外観・装備に改造されてい機体も多い。また乾燥地帯が多いため、大型の防塵フィルターを装着している機体もある。東方諸国と直接対峙してるシン国には工呪会が肩入れしており、中原では珍しくシンの操兵はほとんどが西方製である。
両者は敵対的関係にあるが、西方の模倣から東方が従兵機(弩弓兵)を製作したり、東方の模倣から西方が隠行機を製作するなど互いに影響を与えあっているのは事実である。しかし、一から呪操兵を作成する技術は、西方では失伝して久しい。
操兵概要
- 仮面
- 狩猟機、呪操兵は頭に、従兵機は殆どが胸に装着されている。
- 仮面は素焼き状の素材で作られており、表面と裏面に特殊な顔料(塗料)によって聖刻文字が文様に書かれている。その仮面に儀式によって加工された8種類の聖刻石を8個ずつ、縦・横8列ずつ均等に64個を仮面に埋め込み二天六大の力を導き出す。この配列で仮面に聖刻の意思が宿り仮面の能力が決まる。聖刻石の大きさや純度と種類、研磨技術、配列の組み合わせは数億とも数兆とも言われ同一の仮面は存在しない。
- 機体の定められた場所に仮面を固定する事で操兵は機体生命を得て、心肺機が稼動を始め自律的に制御される。また操手の意思を読み取り機体を動かす。仮面が機体制御と動力の源であり、仮面こそが操兵そのもともいえる。
- 機体は破損しても修理ができるが、仮面は割れてしまうと復旧は不可能で、装着されていた聖刻石は砂と化しその操兵は「死ぬ」。また、仮面に衝撃を受けると、人間の脳震盪に似た症状を起こして機体が操作不能に陥る事もある。このため接近戦を主体とする機体は、仮面の上に面覆いをつけて保護している場合が多い。操兵最大の急所である。
- 仮面の寿命は無限ではない。仮面の力は年を経ることに弱くなり、現在の機体の寿命はおよそ100年前後で仮面の寿命も100〜150年程度である。古代から伝わる古操兵に関しては、今なおこの範疇を越えて稼働しており、今後の寿命も極めて長久にわたるであろう操兵も少なくない(ただし休眠期間も含んでいる場合も多いため、実際の寿命は不明である)。また操兵としての起動時間が長いほど仮面の寿命も短くなるため、機体の起動時間は可能な限り短く収めるのが操兵運用における鉄則となっている。
- 仮面が機体に命を吹き込むというのは誇張ではなく、筋肉筒や血液等の生体部品が心肺機のような単純な循環器でも維持できるのは仮面の聖刻力の賜物である。仮面を取り付けなくても、機体の近くに仮面を置く事で機体の状態を維持する事も可能で、納屋に長期放置されていたヴァシュマールが整備も無しに稼働できたのは、機体の下の地面に仮面が埋めてあったためである。
- 仮面を失った機体と機体を失った仮面を組み合わせようとしても、多くの場合相性問題が発生する。特に狩猟機や呪操機のように格の高い仮面の場合は顕著で、正常に動くことの方が稀であるという。そのため機体のみが破壊された場合、残された仮面に合わせて機体を製造するという場合がままみられる。面齢と機齢が異なる操兵が存在するのはそれゆえである。
- 操兵の生産数が飛躍的に増大したがために聖刻石の需要が膨れ上がっている昨今では聖刻石の枯渇から仮面の質も年々下がらざるを得ず、鍛冶匠合総代ユジックの言によれば、五世紀前なら従兵機にしか使わないような聖刻石で狩猟機の仮面を製作しているとのこと。
- 「金剛石よりも希少」と称される聖刻石を64個も使用する仮面は、最強兵器のコア部品という面を除いたとしても、恐ろしく高価な財産となりうる。このため、戦果確認や誉だけでなく、戦利品としての面からも打ち倒した敵操兵の首級を取る習慣が生まれた。<狩猟機>という呼び名も相手の首を取る習慣から生まれたとされる。逆に、戦闘に敗北し機体を放棄する場合、可能であれば仮面を回収するように努めている。
- 仮面の意思
- 仮面には意思・自我のようなものが宿っている。通常の操兵ではこれらの意思は表に出ることは無く、操兵が操手と会話や意思疎通をする事は無い。また(古操兵などの特殊な例外を除き)、仮面が自らの意思で機体を動かす事も無い。しかし、操兵を操作する際に仮面の意思が介在する事は、操兵に係る者には半ば常識として認識されている。操手の多くは、操兵を操作する際にそこに居る何か(誰か)の存在を感じているし、操兵の好調・不調は操兵の機嫌のようなものに影響されることも知られている。
- 操兵は誰でも動かせる物ではなく、搭乗して正規の手順を踏んでも起動すらしなかったり、甚だしいときには苦痛を感じて機体を降りざるを得なくなることもある。これらは総じて「操兵に嫌われる」などと称されるが(現聖刻騎士団団将グラハが操兵に乗れないのはこのためである)、比喩でも何でもなく仮面の意思が「操手を嫌っている」、あるいは「操手に逆らっている」ためであり、苦痛を感じるのは仮面が操手の精神に干渉しているためである。狩猟機のように「格が高い」高性能な仮面ほどこの意思は強力で、操手にはこの仮面の意思をねじ伏せ、従わせる精神力が無ければ、操兵を思い通りに動かす事はできない。このため操手の間では「操兵は腕ではなく気合で乗る」とさえ言われている。
- こういった事例から、操兵を乗りこなすことは騎手と馬の関係にも喩えられており、「悍馬(気性の荒い馬)こそよく走る」の喩え同様に、潜在性能が高い操兵は操作が難しいと認識されている。実際に、聖刻騎士団正式騎も、前世代の正式騎(ワルサの乗るダイカーや、イスルギーンの乗るレイファーン)は、現世代の正式騎であるパイダーやシャトールと比べ、まさしく暴れ馬の如く操縦が難しい機体となっているが、乗りこなせれば現行騎以上の性能を発揮する(逆を言えば、現世代機は「大動乱」による聖騎士補充を容易とするため操縦性の向上と引き換えに故意にスペックを落としているといえる)。
- こうした操兵と操手の一種の力関係の一方で、乗りこなし心の通い合った愛機は、時にスペック以上の性能を出す事がある。操手が危機に陥ったときや高揚状態にあるとき、あるいは後述される「人機一体」のときにおいて、長年乗った愛機がいわゆる火事場の馬鹿力のように常識外れの性能を発揮する事例が見られ、このような点からも操兵がただの機械ではなく、意思・自我を持つ存在であることを覗わせている。
- この「操兵が好もしいと思う/思わない」基準は、はっきりしていない。操手の能力の高さ(あるいは低さ)や血筋などが関係している場合もあるものの、外見だったり、言動が影響していると思われることもある。したがって、たとえ話ではなく、操兵の前でその機体の悪口は口にしない方がよいとされる。
- 従兵機の仮面
- 狩猟機の簡易型である従兵機の仮面は、各段に「格が低い」ものの技術的には狩猟機の仮面と同様のものである。狩猟機のような「格の高い」仮面は、人型に近い姿であるなど自分が望む姿の機体でないと受け入れない(しかも、同型機でも他の仮面の機体は嫌がり起動しない)が、「格の低い」従兵機の仮面はこういった制限が緩く、頭が無く簡略化された機体でも受け入れ起動するとされる。
- 呪操兵の仮面
- 狩猟機や従兵機の仮面は八種の聖刻石を八個ずつ均等に使用するが、呪操兵の仮面は所属属性の聖刻石を重点使用するとも言われている。しかし、呪操兵の仮面の多くは製法も失伝した古代の発掘品であること、新規の仮面を作成できるのは聖刻教会のみであり、しかも一般に表に出る機体では無い事から、詳細は不明である。操兵の仮面と対になる操手用の仮面があり、この仮面で操作する。
- 特殊な仮面
- 《八の聖刻》であるヴァシュマールやハイダルの仮面には強烈な自我が宿っており、操手抜きで機体を動かすなど、あたかも真・聖刻の意思であるようにさえ見える。だが、強力ではあっても機体を制御する部品としての仮面に付与された自我に過ぎない。これは、ダム・ダーラのハイダルに対する態度の違いにも表れており、真・聖刻に対しては下僕としてへり降るが、仮面に対しては主として振る舞っている。《八の聖刻》の本体はあくまで真・聖刻であり、機体や仮面は従属物にすぎないのである。
- 古操兵ラジャス・カーラ・ギータの仮面には、かつての白き王の家臣達の意識が宿っている。この意識は機体制御の補佐(本質を言えば乗っ取り)が可能で、操手が素人であっても達人の剣技で戦う事ができる。
- 呪操兵キノ・ザウール・ラギュラの仮面は、機体を獣型に変形させる事で僅かに知能が発生し、自立行動が可能となる。
- 機体
- 機体は鋼の骨格に生体部品である筋肉筒が配されており、人間同様筋肉の伸縮より動作する。筋肉筒を維持するためには操兵用の血液が必要であるほか、駆動の際に熱が発生するために多量の冷却水が必要となる。筋肉筒から発生する熱はかなりのもので、本編中でも操手槽が冷却水の蒸気で蒸し風呂状態になったり、整備員が素手で機体に触れて火傷をするような描写がある。とくに無酸素運動は筋肉筒に大幅な負担と発熱とを及ぼす。操兵を運用する際は交換部品の他にこれらの消耗品の手配が必要であり、特に大半が砂漠地帯の中原では大きな制約となる。
- 機体は人間同様に疲労し、疲労が蓄積した機体は休ませなければ動作しなくなったり、所定の性能が出せなくなる。筋肉筒は大きさはともかく動物の筋肉と同様のものであり、一般の兵士の武器でも簡単に傷つく。特に膝の関節は騎馬の兵に攻撃しやすい位置にあるため、騎兵が操兵と戦う場合は第一に足を狙う。また、激しい運動により筋肉筒が焼きついた場合、交換しない限りその部分は稼働しなくなってしまう。これを防ぐため、限界を超えた加熱状態が発生した場合安全機構が働いて機体が停止するようになっているが、交戦中にこれが発生した場合は逆に操手にとっては絶体絶命の危機となる。なお、なんらかの形で操兵が古戦場等に遺棄された場合、有機物である筋肉筒は速やかに他の生物によって蚕食されてしまうため、発掘された機体を再起動させるには新造機を組み立てるのとさほど変わらないほどの大規模なリペアが必要となる。
- 装甲
- 操兵はほとんど全てが軍用であるため、機体には鉄の装甲が施されている。一般的には加工性を考慮した錬鉄や鋳鉄の装甲であるが、聖刻騎士団操兵などの高級機は鍛造鋼の装甲となっている。ただし、稼動部の確保や軽量化のために、部分を選んで革や布など軽量な素材も少なからず用いられている。装甲は隙間が多く、操手の視界の確保にも役立つものの、雨が降れば水浸し、風が吹けば砂塵も吹き込み、火攻めにされると操兵が破損する前に操手が煙で窒息することもある(伝説の古操兵であるアヌダーラの場合この隙間がなく野ざらしで駐機しても何ら問題がないことからミシャーギから「財布に優しい機体」というあまり嬉しくない評価を受けている)。なお、操兵の仮面は隙間から操手が手を伸ばして着脱する場合が多い。古操兵では装甲に陶器や岩石、未知の物質が用いられている場合も見受けられる。
- 操手槽(ディポッド)
- 操兵は基本的に全てが有人操縦であり、人間で言う胸の位置に操手(パイロット)の収まる操手槽(操縦席)がある。操手槽には手で操作する一対の操縦桿、両足で踏み込む一対の足踏板(フットバー)があり、これらで機体を制御する。計4つの制御系で操縦がまかなえるわけもなく、これらのレバーはただ付いているだけで、どこにも接続されていない。実際には仮面が操手の思考を読み取って動いている。ただし操縦桿も飾りではなく、操縦系統には動きのパターンが定義付けられており、咄嗟の場合に思考を読み取って機体が再現するタイムラグを経ずに直接機体に指示を送ることで動作を補助している。高い技量を持つ操手は操兵と文字通り一心同体となり、機体を自分の身体同様に動かすことができる。これを「同化」「人機一体」と言い操手として最高の境地に達したものとして讃えられるが、一方でこの状態では操手の心臓が停止するため、長時間の同化はしばしば危険を伴う。
- このほか、血液と冷却水の容量計や、傷を受けた際に一時的に手足の付け根で循環を止めるためのバルブが設けられている。操兵が大きな損傷を受けた場合は手動でバルブを操作することにより、一時的な手当を施すことが出来る。従兵機の操手槽は開放型と密閉型があり、開放型では操主が半ば向き出しとなるが、元々狩猟機の打ち込みに耐えられる装甲は望むべくも無いため、視界を優先して開放型にしている機体が多い。狩猟機と従兵機は程度の差こそあれ似たような作りであるが、呪操兵は座席がなく胡坐で乗り込み、また計器類や操縦のためのレバー類が無いなどまったく異なる作りになっている。
- 操手は操兵の主であると共に、操兵の一部ともなる。操縦を続けると操手も著しく消耗し、足腰が立たなくなることさえある。
- 映像盤
- 視界は操兵の目が見た映像を、操手槽の映像盤に投影することで得られるが、死角が多くなるため機体の各所に覗き窓が設けられている。従兵機の映像盤は映りが悪く、装備していない機体も多い。
- 感応石
- 黒水晶に操兵の仮面の反応を投影するレーダーのような装置。視界外の敵の位置を知ることができる便利な装置で、光点の反応で機種も見判られる。一方で仮面を外して起動していない状態の機体は捉えられず、また高性能な機体になると感応石から姿を隠す機能を持つものもある。従兵機では装備しない機体が多い。
- 心肺機
- 血液や冷却水の循環を司る器官で、ポンプとふいごを組み合わせて構成されている。動力は無く、所定の位置に仮面をセットすると、はずみ車が自然に回転を始めてポンプとふいごを動かす。大概は操手の座席の下(操兵の腹部)に配置される。ポンプにより全身を循環する血液はふいごによって取り込まれた空気で活性化され、筋肉筒を維持している。血液には凝固作用があり、筋肉筒に受けた傷が小さい場合は凝固して自然治癒を促す。すなわち、操兵は巨大ロボットでありながら、呼吸し血を流す存在である。冷却水は基本的には汗と同じく気化熱で冷却するタイプで、ラジエターに当たる装置はない(シン国のラグン・ファーケンは背中に冷却板を持っているが、猛暑用の追加装備であり、これだけで冷却を賄っている訳ではない)。このため、激しい運動を続けると冷却水はあっという間に消費してしまう。
- 戦闘状態になると、心肺機は操手の呼吸に合わせて駆動する。ふいごの音から相手の打ち込みの機を察するのも操手の技術の一つであり、気配を読まれぬよう防音装置を持つ機体もある。
- また人間同様空気の薄い高地では機体の性能が大幅に低下する。
- 操兵の急所の一つとなっており、意図的に操手も操兵も殺さずに倒す場合は心肺機を狙うことになるが、その強度は装甲板と変わりないため、破壊には相応の努力を必要とする。
- 操手
- 上述の通り操兵は基本的に有人操縦である。古操兵ラジャス・カーラ・ギーターは仮面に宿る千の守護者の補佐により素人操手でも達人並に戦えるが、未熟な操手だと仮面の意思に精神侵食されるおそれがある。その危険を冒しても素人操手を搭乗させなければならないのは、操手無しではまともに動くことができないからである(超文明の産物らしく緊急事態では操手抜きでも稼働させること自体は可能)。意思を持つ<真・聖刻>を備えた《八の聖刻》に至っては操手無関係に動作し覚醒状態に至っては物理法則を歪めるほどの人智を逸した異常な能力を発揮するが、本来の力はあくまで「選ばれし者」と呼ばれる操手が搭乗しない限り解放されない。だからこそ《八の聖刻》は何よりもまず「選ばれし者」を求めようとする。
- すなわち、操手には「操兵を操作する」以外の役目があることになる。それは聖刻力の導管となることである。
- 仮面の項の通り、仮面は操兵の制御と動力の要であり、仮面を装着することにより操兵に命が吹き込まれる。しかし仮面の聖刻石には、操兵を稼動させるだけの力は備わっていない。そもそも聖刻石は異世界(精霊界)から力を導き出すための媒介であり、定められた術式により聖刻の力を引き出すのは人間である。つまり、自らの身体を通して操兵を稼働させるための聖刻の力を引き出すことが操手の役目なのである。「格の高い」操兵ほど操手の適正が厳しくなるのは、仮面の意識をねじ伏せる精神力のほかに、大量のエネルギーの導管となる資質が求められるからである。この人体を通して聖刻力を引き出す原理は錬法と同じであり、操手はただ座席に座って思考を送るだけに見えながら、自覚せずに「操兵を稼働させるための術」を行使していることになる。操兵を動かすと操手が激しく疲労し、操兵での長距離移動は自力で歩くよりも疲れるなどと言われるのはこのためである。
秘操兵(《八の聖刻》)
神代の太古から存在する八騎の操兵。神の写し身とも言える存在であり、厳密には(現在の)操兵とは似て非なるものである。より正確に言えば、《八の聖刻》こそが真の操兵であり、現在の操兵はそのデッドコピーに過ぎない。
八騎は四騎ずつ“白”と“黒”の陣営に分かれており、それぞれ王、女王、騎士、僧正の四つの位がある。それぞれが、神代の太古の巨神族や龍族など超絶的な力を持った種族の勇士を≪真・聖刻≫に聖刻化し、機械仕掛けの身体を与えた存在である。筋肉筒や心肺機で構成され仮面で制御される機体は操兵とほぼ同じ構成であり、「選ばれし者」と呼ばれる操手を必要とするのも操兵と同じだが、操手は次元の狭間からエネルギーを取り出すための部品でしかなく、やがては機体に取り込まれ長持ちするように「保守」されながら、使役される運命が待っている。
自意識を物質化した≪真・聖刻≫がその本体と言える存在であり、自ら思考し行動する。≪真・聖刻≫は力の根源であり、不滅の存在である。仮面を砕かれようが機体を焼き尽くされようが、やがては≪真・聖刻≫の力で再生してしまう。つまり、「滅ぼす」ことは出来ず、かろうじて「封じる」ことしかできない。
操兵としての《八の聖刻》の力は別格であり、操兵の王といえる力を持っている。完全覚醒状態ならば一万人の意識を同時に操作し、数百リーの範囲の操兵から力を吸収して行動不能に陥れ、一般の操兵ならば一睨みするだけで仮面が外れ待機状態に戻ってしまう。結印も行わず強力な障壁を張り、素手で重装甲の狩猟機の装甲を紙のごとく切り裂く。機体の種別はほぼ万能と言うべきもので、物理法則をも改竄し、最高階梯の練法の連続発動と機械的な限界を超えた超高機動の物理戦闘とを並行して行う。実態としては、「機械じかけの神」と呼ぶのが最も適切である。
《八の聖刻》はおよそ千年周期で目覚め、相手陣営と戦いを続けている。不滅の≪真・聖刻≫に宿る意思は、不滅の身体を得て、同じく不滅の敵と果てしない戦いを続けてきたのだ。しかし、器は不滅でも意思そのものは不滅ではなかった。あまりに長い年月の間に意思が変質(単純化)してしまったのである。結果、自己の生存と敵対する《八の聖刻》を討つことを第一とするようになっており、過去いくつもの文明を巻き添えとして滅ぼしてきた。白が秩序・善、黒が混沌・悪といった善悪論で語れうるものではなく、いうなればどちらも人類にとっては脅威・災厄であることに変わりは無い。
彼らの闘いにはジュレミィと何者かとによって「白・黒ともに同時に覚醒してよいのはそれぞれ1機のみ」「互いの拠点を直接攻撃してはならない(ゆえに、ダム・ダーラはウルオゴナを使嗾して白の陣営であるホータンを間接的に滅ぼしている)」等の約定が課せられているが、ジュレミィと約定を結んだ相手が誰かについては《封印者》たるリムリアがフェンから直接名を示されても一切知覚することすらできないようになっている。
なお、現在のヴァシュマールとハイダルの戦いの前には、約500年前に西方で≪白き女王≫と≪黒き女王≫が「女王戦争」と呼ばれる戦いを起こし、大惨禍を招いた。
- ≪真・聖刻≫(ラ・ワース)
- 《八の聖刻》の本体というべきもの。ヴァシュマールとハイダルは聖刻石、ヴァルダ・カーンはその手に持つ杖などその形態は様々であり、通常の操兵の常識が通用しないことの一端を示すものでもある。たとえ使い果たしても外から吸収することで再び力を取り戻すことができる。
- 力だけでなくあらゆる情報を記録することができ、個人の全情報を移すことで人格そのものを移植することができる。
- 選ばれし者
- 《八の聖刻》の操手は「選ばれし者」と呼ばれる。未覚醒状態であっても神の現し身たる《八の聖刻》を起動させ操縦するには、通常の操手よりも遙かに厳しい適性が要求される。一方で、覚醒した《八の聖刻》では<真・聖刻>と操手それぞれの意思が同時に機体に内在する。無論のことながら、思うがままに動きたい<真・聖刻>からすれば、操手の意思や操縦は邪魔となる。それゆえ、<真・聖刻>にとって「選ばれし者」は不完全な部品の一つとしてしか扱われず、その意思を剥奪し完全に取り込む機会を常時窺われている。
- 精霊界から力が汲み出されると、相殺される形で実世界の「何か」が精霊界へ送られることになる。通常の操兵が駆動する分には微々たる量であるが、《八の聖刻》同士が全力で対決した場合に消費されるエネルギーの量は凄まじく、補填するために山脈すら消滅しかねないと予想されている。《八の聖刻》の覚醒が世界の破滅に繋がると懸念されているのは、直接の戦闘力による破壊の他に、このような理由もあるのである。
- ニキ・ヴァシュマール(白き操兵/白の一)
ニキ・ヴァシュマール(「穢れた王」の意) 白き操兵(リュード・ムレ・オーラ) |
| 聖刻番号 |
1092 |
| 類別 |
秘操兵 |
| 所属 |
《八の聖刻》 |
| 生産 |
機体は<白き帝国>、仮面は不明 |
| 面齢 |
4000歳以上→10000歳以上 |
| 機齢 |
2500歳 |
| 全高 |
2.1リート |
| 全備重量 |
8.15グロー |
| 搭乗者 |
フェン |
| 武装 |
聖剣エル・ミュート 三節昆 |
- フェンの父ハオがカロウナ村にたどり着いた際に持ち込んだ操兵で、東方製とも西方製とも異なる狩猟機。かなりの年代物で詳しくは判らない。
- その後はずっと納屋に放置されていたが、グルーンワルズ襲撃の際にフェンが持ち出し、さらわれたリムリアを追ってフェンの旅が始まる。
- 烏帽子のような細長い兜と白い装甲が特徴。かなり大型の機体で、尖った兜のせいもあって全高は2リート (8m) を超えている。背中に大剣を装備するが、錆び付いているのか抜くことができない。見習いだったとはいえ修行僧であったフェンは刃物を扱うことが許されず、また本能的な理由で刀剣の扱いを嫌うため、特別に注文した伸縮自在の三節棍を武器としている。
- その正体は≪八の聖刻≫の一つ「白き王」。太古の巨神族の勇者フェンが仇敵である黒龍ハイダルとの闘いで死亡したのち、その肉体と精神とを聖刻化されることで生み出された存在(装甲もまた、勇者フェンの遺品であった鎧を用いている)。後に「白き王の帝国」の時代に大幅な機体改修を受けている。属性は風門。≪真・聖刻≫は仮面の額に嵌め込まれている65個目の巨大な聖刻石だが最初にフェンが乗り込んだ時点では失われており、当初は単なる老朽機にしか見えない状態だった。
- 2500年前に、白き王の操兵として超絶的な力を振るい「白き王の帝国」を築いたが、来たるべき「黒の王」との闘いにより王が生体部品として取り込まれることを憂いた王妃リムリアが王を毒殺することによって解放したため、「選ばれし者」を失ったまま封印されていた。聖都計画の途中で白亜の塔の地下に安置されていた≪真・聖刻≫を取り戻し、《八の聖刻》としての力を取り戻していく。次第に意思が強烈になり、第二部ではルアンムーイでフェンの意志を無視して巨大な竜巻を発生させ、青龍騎士団を文字通りに壊滅させる。第三部に至っては「選ばれし者」フェンを取り込み、完全な存在になろうと図る。
- 背中に背負った大剣の正体は勇者フェンの武器であった聖剣エル・ミュートであり、一度抜き放てば《八の聖刻》ですら屠る力を持つが、それゆえに多大な制約を課され、滅多に抜くことができない。
- 両者の覚醒が進むに伴い、フェンとの関係は単なる操兵と操手から神器と部品・不完全な神と失われた魂・勝手に動き回る片割れと半神という形へと変化を遂げている。
- 第四部冒頭では自ら<白亜の塔>の活動炉のエネルギー源となるべく塔内に赴いている。だが、獣機を引き連れたカイユ・ミカルドが迫るにあたって単独出撃。二度の熱線照射により市街の巻き添えなど意にも介さず獣機の群れをたちまち灰の山に変えると、即座にカイユとミカルドの上空に転移し、巨大な風の刃で<白亜の塔>上層部もろともレイヴァーティンとヴァルダラーフを両断。その後、戻ってきたフェンに叱咤され、おとなしく着陸する。聖都の修復がある程度成ったあとは炉を離れ、フェンとリムリアを乗せてダム・ダーラとの決着をつけるべく旅立つ。
- ハイダル・アナンガ(黒き操兵/黒の一)
ハイダル・アナンガ(肉体なきハイダル) 黒き操兵(リュード・ムレ・オーム) |
| 聖刻番号 |
不明 |
| 類別 |
秘操兵 |
| 所属 |
《八の聖刻》 |
| 生産 |
機体は不明、仮面は不明 |
| 面齢 |
4000歳以上→10000歳以上 |
| 機齢 |
3000歳以上 |
| 全高 |
2.0リート |
| 全備重量 |
不明 |
| 搭乗者 |
ダム・ダーラ / ゾマ |
| 武装 |
聖剣エル・ミュートに対極する黒き剣 黒い鉈 |
- ≪八の聖刻≫ の一つにして ≪白き操兵≫ ヴァシュマールの対極にあたる ≪黒き操兵≫ の一体、「黒き王」。全身漆黒の機体で、丸みを帯びた独特の装甲をしている。左腕に大盾、背中には翼のような機構と、自在に動いて敵を攻撃する蛇状の管を二本持っている。≪真・聖刻≫は仮面の65個目の聖刻石であり、太古の龍族の<狂王>ハイダルが勇者フェンと相討ちになった後に聖刻化された存在。属性は土門。
- 聖刻教会の創始者である 『八聖者』 がおよそ2千5百年前、死闘の末に北方の聖なるホーマ樹の下に封印した。≪真・聖刻≫はまだ樹の下にあり、中原に出現したハイダルは獣機をもとに数十年かけて制作されたレプリカの機体に本来の仮面を据え付けたもので≪真・聖刻≫もつけられておらず「選ばれし者」であるダム・ダーラも搭乗していない極めて不完全な存在であるが、仮面に備わる強力な意思がために全く問題なく動作する。事実、操手抜きの状態でありながら、バラーハの首を一刀の元に討ち取っている。
- 本来の武器はエル・ミュートと対になる邪剣《黒き剣》だが、手元から失われている現在では闇より生み出した漆黒の鉈を操る。
- 生前は<狂王>・<黒竜王>の二つ名を持って畏れられた黒龍族の長であり、巨神族と互いの存亡をかけた「聖龍大戦」を勃発させている。兵卒や操兵のみならずハイダル自らが生み出した亜龍(亜竜とは異なる)や操兵獣機化技術までをも投入したこの戦いは、すでに種族として行き詰まりにあった巨神族・黒龍族の双方を最終的に絶滅に至らしめた。
- 力のみならず性格的にもまさに真龍たる矜持を持っていた様子で、<黒の陣営>による搦手については宿敵であるフェンをして「ハイダルが主導しているなら堂々と正面から襲ってくる」とまで言わしめ、また生前においては「ネズミ」として見下していた現生人類の先行きについてもジュレミィと念話で会談を行うなど王者の風格を示していた。
- ヴァルダ・カーン(黒き操兵/黒の四)
- 《八の聖刻》の一つ。黒き僧正。<黒炎龍>カーンが聖刻化した存在。属性は火門。
- 旧ヒゼキアのカーン神殿に封印されていたが、ハイダルが敗れると同時に目覚める設定がなされていた。本体である≪真・聖刻≫は、手にした炎蛇の錫で、必要なら機体を零から再構築するヴァシュマールやハイダルと異なり、通常はこの錫で他の操兵に取り付いて乗っ取り、自分の身体として活動する。このため決まった姿を持たず、取り込んだ機体の能力も合わせて使うことができる。
- しかし、充分な力を蓄えたときは、取り込んだ機体を再構築して真の姿を取り戻す。機体の特性は狩猟兵よりも現在の呪操兵に近く、強大な炎を操る一方で近接戦闘の能力はヴァシュマールには到底及ばず、随時強力な障壁を張り巡らせることで欠点を補っている。
- 名称不明(白き操兵)
- 《八の聖刻》の一つ。白き女王。機体名は不明。
- 500年前の西方で起きた『女王戦争』で≪黒き女王≫と戦った。その際の「選ばれし者」はジュレ・ミィの前世にあたる人物であり、『聖刻群龍伝』にも登場する練法師匠合「至高の宝珠」を従えていた。
- 名称不明(黒き操兵)
- 《八の聖刻》の一つ。黒き女王。機体名は不明。
- 500年前の西方で起きた『女王戦争』で≪白き女王≫と戦った。
- バルチサス?(白き操兵?)
- 《八の聖刻》の一つ。白き騎士?。
- SFCゲーム、真・聖刻は、当初舞台設定が本作と共通とされており、登場する操兵バルチサスは《八の聖刻》の一つ「白き騎士」とされていた。しかし、小説の執筆が進むと設定に整合性が取れなくなってしまい、この設定が本作に取り入れられるかは不明になってしまったとのことである。
八機神
人の手により造られた、最初の操兵とされる。八聖者(プル・オ・ルガティ)達の乗機であり、製造は一万年以上前に遡る。作中では「原始聖刻教会が所有していた3,000年前」、「2,500年前、白き王の帝国の時代に作られた~」と時代が混同された言及がなされており、また更に時代を遡る古代文明や操兵が存在しているため、混乱に拍車をかけている。
それぞれ龍・虎・鳳・狼の四聖獣と八門の属性を与えられている。形態としては、狩猟機型、呪操兵型、ハイブリッド型に分けられているが、得手・不得手の意味合い程度の分類であり、いずれも狩猟機と呪操兵の能力を兼ね備え、限定的(とはいえ、機体によっては仮面が無事なら半身の損傷さえたちまちに再生する)ながら自己修復能力を持つなど、現代の操兵を遥かに超越した性能を持っている。自己修復の停止したアルタシャールは工呪会が技術の粋を尽くして修復したが、仮面の自己チェックでは半分の力しか発揮できないと判定しており、隔絶した技術レベルで製作されたことが窺われる。
基本的に、八聖者の転生者である特定の操手にしか動かすことができない。また、仮面に宿る人格は一般の操兵とは比べ物にならないほど強力であり、転生者であっても自身が認めた操手でなければ受け入れない。アヌダーラは起動させようとしたガルンに強烈な苦痛を浴びせ、アルタシャールは適格者でない者が乗り込むと死に至らしめ自身の延命エネルギーに利用するほどだった。
記録に登場したのは約1,500年前となる東方歴1088年で、聖刻教会によるワースラン建国を脅威とみた東方北部の国家が連合してワースランを攻撃した(教都攻囲戦)際に、時の法王の祈りに応えて出現したとされている。この際は操手を強制的に操手槽に転移させて起動し、八騎のみで万を超える攻囲軍を瞬く間に撃退したが、操手のうち生き残ったのは2名のみで戦闘後残りの6名は死亡していたとされる(この時の生き残りが現在のクランド家とストラ家の祖であるという)。このときの機影は、教都の守護としてワースランの八つの門に刻まれている(彫刻の姿はレイヴァーティンのように正確なもの、タイクーン・ロウ・ブライマのようにまるで似通らないものまで様々である)。また、西方ではペガンズ八柱神の原型となったとも伝わる。
覚醒すれば世界を滅ぼしかねない《八の聖刻》に人間が対抗するための存在であり、八騎そろえば聖刻力そのものを無効化でき《八の聖刻》であっても封ずることが可能であるという。実際作中ではアシュギニー・アルタシャール・タイクーン・クベーラの四騎によりヴァルダ・カーンの動きが封じられた上、カーンと対峙していたヴァシュマールも同様に動きを封じられている。結果、《八の聖刻》には全く歯が立たないはずの『ただの操兵』によりカーンは討たれ、再封印が施された。
- フォノ・ヤーマ・アシュギニー(火龍の操兵)
- オーザムの乗るヤークシャ・キランディに姿を変えて通常の操兵として延命を図っていたが、主の危機に本来の姿を取り戻した。
- 両腕の肘から先が龍骸になっており、先端には髭に擬した五指を備え、龍骸内部にも印手を収納している。形態としては呪操兵型だが、格闘能力と呪操兵の機能をバランス良く持つとされ、機体も頑強。武器は持たないものの背中に生えた二本の龍の尾により、接近戦では自律的に防御、攻撃を行うことができ、オーザムの経験不足を補ったが、クリシュナとの力量差を埋めるまでは到らなかった。周囲の火のエネルギーを操ることができ、広範囲の地面を溶岩化させるほどの熱量をもたやすく吸収する。カル・マヌガーヤはアシュギニーの再現を目標として建造された機体である。
- ヴァルダ・カーンの封印後は「拝火の里」で修復のため眠りについていたが、ダム・ダーラの命で現れたクレイグによって強奪を受ける。
- ムゥノ・ヴァシュラ・アヌダーラ(木龍の操兵)
- 厳重に隠蔽されたストラ家の地下の操兵霊廟に、マーナを遮断する布に覆われ休眠状態で安置されていた。元々ストラの祖先はクランド家の傍流であり北部の出であるが、この地で発見されたアヌダーラの管理のため派遣され、布教を行いながら南部に根付いたのである。
- ラグ種の原種であり、バラーハの遠い祖先である。ユジックの父も実際にアヌダーラを見た上でバラーハを作り上げたという。八機神の中でも仮面に宿る意志や感情が表に出ており、今生のガルンとバラーハ同様、前世においても機体と操手の絆が深かったと察せられる。長く主を得られず心を閉ざしかけていたが、フェンの計らいでガルンと心象世界の中での対決を経て主と認め起動する。
- 機体は狩猟機型で、装備も判明している分は左肩に吊った大盾とそこに格納される太刀のみと簡素。1.6リート程度とかなり小型の機体でありながら、ガルンの腕も相まって敵機を受け太刀ごと両断する強力な力を発揮する。練法戦にももちろん対応しており、練法の心得の無いガルンを操手としながら、機体側で独自に木門術を行使して支援を行うことができ(これはアルタシャールも同様)、術の触媒となる植物の種子等を格納する"隠し"が設けられている。しかし、聖騎士であるガルンはそれを良しとせず、鳳騎士団との決闘時に《根生縛》の練法を発動した際には機体を叱咤して術を解除させている。
- ユィノ・アビ・アルタシャール(月狼の操兵)
- アビ・ルーパの原型機にあたる。八機神で唯一西方工呪会が管理していた。
- 適応する操手が完全に覚醒しない限り機能の凍結が解除されない設定になっており、500年前に大破して操手が死亡して以降は機能停止し、工呪会の修理後も目覚めなかった。
- 左腕に三日月型の長盾、背中に二本の曲刀を装備。また指先から鋼線を繰り出し、気をこめることで操兵の機体を両断することもできる。狩猟機型であるが、機体構造はやや華奢で呪操兵寄り。搭乗者の知識や技能に拠らず月門の練法を行使することができ、対《八の聖刻》用の秘術「輝月招来(絶大な質量を伴う満月の幻を対象に降下させ圧し潰す)」を備える。仮面の人格は女性格で、アビ・ルーパの話をすると嫉妬心にも似た感情を見せたちまち機能を低下させる・ジュレには心を開き素直に言うことを聞くなど、アヌダーラ同様極めて強い個我を持つ。ストーリーの中軸に絡むために活躍も多く、3巻に渡って異なるデザイン画が掲載された。
- アビ・ルーパはアルタシャールの適格者を探すための機体でもあり、アビ・ルーパを乗りこなしたクリシュナに渡されたが、当時のクリシュナは覚醒していないため仮面に認められず完全に起動させることができなかった。ダロトの発案により練法によって仮面を騙す胸当てを装備して起動させている。これはクリシュナに「黒き血」を注入するための罠であり、血の覚醒の結果、新たに格闘腕が形成される等、大幅な形態変化を遂げる。この形態でアシュギニー、さらに「黒き僧正」との戦闘に勝利するも、「僧正」本体に憑依され依代となって更なる形態変化を遂げる。最終的に「僧正」からは解放され、ヴァルダ・カーンの再封印後はア・ゴーン城内の駐機場でジュレから治療を受けていたため約一年後のヴァルダラーフ戦の時点ではほぼ完全に本来の性能を取り戻している。
- フェノ・タイクーン・ロウ・ブライマ(風狼の操兵)
- ゾマのかつての修行地で、カルラの菩提とともに終焉の地に選んだジンバーの遺跡に眠っており、ダム・ダーラの結界により隠されていた。ゾマが月門門主ソティスの呪操兵により危機に陥った際に目覚め、ゾマを主とする。
- 腰にプレ・ヴァースキンと色違いの黒い太刀と錫杖を装備しており、太刀を取ると兜と面覆いが降り、外套を肩装甲に巻き上げてマントにしてタイクーン・ロウと呼ばれる狩猟機形態に、錫杖を取ると面が露出し、マントが全身を覆う外套となってロウ・ブライマと呼ばれる呪操兵形態に、それぞれ変形するハイブリッド型。状況によって形態に応じた能力を行使することができる。狩猟機型になると手足の太さが二倍に膨れ上がり装甲も増厚するなど、機械的な変形の範疇を逸脱しており、変形というよりは変身といった趣である。
- 操手槽に心肺機を流用した操手向け自動治療装置が備わっており、ゾマはそれを用いて延命を図っている。
- 登場が早く活躍も多いが、全身のデザインは第四部に至っても公開されていない。
- パフォーマンス的にはタイクーン・ロウ形態のほうが総じて強力となっているが、操手にかかる負担も大きいため、創造者の設計限界を超えて生き延びているゾマはロウ・ブライマ形態を多用する。
- シュノ・ヴァルダラーフ・シャンパオ(水虎の操兵)
- アヌダーラ同様にバクル老の責任下でクランド家が厳重に管理していたはずだが、なぜかダム・ダーラ麾下のカイユがレプリカを乗機としていた。狩猟機型でシィフ・バイロンを初めとする「ラーフ」種の原型である。機体色は透き通った湖水を彷彿とさせる青となっている。操手にこだわりがないためか、水門の練法も剣技と併用する。
- 聖樹「参」ではカイユ自身から彼が操るのは代わりがいくらでもある模造品であることが明言された。
- ツォノ・パドゥマ・クベーラ(土虎の操兵)
- バール・デンドルの操兵マ・ソウグ・シーカの真の姿。四足歩行の胴体に人型の上半身が乗った半人半獣型の異形の操兵。呪操兵として脚だけでなく腕も二対備えており、他の操兵の倍にもなる体積および重量を持つ超大型重操兵である。
- パドゥマ・クベーラ自体は元々上半身が失われた状態で発見されており、ダム・ダーラが操手共々自陣にとどめておくためにツォノ・マ・ソウグに改修し、適格者である(自覚していないが)バールに与えていた。
- 偶然にもバールがもとの愛機ケイマン・シーカの上半身を結合してマ・ソウグ・シーカとしたことで本来の姿を取り戻し、ヴァルダ・カーンと八機神が次々に覚醒したことに触発されて覚醒、即座に元の姿へと再生した。設定画では長柄の大鎌を携行する他、両肩に鎌状の刃を備える。マ・ソウグ同様直接戦闘にも長けた操兵だが、機体分類はあくまで呪操兵型とされている。
- 本来の力を取り戻したことにより、呪操兵にしては練法増幅能力が低かったマ・ソウグとは一線を画した強力な増幅力を備えるに至り、さらに機体の重量を生かした殴打をも得意とする、ダロト向きの機体となっている。
- 第四部では《黒き血》の発作に侵されたメルをア・ゴーン城にいたジュレの元に届け、さらにメルを拉致しようとしたカイユのヴァルダラーフと交戦。いまだヴァルダ・カーン戦での損傷から完全回復していない状態ながら奮闘、左腕と結印用右腕を失いながらもクリシュナのアルタシャールの救援もありなんとかメルとともに離脱したかに見えたが、ミカルドのレイヴァーティンに捕獲され、残る六本の手足をすべて破壊されて人質にされてしまう。
- リィノ・クワルタク・アバスターク(陽鳳の操兵)
- 聖刻1092本編の前史にあたる外伝「北方の傀儡師」に登場。その時点で稼働状態にあった唯一の八機神で、「東門」を守護する機体。
- 赤目族(キリト)と呼ばれる古代人の末裔によって管理されていた。
- 飛行能力を有し、ティン種の原種であることを思わせる描写がある。
- フェノ・タイクーン・ロウ・ブライマ同様、狩猟機と呪操兵のハイブリッド型とされているが、形態チェンジするかどうかも含め、詳細は不明。
- キノ・アウラ・レイヴァーティン(金鳳の操兵)
- 狩猟機型で、ティン種の原型機の元となった。飛行能力に加え、金剛石の強度と黄金の展延性を兼ね備えた、八機神でも随一の強力な装甲を備える。
狩猟機
東方語では「ダート」「リュード・イム・ダート」、西方語では「ゲラール」「マーガ・デ・ゲラール」と呼ばれる。名は討ち取った敵操兵の仮面を取る慣習から。
武装した人間の姿を模し、近接戦闘を主体とするもっとも操兵らしい操兵。機体は強度、パワー、反応速度を重点に製作されている。仮面の格も高く、工呪会の統計によれば起動に成功するのが10人中3人、うち基本動作までこなせるのは1人のみであるという(訓練によりある程度は数値を上げられる)。操縦するには素質と強い意志と技術が必要であるが、高性能の機体を乗りこなせば、気闘法などの特殊な技も含め操主の剣技をそのまま再現できる。
聖刻騎士団の操兵
聖刻騎士団は虎、龍、鳳凰、狼の四聖獣の名を冠した四つの騎士団に大別され、それぞれ北南東西の地域を管轄としている。各騎士団は更に白赤青黒の色別に騎士団を編成しており、合計16の騎士団で構成されている。
個人所有の操兵に乗る騎士もいるが、正式機として四聖獣の姿を模した、ラーフ、ラグ、ティン、ウォルンの操兵が配備されている。特別な能力を持つものではないが、一般に供給される操兵とは別格の作りとされている。
- 四虎騎士団機
- シィフ・バイロン
| シィフ・バイロン |
| 類別 |
狩猟機 / 古操兵? |
| 所属 |
東方聖刻教会 |
| 生産 |
東方聖刻教会? |
| 面齢 |
1000歳以上 |
| 機齢 |
1000歳以上 |
| 全高 |
2.12リート |
| 全備重量 |
12.2グロー |
| 搭乗者 |
ラマール、ラドウを始めとする代々クランド家の当主 |
| 武装 |
聖剣プレ・ヴァースキン |
- クランド家の現当主であり、法王勅命軍改めクランド軍総大将となったラマールクランドの乗騎。
- 先代当主である祖父ラドウ・クランドから家督と共に受け継いだ。ラドウが先々代の団将として大動乱を戦った際には、聖刻騎士団の象徴機として圧倒的な強さで戦い抜き敵を震えあがらせた。
- 四虎騎士団に配備される虎の姿を模した大型操兵ラーフ種の機体で、本機も頭高2リートを超える大型機である。兜は虎の頭をかたどっており、目には凝った細工の紅玉がはめ込まれ、大きく開いた虎の口の中に仮面がある。
- ラドウは自ら操縦していたが、ラドウ引退後に孫のラマールに譲られた際に幼いラマールの為に複座に改修され、重要な場では後見人のバクル・サーサーンが搭乗し操縦を担当していた。
- 神樹 肆において『水虎の再現を目標に可能な限りの技術と費用を投入して製造された操兵の十九代目の機体』とされている。
- バイロンは度々設定が変更されており、ソノラマ文庫版では『ユジック・ゴウランが製造し法王アショーカよりラドウが拝領した機体で、虎の軍団長(当時は色別の小騎士団は無かった)だったラドウにあわせて虎の冑の機体を送った』という設定になっていた。ユジックによれば、自分が手掛けたのは三代目シィフ・バイロンとのことである。
- 完全版以降では、『クランド家創設以来、代々当主のみが乗り継いできた操兵。少なく見積もっても1,000年以上という驚異的(普通の操兵の寿命は100年程度)寿命を誇る』となっていた。ラマールによれば、心肺機は発掘された古操兵のものを流用しているらしい。先代の当主ラドウ・クランドが乗っていたときは、八機神に匹敵するという常識離れの膂力をしばしば発揮している。
- パイダー・ラーフ
- 東方聖刻騎士団、北部方面軍四虎騎士団の大型狩猟機。八聖者が騎乗した水虎の操兵「シュノ・ヴァルダラーフ・シャンパオ」を原型とした大型操兵の≪ラーフ種≫の最新鋭機であり、名機と言われたダイカー・ラーフの後継機。大型で装甲も厚く機動性にやや難があるが、機体の強靭さ膂力はずば抜けている(これはラーフ種全般に言える特徴)。
- ダイカーより軽量化し、行軍時の取り回しのしやすさを向上させているが、代償としてラーフの特性である戦闘時の強靭性が低下しており、ユジックはダイカーを乗りこなせない騎士の技量低下を嘆いているらしい。
- ダイカー・ラーフ
- 一世代前の四虎騎士団正式機で、大動乱の頃に主力だった。ラマールの剣術指南であり、聖四天王の一角<北部の猛虎>ワルサ・ジュマーダの乗機。この当時の機体は乗りこなせば潜在能力は現用機より上とも言われている。
- ベルダ・ラーフ
- ワルサの乗機だが、名が登場するのは、ラマールが赤鳳騎士団と決闘をする場面のみのため、詳細は不明。それ以前も以後もワルサの乗機はダイカーで統一されている。
- 完全版ではダイカー・ラーフに修正されている。
- 神樹 肆によれば、ダイカーの改造機との事である。
- 四龍騎士団機
- パラシュ・バラーハ
| パラシュ・バラーハ(「斧持つ猪」の意) |
| 聖刻番号 |
241673 |
| 類別 |
狩猟機 |
| 所属 |
聖刻騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
96歳 |
| 機齢 |
88歳 |
| 全高 |
1.79リート |
| 全備重量 |
9.13グロー |
| 搭乗者 |
ガルン・ストラ |
| 武装 |
聖剣プレ・ヴァースキン |
- ガルン・ストラの愛機。赤銅色の重装甲に身を包み、頭の左右に龍を模した角が張り出している。
- 先代の操兵鍛冶総代(ユジックの父)が自ら手がけて製造、先代法王アショーカよりガルンの祖父が拝領し、以降ストラ家三代に渡って乗り継がれた名機。ガルンの所属していた四龍騎士団で使用される龍の姿を模したラグ種の操兵で、装甲、パワー、スピードのバランスが高いレベルでまとめられており、東方でも屈指の強力な操兵。
- イオニ・ガザイン
| イオニ・ガザイン |
| 類別 |
狩猟機 |
| 所属 |
聖刻騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
79歳 |
| 機齢 |
86歳 |
| 全高 |
1.83リート |
| 全備重量 |
9.04グロー |
| 搭乗者 |
ヨハル・ロウ |
| 武装 |
刀 |
- ガルンの親友、ヨハル・ロウの狩猟機。ロウ家に伝わる操兵であり、騎士団正式機では無い。額から一本の長い角が伸びており、肩の装甲がサザエのような独特の形状になっている。見た目は堂々とした風格を備える機体で、がっしりとした重装備の操兵だが、素早さを信条とする搭乗者ヨハル・ロウの剣技に合わせ、見た目より実際の装甲は薄くして素早さを上げている。特に足回りはかなり軽装甲になっている。ヨハルが死の間際にコティ(後のキサナ)に譲渡しているが、ようやく狩猟機を操れる技倆に至ったばかりのキサナは、神樹編冒頭ではアッシャー・ラグ《アルジュナ》を騎機としている。
- ラサー・ナヴァルカ
| ラサー・ナヴァルカ |
| 類別 |
狩猟機 |
| 所属 |
聖刻騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
74歳 |
| 機齢 |
86歳 |
| 全高 |
1.83リート |
| 全備重量 |
8.95グロー |
| 搭乗者 |
ムゾレ・タランテ |
| 武装 |
大剣・強弓 |
- 赤龍騎士団に所属するガルンの友人ムゾレ・タランテの乗機。名は<魔弾の射手>の意。騎士団正式機ではない。その名の通り弓の名手の操主ムゾレ・タランテ同様に弓を装備し、2リート(8メートル)を超える強力な長弓と強弓を引くための剛腕を持つ。剣を振るえばその剛腕から繰り出される一撃はあらゆる物を断ち切ると言われる。
- ただし、聖刻騎士団では射撃武器を騎士道精神に反するものとして忌避している為、活躍の場所が無く聖刻騎士団の戦闘では功績は少ない。一方、第二部ではその性能をいかんなく発揮した。
- 第四部では、取り決めを破って弓矢を用いてきた四鳳騎士団に対抗し、神業めいた技量で次々にティン種を射抜いてガルンを援護した。
- アッシャー・ラグ
- 東方聖刻騎士団、南部方面軍四龍騎士団の中型狩猟機。南部方面で軍で採用されている八聖者が騎乗した木龍の操兵「ムゥノ・ヴァシュラ・アヌダーラ」を原型とした≪ラグ種≫と呼ばれる伝統機の流れを汲む新型機、パワー、スピード、装甲のバランスが取れた機体。南部方面のぬかるんだ地面に対応するため、足裏が広くデザインされている。またラグ種はパラシュ・バラーハを筆頭に全般的に鎧武者の風貌をしているのが特徴。キサナの搭乗機は「アルジェナ」という固有名がつけられている。
- アタス・ラグ・バタン
- 赤龍騎士団に所属するガルンの親友デウス・ヌウクの乗機。
- 機体の名が出るのは、カビテの戦いでガルンを援護するために隊を抜け出したときのみで、後にガルンと合流した際にはアッシャー・ラグに乗っていると描写されている。別機体なのか、上述のアルジェナと同様のアッシャーの固有名称かは不明。
- ラグナローグ
- 赤龍騎士団を率いてガルンと≪白き操兵≫を狙うドゥーム・ラッハ・エヌド師将の乗る一品物(俗に言うカスタムメイド、またはワンオフの機体)。昇進を機に発注し受領したばかりの機体で、量産型とは異なる心肺機音にドゥームも満足げであった。
- 四鳳騎士団機
- シャトール・ティン
- 東方聖刻騎士団、東部方面軍四鳳騎士団の狩猟機。八聖者が騎乗した金鳳の操兵「キノ・アウラ・レイヴァーティン」を原型とした≪ティン種≫と呼ばれる操兵の最新機種。すらりとした長い足や≪鳳≫を模した兜や鎧のた垂れが特徴、他の騎士団の機体と比べ装甲は薄いが、その分機動力に優れ、軍団一の速さで戦場を駆け抜ける。左腕には格納式の弓が取り付けられており、戦況に応じて弓射も行える。
- レイファーン・ティン
- 一世代前の四鳳騎士団の狩猟機で、大動乱の頃に主力だった。聖四天王の一角<東部の荒鷲>イスルギーン・ツベルクが乗機とする。大動乱時代からの愛機で、受領時にはイスルギーンもその性能を賞賛していた。
- 四狼騎士団機
- ランバー・ウォルン
- 東方聖刻騎士団、西部方面軍四狼騎士団の小型狩猟機。四騎士団の中でも最も小型軽量であるが、敏捷性を生かした戦法を得意とし、外観とあわせまさに≪狼≫を彷彿させる機体。山道に適応した脚力や暗視用の目を備えるなど西部山岳地帯に適した操兵ではあるが、他の操兵からの転換には苦労が多い。と言うのも四狼騎士団への志願者がとても少なく、他の三軍から兵を借り受けた混成部隊である実情が大きな原因で、使用しているのも地元騎士で揃えた黒狼騎士団だけで、転任により増設された他の三狼騎士団は、乗りなれたラグ、ティン、ラーフを使用している。また、四狼の各騎士団間の折り合いも聖刻騎士団の中でも最悪で、このような様々な理由で、新型機オーヴァ・ウォルンの配備も進んでいないようである。
- クーフーラン
- 聖四天王の一角<西部の餓狼>テルガー・カムリの愛機。ランバー・ウォルンの改造機で部品にも互換性はあるが、新種に近いほど手が入っている。かつてテルガーが「勝つことが至上」と考えていた頃に製造された機体で、全身に隠し武器を装備し、通常の剣術から外れた四足獣のような動きも行う。現在までテルガーはこれらの機能を使用していないが、性能を開放すれば多対一の戦闘でも驚異的な戦闘力を発揮する。
- ヴァルダ・カーンとの戦いでテルガーが散ったあとも人機一体の究極の姿としてテルガーの遺志を宿し、クリシュナを救おうとし続けた。
シーカ種操兵
東方西部域ヒゼキア国の守護神的な存在。配備されていた古操兵のシーカ原種操兵は数百年前にすべて寿命が尽きたため、聖刻教会操兵鍛冶匠合が特徴を引き継いだ機体を新たに量産し、ヒゼキア国のみに譲渡されていた。シーカはヒゼキアでは「狼」の意である。左肩の三日月状の盾が特徴。ヒゼキア滅亡と共に生産は打ち切られたため現存の真性シーカ種は少なく、ほとんどは装甲を改修して似せただけのレプリカである。
- ガリオン・シーカ
| ガリオン・シーカ≪暴虐の狼≫ |
| 類別 |
狩猟機 |
| 所属 |
ヒゼキア王国 / グルーンワルズ傭兵(亡霊)騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
68歳 |
| 機齢 |
69歳 |
| 全高 |
1.81リート |
| 全備重量 |
8.47グロー |
| 搭乗者 |
ガシュガル・メヒム |
| 武装 |
大振りの半月刀 / 大鎌 |
- グルーンワルズ傭兵騎士団長ガシュガル・メヒムの愛機。もともとの機体は、ヒゼキア(東方動乱の時に最初に滅亡した東部の小国)王都警備隊で使用されていた狩猟機 ≪愛国の狼≫ ロジェ・シーカであった。
- ヒゼキア滅亡後、祖国復興の為にあえて鬼道に走った時に、ガシュガルは愛機の名を ≪暴虐の狼≫ へと改名し度重なる戦闘での改修で名にふさわしい機体に変化した。
- シーカ種の特徴である末広がりの冑に赤い羽根飾り、左肩の三日月型の盾は往時のまま残っており、団員も各自の機体を似せた姿に改修しているため、団の象徴ともなっている。無頼の剣を振るうガシュガルらしく、騎士の常道から外れた半月刀や長柄の大鎌を装備する。
- バリオン・シーカ
| バリオン・シーカ≪刀剣の狼≫ |
| 類別 |
狩猟機
(後に秘操兵の力を得る) |
| 所属 |
ヒゼキア王国 / グルーンワルズ傭兵騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
46歳 |
| 機齢 |
46歳 |
| 全高 |
1.93リート |
| 全備重量 |
8.47グロー |
| 搭乗者 |
ダウス・ヒゼキア(ゼナム) |
| 武装 |
太刀 |
- グルーンワルズ騎士団長ガシュガルの副官、ゼナムの駆る狩猟機。団長機であるガリオンの形に合わせて、他の機種を改装したもの[6] ≪刀剣の狼≫ の意味を持つこの気体は、その名の通り太刀しか装備しておらず、その切れ味は騎士団随一と呼ばれる
- 『銀の貴公子』との戦いでガシュガルに一度は誤って両断され搭乗者のダウス(ゼナム)ごと大破し、土の門の錬法術師ダロトに秘術と<黒き操兵>ハイダル・アナンガの仮面によって復活したが、それ以降ダウス(ゼナム)が搭乗しない限り動かない操兵となった。≪白き操兵・ヴァシュマール≫ との戦いで二体の黒き秘操兵の力を持って『黒の僧正:ヴァルダ・カーン』の素体となって復活。《八の聖刻》としての猛威を奮うも、四体の八機神が封印の力を発揮した中で因果にもガシュガルの手によって再び操手もろとも両断され、数奇な運命を閉じた。
- ダイオン・シーカ
| ダイオン・シーカ≪狂乱の狼≫ |
| 類別 |
狩猟機 |
| 所属 |
グルーンワルズ傭兵騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
42歳 |
| 機齢 |
42歳 |
| 全高 |
1.89リート |
| 全備重量 |
8.31グロー |
| 搭乗者 |
グルーンワルズ傭兵騎士団員 |
| 武装 |
太刀 |
- グルーンワルズ団員の乗る狩猟機。団長機ガリオン・シーカに似せて装甲を改修して羽飾り、三日月の盾を装備している。また装甲や手首の強化など極めて実戦的な機体に改修されている。元になった機体は多種多様であるが、ひとくくりにダイオン・シーカと呼ばれている。
- ジリオン・シーカ
- 正統ヒゼキア解放軍のグルーンワルズ亡霊騎士団で、ガシュガルの副官となったサラート・ジャベルの乗機。
- 解放軍ヒゼキア騎士の乗るシーカの多くは、シン国が鹵獲した百数十機の東方操兵を西方工呪会が譲り受け、外装をシーカ種に似せる改造を施した上でダロトを通じて供与したもの(東方西部の動乱を拡大し、アグでラ・カシスと対峙するシン国を間接的に援助するためである)であるが、サラートの乗るジリオンがそれを指しているのか、それとも別ルートで入手したものかは不明。いずれにしろ現存の真性シーカ種は1騎(あるいは2騎)とされているため、レプリカのシーカ種である事は間違いない。
- アイオーン・シーカ / ガウロン・シーカ
- 黒の僧正≪ヴァルダ・カーン≫と共にカーン神殿に埋葬されていたシーカ原種の古操兵。少なくとも十数機が副葬されていたようである。禁忌に触れるとして国家滅亡の際ですら使用しなかったが、両機ともダロトの指示により発掘され、ヒゼキア=スラゼン連合王国の国家騎士団として再編されたグルーンワルズ神殿騎士団に配備された。現在の操兵よりかなり性能が良いようである。
- ハイアーン・ディール / ラグ / シーカ
| ハイアーン・ディール / ラグ/ シーカ |
| 類別 |
狩猟機 |
| 所属 |
東方聖刻教会
鬼面兵団・
グルーンワルズ亡霊騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
48歳 |
| 機齢 |
18歳 |
| 全高 |
1.87リート |
| 全備重量 |
8.67グロー |
| 搭乗者 |
ジャラン・ナム |
| 武装 |
太刀・鞘は鋼作り |
- ダロトに雇われた傭兵部隊「鬼面兵団」の団長ジャラン・ナムの愛機。鬼面の面覆いをつけていることが、団の名の由来となっている。頭に三本の突起があり、通称<三つ角>とも呼ばれる。
- 元は東方聖刻騎士団・南部域・青龍騎士団所属の大型のラグ種ハイアーン・ラグだが、北方の黒の一を封じる戦いで機体が損傷し、どうにか仮面だけが回収された。ジャランが聖刻騎士団を脱退する際に、ラドウから餞別として機体が送られハイアーン・ディールとなった。
- ラグ種を基本としているが、吟味された部品を使い別種と呼べるほど改修が加えられている。組み上げたのは操兵鍛冶匠合総代ユジック自らで、その出来ばえにはユジック自身が折り紙をつけた。
- 鬼面兵団はグルーンワルズ亡霊騎士団と名を改めて団員ごとヒゼキアの騎士団となり、本機もシーカ種に似せる改修を加えられてハイアーン・シーカに改名した。
- マ・ソウグ・シーカ
- 練法師ダロトが復興したヒゼキアの神殿騎士バール・デンドルとして復帰する際に、乗機を狩猟機の体裁にするために作った半人半獣型の操兵。狩猟機のように剣を振るい、同時に土門練法を行使することができる。
- 機体は呪操兵ツォノ・マ・ソウグを四足型に変形させ、上にカーン神殿から持ち出したシーカ原種の上半身を融合させている。機体変形が可能な土門の呪操兵の特性を利用した強引な手法で、通常はまともに動かないか、よくてもどっちつかずの中途半端な機体としての性能しか発揮しないはずが、本機はその八機神としての特性から目覚ましい性能向上に至った。
西方工呪会製機
- アビ・ルーパ
| アビ・ルーパ |
| 聖刻番号 |
9865341 |
| 類別 |
狩猟機 |
| 所属 |
ダマスタ軍 |
| 生産 |
工呪会 |
| 面齢 |
8歳 |
| 機齢 |
8歳 |
| 全高 |
1.95リート |
| 全備重量 |
6.85グロー |
| 搭乗者 |
クリシュナ・ラプトゥ |
| 武装 |
聖剣アル・ス・レーテ |
- クリシュナ・ラプトウの愛機。
- クリシュナがダマスタ国の騎士に昇格した際に祖父から贈られた操兵。西方工呪会の最新鋭機で、全身の装甲がアビレイルという特殊金属による鏡面装甲で覆われているため白銀に輝いている。アビレイルには練法や高熱を遮断する効果があり、西方では製造することの出来ない呪操兵との戦いを意識した機体である。実際のところ工呪会が最新鋭機をクリシュナに勧めた目的の一つは、対呪操兵のデータを取るためであった。
- 完全密閉の操手漕に空調も備えており、短時間なら水中行動も可能という多機能ぶり。また細身の機体ではあるが、筋肉筒はかなり強力なものを装備されており、身軽さが身上の穏行機を超える跳躍力を見せる。機密だらけの実験機なうえに東方操兵主体の中原の操兵鍛冶には完全な整備が不可能なため、整備は神出鬼没の工呪会交渉人ダハールとその部下が行っており、整備のたびに戦闘データに基づいた改良も行われている。
- ラグン・ファーケン
| ラグン・ファーケン |
| 類別 |
狩猟機(重操兵) |
| 所属 |
シン軍 / 西方諸国 |
| 生産 |
工呪会 |
| 面齢 |
4歳 |
| 機齢 |
4歳 |
| 全高 |
2.41リート |
| 全備重量 |
8.22グロー |
| 武装 |
槍 大型の盾 剣 |
- 西方工呪会の狩猟機。全高2リートを超える≪重操兵≫(ガドー・ゲラール、または単にガドー)と呼ばれる大型機。身長ほどもある大型の盾と長槍を装備し隊列を組んで敵に当たる集団戦(いわゆるファランクス戦術)に特化した操兵
- 中原では東方南部域連合 ≪ラ・カシス≫ の侵攻に対抗する為に工呪会からシン軍に大量に供与された。シンの機体は猛暑の中原仕様として背中に2枚の放熱板を持ち、民族色豊かなペイントや装飾が施されている。
- グラン・プルージュ
- 西方工呪会製の狩猟機、一般的な機種で重操兵との比較で通常狩猟機(マーガ・ゲラール、またはマーガとも)というカテゴリー分けをされている機体。東方・南部域連合軍≪ラ・カシス≫に対抗する為にシン軍に大量に投入されている。
- 隊列の側面に配置され、集団戦の弱点である横からの攻撃に対処したり、遊撃の役割に就く。
古操兵
- ラジャス・カーラ・ギーター≪千の守護者≫
| ラジャス・カーラ・ギータ≪千の守護者≫ |
| 類別 |
古操兵 |
| 所属 |
白き王の帝國 |
| 生産 |
白き王の帝國 |
| 面齢 |
2500歳 |
| 機齢 |
2500歳 |
| 全高 |
1.93リート |
| 全備重量 |
7.04グロー |
| 搭乗者 |
ホータンの民 |
| 武装 |
白き王の帝國で生産された
未知の金属の剣と鎧 |
- ≪白き王の帝国≫で作られた青き古操兵。操主の意思を読み取って動く高度な文明の産物であり、非常に強力な機体。機体を包む鎧や剣は、現代では作り出せない未知の金属で作られ、通常の武器ではかすり傷一つ負わせることができない上に、敵の鎧を紙のように易々と切り裂く。
- かつて古代の白き王の家臣であった≪千の守護者≫達は、王の死後に殉死し、家臣の魂はそれぞれの機体の仮面に宿り遥かな時を経て蘇る≪白き王≫の守護者となった。完全な素人が乗っても一流の手練れ並みの操縦ができるのは彼らが操手をサポートしているためである。前述の理由で仮面自体が意思を持っており、操主を逆に操ってしまうことも可能。その際の力は仮面に宿る生前の達人達そのものであり、仮面同士をリンクさせて一糸乱れぬ同時攻撃までも可能とする無敵の軍団と化す。
- 長い年月を経ても操兵が朽ちない理由は術法によって機体の時間を≪白き王≫に止められているからであり、≪白き王≫の許しがあれば止められた時間が一気に過ぎ仮面も機体も塵錆となる。
- 第一部ではダム・ダーラの奸計により黒の陣営の兵力と化すが、《真・聖刻》を取り戻したヴァシュマールにより機能停止。その後はホータン国の主力兵器として用いられることになるが、ホータンにはまだ優れた操手が少ないことから、配備されているのは100騎にとどまり、残りは予備機・補充機として未稼働状態に置かれている。
その他の狩猟機
- スターツ・クラマク
- 滅亡したスラゼン国の正式機クラマツ種の操兵で、スラゼン国のエルシェラ公女の専用機。真紅の豪奢な機体で、<姫将軍>と呼ばれる公女は指揮官として母国再興の前線に立つと吹聴しているが、実は複座で操縦は別の騎士が担当している。
- ダナエ・グローヴ
- ハグドーン国の正式狩猟機。ハグドーンはヒゼキア・スラゼン連合軍に攻撃を受け敗北を重ね、弱体とみなされたために西部諸国の草刈場となってしまい、作中ではフィアと共にほとんどやられ役になっている。
- フィア・グローヴ
- グローブ種の旧式機。第一線からは外され、内地の砦に治安維持用に配備されている。
- ゼノウ
- 西部域最大のライリツ国の正式機。大型の狩猟機で、西部域では随一の実力の機体と評価されている。
- トゥール
- 聖刻教会製の世俗向け狩猟兵。従来のガータ種に替わる新型機である。ウルオゴナのダマスタ侵攻にあたり、ムルーアとともに無償供与されたが、品質の悪い機体が回されたこともあってゴナ砂漠を渡るだけで半数の500騎が脱落、戦域まで辿り着いた機体もダマスタ軍との戦闘で全滅した。
呪操兵
東方語では「ダーサ」、西方語では「ヴェルダ」と呼ばれる。
練法師専用の操兵。各地の練法師匠合や秘密結社が秘蔵しているわずかな機体を除けば大半が聖刻教会製であり、西方工呪会では機体製造技術すら遺失している。その教会でさえも、高位術者の要望に応えられるだけの性能の呪操兵(仮面)は製造できず、発掘された古操兵を修理したり古代の仮面に機体を与えることでまかなっている。
汎用機は存在せず属する門の練法専用で、機体名の最初に門の名を冠している。機体は練法の発動に必要な結印を素早く正確行うために、特に指先が精密に作られているが、近接戦闘に耐えられる強度は持たないとされる。中には練法により機体強度を上げたり、印手(結印用の腕)の他に戦闘用の腕を持つなどして対応している機体もある。機体全体が門の象徴を模していたり、そもそも人の姿をしていないなど奇怪な姿の機体が多い。操手槽には計器類はまったくなく、操兵用と対になっている仮面で操る。
聖華八門の呪操兵
- リィノ・ラ・トゥワング
| リィノ・ラ・トゥワング |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
聖華八門 |
| 生産 |
先史文明 |
| 面齢 |
2100歳以上 |
| 機齢 |
337歳以上 |
| 全高 |
(蓮華座)1.3リート(起立時)2.1リート |
| 全備重量 |
8.31グロー |
| 搭乗者 |
アルバ |
- ≪陽の門≫アルバの呪装兵
- 聖華八門では最強の呪操兵。
- 巨大な蓮華座に結跏趺坐する三面六臂の仏像のような姿の操兵。一組の戦闘用の腕のほか、胸と機体上部にそれぞれ一組の印手を持っている。機体上部の小型の印手の腕は高度な錬法用のもので、それ自体が門の象徴の陽を表している。さらにこの印手は触媒である陽光を取り込む結界になっており、頭部の集光版より取り込まれた陽光は機体腹部で凝縮され、呪封座と呼ばれる巨大な呪封筒でた陽光を練法に変換して蓄積している。これを用いることで、雨天や夜間でも強力な練法の発動が可能になる。
- キノ・ザウール・ラギュラ
| キノ・ザウール・ラギュラ |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
東方聖刻教会・聖華八門 |
| 生産 |
仮面は聖刻教会・機体は先史文明 |
| 面齢 |
240歳以上 |
| 機齢 |
1400歳以上 |
| 全高 |
1.24リート(獣身)1.81リート(人身) |
| 全備重量 |
7.25グロー |
| 搭乗者 |
ガルダ |
- ≪金の門≫ガルダの呪操兵。
- 胴体が獣の頭蓋骨のようなデザインをしており、頭は小さく身体にめり込み後頭部が後ろに長く伸びている。このためかなり大型の操兵に見える。腕は戦闘用の剛腕が肩の位置に、印手が胸に一組ずつある。
- 腰の前垂れに仕込まれた副足を展開し、胴体を巨大な頭に見立てた四速歩行の姿に変形することが可能で、この状態になると練法が使用できなくなるが、わずかばかりの知能が芽生え、自律行動が可能となる。
- 機体は装甲が厚く、狩猟機並みの強度を持つうえにガルダの練法で強度が5倍にまでなっている。更には、金属を(非磁性も含む)はじき返す特性を与えられており、操兵同士の近接戦闘に関しては八門最強といわれている。
- フォノ・エンゾーム・イブキ
| フォノ・エンゾーム・イブキ |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
東方聖刻教会・聖華八門 |
| 生産 |
機体は聖刻教会・仮面は先史文明 |
| 面齢 |
1800歳以上 |
| 機齢 |
84歳以上 |
| 全高 |
1.69リート |
| 全備重量 |
8.8.グロー |
| 搭乗者 |
バルザ |
- ≪火の門≫バルサの呪操兵
- 二足二臂の人型で割合に常識的な姿だが、「龍骸」と呼ばれる巨大な龍の頭蓋骨を模した呪封筒装置を両肩に取り付けている。これは事前に練法を充填した呪封筒を装填することで術者の消耗無しに高位の術を連射することを可能とするもので、元々は火の門の門主ムルガルの呪操兵フォノ・カル・マヌガーヤの試作パーツである。
- ≪白き操兵≫に敗れた後、「龍骸」はダロトによって回収され、オーザムの搭乗する古操兵フォノ・ヤクーシャ・キランディに流用された。
- ムゥノ・ロ・グウラ
| ムゥノ・ロ・グウラ |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
東方聖刻教会・聖華八門 |
| 生産 |
先史文明 |
| 搭乗者 |
ラージャ |
- ≪木の門≫ラージャの呪操兵。
- 練法で加工した植物素材を外装とする。植物のあるところなら強力な再生能力を持つが火には弱い。外伝「北方の傀儡師」に登場。
- 人型を基本とした二脚で立ち、蔓を思わせる細い腕を左右二本ずつ四本備えている。
- 立木に擬態し、腹部から甲虫を撃ち出して攻撃する。
- ユイノ・ルーズ・ルゥ
| ユイノ・ルーズ・ルゥ |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
東方聖刻教会・聖華八門 |
| 生産 |
先史文明 |
| 面齢 |
3000歳以上 |
| 機齢 |
3000歳以上 |
| 全高 |
1.65リート |
| 全備重量 |
6.36グロー |
| 搭乗者 |
カルラ(月の門の次期門主候補) |
- ≪月の門≫カルラの呪操兵
- 月門でも次期門主候補の乗機とされ代々乗り継がれてきた強力な古操兵。聖刻教会が所有する操兵の中では最古の部類に入っており、月齢の満ち欠けや位置の影響で性能が変化する特性を持つ。
- 二足二臂だが、機体は三日月を組み合わせた奇怪な姿をしている。外装は宇宙から飛来した金属を加工したもので、≪月≫のマーナの波動と完全に同調し錬法をより増幅させる。機体の背中の小月輪は闇を司り、左腕の中月輪は幻を、機体の大月輪は時を司る象徴でもある。
- 近接戦闘は考慮しておらず、剣を持つと機体が拒否反応を起こす。
- 後にカルラの仮面を譲られたラーパティの乗機となる。
- フェノ・ベルガ・ラハン
| フェノ・ベルガ・ラハン |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
東方聖刻教会・聖華八門 |
| 生産 |
機体は聖刻教会、仮面は先史文明 |
| 面齢 |
2860歳以上 |
| 機齢 |
4歳以上 |
| 全高 |
1.76リート |
| 全備重量 |
7.8グロー |
| 搭乗者 |
ゾマ |
- ≪風の門≫ゾマの呪操兵
- ダム・ダーラがゾマのために製造させた呪操兵。機体は新しいが仮面は聖華八門でも屈指の古い物で、ゾマが古代遺跡から持ち帰った先史文明の「ベルガ(天帝)の仮面」を使用している。
- 全般に端整な姿だが、結印用の二本の印手に加え、戦闘用の巨大な3本の腕の計5本の腕を持つ異形の操兵で、機体の三本の腕は風を呼び込む結界「弧風召陣」を模り、幾何学的な弧を描く事によって、ある程度の風ならば強制的に呼び込むことができる、またこの機体は呪操兵ながら格闘戦を行えると言う特徴を持ち合わせ、三本の腕から繰り出される強烈な攻撃は並みの操兵なら軽くねじ伏せる事ができる。
- シュノ・アグル・ディケーロ
| シュノ・アグル・ディケーロ |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
東方聖刻教会・聖華八門 |
| 生産 |
聖刻教会 |
| 面齢 |
90歳以上 |
| 機齢 |
65歳以上 |
| 全高 |
2.1リート |
| 全備重量 |
7.25グロー |
| 搭乗者 |
シータ |
- ≪水の門≫シータの呪操兵。
- 二足二臂の人型で、狩猟機に近い姿をした呪操兵。身体の各所に触媒である水を錬法で凝結させ、巨大な水晶の結晶のような装甲として装備している。これらは絶大な強度を誇り、ガルンとバラーハの剛剣をもってしても傷一つつかなかった。
- 外部に結界を張り水の中でも行動可能、触媒である水が無い場所ではほとんど行動しないが、非常時に砂漠などでは、機体各所の水晶尖を元の水に戻し、ある程度術が使える様にしている。
- ツォノ・マ・ソウグ
| ツォノ・マ・ソウグ |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
東方聖刻教会・聖華八門 |
| 生産 |
聖刻教会 |
| 面齢 |
3歳以上→1万歳以上 |
| 機齢 |
3歳以上→1万歳以上 |
| 全高 |
1.39リート |
| 全備重量 |
7.5.グロー |
| 搭乗者 |
ダロト |
- ≪土の門≫ダロトの呪操兵
- 三角形を組み合わせた衝角のような胴体に、モグラのような巨大な腕と結印用の印手を備える。触媒が土である為、土中から全身を現すことはめったに無く、地上には潜望眼のみを出している。
- ダロトのために作られた機体で仮面とも聖華八門の呪操兵の中では一番新しく、その分他の古操兵に比べて操手の錬法増幅率が低く性能は見劣りする。そこで高度な術を使用する場合、機体の仮面のマーナを補佐するため、質の劣る仮面を数個使いマーナを充填した固定式の呪封筒が機体後方に二基積まれている。
- 元々この機体は八機揃えば(八つの聖刻)を封印できる八機神<土虎の操兵>の上半身が失われた下半身で、八機神の力を恐れたダム・ダーラがその力を秘匿するため、手駒である聖華八門のダロトに専用の呪操兵として復活させ与えられたものである。ゆえに、呪操兵でありながら練法増幅能力に劣る一方で殴り合いを得意とするおかしな機体となっていた。
- ダロトがヒゼキア国の復興にあたり、操兵としての体裁をつける為に、ヒゼキア国の神殿に埋葬されていた古操兵アイオーン・シーカ(聖樹「参」ではダロトのかつての愛機「ケイマン・シーカ」となっている[7])と融合させたことによって、マ・ソウグ・シーカとして本来の機体の形に近い形状に作り替えられた。
- 更に黒の僧正ヴァルダ・カーンと戦う他の八機神同士の共鳴により封印が解かれ、<土虎の操兵>ツォノ・パドゥマ・クベーラとして復活した。
その他の呪操兵
- フォノ・ヤークシャ・キランディ
| フォノ・ヤークシャ・キランディ |
| 類別 |
呪操兵 |
| 所属 |
浄火の一族 |
| 生産 |
先史文明 |
| 面齢 |
2000歳以上 |
| 機齢 |
74歳以上 |
| 全高 |
1.52リート |
| 全備重量 |
6.3グロー |
| 搭乗者 |
オーザム |
- アバダ一族に伝わる火の呪操兵。
- アバダ一族は聖刻教会の練法師とは別の一派で、キランディも教会の呪操兵とは別系統の古操兵として代々乗り次がれてきた。
- 一族復興のため、ダロトの誘いに乗ったオーザムが同志を募って里を飛び出した際に持ち出し、ダロトによって、左肩に破壊された聖華八門・エンゾーム・イブキから回収した龍骸を装着している。
- 火の門主ムルガルの操兵フォノ・カル・マヌガーヤとの戦闘で一度は業火に焼かれて敗れるが、そこで封印が解け八機神の一つ、火龍の操兵フォノ・ヤーマ・アシュギニーとして蘇る。
- ユィノ・アーシャ・ガルーパ
- 東方教会練法師団 月の門の門主ソティスの呪操兵
- 月の門の操兵らしく月齢に性能が左右されるが、この機体は特殊な結界を張って強制的に満月の状態を呼び出すことが可能である。満月の加護の元では、常に相手の数秒先の行動を見ながら(予知しながら)戦うことができる。
- フォノ・カル・マヌガーヤ
- 東方教会練法師団 火の門の門主ムルガルの呪操兵
- 龍骸が両肩と胴体の三箇所にあり、腰から下の下半身を持たず肩の龍骸から連なる二本の龍の尾を足代わりにしている。異形機の多い呪操兵の中でもかなり人型から外れた機体。元々は古操兵のパーツを組み合わせアシュギニーの再現を目指して造られたが、能力強化を優先した結果怪物じみた姿になった。
- 複数の目標を三つの龍骸で一度に攻撃するなど戦闘力はかなり高く、八門の門主級呪操兵の中でも最強クラスであるが、反面制御が難しく短時間しか稼働できない。
- アシュギニーとの戦闘で破壊され、搭乗していたムルガルも死亡。八門いずれを問わず門主の戦死は教会発足以来の椿事であり、練法師団において少なからぬ動揺を引き起こした。
疑似呪操兵
本格的呪操兵には及ばないものの練法増幅能力を持つ機体のこと。東方語で「デ・ダーサ」、西方語では「ヴォーパル」と呼ばれる。ワースブレイドに登場する擬似呪操兵は、使い捨ての練法発動用仮面を取り付けた従兵機だったが、本作に登場するシャルバーン系列の操兵は、狩猟機に転移能力を付加した機体である。また後述する隠行機もささやかであるが練法増幅能力を持つ疑似呪操兵的設計である。
- アグー・シャルバーン
| アグー・シャルバーン |
| 類別 |
狩猟機? / 疑似呪操兵 |
| 所属 |
練法師団 / 東方聖刻教会 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
25歳 |
| 機齢 |
46歳 |
| 全高 |
2・1リート |
| 全備重量 |
8・9グロー |
| 搭乗者 |
練法師 / スクナの二人が騎乗 |
- 東方聖刻教会が、対西方工呪会製操兵用の実験機として開発した機体
- 2リートを超える大型の機体で、狩猟機に匹敵する頑丈な機体に呪操兵的な仕組み、仕掛け加えられている。普段は剣を括りつける台座に偽装しているが、肩の後ろに巨大な腕をもう一組持っており、機体の側面に回りこんで前腕(連法を使用する際の印手の役割もある)を収納し、大振りの剣などを軽がると扱える巨大な腕となる。後頭部に二つ目の仮面があり、この仮面の能力で空間を転移し、敵を翻弄する。前の仮面が機能しているときは機体が青に、後頭部の仮面が機能しているときは機体の色が赤に変わる。
- 中原キタン国の領主が主催する操兵試合で西方工呪会の対呪操兵実験機アビ・ルーパに対し猛威を奮い、あと一歩で討ち取る寸前まで追い込んだ
- グーリ・シャルバーン
| グーリ・シャルバーン |
| 類別 |
疑似呪操兵 |
| 所属 |
東方南部域連合軍≪ラ・カシス≫ |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
15歳 |
| 機齢 |
35歳 |
| 全高 |
1・87リート |
| 全備重量 |
6・64グロー |
| 搭乗者 |
練法師と操主の二人が騎乗 |
- 聖刻教会が新型操兵の実験を兼ねて、中原侵攻の東方南部域連合軍≪ラ・カシス≫に貸与された操兵。15機ほどが投入されている。アグー・シャルバーンの実質的な後継機で、転移能力を高める為に軽量・小型化され、二対の腕も印手と戦闘用が完全に分離されるなど簡略化されている。一方で機体はアグーほど頑丈ではなく、投石器の一撃でバラバラになってしまった。従来の船戦では重量の重い操兵を使用することはできなかったが、転移能力を活かして敵船上に「跳ぶ」戦法でシン水軍を破る原動力となっている。
- 使い方によっては非常に強力な操兵だが、練法を使うのに大量の人間の生気を必要とする致命的欠陥機であった。逃げ場の無い船上では転移を繰り返すだけで敵兵を皆殺しにできるが、同時に味方にも多くの犠牲者を出したとして≪ラ・カシス≫首脳部より教会へ問題を提議され、責任者である練法師団の長タイト、聖刻騎士団団将のグラハ、鍛冶匠合総代ユジックが告発される異例の事態を招いた。グーリとは<死神>の意であり、敵味方かまわず屍の山を築いたことから名づけられている(最終的には操手も全員死亡したらしい)。
従兵機
東方語では「ペナン」「リュード・イム・ペナン」、西方語では「ゾルダ」と呼ばれる。従兵機は西方工呪会が生み出した機種で、狩猟機に付き従うものとして作られたことが名の由来となっている。狩猟機に比べると機構が簡略化されており、全体的に作りが粗雑である。西方では均質な兵力を多数揃え、面で圧倒する戦法を重視していることから従兵機の開発に熱心であり、性能や運用法も東方に比べて進歩しているという。
東方側に本来この様な機種を作ろうと言う発想がなく、200年ほど前の西方との戦いで大量に操兵が必要となり、工呪会製の従兵機を模倣して東方でも作られるようになった。現在はアハーン大陸全体に普及し、近年では従兵機独特の発展をとげた機種も誕生し、戦場で効果的な戦いもする様になった。
最大の特徴は、その機体のほとんどが頭を持たず低俗な仮面を胸部に装備している点で、騎士からは「首なし」と蔑称されることもある。武器も実用本位の長柄武器が主流である。戦闘力は狩猟機の1/3程度とされるが、価格は狩猟機の1/5〜1/10であり、コストパフォーマンスに優れている。また仮面の格が低く反応が鈍いことは、逆に操縦が簡単であることにつながり、工呪会の統計では10人中8人が起動に成功するとされている。このことは操手の数を揃えやすいことを意味する。機体、仮面共に生産性が高い事もあり機数でいえば狩猟機より遥かに出回っている。
- ル・グリップ
| ル・グリップ |
| 類別 |
従兵機 |
| 所属 |
ダマスタ軍 / クリシュナ隊 |
| 生産 |
西方工呪会 |
| 面齢 |
7歳以上 |
| 機齢 |
7歳以上 |
| 全高 |
1.7リート |
| 全備重量 |
6.03グロー |
| 搭乗者 |
クリシュナ隊 |
| 武装 |
槍 |
- 西方工呪会最新鋭の従兵機で、出征するクリシュナに配下として10機が送られた。硝子製の天蓋に覆われた密閉式の操主槽を持ち、従兵機ながら狩猟機並みの戦闘力を持つ。特に脚部の性能は目覚しく、従兵騎は動きが鈍いという常識を覆し、走破力に関してはアビ・ルーパと同等以上である。膝が他の操兵に見られない多重関節(いわゆる鳥足)になっており、それを一挙に伸ばすことで驚異的な跳躍力を持つ。この跳躍力を活かした、頭上からの体重をかけた戦斧の一撃を得意の戦法とする。気密性の高い操主槽は短時間なら水中・砂中行動が可能である。
- 奇襲を読まれ、すべて狩猟機で編成されたグルーンワルズに真っ向から戦闘を挑む事となったが、相討ち同然ながらも敵全騎を討ち取り、その性能を実証した。
- ボアー
- シン国に供与されている西方工呪会製の従兵機。
- ラグン・ファーケンと共に、隊伍を組んで長槍を構える集団戦術に特化した機体。このため、後部など不必要な部分の装甲を削減し、代わりに前面装甲を狩猟機並みにしている。
- ナバーラ
| ナバーラ |
| 類別 |
従兵機 |
| 所属 |
聖刻騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
26〜40歳以上 |
| 機齢 |
26〜40歳以上 |
| 全高 |
1.52リート |
| 全備重量 |
5.89グロー |
| 搭乗者 |
聖刻騎士団
低階級の従士 |
| 武装 |
槍 |
- 聖刻騎士団が使用する正式従兵機。筒状の胴体を中心に上方から見ると特徴的なコの字型の機影をしている。運搬・戦闘補助が主任務で、遠征の際の宿営用の荷物や食料及び、正騎士が使用する狩猟機の予備武装を運搬する軍用トラックのような機体。従士など、聖刻騎士団の低位の位の隊員が使用する
- ヴァクレイ
| ヴァクレイ |
| 類別 |
従兵機 |
| 所属 |
聖刻騎士団 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
15〜30歳以上 |
| 機齢 |
15〜30歳以上 |
| 全高 |
1.68リート |
| 全備重量 |
7.23グロー |
| 搭乗者 |
聖刻騎士団
低階級の従士 |
| 武装 |
槍 |
- 聖刻騎士団が運用する従兵機。運搬用のナバーラと違い戦闘を中心に設計されている。開放型の操手槽だが、仮面上部に弓矢や石から搭乗者を守るための取り外し可能な遮蔽版を装備している。このために遠目には顔があるように見えなくも無い。
- ムルーア
| ムルーア |
| 類別 |
従兵機 |
| 所属 |
ウルオゴナ軍 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
3〜7歳以上 |
| 機齢 |
3〜7歳以上 |
| 全高 |
1.41リート |
| 全備重量 |
5.54グロー |
| 搭乗者 |
ウルオゴナ兵 |
| 武装 |
槍 |
- 聖都計画の一環として、ダマスタ侵攻を開始したウルオゴナに大量に委譲された操兵。西方工呪会製並みの量産力を持ち分解組み立てが簡単で前線での運用に適している。
- 整備性が良いなど進歩している点はあるが、通常は廃棄されるほど質の低い聖刻石を使って仮面を製作されており、性能は低く寿命も短い。行軍途中で脱落放棄された機体も多いが、それでも圧倒的機数(約3,000機)が投入され、オズノの戦いでは足止めを図るダマスタの狩猟機を、数に物を言わせて押し潰している。
- パイダーフ
| パイダーフ |
| 類別 |
従兵機 |
| 所属 |
東方中原諸国・一般 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
10〜55歳以上 |
| 機齢 |
10〜55歳以上 |
| 全高 |
1.32リート |
| 全備重量 |
5.22グロー |
| 武装 |
金剛棒 戦斧 槌矛 |
- 東方製の一般的な従兵機。各国の軍で使用され、中原でもよく見かける機体。現在ではほとんど旧型になっている。東方編以降は聖刻騎士団関係の描写が多いため、ほとんど登場しなくなってしまった。
隠行機
暗殺や特殊任務に特化し集団戦も視野に入れた間者専用の従兵機。練法師団配下の部隊が使用するため、低位ながら練法増幅能力を付与されている。
- ジャダド
| ジャダド |
| 類別 |
隠行機 / 特殊従兵機 |
| 所属 |
東方聖刻教会(練法師団・暗殺部隊) |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
25〜64歳以上 |
| 機齢 |
25〜64歳以上 |
| 全高 |
1.47リート |
| 全備重量 |
5.79グロー |
| 武装 |
剣 暗器 |
- 聖刻教会練法師団の下部組織、暗殺部隊で使用される隠密行動用の特殊従兵機。丸みを帯び、腕がかなり長い大猿のような姿をしている。装甲は無きに等しいほど薄くして軽量化しており、瞬発力が高く優れた跳躍力を持っている。また、暗視用の目や嗅覚による追尾機能など、追跡用の特殊な装備を搭載している。映像盤は持たず、ゴーグル状の装置で操手に情報を送る仕組みを採用し、常識離れした機動力を獲得した。従兵機に格付けされる機体だが、集団による奇襲攻撃に徹すれば狩猟機すら圧倒する戦闘力を発揮できる。手裏剣や伸縮式の槍などの暗器と呼ばれる隠し武器を多用する。
- ラディル
- 聖刻教会の暗殺部隊がかつて使用していた旧型の隠行機。
- 物語中に登場するのは、ヒゼキア国の神殿を守護していたアバタ(浄火)の一族が聖刻教会との戦闘で鹵獲し、独自の改造を施したものである。
- アバダは火の練法師の一族なので、油などの術の触媒を搭載し石綿による耐火加工など火の呪操兵に準じる装備が追加され、新型機≪ジャダド≫に比べて運動性・隠密性が劣る代わりに練法増幅能力を高めた、疑似呪操兵タイプになっている。
- ダヴァ
- 東方聖刻教会の操兵鍛冶匠合が製造した暗殺部隊専用の隠行機≪ジャダド≫を元に、西方工呪会が造り上げた隠行従兵機。
- ダッグ・レッグ
- 移動能力を特化させた西方工呪会製の従兵機。異様に長い脚部が特徴。工呪会下部組織≪巨人の足跡≫が使用する隠行機。伝令や要人の送迎にも使用される。
弩弓兵
遠距離攻撃を目的に作られた後方支援用従兵機。両の肩に連射弓を装備し遥か彼方の敵を攻撃して自軍の歩兵・騎馬・操兵の侵攻を援護する。高空から降り注ぐ矢の威力は凄まじく、狩猟機の装甲も紙のようにたやすく貫通させる攻撃力を持つが、矢を撃ち尽くした後は人の手で再装填しなければならず、接近戦も苦手とするため、運用にはそれなりのノウハウが必要な機体。
- ダナトス
- 半世紀前に西方工呪会が初めて実戦に投入した旧型の弩弓兵。東方聖刻教会の≪サルダフ≫はこの機体を模倣して作られた機体。
- ウラバス
- 西方工呪会の新型・弩弓兵。両肩に四連装弩弓砲を装備し、その矢の最大到達距離は1キロにも及び、聖刻教会弩弓兵の性能を凌駕している。
- サルダフ
| サルダフ |
| 類別 |
弩弓兵 / 従兵機 |
| 所属 |
東方聖刻教会が供給する諸国 |
| 生産 |
東方聖刻教会 |
| 面齢 |
3〜15歳以上 |
| 機齢 |
3〜15歳以上 |
| 全高 |
1.55リート |
| 全備重量 |
6.19グロー |
| 武装 |
弩 メイス |
- 上記≪ダナトス≫を基に複製された聖刻教会製の従兵機。両肩に大型の連射できる弩(いしゆみ)を装備している事から弩弓兵と分類される。
- 長さ1リート半の矢を5本連続で自動装填できる機構を持ち、その矢の威力は狩猟機の装甲を軽々と貫く、なお矢を打ちつくした場合は人の手で装填される。