術前不安(じゅつぜんふあん、英: preoperational anxiety, or preoperative anxiety)は、手術のために入院した患者がよく経験するものである[1]。それは、手術前の患者の疑念や恐怖に起因する緊張や不安の不快な状態、と記述される[1]。
状態・特性不安検査(STAI)は、研究目的で術前の不安を評価するのに良く用いられる方法である。これは、2つの20項目の尺度で構成されており、患者はこれを元に特定の症状を評価するように求められる[2]。
STAIは不安には2つの異なる面があるという理論に基づいている。状態尺度は、状況によるまたは一時的な不安の覚醒度 を測定するように設計されており、特性尺度は不安に関連する長年の人格特性を測定するように設計されている。各尺度の項目は、「不安が存在する」または「不安がない」という2要素モデルに基づいている[2]。
The Journal of Nursing Measurement誌2009年の論文で、多忙な病院環境では、特に他の評価も行わなければならない場合、各患者から20項目すべてを訊くことは難しいと報告された[2]。 STAIの簡易版が開発されている。たとえば、MarteauとBekkerの6項目版の状態尺度は、2009年に「元の20項目の状態尺度と相関する場合、内的整合性の信頼性と妥当性が良好」であることが判明した[2]。
さまざまな恐怖が術前の不安を引き起こす可能性がある。それらには、次の恐怖が含まれる。
術前不安の強さに影響を及ぼす他の要因は、
アメリカの心理学者アーヴィング・ジャニスは、不安に影響を与える一般的に見られる要因の傾向を3つの異なるレベルに分けている[6]。。
不安は、緊張、神経質、攻撃性を高める行動や認知の変化を引き起こす可能性がある[1]。
患者によっては、理解したり、簡単な指示に従うこともできないほど不安になるかもしれない。 また、看護スタッフにひっきりなしに注意されるほど攻撃的で要求が多い患者もいるかもしれない[1]。
アーヴィング・ジャニスが行った研究では、一般的な対応と戦略は、不安の強さ別に3つに分けられている。
不安が弱い患者
このカテゴリーの患者は、冗談を言ったり、「何もない!」などと言う傾向があります。ほとんどの痛みは患者が予測していないため、患者は自分の痛みを病院のスタッフのせいにする傾向がある。この場合、患者は虐待されたように感じる。これは、患者が、痛みは手術による、避けられない結果であるという、通常の考え方を持っていないためである[6]。
その他の傾向として、術前ケア中に穏やかでリラックスした態度を示すこともある。彼らは通常、睡眠障害にはならない。彼らはまた、医療処置に関するより多くの情報を求めるためにほとんど努力をしない傾向がある。 これは、彼らが潜在的な脅威に気づいていないという事実によるものかもしれないし、彼らが自分自身を締め出し、疑いと恐怖のすべての考えを排除することに成功したからかもしれない[6]。
不安が弱い患者が主に表現する傾向があるのは、経済上の懸念であり、彼らは通常、手術の危険性についての不安は否定する[6]。
中等度の不安を持つ患者
このカテゴリーの患者は、軽度の感情的な緊張しか経験しないかもしれない。中等度の不安を持つ患者が経験する時折の心配や恐怖は、通常、抑制することができる[6]。
不眠症を発症する人もいるが、通常は軽度の鎮静剤がよく効く。 彼らの外見的な態度は、患者が内なる葛藤に苦しんでいることが他の人に明らかである僅かな瞬間を除いて、比較的穏やかでよく制御されているように見えるかもしれない。彼らは通常、毎日のタスクを実行することができ、時々落ち着かなくなるだけである[6]。
これらの患者は通常、快適な安心のレベルに到達するために、医学の権威から信頼できる情報を得ることに非常に意欲的である[6]。
強い不安を持つ患者
このカテゴリの患者は、通常、情報を求めることによって自分自身を安心させようとするが、これらの試みは、長期的には、恐怖が非常に支配的であるため、患者が快適な心理状態に到達する助けとなることには失敗している[6]。
このレベルの不安の患者は、予想される危険を考えないために、精神的に気を散らす活動に従事することがよくある。 彼らは苦労して、自分の状況を理想化したり、最終的に物事がうまくいく可能性があるというあらゆる種類の概念を維持している。これは、彼らがありそうもない危険にこだわる傾向があるからである[6]。
肯定的な面では、患者の不安が適度なレベルであれば、むしろ不安は手術の心構えに役立つ[1]。 否定的な面を挙げれば、患者の不安が大きすぎても少な過ぎても、不安は害を及ぼす可能性がある。 この理由の1つは、不安が少ないと、痛みへの心構えが十分できないことである[1]。 また、より強いレベルの不安は、不快な刺激に患者を過剰に感作し、触覚、嗅覚、聴覚が過敏となる可能性がある。 これは激しい痛み、めまい、吐き気を引き起こす。また、なじみのない環境で、患者の落ち着かない気分が高まる原因ともなり得る[4]。
不安はまた、より多くの鎮痛薬のおよび麻酔薬が必要となり、術後の痛み、および入院期間延長の元凶となることが証明されている[7]。
アーヴィングは、術前不安が術後反応に及ぼす影響も3つのレベルに分けている[6]。
周術期不安の治療には以下が含まれる。
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