コンピュータRPG
目次
コンピュータRPG

概要
[編集]コンピュータRPGはロールプレイングゲームの一種であり、コンピュータゲームを媒体とするものである。プレイヤーはプレイヤーキャラクターを操作し、ゲーム世界の人物としてゲーム世界を生きる(⇒ #特徴)。
コンピュータRPGは1970年代から存在する歴史あるゲームジャンルである(⇒ #歴史)。様々なサブジャンルや複合ジャンルが存在する(⇒ #分類)。日本の家庭用ゲーム市場では人気の高いジャンルで、特にドラゴンクエストシリーズ、ファイナルファンタジーシリーズ、キングダム ハーツ、ポケットモンスターはコンピュータRPGのみならず、家庭用ゲームを代表するタイトルである。スマートフォンゲーム市場においても同様で、Google Playの売上ランキングには多数のコンピュータRPGがランクインしている[4]。
特徴
[編集]プレイヤーキャラクターの存在
[編集]コンピュータRPGにはプレイヤーキャラクターが必ず存在する。
ロールプレイングゲームにおいてプレイヤーはゲーム世界の登場人物すなわちキャラクターを演じる[1][2]。プレイヤーが操作するキャラクターをプレイヤーキャラクターという。典型的・古典的なRPGではプレイヤーはただ一人の「主人公」のみを操作し、この主人公としてゲームをプレイする(例: ドラゴンクエストシリーズ)[3]。
ゲーム世界の中心となるキャラクターを操作しゲームを進めることから、良いコンピュータRPGはプレイヤーにゲーム世界で生きる体験を提供する。物語性の強いアドベンチャーRPGの場合、現実では決して味わえない大冒険物語を自分事として味わえる[5]。リアリティの高いシミュレーションRPGの場合、この人生ではもうたどり着けないプロの世界を自分事として味わえる。
プレイヤーキャラクターが必ず存在することから、コンピュータRPGの開発ではカメラが一人称視点か三人称視点か決める必要がある[2]。
システム
[編集]コンピュータRPGにはよく採用されるシステム・メカニクスが存在する。
プレイヤーキャラクターの命名
[編集]コンピュータRPGにはプレイヤーキャラクターを名付けるシステムがしばしば採用される[6][7][8]。
コンピュータRPGではゲーム世界におけるプレイヤーキャラクターの名前をプレイヤーが設定するシステムがしばしば採用される[6]。この名前は単にスコアボード等で表示するのではなく、ゲーム世界内で用いられる。例えば会話での呼びかけ、証書のサイン、武器の銘といった形でゲーム世界に登場する。これによりプレイヤーとキャラクターの一体感が強くなる[6][8][7]。
プレイヤーキャラクターに明確な性格や自我を持たせるタイプの RPG では命名システムを持たない場合も多い[7]。
成長
[編集]コンピュータRPGには成長システムがしばしば採用される[9]。
コンピュータRPGではキャラクターの能力値や武器のスペックを向上させて「成長」を表現することが多い。成長するためには敵を倒して経験値を稼ぎレベルアップしたり、素材を集めて武器をグレードアップさせる必要がある[9]。
プレイヤーはキャラクターを演じているため、操作という努力によって自分の能力が伸びそれが攻略を楽にして自分の成長を実感できる。
アクションゲームでは、アイテムによる一時的な能力向上があってもキャラクターは成長しないケースも多い(例:『スーパーマリオブラザーズ』)。またパーマデスでは成長があっても一時的で、死によって無くなる。このように成長システムはコンピュータRPGで見られやすいシステムである[9]。
歴史
[編集]1970年代
[編集]アメリカのテーブルトークRPGに触発されるかたちで、1970年代中盤にメインフレーム上で動作する、『ダンジョン』(1976年)や『pedit5』(1975年)、『dnd』(1975年)といった初期のコンピュータRPG群が登場した。これが後に『ウルティマ』といった作品の原型となっていく。
1980年代前半
[編集]日本においては、1980年代初めに『ウルティマ』(1981年)や『ウィザードリィ』(1981年)など、パソコン用の作品がアメリカからもたらされることでRPGの存在が知られるようになり、その後日本国内のメーカーにより様々な作品が作り出された。当初は詳細なストーリーを持たず、ゲーム内に隠されたヒントを自力で探し出すと言った作品が多かった(『ザ・ブラックオニキス』(1984年)など)。
1980年代後半から1990年代
[編集]PC向けRPGでは「隠されたヒントを自力で探し出す」点がコンピュータRPGの面白さと認識され発達し、コンピュータRPGは難しいほど面白いゲームとされていた(『ザナドゥ』(1985年)など)。一方で、限られたプレイヤーにしかクリアできないハードルの高いゲームであった。この傾向は、『イースI』(1987年)・『イースII』(1988年)の発売を機に一転した。
家庭用では1986年に第1作目が発売されたドラゴンクエストシリーズ、1987年に第1作目が発売されたファイナルファンタジーシリーズなどを筆頭とする、社会現象的なRPGブームが訪れた。
1989年6月30日に発売されたCD-ROMを媒体とするRPG『天外魔境 ZIRIA』は、CD-ROMの大容量を活かした演出・音楽・音声等を実現し、以降ストーリーやムービー重視の作品が主流となった。
1991年にマウス操作のRPG『ブランディッシュ』が発売された。
1990年代中盤にはPlayStationをはじめとする3D対応ゲーム機の流行で、3DグラフィックのRPGが増加した。
1990年代後半にはパソコンが一般家庭にも普及するようになるが、日本では国産PCとともにPCゲーム市場が急激な衰退をする。
インターネットの普及により、MMORPGなどコンピュータネットワークで他のプレイヤーと一緒にプレイするオンラインゲームも登場し始める。
2000年代
[編集]PlayStation 2以降DVD-ROMを採用した機種が登場し、さらなるグラフィック・ムービー重視が進んだ。
当時の家庭用ではネット重視で作られてはいなかった事もあって、どの機種もオンラインゲームはまだまだ少なかった。しかし後半頃になるとPlayStation 3などネットに完全対応した物が登場しMORPGなどが流行り始めた他、パソコンを含めた複数の機種で同じゲームを発売するいわゆるマルチプラットフォーム展開も本格的にされるようになった。
新作は3Dばかりとなっていた2000年代頃から、2DのコンピュータRPGを再評価しようとする傾向が見られるようになった。中には、出荷本数が少なかったためにプレミアの付いているソフトも存在しており、中古品がオークションやオンラインショップで高額で取引されることもある。また、有名な作品であればゲームメーカー各社が行っている旧作のダウンロード配信サービス(バーチャルコンソール、PlayStation Storeなど)や携帯ゲーム機などへの移植が行われている。RPGツクールによりフリーゲームとしても多数作られ『ゆめにっき』のように商業展開するものも出た。
2010年代
[編集]スマートフォンの普及もあり、『Fate/Grand Order』『鬼斬』『きららファンタジア』などの基本無料(アイテム課金)ゲームが台頭し始めた他、海外企業による日本風キャラクターデザインのRPGも増加した。
また、『ソードアート・オンライン』など剣と魔法のファンタジー世界を舞台とした異世界転生・転移物がブームとなり、それにはRPGを題材にした作品も多く(キャラクターにレベルの概念があったりする)、逆に『RPG不動産』など何らかの形でゲーム化した事例もある。
分類
[編集]コンピュータRPGは様々な観点から分類できる。以下はその一例である。
複合ジャンル
[編集]他のゲームジャンルと複合しているものは以下のように分類できる:
- SPRG / シミュレーションロールプレイングゲーム[10]
- APRG / アクションロールプレイングゲーム[10]
- ADVRPG / アドベンチャーロールプレイングゲーム[11][5]
- ACT-ADV-RPG / アクションアドベンチャーRPG[2]
アクションRPGではプレイヤーの操作スキルが問われる。逆に言えば、アクション要素がなくストラテジー型のRPG(例: ターン制)ではプレイヤーの反射神経や操作技能を要さず、戦略性あるいは地道な積み上げが重要視される。アドベンチャーRPG では壮大な物語をプレイヤー自身が紡ぐ[5]。
JRPG
[編集]JRPGはパーティ制・ターン制・コマンド戦闘・エンカウント方式・非リアル志向などの特徴をもった古典的RPGの総称である[12][13][14]。英: Japanese RPG、
PC市場をメインとし続けた欧米では、リアルタイム制やシームレス、オープンワールドを組み込んだRPGのスタイルが確立されている[要出典][15]。そのため、ターン制やコマンド戦闘、エンカウント方式にとどまるなどスタイルの古い日本製のものは区別されていると考えている[13]。
その他のJRPGの特徴して、登場人物のデザインやストーリーがアニメ的・マンガ的であること、個性的な性格でキャラが立っていること、などが挙げられる[要出典]。
もともと批判的な用語であり日本のゲーム業界はネガティブイメージに悩まされることがあった[16]。ただし、売り上げにおいてはポケットモンスターシリーズが全世界で1億9300万本[17]、ファイナルファンタジーシリーズは全世界で9700万本という実績があり[18]、『ドラゴンクエストVIII』はアメリカ大手ゲームサイトGameSpotにて2005年度最優秀RPGを受賞、2010年E3アワード全機種RPG部門にて『イース7』がベストRPG賞を受賞し『RPGFan Feature-E3 2010 Awards』を獲得するなど海外でも日本製RPGは一定の評価を受けている。
JRPGにハマった海外ユーザーが、「海外ではリアルなゲームしか企画が通らず、JRPGのような作品を作れない」という理由で、日本のゲーム会社に就職するという事例も存在する[19]。また、2010年代後半より、海外製のインディーゲームで開発者がJRPGに影響を受けたと公言する作品が続々とリリースされている[20]。
その他
[編集]- 好きな人も苦手な人も多い
- 2014年のCESAマーケティングリサーチ(日本国内が対象)によると、コンピュータRPGは51.9%の人が「好き」と回答しており、アクションゲーム(39.0%)などを引き離して最も好きな人の多いジャンルである[21]。一方で、苦手な人の多いジャンルとしても挙げられている。クリアをするのに時間がかかる、レベルを上げるのが面倒など、コツコツプレイする必要がある当ジャンルならではの理由と言える[22]。
- 他のゲームジャンルに影響を与えている
- 当ジャンルの「物語」や「成長」といった要素はあらゆるゲームに浸透している。その理由は、これらの要素が人の想いに根ざしたものであり、それを目で追っていくことがプレイヤーの欲求を満たすものであるからだろう[23]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- 1 2
『Deus Ex』などを手がけたWarren Spector氏 ... RPGとはロール(役割)を演じるゲームであり ... プレイヤーがキャラクターになりきり、キャラクターの視点で世界を見て行動を選び、行動の結果が物語や世界に反映される。そうした体験が成立していれば ... RPGと呼べる、というのが同氏の考え
(Shimizu 2025) - 1 2 3 4
『サイバーパンク2077』は公称では「オープンワールド・アクションアドベンチャーRPG」とされている。... 『サイバーパンク2077』... 本作はまずRPGであり ... 一人称視点が選ばれた理由も ... プレイヤーがキャラクターの視点に入り込み、その立場で世界を体験するため
(Shimizu 2025) - 1 2 3
『ドラゴンクエスト』シリーズは、プレーヤー自身が主人公となり、 世界を脅かす魔王を倒すために壮大な冒険物語をひもといていく、ロールプレイングゲーム(RPG)です。
““ドラクエ”生みの親・堀井雄二「ボクの冒険心はまだ尽きていません」 発売40周年でメッセージ”. 日テレNEWS. 2026年5月27日. - ↑ 売上トップのゲーム - Google PlayのAndroidアプリ
- 1 2 3
『ドラゴンクエスト』(1986年) ... キャラクターを成長させ ... 物語を進めていく ... RPG(+アドベンチャーゲーム)の魅力が凝縮されたタイトル
Giichi Totsuka (2017年10月27日). “とある勇者の、長い長い冒険 〜『ドラゴンクエスト』が繋ぐ世代を超えたゲーム愛〜”. RedBull. 2026年7月10日閲覧。 - 1 2 3
名称設定可能な RPG・SLG ... 主人公に名前を付けることは ... デジタルメディアならではの特徴であり、物語に入るこむための重要な要素の一つである。... 古くから 『Ultima I』... 等で、キャラクタークリエイションとしてキャラクターに名前を付けられるシステムが導入され、ゲームの物語の中で自身の名前が呼ばれる体験が提供されてきた。
齊田, 純也; 今給黎, 隆 (2021). “名称設定可能なRPG・SLG における音声及び文章での主人公の呼称の不一致に関する調査”. 日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会 予稿集. 2021: 19–22. - 1 2 3
RPGといえば、主人公の名前が決まっていて、その人物の生き様を映画や小説のようになぞって楽しむタイプと、主人公の色は控えめであくまで自分自身を投影して楽しむタイプの作品があります。... 後者のタイプ ... 主人公を”個性”というフィルターを通して見ることがなく、自分をそのまま投影して素直に感情移入できる
電撃PS編集部 (2017-07-07). “『ドラゴンクエストXI』発売の前に、"国民的RPG"の魅力を再確認!【特集第1回/電撃PS】”. 電撃PlayStation. - 1 2
主人公の名付けはゲームに欠かせない最初の一歩であり、最後までゲーム内で展開されるストーリーの中核となるキーワードです。... よりゲームの世界に入り込みたい時は本名がオススメです。
小暮ひさのり (2019年7月4日). “『ドラゴンクエストXI S』『ドラゴンクエスト』で見る「RPGあるある」な行動を専門家が解説!【ゲームの行動心理学】”. スクウェア・エニックス. 2026年7月11日閲覧。 - 1 2 3
一般的にRPGという言葉から連想されやすいのは、たとえばレベルアップやステータス成長を軸にしたゲーム体験だろう。
(Shimizu 2025) - 1 2
RPGは、アクションRPGやシミュレーションRPGなど、ほかのジャンルとの組み合わせた作品も一般的だ。
(Shimizu 2025) - ↑
ADVRPG『メグとばけもの』... アドベンチャーRPG『メグとばけもの』
りおちゃんこ鍋 (2022-10-10). “泣いたらアカン!幼女と野獣のADVRPG『メグとばけもの』体験版プレイレポ―うっかり世界を破壊しちゃう女の子を護衛せよ【Steam NEXTフェス】”. Game*Spark. - ↑
JRPGとも呼ばれる、パーティー制かつターン制コマンドバトルの作品
(Shimizu 2025) - 1 2 FF13がPS3独占を捨てたやむを得ぬ事情・E3を読む(上)[リンク切れ] 「IT+PLUS」 2008年7月18日
- ↑
"RPG"と一言で言っても、その要素は多すぎる! なので今回は、いわゆるJRPG風の移動、戦闘を想定し
桜井, 政博 (2022年9月21日). RPGのゲーム性 【ゲーム性】. YouTube. - ↑ それに対して欧米のRPGをWRPG(Western RPG)と区別することもある
- ↑ 海を渡った日本のゲームの子孫たち第3回 JRPG - メディア芸術カレントコンテンツ
- ↑ Graft, Kris (2009年8月14日). “More Pokemon Remakes Inbound As Platinum Hits 5.7 Million”. Gamasutra. 2009年8月14日閲覧。
- ↑ Leigh Alexander (2010年3月19日). “FFXIII Achieves 1 Million-Unit Five-Day Sales”. Gamasutra. 2010年3月20日閲覧。
- ↑ BS1スペシャル「潜入!4K対応ゲーム 開発の舞台裏」
- ↑ “『OMORI』に見るJRPGの再評価とインディーゲームならではの死と再生の物語【インディーゲームレビュー 第118回】”. GAMERS ZONE (2022年3月30日). 2024年10月14日閲覧。
- ↑ 「第7章 家庭用ゲームのプレイ状況」『2014 CESAゲーム白書』、CESA、2014年、110頁。
- ↑ Game*Sparkリサーチ『あなたが苦手なゲームジャンルとその理由は?』結果発表|Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト Game*Spark(2009年5月16日) 2015年1月23日閲覧。
- ↑ “RPGs Took Over Every Video Game Genre - IGN” (英語). Choke Point (2012年12月12日). 2014年5月2日閲覧。
参考文献
[編集]- 『ロールプレイングゲームサイド』Vol.1 2014年8月 マイクロマガジン社 ISBN 978-4-89637-470-4
- Shimizu, Junya (2025-12-24). “「RPGはもはや一様に定義できない」とベセスダ開発者が語る。ただのジャンルではない“概念””. AUTOMATON.